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学校特集

瀧野川女子学園中学高等学校

クラウドベースのICT化で双方向型授業も進化!
イノベーションを創出する「デザイン思考」で「創造性」と「起業家精神」を誰でも手にできる!

さまざまなプログラムを通じて新しいアイデアを生み出す「創造性」と、そのアイデアを新しい仕事へと結びつける「起業家精神」の育成に力を入れている瀧野川女子学園。大正15年に創設者の山口さとる先生が描いた「女性が望むような人生を手に入れることのできる学校づくり」は、「創造性教育」という学校の独自科目に形を変え、中2が日本機械学会主催のロボットグランプリで準優勝を獲得するなど成果も現れ始めています。
ICT化を進めている同校は、2016年度からiPad Pro 12.9とPencilを中1から高2全員に、高3にはiPad Air2を配布して、全生徒、全教員が1人1台iPadを持つようになりました。授業がスピード化してできた余裕は、試行錯誤するアクティブラーニングに充てています。
便利な学習ツールを手にし、生徒の能力と個性を開花させている瀧野川女子学園ならではの取り組みについて、副校長の山口龍介先生にお話しを伺いました。

中2が初の応募でロボットグランプリ準優勝!「テクノロジー×情熱」がイノベーションを生み出すことを実感

瀧野川女子学園_副校長_山口龍介先生
副校長 山口龍介先生

瀧野川女子学園が取り組んでいる「創造性教育」は、「こんなことがあったらいいな」を実現して将来の仕事へとつなげていく方法を学ぶプログラムです。その顕著な実績が、今年3月行われた日本機械学会主催の第19回ロボットグランプリでの準優勝です。準優勝した「スタディ ヘルプ ベア」は、「勉強中に飲み物を差し入れしてくれる、そんなロボットがあったらいいな」という生徒の発想から生まれました。

ロボットグランプリは、機械工学を専攻する大学生や社会人が応募するコンテストです。そこへ中2女子が応募するのは"無謀"なチャレンジに見えますが、3チームとも書類・ビデオ審査の予選を通過し、主催者側でも話題になりました。しかも準優勝という結果に、山口龍介先生は「大変な驚きであり、うれしい誤算でした」と振り返ります。

瀧野川女子学園_「ロボットグランプリ」
瀧野川女子からは3チームが
参加したロボットグランプリ

ロボットはどんな点が評価されたのでしょうか。「『こんな体験をしたい』というコンセプトが明確で、しかもストーリーとしてきちんと伝わる形になっていたことが高く評価されました。応募した『大道芸ロボット競技コンピュータ制御部門』はオリジナリティとエンタテインメント性、つまり観客をどれだけ驚かせるかに特化した部門です。観客の反応がよかったことが勝因だと思います」と山口先生は説明します。

実は、始めからコンテストを目指していたわけではありませんでした。情報の授業でプログラミングを学ぶと、生徒は1学期で簡単なゲームを作れるほど上達しました。そこで「本気でロボットグランプリを目指そう!」と生徒たちに呼びかけると、目を輝かせて取り組むようになりました。

瀧野川女子学園_
会場に訪れていた子どもにも大好
評の「スタディ ヘルプ ベア」

ロボット製作の経験を通して、生徒はたくさんのことを学びました。テクノロジーは「実現したい!」という情熱と組み合わせたとき画期的なイノベーションを生み出すこと、何事も実現しようとすると机上の計画通りにいかないこと、現実は失敗と試行錯誤の連続で、最後の瞬間まで諦めない姿勢が大切なことなど。「こんなことができたらいいな」の実現がどんなに大変なことか、そして、実現できたときの喜びがどれだけ大きいのかを生徒たちは身をもって体験します。「『スタディ ヘルプ ベア』の飲み物を渡す動作は、単純動作と違い技術的にかなりハードルが高いのですが、生徒は『やりたい!』という強い思いを胸に実現させました」と山口先生は生徒の成長に目を細めます。

テクノロジーは私たちの生活を豊かにするための道具です。「どんな形でテクノロジーを生活の中に入れていくか」ではなく、「生活をより豊かにするためにテクノロジーができることは何か」という発想が求められています。生活者目線の発想はむしろ女性の方が向いているかもしれません。将来を見据えて同校がロボットづくりに取り組むのもうなずけます。

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「スタディ ヘルプ ベア」チームは見事に準優勝!

