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学校特集

昭和学院中学校・高等学校2025

希望制の海外語学研修で
生徒の新たな可能性を拓く

掲載日:2025年11月1日(月)

新たな入試方式の採用やコース制の導入などさまざまな改革を行い、大学進学実績も右肩上がりの伸びで注目を集めている昭和学院中学校・高等学校。30年ほど前から続いている希望制の海外語学研修には英語が得意でない生徒やコミュニケーションに自信のない生徒も目的を持って参加し、大きく成長しています。中学と高校、それぞれの海外語学研修を担当している2人の先生に、研修の様子や研修後の生徒たちの変化について伺いました。

中学カナダ研修は今年度から中1も参加

 1940年に創立された昭和学院は、「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」というスクールミッションを掲げ、学力だけでなく多彩な能力や人間力を伸ばす教育を行っています。「受験勉強だけでなく英語や趣味などに打ち込んできた生徒にも入学してほしい」という思いから、算数や国語の1科入試、適性検査型入試など多彩な入試を導入しており、個性豊かでさまざまな能力を持つ生徒からも人気を集めています。

 2020年から新たなコース制を採用し、中学入学時にはIA(インターナショナルアカデミー)、AA(アドバンストアカデミー)、GA(ジェネラルアカデミー)、SA(サイエンスアカデミー)の4コースに分かれ、中3からはTA(トップグレードアカデミー)を加えた下記の5コース制となります。

IAコース:英語力や国際感覚を磨くコースで国際社会で活躍する人材を育成
TAコース:ハイレベルなカリキュラムで難関国立大や難関私立大への進学を目指す
AAコース:難関大進学に対応した質の高い授業で文武両道を実現
GAコース:興味関心に合わせた授業を選択できる柔軟なカリキュラムで個性を伸ばす
SAコース:探究活動や総合的な学習をふんだんにとり入れ科学のロマンを追い求める


 生徒たちは自分の興味関心に合ったコースを選択し、中3進学時と高2進学時には他コースへの変更も可能です。

【中学生希望者が参加するカナダ研修プログラム】

昭和学院_カナダ語学研修を引率した川内勇太先生
カナダ語学研修を引率した川内勇太先生

 中学生の希望者が参加するカナダ・バンクーバーでの語学研修は、夏休みに12日間、現地家庭にホームステイして行います。昨年までは中2、中3のみ参加できましたが、今年から中1も含め中学全体に募集をかけました。
 英語科の川内勇太先生は「これまでは入学したばかりで英語もあまり話せない中1は、現地でホームシックになるかもしれないと考えて中2以上に限定していました。でも中3は全員参加のオーストラリア海外研修もあるため中2・中3に絞ると参加者が少なくなってしまうので、今年は中1にも機会を広げました」と話します。「その結果、中1が9名、中2が5名、中3が2名の合計16名の参加となりました。中1は不安どころかノリノリで現地でも元気いっぱいで(笑)、中1からの参加にして正解でした」。

【午前中は英語学習、午後は習ったフレーズを実践】

昭和学院_午前中は生活の中で活用できるフレーズを学ぶ
午前中は生活の中で活用できるフレーズを学ぶ

 現地では午前中は日常会話などの英語を学び、そこで習ったことを午後に実際に使ってみる実践形式のプログラムを実施します。
「たとえば買い物の時に使うフレーズを学んだ日は、午後からショッピングモールに行ってマクドナルドで1人ずつ対面でオーダーしてお金を払いました。会話だけでなく電話での予約、お金の払い方などさまざまなシチュエーションを経験します。生徒たちは最初はドキドキしながら列に並びますが、自分の番が来ると緊張しながらも習ったことを思い出しながら会話を楽しんでいます」(川内先生)。

 カナダ語学研修には「英検〇級以上」などの条件や、面接試験による選抜などはありません。定員を超えると抽選になりますが、基本的に本人が希望すれば誰でも参加できるのも特徴の1つです。「英語が好きな生徒もいますが、中1ではまだ全然話せない生徒もいました。それでも海外に興味があり、行ってみたいという好奇心から参加している生徒もいて、英語力はさほど重要ではないんです」(川内先生)。

