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学校特集

武蔵野東中学校2023

本質的な学びを究め人間性を磨き難関高校合格で未来を拓く

掲載日:2023年6月23日(金)

JR 中央線の東小金井駅から徒歩 7 分という便利な場所に校舎を構える武蔵東中学校。高校を併設せず、15歳での自立の完成を目指し、生徒は志を持って高校を選んで受験します。習熟度別の少人数授業や特別進学指導など手厚いカリキュラムも特徴で、生徒の約6割が国公立や私立の難関高校(偏差値65以上)に進学しています。「探究・協働・発信」をキーワードに、教科の枠を超えたコラボ(教科横断型)授業、本質的な学びを究める探究科の授業を実施するほか、自主的に活動する生徒会やクラブ活動などで将来活躍できる力も培っています。教頭の林武宏先生はじめ4人の先生方に、武蔵野東中学校の特色ある取り組みについてお話いただきました。

『探究・協働・発信』を軸に豊かな人間力を育む

将来の目標を定めて高校を選択できるメリット

武蔵野東_探究科の指導経験が長い教頭・林武宏先生
探究科の指導経験が長い教頭・林武宏先生

 武蔵野東中学校は生徒数300人ほどの小規模な学校で、全員が高校受験する中学校です。目覚ましい進学実績が注目されがちですが、教頭の林武宏先生は「勉強は生徒にとって1つの側面に過ぎません。我々は生徒を豊かな人間に育て、高校・大学だけでなく社会に出て生き生きと活躍することを念頭に置いて生徒と向き合っています」と話します。

 変化が激しい現代は、正解のない課題があふれています。日本の問題でも世界情勢が複雑に絡み合っているため、簡単には解決できないことも多く、難しい時代です。「複雑に絡み合った問題を自分たちで解決しながら新しい価値観を作り上げていける資質を中学の3年間で養ってほしいと思っています。そのために探究科、生命科、コラボ(教科横断型)授業や自主的な活動を用意し、自分がどう生きるか目標を定めてほしいのです」と林先生は力をこめます。

 新たな価値観を創造する力を培うキーワードは「探究・協働・発信」で、先生方はこのキーワードを軸に取り組みを展開しています。「最近は探究という言葉が流行していますが、わが校では15年以上前から研究活動という名称で探究に取り組んでいます。スマホなどでサラッと調べて答えを出すのではなく、自分でオリジナルの問いを見つけて真摯に向き合うのがわが校の目指す探究活動です」。

 2つ目の「協働」は集団の中で生きていくとき、自分の力や行動が誰のためになるのか、どう役に立つのかを考えながら動くことです。そして課題や問いを皆と力を合わせて解決していくことを指しています。そのため、教科教育だけでなくクラブ活動や友愛会(生徒会)活動、行事なども含めて、自分たちだけでなく、未来や世界的規模の問題も意識して活動を行います。3つ目の「発信」は解決策を見出して終わりではなく、次にその課題や問いに出会う人のために、解決策をメッセージとして伝えること。「この3つが難しい時代を生きていく上で最も大切な要素だと考えています」(林先生)。

 生徒の力を開花させるための大前提として、林先生は知識やスキルなどの土台の育成を挙げます。「問いに向き合って探究し、自分の答えを誰かのために発信したいと思っても、土台がなければきちんとしたものは生まれません。人としての盤石な土台の上に探究・協働・発信の活動が重なった時にこそ探究の成果が開花するのです」と林先生は話します。

自らを伸ばす力をつける学習習慣

武蔵野東_

 しっかりした土台を築くために、同校では中1から日々の学習を自分で組み立てる「自主学習プランノート」を活用しています。1週間の初めにその週の家庭学習のプランを立て、自分で決めた計画に沿って学習していきます。林先生が「わが校には宿題はありません」と話す通り、生徒は自分で苦手克服や得意な教科を伸ばすなどの目標を立て、そのためにやるべきことを考えて日々の学習計画に落としこみます。

