学校特集

東京電機大学中学校・高等学校2018

縦割りの課題探求学習「4D-Lab(ラボ)」で生きる力を育む
~時代の先端をゆく学校改革や授業改革を断行し、未来を生き抜く力を培う~

掲載日:2018年6月20日(水)

 人気路線JR中央線の東小金井駅に降り立つと、武蔵野の面影が残る自然豊かで静かな環境が広がっています。東京電機大学中学校・高等学校はこの駅から徒歩5分の至便な場所にあるのも魅力の1つ。駅からは平坦な一本道なので駅前から学校が見え、便利なだけでなく安心して通学できると生徒からも保護者からも好評です。東京電機大学の系列校ゆえに理系希望者が多いものの、少人数授業、充実した英語教育、大学文系学部への指定校推薦の多さなど、文系志望者にも魅力が詰まった学校です。

 同校の校訓は「人間らしく生きる」。主体的・能動的な学びで個性を引き出し、夢に向かって力強く未来を切り開く力を育てている同校の教育について、3人の先生に話を伺いました。

4学年でグループ研究を行う「TDU 4D-Lab」

東京電機_「ビオトープをつくろう!」を担当する生物の市川麻紀子先生
「ビオトープをつくろう!」を担当する
生物の市川麻紀子先生

 同校では、自らの夢の実現に向かって努力し、豊かな人間性と高い知性と強靭な体をそなえて新しい時代を生き抜いていける生徒の育成を目指しています。
そのために時代に合わせて次々と改革を断行してきました。2016年度からスタートして3年目を迎えた「TDU 4D-Lab(ラボ)」は、同校のいちばんの特徴です。中2から高2までの4学年が縦割りで研究を行う"課題探求型学習"が「TDU 4D-Lab」です。「4D-Lab」に立ち上げから関わってきた市川麻紀子先生に話を伺いました。

東京電機_

「学校改革の1つとして、手をつけたのが総合学習でした。以前は各学年がバラバラに総合学習を行っていましたが、中高一貫校として6年間で総合学習を考えようということでスタートしました。10年後、20年後にどんな世の中になっていたとしても必要な力は何かと考えて、行きついたのが右の5つの力です。この5つの力が付くようなプログラムを考える中で、4D-Labが生まれました」(市川先生)

 同校では以前は中3の1年をかけて、自由なテーマで卒業研究を行っていました。その卒業研究に肉付けをして、発展させる形で誕生したのが4D-Labです。「本校にはオタク系の生徒が多いので(笑)、自分の好きなことをとことん突き詰めるのは得意な子が多いんです。でも、これからの世の中はテーマを1人で掘り下げていくだけでなく、仲間と協力してさらに深掘りしていく力が求められます。そこで、中学の卒業研究をグループ研究のような形にできないかと考えた末に、グループ研究にするなら1年で終わらせず継続的に続けたほうがいい、という結論に行きつきました。他クラス、他学年、異性など、話したこともない生徒同士が同じテーマで共同研究をすることで、より深い学びがあるのではないか――そんな思いから"縦割りのグループで行なう総合学習"が生まれたのです」(市川先生)。

 4D-Labには6つのコースがあり、さまざまな研究テーマが設置されています。1テーマにつき中2~高2の生徒が学年ごとに4~5人所属し、4学年合わせて20人くらいで活動しています。それぞれに指導教員(ファシリテーター)がつくので、大学のゼミのようなイメージです。コースやテーマは多岐にわたり、下記のようなテーマが約40種類用意されています。

① 社会・国際学コース(「あるある解決!アイデア商品の開発」「お菓子で考える社会学」など)
② 人文・文化学コース(「土地の高低差から歴史を見る」「実験考古学」など)
③ 生命・環境学(「ビオトープをつくろう!」「発酵人」「歩く」など)
④ 理工学コース(「災害レンジャー電大支部」「ニセ科学にだまされるな」など)
⑤ 情報学コース(「TDU広報室」「パソコンでゲームソフトを作成」など)
⑥ 体育・芸術学コース(「ニュースポーツ・レクリエーション」「TDU武蔵野祭企画室」など)

 生徒は中1時に第3希望までを選び、志望理由書をつけて提出。中2で加入したLabに4年間所属し研究するのが基本ですが、中3から高1に進学する際に変更届を出すことができます。活動は月1回が基本ですが、週末や長期休暇などを利用してフィールドワークを行うLabもあります。

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「ビオトープをつくろう!」は大失敗からスタート

 市川先生が担当する「ビオトープをつくろう!」には2018年度は26名が所属していて、女子は数人でほとんどが男子です。「ビオトープを作ることが目的ではなく、このテーマで生徒たちが話し合い、行動し、失敗しながら、いかに5つの力を伸ばすかが課題です」と市川先生は話します。そのため、授業とは違って先生が何かを教えたり、口出しすることはほとんどありません。

東京電機_いきなり穴を掘って池を作ったものの...
いきなり穴を掘って池を作ったものの...

