帰国生入試問題傾向分析 渋谷教育学園渋谷中学校

2021年5月31日

(文/スタディエクステンション代表・鈴木裕之)
こんにちは。スタディエクステンション代表の鈴木です。久しぶりに「帰国生Navi」に原稿を書かせていただきます。帰国生入試や英語入試の問題は過去問が入手しづらかったり、英語が難しくて親御さんの手に負えなかったり、あるいはネイティブの先生は日本語で十分に説明できないなどといったことが原因で、どのような出題傾向でどのような対策が必要なのかということがあまり知られていません。

この連載ではGLICC(グリック)教務の協力を得て、入試問題情報を少しずつお伝えしていこうと思います。

今回は、渋谷教育学園渋谷中学(渋渋)の帰国生入試問題の英語です。渋渋は算数・国語・英語の3教科型入試ですが、事実上英語の出来で合否が決まると考えてよい学校です。さっそく英語の問題の傾向を見ていきましょう。

_ Listening Comprehension
リスニングパートは公開されないので、どのような内容のパッセージが出題されているのかは不明ですが、選択肢や受験者からの取材を通して分かるところでは、ノンフィクション、特に歴史や科学に関連したものが出題される傾向にあります。
パッセージは2回読み上げられ、その後10問の質問文が読まれます。質問文も2回読まれますが、印刷されていないのでこの部分も集中して聞く必要があります。解答方式は4択で、それぞれの選択肢は印刷されているので、選択肢の文を手がかりに、メモを取りながらリスニングするとよいでしょう。

Critical Reading Questions
リーディングは、文学作品(フィクション)から抜粋したパッセージが課されます。多肢選択問題が10問出題されます。多くの場合、語り手の口調、登場人物の心情、彼らの行動の背後にある理由についての問いが出題されます。また、語彙や文章の理解度、例えば表現技法の効果などもよく問われます。このようなフィクションの読解は、直接情報が書かれていないので、想像力を働かせて読み取りをする必要がある上、渋渋が出題するフィクションはいわゆるクラシック(名作)であることが多く、高度な語彙力が要求されます。かなり難しい文章ではありますが、解答形式は選択式なので、文章の難しさは緩和されるはずです。

Word Formation Questions
通常7つの問いがあります。それぞれの問いはリーディングパッセージから単語を取り上げ、その単語を正しく活用して新しい文に当てはまるようにすることを求めます。動詞の活用と名詞、形容詞、副詞の間の形の変化に焦点を当てています。

Vocabulary Questions
パッセージから6つほどの単語を取り出し、その意味を答えさせる問題です。生徒はその単語の文脈を参考にして意味を理解することができます。これらの単語は非常に高度なレベルの語彙であり、複数の意味を持つこともあるので、文脈を理解することが重要です。

Short Essays
ライティングのパートでは2つの問いがあります。
一つは、1つもしくは2つ程度のパラグラフライティングです。もう一つは詩を読んでそれを分析します。テーマだけでなく、詩的な表現についての分析が要求されます。

問題データ分析

各設問の難易度の平均は、10段階中の7程度(0が最も易しく9が最も難しい)です。平均難易度が7というのは、英検2級以上のレベルの小学生が受験した場合に。得点が20~30点程度になるということを意味しています(ただし、問題が公開されていないリスニングパートは除外して計算)。
思考コード別では、B軸(応用/論理的思考)が6割から8割を占め、残り2割から4割がC軸(批判/創造的思考)の出題です。
単純な知識問題はほとんど出題されず、英語で思考することが求められているということがデータから分かります。

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