武蔵野東_提出された「プランノート」は先生が丁寧にチェックしてコメントする
提出された「プランノート」は先生が丁寧にチェックしてコメントする

 プランノートは毎朝提出し、担任の先生がコメントを添えて返却します。小テストや範囲が決まっている定期テストのたびに、プランノートを使ってPDCA(計画→実行→振り返り→それに対する行動)を回す習慣をつけていきます。そこで身につけた学習習慣は、範囲のない高校受験に向けた勉強方法に自然とつながり、自分なりのゴールを設定してそのためのPDCAサイクルを構築できるようになるのです。

中学卒業時に78%が英検準2級以上を取得
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 英検取得にも力を入れており、昨年度は中2の3月に88%が3級(中学卒業レベル)以上を取得。さらに中3は卒業時に78%が準2級(高2レベル)以上を取得しています。「中学の3年間は柔軟性が高く、たくさんの知識を吸収して大きく伸びる時期」(林先生)なので、生徒はこの3年間で飛躍的に成長を遂げます。

探究科の個人探究作品は旺文社全国コンクールで毎年入賞

中1はゼミに所属し探究の基礎を体得

武蔵野東_探究の授業を受け持つ菊地武王先生
探究の授業を受け持つ菊地武王先生

 15年以上前に始まった研究活動は、時代に合わせて進化し続けています。現在は中1と中2に「探究科」の授業を設置し、自分の興味関心から発して、オリジナルの問いを探究する時間にあてています。

 中1では探究にふさわしいオリジナルの問いを見つけるのが難しいので、まずはゼミ単位のグループで取り組みます。5人の先生が設置したゼミのいずれかに所属し、文献の調べ方、資料や情報の集め方を学び、インタビューやフィールドワーク、実験など探究活動の基礎をひと通り体験するのです。

武蔵野東_ゼミでの探究結果をまとめたノート
ゼミでの探究結果をまとめたノート

 菊地先生が2022年に設置したゼミは「信号のない横断歩道問題2022~一時停止率を上げる方法を探る~」。4年前にも同じテーマのゼミ探究をし、最近は「信号のない横断歩道で歩行者がいるとき一時停止する車は10数%と言われるが、本当にそうなのか?」という疑問から、この問題をあらためてテーマに据えました。「もっと停車率は高いはず」「場所によって差があるのでは」「道路交通法を知らない人の割合は?」など、生徒たちから様々な"問い"が出てきました。その答えを調べると同時に、学校近辺や各自の家の近くなどでフィールドワークを実施。全員の調査結果を集計してグラフ化・分析して、意見をまとめました。

武蔵野東_探究成果は全員が学園祭で発表する
探究成果は全員が学園祭で発表する

「どの地点で止まったと判断するか、2台同時に通過したらどうカウントするか、天気や時間帯を揃えなくていいのかなど、実際にフィールドワークを行うとたくさんの疑問がわいてきます。細かいルールを自分たちで話し合って決めながら探究を進めることで、調査方法や分析の仕方も体得できます」(菊地先生)。
 この結果を学校のホームページに載せたところ、新聞で取り上げられたり、ある自治体から「わが県は横断歩道での停車率が低いが、どんな対策を取ればいいのか教えてほしい」などの問い合わせもありました。自分たちの探究が大きな反響を呼び、発信したことが誰かの役に立つことを実感できる出来事でした。

中1の11月から個人探究がスタート

 ゼミでの探究成果を11月の学園祭で発表し、それ以降は個人探究をスタートさせます「探究にふさわしいオリジナルの問いを立てるのは難しいものですが、単に好きなことを調べて楽しいというだけでは探究テーマになりません。思いついた問いを元に調べたり現地に行ったり手を動かして作ったりすると、新たな問いが生まれて広がっていったら、それを大切にしてほしい。いいテーマは、それを突き詰めると誰かの役に立つものだったり、自分の進路とリンクしていくものだと生徒には話しています」(菊地先生)。

 探究の授業は週1回、毎週水曜日に35分間で行います。探究科の担当教員6人が、10人ほどの生徒を担当してテーマを決めるところから伴走します。中2の4月ごろまでにテーマが決まり、中2の11月の学園祭までで個人探究の成果をまとめます。
 生徒たちは授業だけでなく長期休暇なども活用し、各自で実験やフィールドワークなども実施します。ゼミで探究の基礎をしっかり身に付けているため、生徒たちの成果物は力作揃いです。

