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学校特集

東京電機大学中学校・高等学校2021

進化した「探究」学習で
共感力・向上心や専門性を磨く
中1から「探究」教科で視野を広げ、課題解決力を育成。自分が決めたテーマを究め て中3で卒業論文を執筆

掲載日:2021年5月14日(金)

東京電機大学中学校・高等学校は、工学系・情報系学部で歴史を誇る東京電機大学の系列校。同校は大学付属の中高一貫校人気に加えて、時代のニーズに応える理工系学部を持つ大学への推薦もあり、高い評価を得ています。4月から着任した校長・平川吉治先生に、学習指導要領改訂を踏まえて新しく始動する改革について伺いました。

生徒第一主義を貫きながら時代に合わせた改革を断行

東京電機_4月に着任した校長・平川吉治先生
4月に着任した校長・平川吉治先生

1907年に創設された東京電機学校は、技術者を養成し、技術で社会に貢献する人材を育成する目的で創立された男子校です。1996年に中学校を開校して東京電機大学中学校・高等学校となり、1999年4月より女子を受け入れて共学校となりました。
JR中央線・東小金井駅から徒歩5分という便利な場所にあり、「理系大学付属」「共学校」「交通の便のよさ」など、受験生にとって魅力的ないくつもの要素を備えています。

そんな同校は創立当初から一貫して「生徒第一主義」を掲げ、生徒に寄り添いながら時代のニーズに応える教育に力を注いでいます。前任者の大久保靖校長のもとで大掛かりな改革に舵を切っており、その任を引き継いだのが4月から新校長に就任した平川吉治先生。「大久保先生が作ってきた流れを受け継ぎ、改革を断行していきます」と力強く話します。

魅力あふれる探究学習をさらにパワーアップ

改革の一番の目玉は、これまでも行っていた探究学習のさらなる充実です。昨年度まで同校では、中2から高2までの4学年が探究活動「TDU 4D-Lab(ラボ)」に取り組んでいました。「社会・国際学コース」「生命・環境学コース」「情報学コース」などのコースに分かれ、縦割りグループで月1回、ビオトープ作り、万葉集研究、金属の精練など多彩な研究を行うものです。

東京電機_問いを立ててグループで議論
問いを立ててグループで議論

校内外からも評価の高かった4D-Labですが、昨年度までの活動はいったん終了し、今年度からは「探究学習」として教科に組み入れて内容を深めることになりました。その背景には、今年度から始まる中学の新課程に合わせて、探究学習を今まで以上に発展的に指導していきたいという狙いがあります。

【週1回「探究」の授業を設けて丁寧に指導】

今年度からは月1回の放課後活動ではなく、時間割の中に週1時限「探究」の時間を設けてクラス単位で探究活動を突き詰めていくスタイルに変わります。まずは中1~中3の3学年で実施し、話し合い、言語技術、スピーチなどのトレーニングから始めて、探究のベースとなる「問いの立て方」を1か月かけて学びます。そして、夏休みに行う林間学校(富士山学習)で研究するテーマを決めて、フィールドワークにつなげます。

<探究学習で学ぶのは...>

●問いの作り方
身近な実物の観察から疑問や問いをもつ/ご近所マップから問いを考える/5W1Hで考える など
●グループワークでの話し合いの進め方
NASAゲーム/質問ゲーム/交渉ゲーム/討論 など
●情報の収集と記録
図書館やWebサイトの使い方を学習/エビデンスノート作り/アンケートのとり方やインタビュー手法習得 など
●情報の整理と考察
シンキングゲーム/統計・データの集計/マインドマップ作り/レポート執筆 など
●表現・発表
再話(1分間スピーチ)/グループ内発表/論説文パスティーシュ/卒業論文執筆・発表 など


「いちばん大事にしたいのは、"答えを見つけること"ではなく"問いを立てる"ところです。中学3年間をかけて、生徒たちには課題を見つける意識を持ってほしいのです」と平川先生は話します。正解がない、何が答えになるか分からない時代だと言われている今は、課題を自ら見つけることが学問の入り口になります。

