帰国生入試問題 聖光学院③

2019年6月4日

(文/スタディエクステンション代表・鈴木裕之)
21世紀型教育ベースの学習コミュニティ「GLICC」代表の鈴木です。今回も中学入試の英語問題について考えていくことにします。

_ 今回取り上げるのは、2019年の聖光学院の英語の問題です。聖光学院の英語は、点数差が大きく開くタイプです。単に英語が読み書きできるというだけではなく、英語という言語を対象化して分析的に捉える能力が問われています。

2019年度の大問1は、まさにそのような出題の典型で、語根(root)の意味を問う問題です。

  1. foresee, forehead, forecast
  2. transmit, missionary, promise
  3. democracy, demographic, demagogue
  4. impede, pedestrian, centipede
  5. malice, malady, dismal

このような語根を問う問題が毎年出るのであれば、語根を教え込む塾も登場するかもしれませんが、これを暗記によって覚えているという子どもほとんどいないでしょう。3つの単語のうち2つの意味が分かれば、語群の中の単語とマッチングさせることで正解が推測できるという問題です。ですので、GLICCでは、完全な知識問題というよりは、論理的思考(思考コードのB軸)を必要とする問題に分類しています。

この手の問題を「知識問題」として処理するか、それとも「思考力問題」として処理するかは、教える側の態度に表れます。

「"ped"は"足"という意味です。"pedal"とか"pedicure"とか聞いたことあるでしょう。ついでに言えば "manicure"の"mani"は手という意味です。覚えておいてね」という講義タイプの先生は、こんなものは知識として入れてしまえば効率がよいと考えているわけです。塾にはこういうタイプの先生が多い。

一方で、こういった単語の部分の類似に気づかせて、生徒に推測させながら辞書やネットで調べさせるアプローチもあります。時間はかかるけれど、いったん生徒が興味を持ちだすと、先生も知らない語根をどんどん調べてくるなど、探究する楽しみを味わうことになります。

短期的に見ると、効率的な前者のような演繹的アプローチは、範囲を限定した中で早く正解にたどりつくような競争には有利かもしれませんが、現代社会のように複雑で正解が多様な世界でサバイバルするには、後者のような帰納的アプローチによる学習態度を身につけておくことが有効です。

さて、聖光学院では、単語の多義性に着目させる思考力問題を毎年出題しますが、2019年度でもその傾向は続いています。大問4がそんな思考力を試す問題となっています。

   A pun is a joke that makes a play on words by using different meanings of a word to make the saying funny. Read the following puns and fill in each blank with one word. An example is given below.

   Example: I googled "how to start a wildfire" and I got 962 (          ).
   Answer: matches

  1. The best way to communicate with a fish is to drop them a (          ).

  2. Thanks for explaining the word "many" to me. It means a (          ).

  3. I'd love to know how the Earth rotates. It would totally make my (          ).

  4. A: Why are playing cards like wolves?
     B: They come in (          ).

  5. A: Why was the tomato all red?
     B: It saw the salad (          ).

解答を送ってくれれば、採点します。GLICCまでお問い合わせください。
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