学校特集

和洋九段女子中学校高等学校

自己肯定感を高めて困難に立ち向かう心を育む
2017年度は、問題解決能力を養う「PBL型授業」や「グローバルクラス」開設など教育改革が本格始動!...
和洋九段_入試広報室長_川上武彦先生
入試広報室長 川上武彦先生

2014年に新校舎が完成した和洋九段女子中学・高等学校。注目すべきは213席の自習室「スタディステーション」、おしゃれなカフェテリア、先端のICT環境を導入した「フューチャールーム」など、ハード面の充実だけではありません。学ぶ環境や学校生活が楽しくなる環境が整い、いよいよソフト面の教育改革が始動します。
創立120周年を迎える2017年度から、問題解決能力を養う「PBL(Problem Based Learning)型授業」を導入するほか、オールイングリッシュの英語の授業を行う「グローバルクラス」の新設、適性型入試の実施、さらには制服も刷新します。校訓「先を見て齊える(将来を見つめていまできることに一生懸命に取り組む)」をどのように実践しようとしているのか、同校が見つめる未来について、入試広報室長の川上武彦先生にお話を伺いました。

和洋九段流PBLの要所は、「思考することの興奮」、「発表することの達成感」と「解決することの歓喜」にあり!

PBLを全教科・全学年で導入

和洋九段女子中学・高等学校は、学祖・堀越千代先生が精神的・経済的に自立できる女性の育成を目指して明治30年に設立されました。この建学の精神を現代に反映させた教育が図1の5項目、いわゆる"21世紀の読み書きそろばん"の育成です。

和洋九段_ロードマップ

図1

2017年に創立120周年を迎えるにあたり、今後の学校のあり方を繰り返し話し合う中で浮き彫りになったのが、「生徒が元気な学校」というコンセプトでしたと川上先生は言います。背景には最近の生徒のおとなしさがあります。素直な一方、消極的な姿勢も見られます。「和洋九段の生徒は明るくはつらつとしているね」と思われる学校になるには、第一に授業がおもしろいことです。そこで、2017年度から、アクティブラーニングで問題解決能力の育成を目指す「PBL(Problem Based Learning)型授業」を全教科・全学年で導入します(図2)。

和洋九段_PBL型授業の流れ

図2

PBL型授業の3つのポイントとは?

和洋九段_教員_ファシリテーター
和洋九段では教員がファシリテーター
となり生徒の創造力を引き出します!

PBL型授業を導入している学校は既にありますが、同校のPBLのポイントは次の3つです。1つは、生徒がつねに自分の頭で考えて「思考することの興奮」があることです。教員が教えすぎるほど生徒の考える力を削いでしまいます。教員は生徒の思考を促すファシリテーターに徹します。生徒の多様な発想を呼び起こすトリガークエスチョンはPBLの要であり、教員の腕の見せ所です。

最重要ポイントが、2つ目の「発表することの達成感」です。そのためにグループブレストで頭ごなしに他者批判することを禁止します。たとえ自分と真逆の意見でも、的外れな意見でも、「それはおかしい」とダメ出ししないこと。あえて禁止事項を設けた理由について、川上先生は「他者に自分の意見を明らかにするために発表者は時間と労力をかけていますし、多少の勇気も必要です。発表者の努力や、自分とは異なる視点の提示に対する感謝と敬意を忘れないでほしいのです」と説明します。この場合、聞き手は「どうしてそう考えたの?」「それってどういうこと?」と聞くようにします。責められたり、とがめられて人格批判されない安心感は多様な意見を促します。異なる意見が出る方がおもしろい議論ができるでしょう。多様な価値観に触れることこそPBLの一番のねらいであり、自己肯定感の醸成やコミュニケーション能力の向上にもつながります。

3つ目は「解決することの歓喜」です。個人では適切な解が浮かばなくても、他者の意見をヒントにすればよりよい解を導き出せるかもしれません。解決策のアイデアは、情報収集力と経験値の"かけ算"で生み出すことができます。PBLの過程で「選択」をし、その結果を「検証」する。これを積み重ねることで思考力を高めることができます。

社会科のPBLは経済問題や人権問題にも及ぶ。タブレット端末は1人1台保有に。

現代社会の課題の解決策を議論する

和洋九段_PBL型授業_タブレット
PBL型授業にはタブレットが欠かせません。

PBLは既に各教科で試験的に実施しています。夏休みに全教員参加の研修を1週間実施するなど研修を繰り返し、「どうすれば効果的なPBLを実施できるか」というトリガークエスチョンの解を模索して来年度の本格導入に備えます。