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「これだけの探究成果が出せるのだから外部の評価を諮りたいと考え、2019年に初めて旺文社主催の全国学芸サイエンスコンクールに応募しました。すると3人が入選し、以来毎年入賞者を輩出し、昨年は社会科部門で全国唯一の学校賞も受賞しました。長年続けてきた研究・探究活動が外部機関でも高い評価を受けたことは、教員にとっても生徒にとっても大きな自信につながりました」。(林先生)

 探究のまとめの表現方法に制約はないので、必ずしも論文形式ではなく絵を描いたり絵本を作成したりすることも可能です。「ただし単に絵を描くのではなく、テーマを明確にして誰かに影響を与えるという目的を持って作品を作ってもらいます。今年度はアニメーションでCMを作りたいという生徒もいますが、地球温暖化などの社会課題を多くの人に知ってもらうためのCMを作るそうです。世の中に貢献できる内容、自分の研究が人に影響を与えられる作品が、良い探究だと言えるでしょう」(菊地先生)。

 今までは高校生向けの『課題研究メソッド』という市販のテキストも使いながら探究の授業を進めていましたが、同校ではこれまでの蓄積を生かしてオリジナルノートを作成する予定です。また、常により高みを目指している同校ではニュースや情報を取捨選択して正しく活用する力を磨くべく、ニュースリテラシーの教育にも取り組んでいます。

教科連携で行うコラボ授業は年10回以上実施

武蔵野東_2教科の先生が教えるコラボ授業
2教科の先生が行うコラボ授業

 今年5年目となる「コラボ(教科横断型)授業」も、ますますパワーアップしています。2つの教科をまたぐコラボ授業は9教科全てでカリキュラムが組まれており、頻繁に実施しています。
「これも探究・協働・発信というキーワードに沿った取り組みで、生徒が将来問いに向き合うことを意識しています。教科書内容を超え、先生方から"これもできる""あれもやってみたい"とアイデアが出てくるので、毎年新しいコラボ授業が登場しています」と副教頭・渡邉浩一先生は話します。

毎年、新しいコラボ授業が誕生している
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 たとえば数学と社会のコラボ授業の1つは、時差がテーマ。入学したばかりの中1の5月に行われました。時差の基本的な知識を学んだうえで、社会科的な意味での時差だけでなく、子午線を数直線のゼロに見立てて時差を計算するやり方を試したのです。
 音楽と社会のコラボ授業では、イタリアの夏の曲を鑑賞する前にイタリアについて学びます。気象や文化を学ぶことで「この作曲家が描こうとしたイタリアの夏はこういう雰囲気なんだ」と気づくと、曲調の微妙な違いを受け止めることができます。社会の知識があるからこそ得られる喜び、学びがつながる面白さを体験できるのです。
 単に知識を覚えたり問題を解くだけでなく、点と点がつながる喜びを体験することが、生徒個人の探究活動にもつながっていきます。

 コラボ授業の日は他教科の先生たちにも告知されるので、手の空いている先生は自分の担当教科以外の授業も見学します。そして先生たちが互いに意見交換をして、それをフィードバックしていくので同じテーマの授業も年と共に変化したりブラッシュアップしていくのです。

中3はゼミ形式の放課後授業で切磋琢磨

武蔵野東_Chromebookは各自に学校から貸与する
Chromebookは各自に学校から貸与する

 中1・中2で自律的な学習習慣や基礎学力、探究力などを身につけた生徒たちは、中3から本格的に高校入試に照準を合わせた学習を始めます。
 中3の4月に学年をゆるやかな習熟度別に6グループに編成し、入試直前の1月末まで、「特別進学学習(以下、特進)」の時間を設けています。1グループは約10人で、1人の先生が担当するゼミ形式の学習です。週3回、帰りのHR後に2時間、全員が校内で進学のための勉強をするのです。

