学校特集

神田女学園中学校高等学校

「KANDAラーニング」「DE」の実態に迫る!
脳をアクティブする学びでグローバルマインドをもった女性を育てる

「語学の神田」として知られる神田女学園は、他を思いやる心を育み、日本文化や礼法なども大切にする女子教育の伝統校です。ところが今、その同校のイメージが大きく変わろうとしています。
昨年、中学に「グローバルクラス」を開設し、来年には高校に「グローバルコース」を設置。さらに世界の状況、そして日本がおかれている状況のなかで、"どういう女性を育てるべきか"を考えつづける同校は、今年から画期的な授業改革をスタートさせました。それは「KANDAラーニング」「DE」「PDCA」という3つで構成されますが、まさに歯車のように噛み合いながら、相乗的に生徒の能力を伸ばすシステムです。
同校のグローバル教育について校長の高橋順子先生に、授業改革について副校長の前田朝輝先生にお話を伺いました。

グローバル教育で4つのスキルを身につけ「世界と話せる女性」を育てる

神田女学園_校長の高橋順子先生
校長の高橋順子先生

中学は「グローバルクラス」「アドバンストクラス」「フューチャークラス」の3クラス制となっています。

「最近、いろいろなことに積極的にチャレンジする生徒が増えてきたように思います。とくに中2のグローバルクラスの生徒たちの、この1年半の成長は著しいですね」と、高橋校長は言います。その訳は? 早速、その「グローバルクラス」についてご紹介しましょう。

中学「グローバルクラス」の特徴

現在、「グローバルクラス」には、1期生の中2が19名、2期生の中1が28名在籍していますが、具体的にはどのようなことを学んでいるのでしょうか。その特徴を挙げてみると、大きくは次の3つになります。

⑴ 英語の授業は「オールイングリッシュ」(週8時間)
⑵ 社会で求められる力を育む「プロジェクト学習」(週に1回、2時間続きで実施)
⑶ 中3時に実施される「ニュージーランド短期留学」(3週間)

ほかにも中2から中国語が必修(「アドバンストクラス」「フューチャークラス」は中3から)、ネイティブと日本人の2人担任制などがあります。ちなみに、グローバルクラスには英語の学習歴がある生徒だけでなく初心者もいるため、英語の授業は習熟度別で行われます。

神田女学園_「グローバルクラス」の授業の様子
「グローバルクラス」の授業の様子

グローバルクラスが目指すのは「世界と話せる女性を育てる」こと。「やはり語学の神田か」と思われるかもしれませんが、そうではありません。同校が目指すのは語学力に特化したものではなく、「問題発見力」「持続力」「コミュニケーション能力」「段取り力」の4つの力の獲得です。それらが土台にあってこそ "世界と話す"戸口に立てると考えているのです。

とはいえ、英語学習については目に見える形で生徒たちに影響を与えているようです。「授業だけでなく、ホームルームの時間も掃除の時間も、なるべく英語を使うようにしていますので、英語に浸っている時間が長いぶん、どんどん自信がついてくるようです。積極的に発言するようになり、行動にうつすようになりましたね。成果が表れるスピードは、私たちの予想を上回っています」と、高橋校長。

神田女学園_「プロジェクト学習」でのフィールドワークのひとコマ。
「プロジェクト学習」でのフィールドワークのひとコマ。
タブレットで写真を撮り、レポートにまとめる

また、「プロジェクト学習」はアクティブラーニングそのものといえますが、広い視野と行動力を養うことを目的に、地球規模の諸問題のなかからテーマを決めて解決方法を考える学習です。そのために必要な実験・調査・データ分析など、教科の枠を超えて学びます。その結果をまとめ、ICTを活用しながらプレゼンテーションを行うのですが、こうして、発信力や自己表現力、論理的思考力を育てているのです。

「千代田区の地の利を生かした調べものや、各国の大使館にアポイントをとって取材に行くなど、生徒たちは自自主的に、物怖じせずに動いていますね。プロジェクト学習は、キャリア意識への導きにもなります」(高橋校長)

