広尾学園 インターAG英語入試 問題分析

2022年7月14日

(文/スタディエクステンション代表・鈴木裕之)
GLICC(グリック)の鈴木裕之です。今回の記事では、広尾学園インターAGの英語入試問題について分析します。

広尾学園インターAGの英語では、この数年、小説と詩が一題ずつ出題される傾向にあります。そして、それらの共通性、あるいはコネクションを考えさせるライティングが出題されます。

_ 読解問題はすべて記述式の設問なので、文法的な面も見られています。当然、1単語や1フレーズではなく、フルセンテンスで書くことが期待されています。また、小説や詩のパッセージに直接的な手がかりがない場合でも、勝手な想像をするのではなく、間接的なエビデンスを探して、解答の根拠とすることも大切です。

小説(フィクション)の出題について

2021年に公開されたサンプル問題では、キャサリン・パターソンの『テラビシアにかける橋』(1977年)からの抜粋が出題されています。アメリカの現地校であれば小学5年生程度の読解レベルと言えるでしょうが、日本の中学入試の英語問題としてはかなりの難易度です。

設問は6問あり、2問ごとに配点が上がっています(Q1とQ2...各3点、Q3とQ4...各5点、 Q5とQ6...各7点)。これは後ろの設問ほど、解答の分析の深さが要求されているということを表しています。

設問で問われている内容は、登場人物の性格描写や行動分析です。場面設定を説明できるように、文学技法の知識があると役立つでしょう。引用文の効果を考えさせる問題なども出題されています。

文体やトーンに関する問題もよく狙われます。どのような文体が使われ、それによってどのような効果があるのかについて文章から根拠を示すことができれば、よい解答となります。

フィクションの最後の設問は、たいてい文章全体の主題や雰囲気に関することが問われます。基本的には、文章からエビデンスを指摘した上で、テーマやメインメッセージの説明をする必要があります。読者に与える影響などに言及することで、より強固な解答とすることができます。

詩(ポエム)の出題について

2021年のサンプル問題では、アメリカの詩人、ゴールウェイ・キネルの作品「Mortal Acts, Mortal Words」(1980年)が出題されました。小説と同様、6問の設問があります。設問の配点も小説と同様、後ろの設問ほど配点が高くなっています。詩は一般的に難易度が高いので、このセクションの対策としては、似たようなジャンルの詩を数多く読んで、表現の工夫と内容の関係について確認する練習をしておくとよいでしょう。

最後の2問は、文体(トーン)や詩が読者に与える影響(効果)について聞いていますが、詩の中にあるエビデンスを挙げながら答えを裏付ける必要があるという点で、かなり難しい問題となっています。

例えば詩の中の一節で、

..................a penalty
they earn for knowing the black art
of blackberry-making

と書かれている箇所がありますが、penalty(罰則)という言葉に引きずられてしまうと、何かマイナスのイメージとして捉えてしまうかもしれません。しかし、ここでのpenaltyは比喩として使われており、「秘密を有していることの罰」としてという意味合いとなります。いかに全体に目を向けて考えるかが大事ということがよく分かる出題だと言えます。

英検でもTOEFLでも、日本の英語資格試験はほとんど情報を読み取ることができればそれで良しとしており、文章に直接書いてないことを推測していくという力はあまり練習されていません。しかし、広尾のインターAGでは、解釈したり推測したりする力を重視しているので、この部分は徹底的に練習する必要があります。

エッセイについて

2021年サンプル試験では、上記の小説と詩のつながりについて考えさせるタイプのエッセイが出題されています。この形式は過去2年間続いているもので、広尾のインターAGを受験する生徒であれば、必ず知っておくべき傾向です。

一見すると、2つのパッセージは全く異なるトピックについて書かれているように見えますが、より広いテーマについて考えてみると、類似点が浮かび上がってきます。このように、異なる文章から共通点を見出すような読み方は、想像力や、自分の体験と世界のできごとを関連づけるような思考をふだんから働かせていないとなかなか難しいかもしれません。