学校特集

国本女子中学校・高等学校

楽しく取り組める最先端の「考える英語活動」
「貴く、清く、純粋に」成長する女性を育てる
国本女子の新たな学びのスタイルとは?
校長 岡本喜美子先生
校長 岡本喜美子先生

最寄りの小田急線「喜多見駅」から徒歩2分、都心を身近に、かつ自然を間近に感じられる世田谷の住宅街には幼・小・中・高のキャンパスと校舎、一方では雄大な自然と澄んだ空気 に触れることのできる町田キャンパスをもつ国本学園。近隣の方々から高い人気と信頼を寄せられている共学の幼稚園・小学校と、面倒見の良いアットホームな校風の女子中学・高等学校が一体感をもって共存する、あたたかな雰囲気の一貫教育の私学です。
そして2013年度に入ってからは、この国本女子中学・高等学校に、生徒自らが楽しく日々の授業に取り組み、自然に学力を伸ばしていける新たな教育のノウハウが導入されました。その手ごたえと成果によって、生徒自らが自信を持ち、将来への夢を育てていける女子進学校として、同校はいま、中学校・高等学校長岡本喜美子先生のもと、目覚しい「進化と成長」の真っ只中にあります。
「真心の発揮」、「自然に対する素直さの涵養」、「恩を知り恩に報いる心の育成」を校訓に、生き生きとしなやかに自ら成長する女性を育てる伝統に加え、最先端の教育の理論を生かした新たな授業スタイルが注目される同校のめざすところを、今回は、学園長代理の下田康信先生と、授業改革のリーダーシップをとる学力推進本部・特別講師の執行(しぎょう)智子先生にお話を伺いました。

グローバルな人材育成をめざす国本女子の
「授業が変わった!」象徴は、「発信力」を育てる英語教育。

学力推進本部 特別講師・執行智子先生
学力推進本部 特別講師・執行智子先生

学園長代理下田康信先生は、かつて新宿区立戸塚第一小学校の校長として、「魅力ある美しい学校づくり」を目標に掲げ、学校改革を実現してきた実績のあるベテランの教育者。そして、英語科特任教諭の執行智子先生は、英語教育を専門とする研究者として、同時に生徒や子どもたちの英語の力を豊かにする教師と、その教師を育てる教育者として、数々の活動を続けてきたエネルギッシュな先生です。

まず、国本女子が一昨年から取り組んできた英語教育の特徴について、執行先生に伺いました。

「国本女子では、単なる語学力ではない『発信力』としての英語を実践しています。 世界との関わりで仕事をするには、英語のスキルと高い意欲が求められる時代になっています。英語はグローバルな世界の共通語です。グローバルに仕事をする人が『グローバルな人材』とするならば、それはまず『英語で仕事ができる人材』です。さらに、英語ができるだけではグローバルな人材とは言えません。グローバルな人材とは、主体的にものごとを考え、多様な価値観もつ人たちに自分の考えを分かりやすく伝え、相手の立場に立って生き生きと仕事をすることができる人材と私たちは考えています。

グローバルに英語を使用する場では、単に文法的に正確な英語で話したり書いたりすることのみが必要なのではありません。正確さと同様、聞き手が納得できるように論理的に話を進めていく能力が大切です。グローバル化社会を生き抜いていくには、英語で『何を』『どう』話すかが重要であり、英語を道具として使いこなすスキルとともに、論理的思考能力や感情表現能力を養っていかなければなりません」と執行先生。そうして身につけた力で「女性のしなやかな感性で日本の伝統・文化を世界に発信するグローバル人材」になることを、国本女子はめざしています。

そうした力が、現在の子どもたちが社会に出るグローバルな時代に求められる英語力であることは間違いありません。しかし、そこまでの高い英語のスキルを、中学入学段階ではまだ将来の目標や目的意識が育っていない「ふつうの女の子」たちが身につけることは、中高の6年間で可能なのでしょうか。

