学校特集

聖学院中学校・高等学校

眠っている9割の意識・知識を 引き出して見極める!
レゴブロックを使う『思考力ものづくりテスト』のねらいとこれからの期待を探る!!

2016年度の思考力入試に、レゴブロックを使う『思考力ものづくりテスト』を導入し、注目を集めている聖学院中学校・高等学校。設問に対する自分なりの答えを、ブロックを用いて表現し、なぜそれを作ったのかを説明文にまとめる入試で、今年は4名が合格を手にしました。
「Only One for Others(オンリー・ワン・フォー・アザーズ/他者のために生きる個人)」を理念とし、キリスト教精神に基づく人間教育、学習指導、体験学習を柱に、グローバルに活躍できる男子の育成に取り組む同校では、早くから『21世紀型教育』を掲げて、子どもたちが生涯活用できる力の育成に努めています。
自ら手を動かし考える教材として、教育界でも注目されるレゴブロックの素晴らしさを、「思考力ものづくりテスト」を設計した内田真哉先生(技術科教諭)に伺いました。

思考力入試とは!?
聖学院中学校・高等学校_思考力入試

表現力や課題に取り組む姿勢をみる入試。
ブロックで考える「思考力ものづくり」と、総合力で考える「思考力+計算力」、2種の入試から選べる。 2017年度は、2017年2月2日(木)午前に実施。

《聖学院中学校2016年『思考力ものづくりテスト』の問題》
問1

「自分の得意なこと」をLEGOで表現しなさい。また、出来上がった作品について150字程度で説明をしなさい。

問2

資料を見て、この国(A)で起きている問題は何かを考え、その解決策をLEGOで表現しなさい。また、出来上がった作品について150字程度で説明をしなさい。
※資料は、Aを含む各国の米の生産量、Aの地図、および人口・国土面積・気候のデータ、Aの月間降水量、月間降水量におけるAと日本の比較、日本の米輸入量の国別構成割合

問3

問2で制作した解決策を示す作品に問1で制作した自分の得意なことを付け足し、解決策に自分はどのように関わるかを表現しなさい。また、出来上がった作品について150字程度で説明をしなさい。

▼ここにも掲載されています
http://www.seig-boys.org/exam/img/16_02monodukuri.pdf

入試でレゴブロックを使うのはなぜ?
「発想を広げる上で、自ら手を動かして考えることが大事だからです」

思考力を問う入試で、なぜレゴブロックを使ったのでしょうか。

聖学院中学校_内田真哉先生
内田真哉先生

内田先生:自ら手を動かして考えてほしいからです。人間の脳の中には、顕在化している意識・知識だけでなく、潜在化している意識・知識があります。その割合は、顕在化しているものが全体の約10%、潜在化しているものが約90%と言われています。つまり、常にアクセスできる知識は10%にすぎず、私たちは普段、この領域で物事を考えています。

新しいことを考えたり、問題を解決したりするには、顕在化している意識・知識よりも、むしろ潜在化している意識・知識に価値があると言われていて、眠っている意識を呼び起こし、アクセスできる領域を広げるには、第2の脳と言わる "手"を動かすことが有効なのです。たくさんの経験をしている"手"を動かすことにより、潜在化しているなんらかの知識にアクセスでき、扱っていたものが形になることで、自分では気付いていなかった、内なる力に気付くことができます。職人は「手で覚えろ」とよく言われますが、それは理にかなっているのです。

このような考え方を、『レゴ®シリアスプレイ®』(レゴブロックを思考やコミュニケーションのツールにして組織の問題解決を促進する研修メソッド)により学び、私自身がファシリテーターとなって学校教育と結びつけていく中で生まれたのが『思考力ものづくりテスト』です。メソッドの根底にある考え方を活用し、受験生のポテンシャルを測れるように工夫しました。

聖学院中学校_「思考力ものづくり入試」での受験生の作品
「思考力ものづくり入試」での受験生の作品。
これからの時代に必要な能力を持った生徒を発掘します。

レゴブロックが注目されて、奇抜な入試のように思われがちですが、レゴブロック自体は単なるオモチャです。メソッドの考え方を理解していなければ、モノ(作品)を作るだけで終わってします。私たちがこの入試で求めているのは、完成度が高い作品ではありません。なぜ、それを作ったのか、ということです。作っている瞬間は無意識なのでわからないかもしれませんが、できたモノを見ながら、なぜこの形にしたのか、なぜこの色にしたのかなど、「なぜ」という部分を追い求めて、それを説明できる子、問題解決に向けて努力できる子に入学してほしいと思っています。記述問題に苦手意識をもっている子も、目の前に作ったモノがあれば、こじつけでもいいから書こうと思えるものです。そういうアイテムとして"ものづくり思考"というものをとらえているので、すべての小学生にチャレンジしてもらえる入試だと思っています。

どんな評価をしているの?
「ルーブリックで多角的な観点から評価。独自の着眼点を歓迎します」

『思考力ものづくり入試』を受けている受験生は、
『一般入試』も受けていますか。

内田先生:2016年度の入試でも、1人を除いて、一般入試も受けていました。その傾向は、以前から変わりません。『思考力入試』と『一般入試』の結果には相関があり、ほぼ同じであることがわかっています。『一般入試』で70%取れている子は『思考力入試』でも70%取れています。ただ、何が起こるかわからないのが入試です。『一般入試』では、普段は解けるのに、この日はなぜか解けなかったということが起こらないとも限りませんが、『思考力入試』にそれはありません。その子の持っているポテンシャルを、そのまま評価できるのが『思考力入試』の利点だと考えています。

受験のための勉強はしなくても大丈夫ですか?

