1月31日以前の帰国生入試、志願者が約340名増。

2015年4月24日

首都圏の中学入試で受験できる私立中高一貫校では、毎年、東京・神奈川の(一般生対象の)中学入試が一斉にスタートする2月1日より前に、前年の11月から1月末までに、かなり多くの学校の「帰国生(一般入試とは別枠の)入試」が行われています。

 

2015年入試では、のべ125校(11月に13校、12月に45校、1月67校)の「帰国生入試」が実施されました。

 

そして、これら(前年11月~1月の)の「帰国生入試」の志願者(=出願者)の判明分の総計が「3,731名(前年は3,387名)」となり、昨年より「344名」志願者が増加しています。

 

この要因としては、①昨今の教育の課題でもある“グローバル化”のために、新たに「帰国生入試」を実施する私立中学校、「帰国生入試」の募集定員や入試回数を増加させる私立中学校が増えたこと、②数10年前には中学入試全体から見ると少数派であった「帰国生入試」の認知度が上がり、年毎に「帰国生入試」に挑む受験生が増えたこと、③上記の“グローバル化”や自校の教育環境の“ダイバーシティ化(多様化)”を目的に「帰国生」に向けた広報活動に力が入れられるようになったこと、などが挙げられます。

 

2020年の「大学入試改革」に向けて、日本の教育が大きく変わろうとしている現在、こうした“グローバルな”教育環境”を持っている「帰国生受け入れ校」に対する保護者の注目度も高まっていて、帰国生はもちろん、そうした私学に進学することで帰国生からの良い刺激を受けられることに対して、日本国内の学校で過ごしてきた一般生と保護者からの期待も大きくなっているようです。

 

また、「日本語IB(国際バカロレア)プログラム」の導入推進や、従来の大学入試で問われてきた「知識の多寡や、限られた時間内で正確にアウトプットする力」ではなく、「得られる知識を使って、課題を発見~解決する思考力・判断力・表現力」を問う方向に大きく変わろうとしている(2020年からの)大学入試改革の話題にも、今後はますます、多くの小学生の保護者から関心が寄せられることになるでしょう。

 

また、中学入試の受験生のなかには、従来から主流であった「2~3年進学塾に通って受験の準備をしてきた」受験生だけではなく、英会話やスポーツ、芸術(美術や音楽など)の習い事に励んできた小学生が、中学入試が近づいた小6の春や小6の夏休み過ぎから、私立や公立の中高一貫校への入学を希望して、中学入試にチャレンジするケースも明らかに増えてきました。こうした受験生のなかにも、海外での生活体験をしてきた子どもは少なくありません。そういう意味では、中学入試に「新しい市場(=新しい受験スタイル)」が生まれてきたのが、今春2015年の入試だったのです。

 

そうした時代の変化、保護者の意識の変化が、日本の教育が変わろうとする転換期を迎えて、中学入試の全体状況にも変化を及ぼし始めたといえるでしょう。

 

そして、そういう状況のもとで、貴重な海外での生活体験を持つ帰国生の経験・感覚・積極性や家庭のバックボーン、保護者の意識は、多様性を持つ教育環境を大事にしていきたいと考える私立中高一貫校にとっても歓迎すべきものとして、その受け入れの間口が広がりつつあるのが現状といっていいでしょう。

 

そうした視点で見ると、来春2016年以降の中学入試で、「帰国生入試」の志願者数がさらに増加する可能性は高いと考えてよいはずです。「帰国生(別枠)入試」を実施している私立中学校は、「2015年帰国生入試要項一覧」に紹介しています。来春2016年以降に向けて、こうした「帰国生入試」に関心のある方は、ぜひそちらの一覧を参考になさってください。