【三田国際科学学園中学校・高等学校】新施設ゼロワンで広がる未来の学び
2025年10月25日・26日に開催されたMITA International Festival 2025(MIF)は、今年新たに誕生した探究専用施設「ゼロワン(Zero to One)」を中心に、例年以上の盛り上がりを見せました。レポートします。
三田国際科学学園とは
三田国際科学学園中学校・高等学校は、東京都世田谷区に位置する共学校で、2025年に校名を「三田国際学園」から変更し、国際のみならず、誰もが身につけるべき科学を教育の中心に据えた更なる一歩を踏み出しました。学校の学びのキーワードである「THINK & ACT」「INTERNATIONAL」「SCIENCE」に基づき、多様なバックグラウンドを持つ生徒たちが集まり、国際的な視野を広げる環境が整っています。
特に注目されるのは、新設された「ゼロワン」という施設です。この施設は、生徒の発想力を育むための拠点であり、最新の設備が揃っています。科学的アプローチを重視し、探究活動を通じて課題発見・解決能力を養うことに力を入れています。
また、海外大学進学を目指すプログラム(DDPやAP)を導入し、多くの生徒が国際的な進路を選択しています。実際、卒業生は海外大学への進学実績を上げており、科学技術分野での研究活動も高く評価されています。三田国際科学学園は、未来を担う自律した学習者を育成する共学校として、ますます注目を集めています。
新施設ゼロワンで学びの未来を体験
2025年10月25日・26日に開催されたMITA International Festival 2025(MIF)は、今年新たに誕生した探究専用施設「ゼロワン(Zero to One)」を中心に、例年以上の盛り上がりを見せました。今年のテーマは「Utopia」。生徒一人ひとりが描く“理想の学びと未来”を形にする場として、ゼロワンは活気に満ちあふれ、多彩なプレゼンテーションやポスターセッションが展開されました。新施設の誕生は、学園祭が単に楽しむ場であるだけでなく、学びを社会に発信する舞台へと進化した象徴となりました。来場者は、生徒たちの真剣な取り組みと創造性に触れ、学びの未来を実感することができました。
ゼロワンは学びの発信基地
ゼロワン(Zero to One)は、生徒が探究活動にじっくり取り組み、アイデアを社会に向けて発信できるよう設計された施設です。開放感あふれるホール、テーマ別ブース、対話スペース、ピッチ発表エリアなどが整備され、2日間を通して熱意ある発表が途切れることはありませんでした。来場者は生徒と直接対話し、質問や意見を交わすことで研究内容をさらに深めていく様子を目の当たりにし、ゼロワンは知的交流の熱気で満たされました。生徒同士の協働や、来場者を巻き込む主体的な学びの姿が随所に見られ、まさに学びの「発信基地」としての役割を果たしていました。
中学生の探究が来場者を魅了
中学生による基礎ゼミナールの研究ポスターセッションは、多くの来場者が足を止めるほどの注目を集めました。身近な疑問から始まった探究が、データ分析やインタビュー調査、文献研究を経て説得力のある提案へと昇華していました。生徒たちは来場者との対話を通して新たな視点を得ると同時に、自らの考えをさらに練り上げる姿を見せ、主体的な学びの深まりが際立ちました。発表を通じて自分の研究を説明する力や、社会に届けるための表現力も大きく育まれていました。
MSTCの専門性が光る展示・プレゼンテーション
ゼロワンの中でも特に注目を集めたのは、メディカルサイエンステクノロジーコース(MSTC)の高校生による高度な科学研究の展示とプレゼンテーションです。視覚的にもわかりやすい展示が多く、外部研究者への聞き取りや長期にわたるデータ収集を行った研究もありました。また、プレゼンテーションルームでは、生徒自ら制作したスライドを使い、社会問題、テクノロジー、文化、科学など多様なテーマについて高校生各自が発表。質疑応答では、即興で英語に対応する場面も見られ、来場者からは「まるで大学の研究発表のようだ」という声が上がりました。高校生の枠を超えた本格的な探究姿勢に、来場者は驚きと感動を覚えました。科学の専門知識を活用し、実社会の課題に向き合う姿勢が、未来の学びの可能性を象徴する内容となりました。
「THINK & ACT」で育つ、未来を切り拓く力
三田国際科学学園(MITA)は、生徒が自ら考え行動する力を育むことを重視した教育を提供しています。その中心にあるのが「THINK & ACT」という理念です。「THINK」は習得した知識を基に深く考える力を意味し、「ACT」はその考えを実践に移すことを指します。このサイクルを通じて、生徒は成長し豊かな人生を創造していきます。