 1年目の1学期――生徒たちはいきなり「池を作ろうぜ!」と言い出し、穴を掘って昔使っていたプラスチックの整形池を埋めて水を入れました。「午前中に池を埋めて水を入れたのですが、その日の午後に見に行ったら、水がダダ漏れ状態。池は空っぽになっていて、大失敗に終わりました」と市川先生は苦笑します。

 そこで2学期は失敗の原因を話し合うところから始め、「もっとちゃんと調べよう」「まずは池で飼うメダカを水槽で育てることから始めよう」という結論にたどりつきました。10回目のLabでようやく水槽の準備を始め、ここで1年目の活動は終わりになりました。

 2年目は「専門家の話を聞きにいこう」と、インターネットで情報を集めて自分たちでアポを取って見学や取材に行きました。
「ビオトープを作っている公園やアメンボを研究している小学校に話を聞きに行きました。そこで生徒たちは"ビオトープを作る目的と、作る利点を考えることを大切だ"と気づいたようです。目的によってビオトープの形が決まるからです。それを受けて2学期はビオトープの利用価値を話し合い、"手を加えなくても生物が住み、理科の授業でも活用できるようなものにしたい""最終的には地域の方の癒しになるようなビオトープにしたい"というテーマを決めました」。

 試行錯誤を経て迎えた3年目の今は、ため池の水をろ過する装置の設計と試作品作りに挑戦しています。夏休み前には試作品1号を動かし、夏休み中に上手く稼働するかを試す予定です。
「こうしてLabを経験した卒業生が、研究テーマに沿った専門分野に進み、部活のOB・OGのような形で戻ってくれたらいいなと考えています。Labに来て後輩の面倒を見てくれたり、進学先の大学の研究室と連携できるようになれば、新たな高大連携の形が生まれると大いに期待しています」(市川先生)。

「ラーメンLab」は調理部と調査部の2班体制

東京電機_ラーメンLab担当の星野先生
ラーメンLab担当の星野先生

 4D-Labの中でもひときわ目をひくのが「ラーメンLab」でしょう。このLabを担当するのが、数学の星野智先生です。

「研究内容は生徒に任せていて、今は調理部と調査部に分かれて活動しています。調査部は全国のラーメンのサイドメニューを調べて、マップを作っているところです。鹿児島でラーメンを頼むと必ずたくあんが出て来るとか、この地域だとお寿司がついてくるといった具合です。
調理部では昨年は自家製麺を作り、海老を練り込んだ麺がいちばん人気でした。そこで今年は海老麺に合う会うスープを作るのが目標。鶏がらスープをベースにして、魚介類、野菜、しいたけなどを加えて煮込んで、どれがいちばんおいしいか、どれが海老麺に合うかを試しているところです」(星野先生)。

東京電機_ラーメンの麺やスープ作りにも挑戦
ラーメンの麺やスープ作りにも挑戦

 縦割りでさまざまな意見を出し合い、継続的に研究を続けることで、生徒たちは話し合いや発表にも慣れてきます。
「小グループで話し合う時に、高2の大人しい生徒が"高2は僕しかいないから、僕がまとめないといけないな"と自覚を持って皆の意見をとりまとめることもあります。同級生の中では発言の少ない恥ずかしがり屋の子も、そうした性格を知らない上級生から"意見を言って"とサラリと質問されると喋り始めたりすることもあります」と星野先生。そうした積み重ねで、発言や発表、議論などが自然とできるようになったり、リーダーの資質が育って行くのです。

共同学習をとり入れ、知識活用型授業も視野に

 学校改革のもう1つの柱は、授業方法の改善です。星野先生は数年前から勉強を重ね、新しい形の授業に取り組み始めました。試行錯誤を経て、先生の数学の授業は今の形に落ち着いてきました。すなわち