海外語学研修
海外語学研修

「そのために中高6か年を通して、様々な人や出来事に触発され、高い志を持ち、常に振り返り内省しながら意欲とスキルを高め続けていけるように、英語の教育課程を作成しています。とくに中学校では、英語が『できたらいいな』はもちろんのこと、英語を使うのは当たり前ということを生徒たち自身が感じられるように、英語を使用する場面を多く取り入れ授業を組み立てています」と執行先生はいいます。

では、具体的に現在の国本女子中高で実践されている英語教育とは、どのようなものなのでしょうか。

国本女子の「考える英語活動」の2本柱
"English for communication"と、"English for oral communication"

ネイティブとコミュニケーション
ネイティブとコミュニケーション

国本女子中学・高等学校では、潤沢に設定している英語の単位時間をフルに活かし、「グローバルな人材」として活躍できるコミュニケーション能力を築く基礎を培い、同時に大学受験にも十分に対応できる高い英語力を育むために、「一人ひとりの学びの過程を大切にした授業」を行っていると執行先生はいいます。

「とくに中学校では、週6単位時間ある英語の授業を"English for communication (=コミュニケーションのための英語) "と位置づけ、4技能統合型活動を展開していますが、なかでも2単位時間を"English for oral communication (=音声を重視したコミュニケーションのための英語) "では、ことばの本質である「音声」と、ことばの役割「やり取り」の両方に重点を置いています。

この"English for oral communication"では、まず絵本の読み聞かせや、多読・多聴を通してたくさんの生の英語に触れていきます。たとえば、母語話者(ネイティブ・スピーカー)のALTと音遊びをしたり、チャンツ(=日常的な場面での話し言葉をリズムに乗せて表現した英語学習法【※注1】)で英語特有のリズムを体感したりしながら、生徒は体験的に豊かに英語に親しみ、母語である日本語とは異なる英語特有のことばの音の仕組みを身につけていきます。

【※注1】「チャンツ(Chants)」とは?

チャンツとは日常的な場面での話し言葉をリズムに乗せて表現したもので、「メロディーのない歌」「言葉あそび」など、どこの国にもあるものです。
それぞれの国のチャンツは、その国の言語の特色をもっともよくあらわすもので、話し言葉に近く、その言葉のリズムそのものをあらわしています。
「ジャズチャンツ(Jazz Chants)」が英語学習の世界ではよく知られていますが、それは1960年代にキャロリン・グレアムというアメリカ人の英語教師によって発明されたジャズを取り入れた英語学習法です。彼女は外国人の生徒を相手に英語を教えていましたが、自由時間にジャズ音楽を演奏していました。
彼女はジャズ音楽と英語のリズムの関係性を見出して、英語を学ぶ生徒達の為にジャズチャンツを作り始めました。 現在、ジャズチャンツは世界中の英会話教室で広く使われ、多くの英語学習者に楽しまれている英語学習法の一つです。


こうした活動はどの中学校でも1年生の初期には行なわれているとは思いますが、国本女子の英語教育では、あえて中学校3年間を通して、英語の音に親しみ身につける活動"English for oral communication"を行うことで、リスニング力が養われ、その結果カタカナ英語にならず、英語特有のリズムを持った流暢な英語を話すことができるようになっていきます。これが国本の英語教育の第一の特色です」 と話してくれる執行先生のご研究の専門分野は「Phonological Awareness(音韻的気づき)」だそうです。

英語の発表会
英語の発表会

「そのために授業ではプレゼンテーションを多く取り入れています。ビデオに撮って生徒が自分のプレゼンテーションを振り返り、再度プレゼンテーションをすることもあります。
中学生は教科書の音読のプレゼンテーションにおいてでさえ寸劇や小道具などを使い、自ら楽しみながら英語で伝える工夫しています。こうした学習に取り組むことで、やがて生徒自身が"音"に気づくようになります。音を抽象化できるようになるといってもいいでしょう。そうなると、一連の文を聞いたときに意味が分かるとともに、文法的にも正しい文にして再生できるようになるのです。例えば、冠詞のaが大変聞き取りにくく、あるいはまったく聞こえてこない場合でも、それを補って繰り返したりできるのです。そして最終的には、4技能の力が高まっていくのです 」