グループ活動をしながら問いを立て、その問いにどうアプローチしていくかを意見交換することも重要です。自分の中で温めているよりも、グループ活動で違う価値観や物の見方、考え方に触れることで化学反応が起きることも期待しています。こうした活動は教科教育の中でも行ってきましたが、探究で取り入れることでさらにその手法を定着させていくことになります。

【問いを立てて研究し議論やフィールドワークで深める】

これまでも中1は、富士山林間学校でフィールドワークを行っていましたが、探究活動には結びついていませんでした。今年からは林間学校の前に「富士山」をテーマに問いを立てるところから探究活動が始まります。「中学生になったばかりの生徒には、問いを見つけること自体が難しいでしょう。でも安易な問いを立てて一問一答のように答えたら、探究になりません。たとえば富士山の高さの測り方、富士山ができた歴史、富士山の地質や生物、植物など、さまざまな角度から問いを考えてほしいですね」(平川先生)。

東京電機_テーマに沿ったフィールドワークも実施
テーマに沿ったフィールドワークも実施

中学受験を経て入学した生徒たちは、これまでは正解のある問題に取り組んできました。けれども、中学での学びはもっと深いものです。「大学の研究者でも、"どんな問いを立てればいいか"は答えられないはず(笑)。うーん、と考えることから活動が始まり、3回考えても答えがでない問いが探究活動になる、と生徒にも話しています。その代わり、我々はどんなに突拍子のない問いでも大事にします。"ちょっと見方を変えれば、面白い問いかけになるんじゃないかな"と声をかけ、新たな方向性を探る手助けをしていきます。我々が生徒に望んでいるのは、いい結果を出すことではなく成長すること。問いの答えが見つからなかったり実験が成功しなくても、取り組んだ結果、何に気づいたか、何が分かったか、どう成長したかで成果を図ればいい。成長の中身は様々ですが、どんなことでもいいから"自分にプラスになった"と感じられればそれでいい、と生徒たちには繰り返し伝えていくつもりです」。(平川先生)

中2は大人へのインタビューなどフィールドワークを採り入れて活動の場を広げます。社会や社会にいる大人に触れることで、社会と自分とのつながりを意識することが狙いです。
中2の2学期になると、データの処理や分析方法なども学び、それぞれの研究を深める手法を習得します。今までは修学旅行は中3でしたが、中2の3学期に関西修学旅行を実施し、この活動も探究の一環として組み入れていきます。こんなふうにゴールから逆算して各行事を踏まえたカリキュラムを組んでおり、前年度までの多様な探究活動を体系化して、「新生・探究活動」に昇華させているのです。

【研究の集大成として卒業論文を執筆】

簡単に答えの出ない問いを探し、研究して掘り下げ、グループで話し合って自分なりの答えを出す――そのゴールとして、中3で卒業論文を執筆します。
「4年ほど前までも、中3は卒業研究を行っていました。テーマを決めて調査や実験、観察、フィールドワークなどを行いレポートにまとめるものです。でも、単年度で個人作業では広がりが少なく、限界を感じて中断していました。そこで、新・探究学習では"問いを見つけて研究し、グループで深め、最後は個人研究として卒業論文に仕上げる" ことを目標に掲げました。4D-Labと卒業研究の両方の活動を組みこみ、発展させた形です」(平川先生)。

東京電機_「書く」「読む」ことで思考が深まり視野も広がる
「書く」「読む」ことで思考が深まり視野も広がる

平川先生は問いを立ててグループワークやフィールドワークで深めていくだけでなく、「書く」ことにも重きを置いています。「中1でも中2でも、節目節目で書くことによって意見や研究内容をアウトプットさせます。書くことで研究成果が可視化できるし、友達の文章を読むことで新たな視点や価値観に触れることができます。問いを立ててグループで研究して発展させ、最後は個人で深めて文字に昇華して卒業論文を執筆・発表させます」。