聖学院中学校_毎朝15分間行われる講堂での礼拝
毎朝15分間行われる講堂での礼拝

内田先生:『思考力入試』では総合力が問われます。問題を読み取り、問題点を見つけて、自分なりの解決策を考えるには、国語・算数・社会・理科の力が必要です。また、普段から社会に目を向けていることが大切です。

問題は、どのようなところから発想しましたか。

内田先生:タイ研修旅行の引率をした時に、現地の人から「雨が降らないので、困っている」という話を聞きました。国に農家を支える施策がないので、深刻なのです。そういう現実を踏まえて問題を考えました。受験生自身がそこにどう寄与するかを答えさせるのは難しいかなと思いましたが、こういう大人になってほしいというメッセージを込めて出しました。 もう一つの『思考力+計算力テスト』は、数学科の教員が作問しましたが、こちらはカンボジアが題材でした。一見、カンボジアの市場は不衛生に見えますが、売り手の顔が見えない日本のスーパーに置かれている商品は、安全と言えるのでしょうか?本当の意味での安全について考えさせる問題です。

受験生たちの出来はいかがでしたか。

内田先生:できた子とできなかった子に分かれました。資料を類推する力や主体的に考える力が明暗を分けたのではないかと思います。生活においても、言われたことしかやらない子にとっては、自ら考えることが難しかったようです。一方、「原因は温暖化にある」と原因まで示してくれた子や、「木を植える」という長期的な方法を示してくれる子もいました。

子どもたちは、なにから始めるのですか。

聖学院中学校_最初は仲間づくりから!入学直後に行われる新入生合宿
最初は仲間づくりから!
入学直後に行われる新入生合宿

内田先生:「時間を考えてね」「問題は一通り読んでからやってね」と言いましたが、最初から最後まで、問題に目を通してから始めた子は少なかったようです。結論から言うと、できた子は、問題すべてに目を通して、時間配分を考えながら取り組んでいましたが、できなかった子は、問1を読んで考える、次は問2......というように、1つずつ対応していて、最後までやりきれませんでした。手が止まってしまい、行き詰まった子もいました。3つの問いに関連性を持たせているので、最初に目を通して、どの問題に時間がかかるのかを考えながら進めていくことが大切です。

評価はどのように行うのですか。

内田先生:本校独自のルーブリック(評価基準)で行います。2016年度は、工夫、クオリティ、表現、解決能力、分析、言語表現、表現という6つの観点で、採点しました。なかには「この国は大変だから、この時期だけ、他の国にみんなで避難する」という解答もあり、発想の豊かさに驚かされました。人とは違う見方ができる子を見つけることができるのも、この入試のポイントです。これからの社会は、それがすごく大事になると思います。個人的には、学校の中にそういう人がいることが重要になると思っています。

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タイ北部のチェンライ県にある
「メーコックファーム」での研修旅行!

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現地の人々と触れ合い、社会奉仕活動を行います。

いつからレゴブロックが教材に?
「5年前の学園祭で学校の80分の1の模型を作ったのが最初です」

レゴブロックを教材として扱うようになったのは
いつ頃からですか。

内田先生:5年前に、私が聖学院に持ち込みました。それまでは東京の公立学校の教員でしたが、知的障害者の支援学校に赴任した時に、生徒とのコミュニケーションツールとしてレゴブロックを用いたことをきっかけに、教材としての可能性を感じて長年研究していました。
レゴブロックに興味をもったのは、私が育った環境にあると思っています。両親は幼稚園の先生で、父は絵も描いていました。だから私が絵を描くと、必ず評価をしてくれました。それは「どうしてこういう絵にしたの?」「これはなに?」という問いかけであり、いいところはほめてくれました。今考えると、幼い時の父の評価こそ、潜在的な意識・知識を引き出すものであり、私がレゴブロックを通して、同じような教育をしていることに必然性を感じます。公立の学校ではレゴブロックを教育現場に持ち込むことは難しく、私的な活動として、子ども向けの教室を開こうかと考えていた時に、聖学院で実現できる機会をいただき、今に至っています。

