学校特集
八王子学園八王子中学校・高等学校2025
100周年を見据えた新制服も人気
掲載日:2025年10月8日(水)
1928年に地元有志によって設立された多摩勤労中学が八王子学園の前身です。1948年に八王子高等学校が発足し、2012 年に八王子中学校を開設して2028年に創立100周年を迎えます。「ハチガク」の愛称で地元から親しまれている八王子学園は、100周年に向けてさまざまな取り組みを進めています。募集広報部部長の波平慎太郎先生に、始まったばかりのスクールランチを中心に100周年に向けた多彩な取り組みや八王子学園の魅力について伺いました。
9月から始まったスクールランチ
「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」というスクールミッションを掲げ、能力と個性を育む多彩な教育を展開している八王子学園は、2028年に創立100周年を迎える伝統校です。
めんどうみの良さでも定評があり、たとえば課題は放課後に学校で終わらせるように指導するなど「学校でできることは、学校でやろう」というコンセプトが根づいています。その一環として、今年9月から導入したのが中学生のスクールランチです。
「きっかけは、自分自身の子育て経験です」と募集広報部部長の波平慎太郎先生は振り返ります。「我が家は共働きなので、『毎日お弁当を作るのは大変だから、給食や食堂がある学校がありがたい』と考えました。それなら、わが校でも給食ができたら喜ばれるのではないか、と思ったのです」。
これまでも、食堂でめん類や日替わり定食などのランチを食べることができましたが、「クラスメートと一緒に同じランチを食べると楽しいし、保護者の負担も減らせる」と考えました。そこで中学生に関わっている先生方に相談したところ「確かに、それはいいね」と賛同してもらえたので、校長先生の了承を得て実現に至ったのです。
発案から1年後にちょうど食堂の業者の変更が決まっていたことも、追い風になりました。新しい業者は複数の学校の給食やお弁当、食堂なども運営している会社だからです。これまでの業者では中学生全員分のお弁当の提供はできなかったのですが、新しい業者では可能だったのです。業者がセントラルキッチンで下ごしらえして学校に運び、校内のキッチンで仕上げる仕組みで、中1の100人からスタートし、最終的には中学全学年300人分のお弁当を作ってもらう予定です。
スクールランチ初日の9月2日は、とんかつ弁当でした。生徒たちはお弁当箱をあける前からワクワクと楽しみにしており、開いた瞬間は「わーっ!」と歓声があがりました。とんかつ、ポテトサラダ、ひじき煮、プチトマト、ごはんという献立で、栄養バランスもボリュームも満点です。生徒からも「とんかつが厚くて食べ応えがある!」「すごくおいしい。明日も楽しみ」といった声があがり、順調なスタートを切りました。
「この業者は野菜の切れ端なども捨てずに野菜出し汁(ベジブロス)やソースのベースに使っているので、食材のうまみをしっかり味わえるし、食育にもなります。とんかつソースもベジブロスを使った自家製なのでコクがあり、とてもおいしかったです」(波平先生)。
1食540円で1か月分を注文
校内の調理場で仕上げられたお弁当はごはんとおかずが別容器に入っていて、教室の前に届きます。食事当番の班の生徒が教卓前まで運び、生徒がごはんとおかずを1つずつ取り、席に戻って食べるシステムです。一般的な小学校の給食のように配膳すると先生も生徒の負担も増えるし、こぼしたり残ったりするとさらに手間がかかります。少しでも先生や生徒の手間を省いてスムーズに食事ができる仕組みを考え、試行錯誤しながらベストな形を作っていく予定です。
スクールランチは1食540円で、1か月分の献立を前月に配布して翌1か月分を申し込みます。中1は全員注文するのが基本ですが、「卵、乳製品、小麦粉、そば、落花生、エビ、カニ」の使用の有無が記載されているので、アレルギーを持っていたり苦手な食材が多いときは「来月は注文しない」という選択をすることもできます。
スクールランチを開始した9月は、中1全員が申し込み、賑やかにスタートを切りました。中2、中3は現在は任意ですが、半数ほどがお弁当を注文しています。食堂はこれまで通り、カレーや日替わりラーメンなどのほか焼き立てパンの販売もあり、誰でも自由に使えるので昼休みも放課後の部活前なども賑わっています。
スクールランチを作っている業者のこだわりの1つはフードロス的な観点も踏まえて野菜などの食材を無駄なく使い切ること。さらにもう1つ、地元に親しまれている八王子学園だからこそ、地元の食材をとり入れたり、月1回はご当地グルメの日を設けてもらっています。