昭和学院_公園やウォーターパークを楽しむ時間も
公園やウォーターパークを楽しむ時間も

 現地での体験を大事したいので、あえて事前学習は実施しません。研修前のオリエンテーションでは、ホームステイ先でファミリーと仲良くできるように、カナダと日本の文化や生活習慣の違いなど、ルールやマナーを教える程度です。たとえば「ベッドメイキングや部屋の掃除は自分でやる」「ホストファミリーの前では日本人同士でも英語で話す」「自室のドアは開けておく」といった生活の中でのマナーは、研修のしおりにも記載されています。また、「日本人はYes、Noをはっきり言わないこともあるが、イヤなことは嫌だときちんと伝えないとホストファミリーが困ってしまったりミスマッチが起きることがあります。多少わがままに見えても、思っていることははっきり言うように、と教えています」と川内先生は話します。

 生徒たちは「カナダの食事は洋食」というイメージを持っていたようですが、カナダは多文化でアジア人も多いので、家庭ごとに生活や食事に差があります。「パンばかりかと思ったらラーメンも食べたよ」など、生徒たちはお互いの情報をシェアし合っており、貴重な経験になると同時にいい刺激を受けているのです。

「海外は初めてで、入国審査では順番待ちの段階からドキドキして震えている生徒もいます。そんな生徒が最終日には『帰りたくない』と涙ぐむ姿も印象的です。文化祭でパネル展示をするほか文集も作成中で、参加しなかった生徒たちも刺激を受けて、いつか海外研修や留学を考えてくれたらいいなと思っています」(川内先生)

高1高2は夏休みに17日間のイギリス研修

昭和学院_イギリス語学研修に同行した井村海渡先生
イギリス語学研修に同行した井村海渡先生

 高校の夏休みに実施するイギリス研修は17日間で、高1と高2の希望者が参加します。ケンブリッジにある語学学校の学生寮に入り、徒歩5~6分に位置する学校に通学します。寮はビジネスホテルのようなきれいな施設で1人1部屋に入り、3食は学校の食堂で食べるのが基本です。

「寮のルールが厳しくて、門限が夜9時半で夜10時半には寝ているかどうかの確認もあり、教員としても安心です。私たち引率の教員も同じ寮に入りましたが、スペインやフランスなどいろいろな国の学生がいて交流できるのもメリットです」と引率の井村海渡先生は話します。

 参加した生徒は合計19人ですが、井村先生は「英語が得意でない生徒やコミュニケーションが苦手だという生徒も参加していました。語学目的だけでなく、人間力を変えたいという思いを持った生徒がイギリス研修に参加する傾向があります」と語ります。

 実は多様な生徒に参加してもらうために、井村先生は保護者会でこんな話をしています。「語学研修は3週間弱なので、現地での学習だけでは語学力の向上はさほど望めません。でも、何か変えたいと思っている生徒はそのきっかけが得られるはず。英語は苦手だけど挑戦したい、今までの自分を変えたい、といった気持ちがある人は、英語力が低くてもまったく問題ないからぜひ参加してほしい」。

 イギリス語学研修も、中学カナダ語学研修と同様に、英語が得意なIA(インターナショナルアカデミー)以外の生徒も多数、参加しました。とはいえ、井村先生の話に心を動かされた保護者が「ぜひ、子どもを参加させたい」と考えて申し込んだものの、「大丈夫かな。不安だ」と言っていた生徒もいました。

 そのため、研修前に井村先生が意識したのは、仲間作りです。「さまざまなコースの2学年の生徒が参加するため、事前学習の時間は同行する仲間同士の絆作りを心がけました。対面でのオリエンテーションではペアを作って活動し、何度も組み合わせを変えていろいろなメンバーと話す機会を設けました。オンラインでもグループを作ってチャットする場面を作るなど、事前に仲間意識を高めて現地で困ったときに助け合える状態を作りました」。仲間同士が顔見知りになっていることは、現地で過ごす上でも心の拠り所になるからです。
 実際に現地でも、最初は緊張して「クラスで友だちができない」と寂しそうな生徒もいたそうです。語学学校に入る前にプレイスメントテストを受けて語学のレベル別にクラスが決まるので、同じクラスに昭和学院生がいないケースもあるからです。でも、その生徒も少しずつクラスメイトに話しかけられるようになり、交流が広がって笑顔が増えていきました。