PBLが最もなじみやすい教科が社会科です。現実社会の課題の解決策をグループで話し合うスタイルは、まさに社会科の学びに沿うものです。トリガークエスチョンに正解はありません。例えば、「あなたは将来子どもを何人産みたいですか」という問いついて考えるとき、「子どもがかわいいからたくさんほしい」「育てるのは大変だから産まない」といった感情論は通用しません。聞き手が納得するように論理的に説明するために情報収集をします。すると、待機児童の増加や労働力不足、社会保障の財源不足といった社会問題、さらには経済問題が見えてきます。また、産む・産まないは個人の問題であることから人権問題にも及びます。これらの問題はすべて教科書に載っている内容です。

2017年度からは中学生が全員1人1台タブレット端末を携帯へ

和洋九段_フューチャールーム
和洋九段のフューチャールーム

社会科のPBL型授業は1コマ(50分)でもプレゼンテーションまで行うことができていました。さらにクラス全体でディスカッションする場合は2コマ必要になりそうです。「PBLの比率は議論できる基礎知識が十分備わる中3・高1で多めに、中1・中2は少なめにする予定です。学期や教科によって比率は変わるでしょうが、例えば中3・高1の社会科の授業は5割以上がPBL型になると思われます。大学入試対策が中心になる高2・高3はPBLを取り入れにくいのが現状です。けれど、2020年の大学入試改革で思考力、判断力、表現力が問われることがはっきりすれば、高2・高3でもPBL授業の継続が考えられます」(川上先生)

和洋九段_フューチャールーム
フューチャールームでは最新のICT機器を駆使した授業を展開します。

PBLの実施にあたり、特に情報収集やプレゼンテーションにICTの充実は欠かせません。2.4m×6mの大型スクリーンと6台のプロジェクターを装備し、タブレット端末による双方向授業が行える「フューチャールーム」はつねに予約でいっぱいです。2017年度からは中学生が全員1人1台タブレット端末を持ちます。教室も電子黒板化してフューチャールームのように双方向で情報をやり取りできる環境を整備します。教材も個人利用のタブレット端末に組み込まれたクラウドサービス「Classi(クラッシー)」を使用します。

グローバルクラス」の英語の授業はオールイングリッシュ。日常生活のコミュニケーションも英語を使う。

2017年新設のグローバルクラスの特徴とは?

和洋九段_グローバルクラス_オールイングリッシュ
グローバルクラスの授業はオールイングリッシュ!

2017年度に新設する「グローバルクラス」も教育改革の目玉の1つです。開設理由は世界を見据えた英語力の養成はもちろんですが、塾で英語を習っていたお子さんが徐々に増え、入学時の英語力にバラツキが目立つようになってきました。また、多様性の観点から帰国生の受け入れを増やそうというねらいもあります。

グローバルクラスの特徴の1つがオールイングリッシュの英語の授業です。英語の授業は、中1が週8時間、中2・中3が週9時間で、本科クラスより各学年1時間多くなります。初年度は中1の8時間の授業のうち5時間をネイティブ教員が、残りは日本人教員が担当する予定です。受け持ち比率は効果を検証して変更する可能性があります。

日常会話はほとんどが英語!

和洋九段_オーストラリアホームステイ
オーストラリアホームステイの様子

日常的に英語を使うことも特徴の1つです。クラス担任は英語科の教員が受け持ち、早い段階から朝礼や清掃、ホームルームのほとんどで英語を使います。中学卒業時に英語検定2級以上、高校卒業時に英語検定準1級以上を目指し、海外大学への進学も視野に入れます。帰国生など英語力のレベルが高いお子さんだけでなく、英語を使いこなせるようになりたい、留学したいなど英語学習に意欲のあるお子さんを受け入れます。そこで、英語の授業は最初からレベル別授業を実施します。英検準2級程度の力がある生徒は「アドバンスト」で最初からオールイングリッシュで授業を受けます。中学から本格的に英語を学ぶ生徒は「インターメディエイト」で、日本語を交えた授業から始めて段階を踏んでオールイングリッシュの授業に移行します。英検準2級程度の英語力に達した生徒は、定期試験ごとに順次アドバンストへ移行します。中1のスタート時はインターメディエイトが多いでしょうが、アドバンストへの移行を助ける講座を放課後に設けます。川上先生は「最終的にはインターメディエイトがなくなるのが理想です」と語ります。

海外研修プログラムが豊富に!

和洋九段_オーストラリア_学期間留学
学期間留学(3ヶ月程度)など海外プログラムがさらに充実!