たとえば9月は「八王子ナポリタン」が登場。八王子で開発されたレシピで、八王子産の食材を使用し、刻み玉ねぎをトッピングした人気メニューです。また、100年フードに認定された「桑都・八王子ふるさと料理」を参考に、八王子産の桑の葉パウダーを衣に使った「ちくわの桑都揚」も振るまわれました。毎月のメニュー表にご当地メニューの紹介も掲載し、生徒たちが翌月のランチが楽しみになる工夫もなされています。
100周年に向けて一新した制服も好評
100周年に向けた改革の第一弾は、今年4月から実施している制服のリニューアルです。新中1と新高1は順次新制服となり、100周年を迎える2028年には全生徒が新しい制服を着ることになります。
新制服にはデザインだけでなく、さまざまなこだわりや工夫が詰まっています。昨今の異常気象に対応すべく、冬服と夏服は生地の厚みなどを変えて同じデザインにし、気候や個人の感覚に合わせて自由に選べるのもポイントです。また、シャツやセーター、ベスト、ポロシャツなどバリエーションも豊富で、女子にもスラックスを導入。夏でも日焼けや冷房対策として長袖シャツを着用する生徒が多いため、シャツは長袖に一本化しています。さらに日本ではまだ珍しいアメリカンスタイルのハーフパンツも採用しました。
「今年は例年以上に暑かったこともあり、ハーフパンツは人気です。男子は3割ほど、女子も1割ほどがハーフパンツで登校する日もあります」(波平先生)。
基本のジャケットとスラックス、ネクタイとリボンは「瑠璃紺」と呼ばれる紺色で、スカートのチェックにもさりげなく瑠璃紺が入っています。この色は、八王子市の鳥『オオルリ』の色・瑠璃紺を基調にしたもので、シャツも薄いブルーに統一しているため爽やかで知的なイメージになっています。
高校入試の説明会などで波平先生が近隣の中学生に「八王子学園のこと、知っている?」と聞くと「新しい制服の学校ですね。あの制服、おしゃれでいいな、って思っていました」という声も聞かれるそうです。リニューアルしてわずか半年で、新制服はすでに「八王子学園の顔」として定着しているのです。
めんどうみのよい教育で大学合格実績が急伸
中学入試では「東大・医進クラス」と「特進クラス」を設け、高校募集では音楽系、美術系、アスリートコースも設置して、生徒の能力と個性を伸ばしているのも八王子学園の特徴です。めんどうみのよい教育に加え、生徒達が互いの能力を認め合い切磋琢磨することで、ぐんぐん力を伸ばしています。昨年度の卒業生の大学合格者は、早稲田大が31名、慶應義塾大21名、明治大64名など、過去最高の結果を出しています。中学からの入学生は前年比で早稲田大、慶應義塾大が1.8倍、MARCHが1.6倍と、目覚ましい躍進を遂げたのです。また、進路の幅も広く、筑波大医学群医学類や京大に進学した生徒もいれば、ずっと吹奏楽部で活躍して東京藝術大に合格した生徒もいます。特に芸大合格は吹奏楽部長を務め、去年、全国大会で初めて金賞受賞して学校生活の中でも大きな結果を出した生徒でした。
「高校では音楽や美術など専門のコースがあるのも強みで、専門予備校に通わず校内でプロフェッショナルの指導を受けることができます。あらゆる教科でプロフェッショナルの教員がいて学内で学びを完結することできるので、幅広い進路に対応できるのです」(波平先生)。
進学実績が伸びた要因の一つとして、波平先生は英語教育を挙げます。中3の英検準2級合格者は中高一貫校で40%程度と言われますが、八王子学園では現在60~70%を維持しています。英語はほぼ全ての大学入試で必要になるので、英語のアドバンテージは大きな力になるのです。
校舎は少しずつ手を加えてリノベーション
「若い教員が多く、バイタリティーがあるのもわが校の特徴です」と波平先生は話します。20代、30代の教員も多く、職員室でのコミュニケーションも中堅・ベテラン含めて非常に活発です。「よく生徒のことを話して情報共有しているので、生徒をさまざまな角度からとらえることができます。自分の担当教科での様子と、別の教科や休み時間、部活などでの様子は異なりますので『夏休み明け、表情が変わってしっかりしてきたね』といった話も共有しています」。
また若手教員を中心にInstagramの発信も行っています。学校案内や説明会では分からない、学校の中身や生徒の様子が伝わるような発信に力を入れているのです。
100周年に向けて、校舎のリニューアルにも少しずつ取り組んでいく予定です。ただし現在は物価や建設費用の高騰が続いているので。100周年にこだわらず、少しずつリノベーションをしながら新たな校舎を作っていきます。
先生がたの情熱に応えて生徒も着実に力を伸ばし、制服リニューアルやスクールランチ開始などの改革にも着手している八王子学園。100周年に向けてさまざまな取り組みを力強く加速させ、さらなる飛躍が期待されています。