聖学院でのレゴブロック×教育活動は
どのようなことから始まったのですか。

聖学院中学校_英語の授業はグレード別にクラス編成
英語の授業はグレード別にクラス編成

内田先生:スタートは5年前の学園祭です。中1の取り組みの1つとして、学校の80分の1の模型づくりにチャレンジしました。希望者を募ると10名ほどの生徒が手を挙げてくれましたが、1人、2人と離れていき、最終的には5、6名になりましたが、なんとかやり遂げました。
レゴエデュケーションの方に話を聞くと、レゴブロックで建物を作るのは、とても難しいことだそうです。知っていたら、チャレンジできなかったかもしれません。しかも中1だったので、完成した時は非常に驚かれました。

どのようなところが難しいのですか。

内田先生:写真をもとに、とにかくブロックに触り、やってみて、うまくいかなければ壊すという方法を取りました。壊すのは嫌な行為です。それを1度ならず、2度、3度と体験するので、相当の苦痛を強いられます。やっていくうちに、どうすればうまくいくかがわかってくるのですが、プロでも相当壊すようです。やる気や忍耐力はもちろん、見通しをつける力がないと厳しい作業だと感じました。中学生が4回程度のトライ&エラーで、あれだけのものを作ることができたのは、本当にすごいことです。現在高2ですが、最後までやり遂げた子たちは学習面でもかなり優秀です。現在は自分たちでプロジェクトを立ち上げて、成果を求める活動を行っています。大学進学にとどまらず、将来が楽しみです。

レゴブロックは授業にも取り入れていますか。

内田先生:中2の技術では、レゴ社が出しているマインドストーム®(プログラミングロボット教材)を使用しています。社会科の教員は、高校生の「現代社会」という授業で使っています。
その他の活動では、私がレゴ部を立ち上げて5年になります。この夏、5回目の開催となる『レゴキング選手権』は、当初、校内のみの大会でしたが、2012年から小学生を対象に開催し、定着しています。思考力入試の対策につながる『思考力セミナー』も実施していますので、これらのイベントに参加した小学生が、果敢に思考力入試に挑む流れを作っていきたいと思っています。

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サッカー部

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物理部

家庭ですべきことはある?
「受験勉強の息抜きにレゴブロック!」

問題解決能力や表現力に直接アプローチする
『思考力入試』への成果に期待が高まりますね。

内田先生:2017年度の入試に向けて、思考力入試に携わる教員を5名から16名に増やしました。各教科の教員が集まり、チームを組んで、聖学院としてどういう子に来てほしいのかを話し合い、そのために必要な評価項目を考えています。先週、4つのグループに分けてグループワークを行うと、どのグループとも同じことを言っていました。こういう子を育てたいという思いや人物像が一致することは非常にうれしいことです。

問題形式に変更はありますか。

内田先生:大きくは変わらず、基本は2016年度の入試がベースになります。 変更点といえば、思考力入試の募集枠が広がります。ブロックで考える「思考力ものづくり」が15名、総合力で考える「思考力+計算力」が15名、計30名(1クラス分)を予定しています。

家庭でレゴブロックを使って、潜在意識に光を当てるには
どうすればいいですか。

聖学院中学校_今年で31年目を迎える伝統行事「糸魚川農村体験」
今年で31年目を迎える伝統行事「糸魚川農村体験」

内田先生:家にはたくさんレゴブロックがあるもしれませんが、たくさんあっても意味がありません。ブロックの数が多いと、ブロックに頼ってしまうからです。中1の授業でよく使うアヒルのキットは6ピース。それでもアヒルの写真を渡して「見ながら勝手に作ってごらん」と言うと、同じ形はそうそう出来ないですし、同じである必要はありません。ちなみに、2×4のブロックを2個用意すると、24通りの形を作ることができます。6個になると1億300通り、これを縦への積み上げだけでなく、横にも組み合わせを広げていくと、9億通りになります。ブロックには想像以上の可能性があるので、ブロックの数や種類を少なくして、表現力を鍛えることをオススメします。目安は20個程度です。

そして、作品ができたら、なぜ、それを作ったのかを考えて、文章化します。もしくは保護者の方が「なぜ、そうしたの?」などと、興味をもって問いかけをすることにより、思考力は伸びていきます。受験勉強の息抜き、という感覚で、レゴブロックを組み立てる時間を取り入れてみてください。
子どものやる気を引き出すには、親が一緒にやることが大事です。と言っても、一緒にブロックをする必要はありません。近くで本を読んだり、質問されたら答えられるところは答えてあげたり。中学生くらいまでは、可能な範囲で、子どもと一緒の時を過ごすことを心がけると良いと思います。
潜在的な意識・知識を引き出す『思考力入試』は、その子がどういう日常を送っているかが見える入試です。実際に入学した親子の関係に目を向けると、嬉しいことに、こちらが想い描いているような親子関係が成立している家庭が多いので、この先、聖学院で過ごすことにより、どれだけ伸びてくれるのか、楽しみでなりません。2017年2月2日(木)午前の入試では是非、多くの受験生にチャレンジしていただきたいと思っています。

聖学院中学校_オーストラリア語学研修

オーストラリア語学研修では日頃の勉強の成果を発揮!毎年多くの生徒が参加します。

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