【午後や夕方は川下りやディスコなど多彩な活動】

 1日のスケジュールは、3つのパートから成っています。朝食を食べてから授業を受け、昼休みをはさんで午後はアクティビティ。さらに夕方からイブニング活動を行います。イギリスは夜9時までは日が落ちないため、夕方以降も活動しやすいのです。

昭和学院_教会見学や市内散策で歴史や生活に触れる
教会見学や市内散策で歴史や生活に触れる

「アクティビティはその学校の生徒約150人全員が参加します。研修初日の夜はいきなり町中に移動して、ナイトクラブでディスコタイムでした。本格的なクラブを貸し切り、その日だけドリンクはソフトドリンクのみの提供です。最初はどの国の生徒も緊張してホールに出て行かないので、私が男子生徒を連れて『一緒に踊ろう!』と中央に出て先陣を切りました。そうしたら皆わーっと踊り始めて、大いに盛り上がりました(笑)。
 ほかにもケンブリッジに流れる有名なケム川でパンティング(船で川下り)をしたり、ボーリングやカラオケに行ったり。体育館に行ってバレーボールやサッカーなどで遊んだこともあります。男子がパスサッカーで勝負したら、サッカー大国のスペインの生徒は優しく手を抜いてくれたのにぼろ負け(笑)。パス回しも見事で、ボールを追いかける日本人生徒は大汗をかいていましたが、いい思い出になったようです」(井村先生)。

 食事は朝昼夕3食ともに語学学校の食堂で食べるのが基本です。食事はすべてブッフェ形式なので、苦手な食材がある生徒も安心です。朝食はサラダやベーコン、パン、シリアルなどが揃っています。昼食や夕食はサンドイッチやラザニア、パスタなどのほか、子どもが大好きなポテトやフルーツもたくさん出ます。「生徒が『先生、味が薄くておいしくない』と言うので、『好みで塩やビネガーをかけて自分で味つけして食べるんだよ』と教えました」と井村先生は話します。食事ひとつとっても日本との違いを実感する貴重な体験になっているのです。

【他国の生徒とも交流し大きく成長】

 最初は語学学校の昼休みやイブニング活動までの自由時間などは、いろいろな国の生徒が各国のコミュニティで固まって過ごしていました。でも2週目に入ると次第に生徒同士の距離が縮まってきて、庭にある卓球台などで国籍問わずに一緒に遊ぶようになりました。「こうやっていろいろな国の生徒の交流の輪が広がっていくんだな、と感慨深かったですね」と井村先生は話します。

 生徒たちはイギリス研修を経て、井村先生の予想をはるかに超える成長を見せています。クラスメイトとのコミュニケーションでも相手を傷つけないような喋り方や気配りができるようになったり、しっかり意思表示ができるようになり相手を気遣うようになった生徒もたくさんいます。

 井村先生が「本当に人を気遣えるいい子たちだな」と実感したのは、文化祭の事前準備の時でした。文化祭ではカナダやイギリスの語学研修の内容を展示しますが、前日に井村先生が「ちょっと手伝ってほしい」と連絡したところ、急な依頼にも関わらず皆すぐに集まってくれたのだそう。「これでデコレーションしたらどうですか」と気を利かせて買い出しに行った生徒もいて、わずか1時間で準備が終わりました。「1カ月ぶりに研修メンバーで集まったこともあり、思い出話をしながら楽しそうに準備をしていました。先輩後輩の縦の仲間もでき、帰国後は今まで以上に学校生活が充実しているようです」(井村先生)。

「イギリス研修で私が得たのは語学力だけではない。自分で考え行動する力、異文化を受け入れる柔軟さ、そして人との繋がりの大切さだ」「世界には自分と異なる価値観や考え方を持つ人が多くいることを知り、これを面白いと感じられる反面、なぜだろうと疑問に感じることもあった」「イギリス研修は一生の宝物です」――生徒たちの感想からも、研修の意義深さが伝わってきます。語学力を磨くだけでなく自分を変えたい、新しいことに挑戦したいという気持ちで研修に参加し、17日間を乗り切った生徒たち。ここで得た大きな自信と達成感は、学校生活やこれからの生き方に大きなプラスになっていくのです。

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