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日頃の学校生活で培われた力が見事に発揮されました。

創造性や起業家精神は特別な才能ではない 「デザイン思考」で体系的に学べば誰でも身につけられる

瀧野川が創造性教育で養っている創造性や起業家精神は、秀でた才能の持ち主だけのものではありません。体系化された考え方に基づけば誰でも発揮できます。それが、瀧野川が今年度から本腰を入れている「デザイン思考」です。同校の授業は、みんなでワイワイ、ガヤガヤ話し合いながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤することを大切にしてきました。そんな双方向型の授業スタイルは、「デザイン思考と親和性が非常に高い」と山口先生は言います。

デザイン思考は、「共感」「問題定義」「アイデア創出」「プロトタイプ」「テスト」の5つのプロセスを反復的に繰り返します(図)。これらの要素は一連の流れのように見えますが、矢印でつながっていないのはどこから始めてもいいのが特徴です。同校のデザイン思考は、日本におけるデザイン思考の第一人者で、同校の評議員で創造性教育のアドバイザーも勤めている東工大准教授の齋藤滋規先生が指導しています。

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アイデアの選択ポイントは「いかにおもしろいものができるか」です。実現しやすさ、取り組みやすさで選んでしまうと革新性がありません。アイデアを4コママンガにしてストーリーを作るのは、アイデアを練る段階から相手に伝えることを意識するためです。このように、デザイン思考にはターゲットから離れて独りよがりにならないための仕組みがいくつもあります。「プロトタイプ」は試作するわけではなく、やりたいことを相手に伝わる形にすること、「テスト」は相手からフィードバックをもらうのがねらいです。

デザイン思考は教科書で学んでできるようになるものではありません。実践の中で試行錯誤しながら体験的に身につけていくものです。同校がプロジェクト型の学習に組み込んでいるのはそのためです(表)。

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デザイン思考は発想や行動の制約を取り払い 創造の翼を広げてくれる

瀧野川女子学園_
5月に行われるスポーツフェスティバル

「創造性を持たない人はほとんどいません」と山口先生は言います。同校では「こんなことを言っても大丈夫だろうか」という不安や、「そんなことは実現できるはずがない」というあきらめなど、発想や行動にブレーキをかけるものを取り払います。何を言っても否定されない、「どうしてそんなふうに考えたの?」と興味を持たれる環境が、生徒の発想を自由にします。自分ひとりでは伝わらないけれどチームで話す中で「そういうことが言いたいんだね」と助けてもらえる。それがデザイン思考の長所でもあります。

相手に伝わる形にできると、かなり高い確率で創造性を発揮できるようになります。そのレベルになると、「とがったアイデア」も出てきます。昨年度の高2の「商品企画コンペティション」のテーマ「夢の乗り物を作ろう」に対して、ある生徒は乗り物ではなく、「妄想をコントロールするための仮想現実デバイス」を提案しました。その生徒の解釈は、乗り物とは「行きたいところに行くための手段」だから、妄想で"行ったつもり"になれるデバイスができればいいと、テーマを発展させました。

瀧野川女子学園_
名門クラブでも指導歴がある
井田コーチが指導するテニス部!

アイデアを相手に伝えられるようになるまでは比較的順調にステップアップできます。ただ、それが世の中を変える革新性をもたらすかどうかは、個人やチームのがんばり次第です。これは通常の学習と同じです。ロボットグランプリや学内コンペで自分の限界に挑戦することで、能力をワンランク引き上げます。

デザイン思考は、革新的な体験によって価値を高めることを意識する考え方です。満足度を貨幣価値に換算すれば事業化できるので、デザイン思考には起業家精神の育成が含まれます。同校では高1で商品企画コンペ、高2で事業化実習に取り組む中で、アイデアが価値=富を生むことを理解します。これまで取り組んできた創造性教育にデザイン思考が加わることで高い相乗効果が得られています。昨年度の創造性教育はブレインストーミングを主体にアイデア創出を行っていましたが、今年度のデザイン思考による方がよりよいアイデアが出ているそうです。

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4泊5日で実施される奄美冒険旅行。

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都会では得ることができない貴重な体験です!