2017年には、高校に「グローバルコース」を新設

そして来年には、高校に「グローバルコース」が新設されます。グローバル教育はもちろんですが、新大学入試に対応するためのものでもあります。このコースの特徴は以下になります。

⑴ 英語資格試験目標は「英検準1級」「GTEC750点」「TOEFLiBT70点」
⑵ 期間・地域を選べる必修の「留学制度」(高2の2学期〜)
⑶ 中学のプロジェクト学習から続く「グローバル演習」


ほかに中学と同様、ネイティブと日本人の2人担任制や、中国語・韓国語・フランス語などの選択履修があります(来年から、高校ではフランス語も選択可能に)。

必修の「留学制度」は、北米、オセアニア、アジア(中国)から選択しますが、期間は3カ月、6カ月、または1年間の3種類があります。「若いときに異国での体験を得ることは、視野を広げる素晴らしい機会になります。また実体験をもてば、国際関係についてもいたずらに人の意見に惑わされなくなるでしょう。このような体験をとおして広い視野をもった女性を育てることは、大げさかもしれませんが、世界平和につながると思っています」(高橋校長)

また「グローバル演習」には「NCL(ニコルプロジェクト)」という別名もあります。Nature・Culture・Lifeをテーマに、高大、または企業と連携して行われる特別授業です。名前は可愛らしいですが、問題発見・協働学習に必要な力を鍛えるプラグマティックな学びになります。「東京学芸大学でアクティブラーニングを専門的に指導していらっしゃる、ダッタ・シャミ先生が授業に参加してくださる予定で、私自身も非常に楽しみにしています」(高橋校長)

「KANDAラーニング」と「DE」、「PDCA」。
画期的な教育改革を断行!

そして、先のグローバルクラスやグローバルコースはもちろん、同校での学びは、これからご紹介する授業改革でさらに進化していくことになります。
これまで長いあいだ行われてきた一斉授業のキーワードは、「わかる」だといえます。先生の講義を聞いて、わかった気になる。でも、「できる」に至らないと、本当にわかったのかどうかわかりません。その「できる」に真っ正面から取り組むのが「KANDAラーニング」です。
また、「あの時に戻って、もう一度やり直したい」と思ったことは、誰しもあるのではないでしょうか。そのような後悔を逆転の発想で解消するのが「DE」。ありそうでなかった「学び直し」、再学習システムです。これらについて、前田副校長に伺いました。

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KANDAラーニングの仕組みとは?

「教えてもらう」から「自分で学ぶ」へ、「わかる」から「できる」へ

神田女学園_副校長の前田朝輝先生
副校長の前田朝輝先生

KANDAラーニングとは、これまでの「教えてもらう」授業から、「自ら学ぶ」能動的な授業へと転換する試みのことです。これまでのように先生の講義を聞いたあとに問題を解くのではなく、まず先に問題を解きます。すると、生徒は習っていないので、自分が「わからない」ことがわかります。さらには、どこがわからないのかもわかります。自分の課題を発見するわけです。そのあとで先生から話を聞くのですが、生徒は「わかりたい」と渇望している状態で話を聞くため、よりスムーズに「わかった!」にたどり着きます。そしてその後、また大量の演習問題を解くことで、「わかった!」から「できた!」につながっていくのです。

「これまでの授業は『わかる』で終わり、『できる』の部分は宿題などで済まされることが多かったので、本当に『できる』のかどうかはわかりませんでした。その『できる』を追求する授業を行うにはどうしたらいいかということで始めたのが、このKANDAラーニングです」と、前田副校長。「アクティブラーニングの根本は脳をアクティブにすること。つまり、生徒自身が考えている状態をつくることです。そのうえでなら、グループワークもディスカッションもプレゼンテーションも活きてきますが、その基盤がないのにアクティブラー二ングをやったとしても、上辺だけのものになってしまいます」つまり、KANDAラーニングは新しい大学入試形態をも見すえた、学力を高めるためのきわめて実際的なアクティブラーニングなのです。

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また、KANDAラーニングは演習の時間を多く設けることで、一人ひとりの進度に合わせた授業形式をとっています。理解の速い生徒は待たないでどんどん進み、時間のかかる生徒はあわてずに、ゆっくりと取り組みます。「このどちらもが、新しい大学入試への実力形成につながるものです」(前田副校長)