 特進の時間に勉強するのは国語・数学・英語の3教科で、グループごとに内容もペースも様々です。授業形式で教わる時間もあれば、高校入試の演習や解説、小テストを行うこともあり、学内塾といった位置づけです。自己PRカードの作成や小論文などの論文対策、高校受験で面接や集団討論があればその対策も学校で行っています。塾に行かずに学校の勉強だけで難関校に合格できるのは、これだけ手厚く個々の能力を伸ばす仕組みが整っているからなのです。

武蔵野東_放課後の少人数ゼミで切磋琢磨
放課後の少人数ゼミで切磋琢磨

 ところでしっかりした知識をつけ思考を深める時間が充実している一方で、同校の根底にあるのは、人間教育です。週1回ある「生命科」では、自分の命の重さと他人の命の重さを考えることのできる生徒であるような様々なテーマで考えることを主眼にしています。「高校受験の面接で印象に残っている授業について質問され、生命科や探究科の授業について話したら驚かれた、という声もよく聞きます。勉強方法の質問で『学校からの宿題はほとんどなく、プランノートで計画を立て自主的に学習してきました。塾には通っていません』と話すと興味津々で聞き入ってくれることもあったようです」(渡邉先生)。

 大学入試改革が注目されていますが、高校入試も改革が進み、進学指導重点校など難関校の一般入試や推薦入試では、初出の資料の読み取りや小論文などがあり、既存の知識だけでなく他教科の知識を結び付けて解答を導き出す力が問われます。同校の場合はコラボ授業や探究科で、入試やこれからの社会で必要とされる力が自然と身についているのです。

生徒が自主的に運営する「生徒会」

武蔵野東_生徒会発足式では会長・委員長が方針を述べる
生徒会発足式では会長・委員長が方針を述べる

 同校では、生徒会も生徒が自主的に運営しているのが特徴です。全生徒がいずれかの委員会に所属しますが、各委員会の人数には上限や定員がなく、誰もが希望する委員会に所属できるため、モチベーションも自然と高まります。

 5月のGW明けに発足式を行い、生徒会会長が今年度の運営方針を述べます。23年度の方針は「一人ひとりが活躍できる委員会活動」です。「生徒会は必然的に中3が中心に動くので、去年までは中1・中2は決められた役割をこなすことになりがちでした。しかし今年度は全ての生徒が意見を出したり、自分で考えて行動し組織に貢献できる体制を整えていく予定です。学校という等身大の社会で、自分の意見を出して実現していく経験を積むこと。多様な意見のある中で、どうやって協力して一つのものを作り上げるのか、生徒会には目に見えない力をつけていくたくさんの要素があります」(岩川太志先生)。

武蔵野東_生徒会を担当する岩川太志先生
生徒会を担当する岩川太志先生

「生徒会組織の大幅な改革を行って 4 年目となります。この組織改革で、既存の専門委員会にとらわれず、生徒自身が取り組みたい内容に組織を改定しました。同時に専門委員会のクラス別・男女別の定員を撤廃し、全生徒が希望する委員会で活動できるようになりました。これによって委員会活動が活発になり、各年度の生徒会(今年度は39期生徒会)独自の方針や活動内容を立案できるようになりました。前年度の踏襲のみにならず、常に変化する生徒会になっています」(岩川先生)

本当に行きたい高校を自らの意志で選択して進学

2023年3月卒業の生徒の進学実績
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 多彩なカリキュラムや行事、生徒の自主性を重んじる活動を通して、生徒は人間的に大きく成長し、将来を考えることができます。
「高校卒業後には国連の組織への就職に憧れてイギリスの大学に進学する生徒や、宝塚音楽学校から宝塚に進む生徒など、多種多様の卒業生がいます。生徒には、『学力だけでなく、高校で何をしたいのか、その先に何を目指しているのかを考えて志望校を絞りなさい』と助言しています。将来の夢を実現ができるように個性を見極めた進路指導を、全員の先生が心がけています」と渡邉先生は話します。単に合格実績を増やすのではなく、生徒の希望を見極めて進路をアドバイスしているのです。

 それぞれが望む未来に向けて、多角的な視野で生徒を育てている同校。現状に甘んじることなく常に先を見据えて改革を続けているだけに、今後の躍進にますます注目が集まりそうです。

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