① 10~15分 先生の講義、その日の授業の内容を解説する
② 5~8分 先生の講義を理解できたかを確認するため、各自で基本問題演習を行う
③ 5分  基本問題についてペアワークを行う
④ 5分  再度、各自で問題集を解く(基本、応用)
⑤ 15分 応用問題について3~4人グループで共同学習を行う
⑥ 5分 先生が発展問題の解き方を解説する

東京電機_電子黒板に生徒の答えを映して解説することも
電子黒板に生徒の答えを映して
解説することも

という流れです。3~4人の共同学習は前後左右の席の生徒でグループを組みますが、解かせる内容よっては「誰とでもいいからペアになって」と指示することもあります。

 自由にペアを組ませると仲のいい生徒同士で組むことになりますが、それにもメリットがあるのだそう。「仲がいい友達と2人なら、分からない所をざっくばらんに質問できるし、解けた人はもう一度自分の言葉で説明するから、自分が本当に理解できるか確認でき、理解も深まります。それに、共同学習といっても、前半で情報共有したり教え合ったりしたあとで、もう一度自分で解く時間を設けます。生徒も最終的に自分で解かねばならないと分かっているから、たとえば数学が苦手な生徒同士でペアを組んだら、ほかのペアに合流して教えてもらうケースも見受けられます。それに、4人で話し合うより2人ペアのほうが話し合いの時間が短くて済むのもメリットです」。

 こうした共同学習のおかげで、分からないまま授業を終えるという生徒は減っています。また、対話が許可されるまでは一生懸命考え、その後は短時間で情報共有したり質問しなければいけないから、「今、何をすべきか」を各自で判断し、時間内で必要な学習をてきぱきと進める習慣もつきました。

東京電機_話し合いや手を動かす授業も多い
話し合いや手を動かす授業も多い

 これは知識習得型の授業ですが思考力、判断力・表現力という21世紀型学力の習得に向けて、これからは知識活用型の授業もとり入れていく予定です。実際、星野先生も単元に一度は活用型の授業を行っています。
「たとえば、三角関数を自由に組み合わせて見たことのない関数のグラフを描かせて考察させたことがあります。へんてこなグラフもたくさんできますが、きれいな波ができたときに、習得済みの三角関数の定理、公式を用いてその式を変形させて理由を考察する、という授業です。複雑に見える関数のグラフがきれいな波であったときは盛り上がりましたね。そして、その驚きが理由を考察するための知識活用学習の意欲をかき立て、熱心に式変形に取り組んでくれていました」(星野先生)。

こうした授業は今は高校生を中心に行なっていますが、今後は中学生にも広げていく予定です。

2教科自由選択入試や有利な複数回受験も

東京電機_文化祭で人気の科学部
文化祭で人気の科学部

 同校では手を動かすことや体験活動も重視しており、自分の実験道具を各自で作らせたり、「理科・社会科見学会」などの校外学習にも力を入れています。また、小テストや補習なども充実し、学習面でも生活面でもしっかりめんどうを見てくれると定評があります。

 勉強も行事やイベントも独自の取り組みが多く、「オリジナルダンス愛好会」「無線部」「物理愛好会」など同校ならではのクラブ活動もあります。個性を生かしつつ、勉強も行事も部活も思い切り楽しみたい受験生にはおすすめの学校です。

東京電機_少林寺拳法部など珍しい部活も
少林寺拳法部など珍しい部活も

 2年前からは、4回目(2月4日)を午前入試から午後入試に変え、さらに4教科入試から選択式2教科方式をとっています。2月1日の午後入試は全員が国語・算数の2教科を受験しますが、2月4日は70分の枠の中で、「得意な教科」を2つ選んで受験するシステム。70分の中で2教科に取り組むので、時間をどう使ってもOKです。2月3日までの入試で今ひとつ結果が伴わなかった受験生が、目先を変えて得意科目で勝負することができます。

「2教科の組み合わせでいちばん多かったのは"国語・社会"で、次が"算数・社会""算数・理科"の順です。理数系が得意な受験生だけに受けてほしいわけではないので、狙い通りにさまざまな得意分野を持った生徒たちが受験してくれて、手ごたえを感じています」(入試・広報担当の影山大先生)。

 また、同校では複数回受験した受験生には大きなメリットがあります。2度目以降の受験時に、2教科なら10点、4教科なら15点ぶんが加点されるのです。また、合格して入学した生徒は、未受験分の受験料を返金しています。受験生本人はもちろん保護者にとっても大きなメリットがあるので、ぜひ複数回同時出願も検討してみてください。

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