考えたことを文字にする段階でさらに思考が深まったり、それまで意識しなかったことに気づくこともあります。中1から「卒業論文の研究テーマ」を意識しながら興味を発展させていきますが、もちろん途中で軌道修正したり、社会的な問題につなげた大きなテーマに移行する可能性もあります。そうした経緯を経て、生徒たちは高校の学びにつなげていくのです。

全員配布のタブレットに学習や成長の軌跡を残す

東京電機_1人1台パソコンを使えるコンピュータ室
1人1台パソコンを使えるコンピュータ室

昨年度は中1と高1にタブレット端末を配布し、授業や課題などで活用してきましたが、今年は中1~高2までの5学年にタブレットを配布しています。昨年度はコロナ禍でオンライン授業に切り替えざるを得ない中で、同校ではすでに準備を進めてきたためスムーズにタブレット活用に踏み出すことができました。生徒が家庭で行うレポート作成や提出は学校配布のタブレットを使いますが、デバイスやアプリが統一されていることで授業や課題提出を効率よく進めることができたといいます。

同校では理系志望の生徒が多いため、科学・物理・地学など理科室の設備も充実しています。たとえばコンピュータ室には、プログラミングができるように処理能力が高いPCをクラス全員分設置しているので、コンピュータが好きな生徒には願ってもない環境でしょう。ただし、理系志向の生徒が多いとはいえ、必ずしもコンピュータが得意な生徒ばかりではありません。情報処理の授業は先生2人が担当しているものの、不得意な生徒をきめ細かく指導するのは難しいのも事実。そこで、得意な生徒が不得意な生徒に教えながら授業を進め、コミュニケーションを活発にするためにコンピュータ室は毎週席替えも行っています。

東京電機_各教科でタブレットを活用
各教科でタブレットを活用

「授業の最初に、3人グループで前回の授業の振り返りをして発表し合っています。そのときの約束は、"言いっぱなし、聞きっぱなし"で発表者を尊重すること。"分かちあい"と呼ぶ手法で、こうした取り組みで生徒同士がお互いを尊重しながら活発に意見を交わし、全員が積極的に授業に参加する工夫をしています」(情報科理工科科目主任・山住直政先生)。

また、タブレットは「情報を調べたり発表用の資料を作る」「レポートを提出する」「宿題を発信する」など、伝達や資料作成ツールとして使うだけにとどまりません。振り返りを大事にする同校では、自分の学習や成長の記録を残し、折にふれて振り返れるようにしてます。

さまざまな取り組みから見えてくるのは、同校が育成を目指す5つの力「視野の広さ」「冒険心」「向上心」「専門性」「共感力」です。その中でも、平川先生が特に注目しているのは「共感力」です。「今ブームになっている将棋でも、人間はAIには勝てないと言われています。でも人間は機械には共感できないから、機械やAIに向かって"頑張れ!"と声援を送ることはありません。一方で勝っても負けても人間が戦ったり力を発揮する姿を見て、人は共感して感動やパワーが生まれます。共感力は人間だからこそ持てる、生きる力の源泉なので、AIが台頭する今こそその力を大切にしたいと思っています」と平川先生は話します。

東京電機_日程ややり方を工夫して行事を再開
日程ややり方を工夫して行事を再開

昨年度の前半はコロナ禍で映像授業を行っていましたが、映像では共感しづらいのが難点。友だちと一緒に教室で授業を受けてこそ様々な気持ちが生まれ、共感の輪が広がることで見えないものが見えたり、気づかなかったことに気づいたりして視野が広がります。昨年度は文化祭や林間学校などの行事が軒並み中止となりましたが、2020年度3学期の終業式は全校で行うことができました。「生徒たちの生き生きした表情が印象的で、やはり式典や行事は生徒にとって重要なんだと再認識しました。今年度は日程などを考慮しながら再開し、基本的に50分授業を対面で行う予定です」(平川先生)。

探究学習で共感力をはじめとする様々な力を磨き、目の前にいない人にも共感して課題を探し、「社会に出てどう生きていくか」「誰かたのために何ができるか」を考え、行動できる人材を育てたい――同校の改革は、チャレンジ精神旺盛で心の豊かな生徒を育てるべく、今年度から新たな一歩を踏み出します。

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