海外研修のプログラムも増やします。20年続くシドニーのホームステイ(15日間)や短期留学(10カ月程度)のほかに、新たにターム留学(3カ月程度)も計画しています。PBL型授業と英語教育で培った能力を試す機会として新設するのが「ニューヨーク記者体験プログラム」です。国連やコロンビア大学、IBMなどを訪れて作成したレポートや、バッテリーパークなどの街に繰り出してインタビューした記事を、現地の日本人向けの媒体に掲載します。アジア研修も調整中です。これらのプログラムはグローバルクラスと本科クラス共通の希望制とし、必要に応じて選択できるように対象学年を限定せず幅を設けます。

本科クラスはプレゼンテーション能力を強化!適性検査型入試で多様な個性を歓迎。

和洋九段_プレゼンテーション
和洋九段ではプレゼンテーション能力の育成を重視!

英語力の強化は本科クラスも同様です。2015年度から授業数を増やし、中1が週7時間、中2・中3は週8時間です。その成果はまだ具体的には見えていませんが、英語科の教員は好感触を得ています。授業数を増やした学年の定期テストの問題は、英作文については問題の難易度が上がっているそうで、英検取得率が高くなるのではないかと予想しています。

本科クラスではPBL型授業の徹底ととともに、プレゼンテーション能力の育成を重視します。従来は総合学習のうち1時間を論文の自主活動に充てていました。この活動を2017年度から進化させて、論文を「書く」だけでなく「話す」ことにも力を入れます。論文はよく書けているのに、発表会では聴衆を見ずに発表原稿を読んでしまって、内容がきちんと伝わっていないケースが少なくありませんでした。これからは効果的なプレゼン資料の作成や、声の大きさやスピードなど伝わる話し方についても評価するようにします。教員も生徒の手本になるように、学校説明会などで伝わるプレゼンテーションを心がけています。

2017年は入試も大きく変わります。グローバルクラス新設に伴い英語入試を、また本科クラスでは適性型入試を導入します。適性型入試がこのタイミングでの導入となったのは、表現力を伸ばすPBL型授業の導入が大きいと言えます。一般に、適性型入試を受験する子どもは表現することが得意です。「適性型入試で入学したお子さんにはPBLでリーダーシップを発揮してもらいたい」と川上先生は期待しています。

学校のありのままを見せる学校説明会で支持を集める。感謝の気持ちを持てる人に育てたい。

新入生の志望理由1位は「生徒の雰囲気」!

和洋九段_スタディステーション
スタディステーションは20時まで利用が可能。

新校舎の完成にあたっては保護者との連携強化がテーマでした。213 席ある個別の自習ブース「スタディステーション」は20時まで利用可能(土曜日は17時まで)で、宿題をしっかり済ませてから帰宅できるとあって保護者からも好評です。「カフェテリア」は家庭科の教員が栄養バランスのよい成長期のためのランチを吟味してくれるとあって、働くお母さんから「大変助かっています」という声が寄せられています。

今年度の新入生の志望理由アンケート(複数回答)を見ると、第1位の「生徒の雰囲気」、第3位の「教職員の雰囲気」から同校への信頼感がうかがえます(第2位は「交通の便」)。特別なことはしていないと語る川上先生は、「学校説明会は着飾ることなく自然体の学校を見てもらったことがこの評価につながったのだと思います」と分析します。

思いやりや感謝の気持ちを忘れない「共感力」を培う

和洋九段_カフェテリア
カフェテリアは育ち盛りの生徒たちに大人気です。

これからの社会は、移り変わりの激しさに対応できる主体性や柔軟性が、グローバル化には異文化理解や語学力、表現力が求められます。競争社会を生き抜くには資格や技術の習得も必要です。ただ、それだけで十分と言えるでしょうか。川上先生は、「誰が喜んでくれるのかを考え、思いやりや感謝の気持ちを忘れない『共感力』も培いたい」と付け加えます。

ある生徒が、テストで思ったような点数が取れなくて「先生ごめんなさい...」と涙ぐんだそうです。熱心に教えてくれたことに応えられなくて申し訳ないと思ったのでしょう。勉強は誰のためでもない、自分のためにすることですが、生徒の心には感謝の気持ちが芽生えたのではないでしょうか。

中高6年間で得る自己肯定感が最高の宝物

和洋九段_体育祭
年間行事が多いのも和洋九段の魅力(写真は体育祭)

社会に出れば壁にぶつかったり挫折感を味わうこともあるでしょう。そのとき「もう一踏ん張りしてみようか」と思えるかどうか、人間力が試されます。大きな励みになるのは、中高6年間で教員に愛された記憶や、本音で語り合った友達とのつながりではないかと川上先生は言います。中高時代に得た自己肯定感は年齢を重ねても色褪せることはありません。困難な時代に立ち向かっていける心の強さこそ、和洋九段で育まれる最高の宝物なのかもしれません。

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