KANDAラーニングを導入して約2カ月後の6月の時点で、高3の模試の結果に変化が表れたそうです。「特進クラスではなく、進学クラスで、全国の平均点を越える生徒が増えてきたのです」(前田副校長)。「KANDAラーニンが定着するまでにはまだ時間がかかるでしょうが、これを6年間続けたら結果は相当良くなるだろうと思います。やはり補習などではなく、授業そのものを変えていかなくてはなりません」と、先生もすでに手応えをつかんでいるようです。

DEの仕組みとは?

積み残しを時間割の中で解消する、再学習システム

DE(Developmental Education)とは開発教育という意味ですが、積み残した部分や弱点を克服し、基礎力を固めることを目的としたものです。つまり、「学び直し」。生徒がスタディアプリを使って、それぞれの課題に取り組むこの時間は、DEタイムと呼んでいます。

神田女学園_DE
DEは、ホームルームでもコンピュータルームでも、
好きな場所で取り組むことができる。
また、タブレットでもPCでもスマホでもできるそうだ

「事実は事実としてしっかり見るところから始めないと、本当の姿は見えてきません。ベースがないと前には進めませんから、どこが抜け落ちているのか、生徒が自分自身で知り、演習をすることで積み残しを解消していくのです」(前田副校長)。しかも、これを放課後補習などではなく、1/2時間の授業(月〜金)として設定したのです。

「たとえば中1ですと、入学前補習とか春休みの課題を出すといったケースもよくありますが、小学校で積み残したものをこの期間で取り戻せるはずがありません。放課後補習などでは、行事などに影響されることもあります。また、高2までで高校課程を終わらせて、高3の大学に向けた演習で総復習をする形もありますが、じつは人の記憶というのは15分もすると半減するそうです。でも、くり返しくり返しやることによって、記憶力は高まっていく。ですから、高3でまとめてやるよりも、日常的に、無理のない形で継続したほうがいいという考え方です」
まさにありそうでなかった、じつに素晴らしいシステムです。

ここで、中2「フューチャークラス」の生徒の、DEについての感想をご紹介しましょう。 「私は、最初に受けた診断テストの結果から、数学は小学4年生のある部分に苦手なところがあることがわかりました。現在、苦手な部分を克服しながら進んでいます。得意な国語はどんどん先に進み、もうすぐ高校の範囲に入ります。自分の苦手なところと得意なところをしっかり意識して、集中して問題に取り組めるDEは、とても充実した時間になっています」

この生徒が言うように、生徒自身が腑に落ちる学習法となっているため意欲も増し、成果も確実に出ているそうです。また、DEは苦手克服の「学び直し」であるとともに、一方では得意なものは学年を越えて突き進むこともできます。ここでも、「できる生徒を待たせない」「遅れた生徒を急かさない」という、個別の指導が展開されているのです。

公文式を導入したラーンングセンターも設置
神田女学園中学校高等学校_公文式を導入したラーンングセンターも設置

この秋から、「ラーニングセンター」も設置予定。ここでは、DEと考え方が似ている公文式を導入し、DEだけでは飽き足らない生徒のために学びの場を提供(オプション)する。「くもん自学自習センター」「ネイティブ英検・英会話センター」「チューター補習センター」は、それぞれ教室を使って行われるそうだが、同校の学習サポート体制はますます重層構造的になる。


PDCAとは?