MITAでは、STEAM教育(科学、技術、工学、芸術、数学)を積極的に取り入れ、教科の枠を超えた自由な発想力を育成しています。生徒は、地域貢献を目的としたプロジェクト型学習(PBL)を通じて、実践的なスキルや社会的責任感を身につけます。
また、教員は単に知識を教えるのではなく、生徒が自ら考えることを支援するファシリテーターとしての役割を果たします。このような教育環境の中で、生徒は多角的な視点を持ち、課題解決力や創造性を育むことができます。
MITAの教育は、未来の社会で必要とされる力を育てることを目指しており、国際的な視野を持った人材を育成しています。
社会へそして世界へ羽ばたくクラス・コース設定
未来を見据えた教育を実現するために、インターナショナルサイエンス(ISC)、メディカルサイエンステクノロジー(MSTC)、インターナショナル(IC)の3つのクラス(中学)・コース(高校)を設置しています。ISCは、日本語と英語が自然に交じる環境で学び、基礎ゼミナールや卒業論文を通して、自ら計画を立てて学ぶ力や論理的に考え表現する力を育成します。MSTCは中学2年次から本格的な研究活動を開始し、調査・実験・紀要作成を通して探究力を磨き、高校では専門教員とともに自律的に研究を深め、課題解決力や科学的思考力を養います。ICは日本と海外の学びを融合し、英語で思考力や主体的学習力を育てるとともに、アクティブラーニングで問題発見・解決能力を伸ばします。高校ではAP(Advanced Placement)かDDP(Dual Diploma Program)を選択可能で、海外大学進学や二重資格取得にも対応し、国際的な学びの機会を広げます。これらのクラス・コースはそれぞれ異なる特性と魅力を持ち、生徒が自分の可能性を最大限に引き出せるような環境を提供しています。どのクラス・コースでも、生徒が将来の目標を実現するための力を磨いていくことが期待されています。
“考える場”の誕生—辻先生が語る「ゼロワン」
三田国際科学学園の新しい教育施設「ゼロワン」と学校教育の連携について、辻敏之先生にお話しをうかがいました。
辻先生『ゼロワンは、生徒が自ら考え、仲間と対話し、アイデアを形にしていくためにつくられた学園の“探究の中心地”です。3階建ての施設には、活発に議論が生まれるオープンスペース、静かに集中して思考を深められるラウンジ、そして3Dプリンターやレーザーカッターなどを備えた工房がそろっており、生徒は自身の目的や学習スタイルに合わせて自由に学び方を選べます。「考えるだけ」でもなく、「作るだけ」でもない。思いついたことを試し、仲間と話し合い、再び考え直す──そうした探究のプロセスを支える環境として設計されています。本校が大切にしている「サイエンス」とは、理科に限定された知識ではなく、社会科学や人文科学までを含む“考えるための教養”です。中学1年のサイエンスリテラシーから、高校でのリベラルアーツや研究活動まで、「自分の頭で問いを立て、答えをつくる力」を育てる一貫したカリキュラムが用意されています。ゼロワンは、その学びをさらに豊かにする舞台装置として構想され、思考のスタイルに応じて空間を使い分けられる点も大きな特徴です。』
辻先生『授業では国語・社会・英語・理科など幅広い教科で活用されています。机の並びを自由に変えて議論したり、壁面に付箋を貼ってアイデアを整理したりと、生徒の主体性が自然と引き出されています。放課後には、生徒たちが自主的に集まり、調べ学習や作品制作、プレゼン準備など、それぞれの興味に沿った活動を行う姿も見られます。生徒が自分で使い方を発見し、仲間と学びを広げていく様子が最も嬉しいです。』
“0から1を生む場所”として誕生したゼロワンは、未来を切り拓く力を育てる三田国際科学学園の象徴ともいえる空間です。主体的に学び、仲間と共に新しい価値を生み出したいと考える中学受験生にとって、大きな魅力となる施設と言えるでしょう。
学園祭の楽しさと学びの融合
ゼロワンを中心にしながらも、キャンパス全体では例年通り多彩な催しが展開されました。中学2年生は「Edutainment」をテーマに楽しい学び体験を企画し、高校生は飲食販売やアクティビティ運営、電子チケットのシステム構築、運用も担当しました。この導入により混雑も緩和され、来場者はスムーズに各企画を楽しむことができました。ステージでは演劇部・ポップダンス部・新体操部・吹奏楽部がパフォーマンスを披露し、屋内では科学実験や音楽体験、アーチェリーなど多彩なプログラムが用意され、子どもから大人まで幅広く楽しめました。MITA International Festival 2025は、生徒が自ら学び、社会に発信するMITAの学びの精神を体現する、特別な二日間となりました。
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