アクティブラーニングを実践できる生徒は好奇心旺盛で学力も伸びる

では、創造性教育で学力は向上するのでしょうか。高入生が驚くのは、一貫生が教員に率直に質問したり話しをしていることです。いろいろなことを知りたい、やってみたいという気持ちが中学でしっかり育まれるので、行動も自然とそうなります。ですから授業中もどんどん質問してくるし、それが授業の質を上げています。

生徒たちは受け身ではなく、好奇心を持ち、自分の頭で考える能動的な学習ができています。瀧野川で過ごす時間が長ければ長いほどアクティブラーニングの長所を吸収できます。創造性教育によってアクティブラーニングができている生徒は、学力を着実に伸ばしていますし、留学経験がなくても留学経験者と同等の英語力を身につけることができています。

同校に入学した生徒は、物怖じしなくなると言います。教員は生徒を否定しませんし、生徒の長所を伸ばして自信をつけながら成長していきます。入学当初は人見知りで物静かだった生徒が、人前で堂々と話すようになります。創造性教育の発表会で堂々と発表する娘の姿に、親御さんは大変驚いて感謝されると言います。

「日本人は人前で話すのが苦手と言われますが、そんなことは決してありません。それはトレーニングと話す経験がないため、どうすればいいかわからないだけです。経験を積んで自信がつけばできるようになります」と山口先生。その証拠に、銀座のアップルストアで発表する中3の中学卒業論文発表は、みんなが代表者になりたくて仕方がないと言います。

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箏曲部

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書道部

瀧野川式ICT教育は「iPad Pro×Pencil×クラウド」 試行錯誤に必須の手書きが自在になった

アクティブラーニングはその効果の一方で、時間がかかり時間不足になるという指摘があります、そこにICTを組み込むことで効率的な運用が可能になります。瀧野川はICT化で授業のテンポアップに成功し、早く進んで時間に余裕ができた分をグループ学習などアクティブラーニングに充てています。

瀧野川女子学園_
瀧野川女子学園中学高等学校
新たに導入された「iPad Pro 12.9」

ただ課題もありました。使用しているiPad AirはB5サイズで書き込むスペースがあまりなく、スタイラーペンも使いにくい。ハイスピードの読み書きができず、特に国語科と英語科で困っていました。高1になると精読や速読としてセンター試験の長文レベルの問題に取り組みます。注釈を素早く入れるスピードが求められるため、これまではiPadと紙のハイブリッドで対応していました。

この課題を解決してくれた強力なツールが「iPad Pro 12.9」です。MetaMoJi Share(メタモジ・シェア)for Businessのアプリを使うことで、手書きで複数人が同時に書き込めるようになり、非常に使い勝手がよくなりました。「前年度にiPad Airを導入したばかりでしたが、その限界も感じていたので、iPad Proが製品発表されるとすぐに飛びつきました」と山口先生。導入するだけの効果が十二分にあると直感し、即決したのは間違いではありませんでした。

従来は、教員が見て回っても実際のところ手元はよく見えません。生徒も先生に見られていると思うと気が散るし、話しかけると思考を止めてしまいます。iPad Proなら、例えば数学の授業では、生徒の邪魔をせず、問題を解く過程を教員が見ることができます。生徒が「解けた」と思ったらすぐに教員がマルをつけてくれるのはリアルタイムで見ているから。教員が式の中にカッコ( )が抜けているのに気づけば書き込んで教えることもできます。

瀧野川女子学園_
タブレット端末は瀧野川にとって、
なくてはならないアイテムとなっています。

しかもセルラーモデルなので、いつでもどこでもクラウドにアクセスして学校と変わらない環境で勉強できます。これまで授業の最初に行っていた小テストや最後に行っていた振り返りなどは、教員が夕方6時頃までに課題を配信し、生徒に取り組んでもらうことができます。授業を圧迫していたところが授業時間外にできるようになりました。

そうしてできた余裕で演習問題をたくさん解いたり、口頭試問や協働学習をしています。授業では知識を使って自分の頭で考えて表現する作業をできるだけ多く取り入れています。アウトプットに活用した知識は定着しやすいので、ICTで知識のインプットを効率的に行い、大学入試レベルの演習にどんどん取り組むことで学習レベルも上がっています。数学の定期テストを例年と同じ水準(平均60点をめど)で行ったところ、平均点が80点台に達しました。

生徒たちは異口同音に「授業が楽しい!」と答えます。「授業はみんなでワイワイ、ガヤガヤ楽しくやるもの」という同校では、ICT化で益々にぎやかになっています。生徒同士、生徒と教員のやり取りが頻繁なので、わからない生徒がいれば友達が助け船を出し、教員は理解不足の生徒に気づいてケアする授業が当たり前になっています。どんなに最先端の教育を取り入れても、「基本は授業が楽しいこと」という瀧野川女子学園の信念はぶれることはありません。

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