セルフコントロール力は、大学合格にも直結する

PDCAとは、「P(Plan/計画をたてる)」、「D(Do/実行する)」、「C (Check/振り返りをする)」、「A(Action/問題を発見する)」ことを独力でできるようにすることで、結果的に大学合格力へとつながるものです。

生徒が自分の生活リズムや学習時間を"見える化"するものとして、同校には独自の「ライフノート」がありますが、ここに自分の生活や授業に関することのほかに、KANDAラーニングやDEタイムの目標や取り組み内容も書き入れていくのです。これは、先に「グローバルクラス」で培う力としてもご紹介した「段取り力」「持続力」「行動力」を養うことと同じ意味です。
「PDCAサイクルを独自で回せるように,セルフコントロールする力を育てることは、大学入試を突破するためにも不可欠です」(前田副校長)

すべてを活かすためのICT活用。

タブレットを卒業して、一人ひとりがPCで学ぶ

同校では中学校の全教室に電子黒板が設置され、生徒たちは普段の授業でタブレットを活用しています。先生の説明の時間をできるかぎり短縮して演習の時間を増やすためですが、さらにKANDAラーニングやDEの演習の効率化を図るため、来年度新入生からは、入学時に一人1台ずつPCを購入してもらいます。

「タブレットにはキーボードがありませんし、容量もコンテンツも少ないですから、Google社のノートPCを導入することにしました。このPCは360度回転しますので、タブレットにもなるんですけどね(笑)」(前田副校長)

今年が改革元年。新たなステージへ!

「うちの教員が保護者の方から聞いたのですが、生徒が晩ご飯を食べながら『学校がとても楽しい。早く明日になればいいのに。早く学校に行きたい』と言うのだそうです。私たちにとりまして、これほど嬉しいことはありません。遅刻や欠席も激減しています」と、高橋校長が生徒たちの様子を語ってくれました。「今、世界でも日本でも、政治の分野に女性がどんどん進出していますが、これからも女子校としての役割を考えながら『やわらかな知恵』『自己を展げる行動力』『他者への思いやりの心』をもった女性を育てていきたいと思っています」

ところで、「グローバル教育」と「国際理解教育」は、現状では渾然一体となっていますが、それは同じものなのでしょうか。前田副校長が、その違いを教えてくれました。とても興味深い話です。

「国際は、漢字で書いた字のごとく、国と国があって、その接点として『際=ボーター』を引いているわけです。ですから、『国際理解教育』は『外国理解』となり、ボーダーのこちら側に立ってそちら側を理解する、というものですね。場合によってはナショナリズムも出てくるでしょう。しかし、グローバルは『地球』という意味です。昔、宇宙飛行士が宇宙船の中から『地球は一つ。国境線はない』というメッセージを送ってきましたが、その考え方なのです。そこを理解していないと、単に""国際"を"グローバル"に言い換えただけの教育になってしまいます。本校はそこをきちんと分けて考え、真のグローバル教育をさらに推進していきます。KANDAラーニングもDEも、そのための改革でもあります」

同校の大改革は始まったばかりですが、生徒たちの独自学習・相互学習も、授業内容も、より深く広くなることは間違いありません。そして、その成果は成績や大学合格実績だけではなく、「グローバルマインドをもった女性」への成長という形で必ず表れてくることでしょう。

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中3の「台湾・上海語学研修」(希望者)。語学学習だけでなく、異文化体験をとおして国際感覚を身につけていく

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中学の3年間は、「総合学習」として日本文化を学ぶ。
中1は長唄、中2は箏曲、中3は茶道

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いろいろな組み合わせ方ができる制服。
ブラウスのカラー・バリエーションは、生徒たちの希望が反映されて増えたのだそうだ(白,イエロー、ピンク、ブルーのうち、ブルーが一番人気とか)

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姉妹校提携を結ぶ、ニュージーランドの
オークランドガールズグラマースクールの生徒たちと

小学生対象の、神田土曜英語スクール「KSS」にも注目!

同校では、小学校4〜6年の女子と男子を対象に、学校内で「Kanda Saturday School」を開校しています。これは、効果的な学習法により英語力はもちろん、子どもの未来の可能性を展げる語学スクールです。「ビギナーコース」「ハイビギナーコース」「インターナショナルコース」の3コース制で、年度途中でクラス替えを行う場合も。 同校の各教科の先生方がカリキュラム作成に携わり、さまざなま教科を英語で学びます。体験的な学びを重視した、高水準の英語教育を受けられるKSSに通っていたことをきっかけに、同校を志望した生徒も少なくありません。毎年4月からの開校で、今年の12月には来年度の募集が始まります。興味のある方は、ぜひホームページでチェックしてみてください。


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