6年間一貫して行われるコミュニケーションを取り入れた授業
6年間一貫して行われるコミュニケーションを取り入れた授業

この"English for communication"と、"English for oral communication"の二つの柱が国本女子の英語の教育であり、さらに、「考える英語活動」ともいえるのです。と言うのも、プレゼンテーションを多く取り入れることで、伝えるということは、相手に納得させることであることを知り、そのためには、先ず自分が言いたいことを熟考し、論理的に組み立てなければならないということを知るからです。このようにすることで論理的な思考力を育てるとともに、音に対する認知の感覚も高めることが可能になるのです。この国本女子の英語の学習法は、いま文部科学省が掲げている教育改革の方向性をリードするものでもあり、すでに5年後に迫っている「2020年大学入試改革」にも十分対応できるものなのでしょう。

それは、子どもたちが「楽しく学んでいける」ことに価値を感じている、現代の若い保護者にも歓迎される、新たな「学びのスタイル」ともいえるのではないでしょうか。

生徒が授業の作り手となり、知識の使い手として問題解決に取り組む
プロジェクト型タスク活動で英語使用の疑似体験

そして、もう一つの国本女子の英語教育のもうひとつの特色は、中高の6年間を通じて、自ら英語を選び使用する「プロジェクト型のタスク活動」を授業に多く組み入れていることです。

このプロジェクト型のタスク活動では、生徒が授業の作り手となり、従来のような知識の受け手としてではなく、使い手として問題解決をしていきます。

「そこでは、教師は生徒の要望に応じて英語の知識を導入しますが、それをどのように活用するかは生徒次第です。生徒は、既習と新出の知識とこれまでの経験を生かし、より良い解決を目指して討議を重ねていきます。 このような過程は毎日の生活によく似ており、つまり、プロジェクト型のタスク活動を通して生徒たちは、世の中で英語を使用し生活することを疑似体験していくことになるのです」

と執行先生は話してくれました。このようにプロジェクト型のタスク活動を授業に組み入れることで、国本女子の英語教育では、実践的な英語運用能力を確実に養っていけるといいます。さらに執行先生はこの取材時に、外国語教育をはじめ、国語教育、言語教育の世界ではよく知られる「二重氷山説(二言語相互依存仮説【※注2】)」についても解説してくれました。

【※注2】「二重氷山説」とは?

二重氷山説
二重氷山説

カミンズによって提唱された「二言語相互依存仮説(=二重氷山説)」。これによれば、母語と第二言語の深層では,教科学習場面で必要とされる認知・学力的側面の言語力が共有されているという(Cummins & Swain 1986)。外国語を学習することは、母語に刺激を与えると同時に、日本語力の発達を促す可能性があることが示唆されている。


先ほども紹介した国本女子の「週6時間」という英語の授業時間数は、公立中学校と比べると2~3時間多いのですが、実は私立の女子校のなかでは決して多いわけではありません。しかし、その限られた時間数のなかでも、「使える英語力」を伸ばしていける秘訣は、こうした言語教育理論の裏付けと、他の教科とも融合させた独自の英語教育のスタイルにあるのでしょう。

「そういう形で英語力を伸ばしていくことは、中学生は週6時間の授業でも十分可能です。たとえば、中1のときに『バイオグラフィー(伝記)』を書かせ、中3のときにそれを改良する活動を行うことによって、生徒の多くがより良いものを書くことができます」と執行先生。これも国本女子のカリキュラムが中1からきちんと組まれている例といえるでしょう。

個々の生徒の才能を生かす「MI理論」も取り入れ、
互いに仲間を思いやる気持ちと言葉の力を育てる国本女子の"学び合う"協同学習

学び合いを生かした協同学習
「学び合い」を生かした協同学習

さらに国本女子では、学校で授業を行う最大のメリットである「学び合い」を生かした協同学習を多く取り入れることに重点を置いています。

「一人で学ぶことで得られるものは少なくても、仲間と学び合うことで、とても多くの得られるものがあります。同じ時間を過ごし、学習を共にすることで、一人では学べないことを、協同学習を通してより深く学んでいくことができます。また、協同学習の過程で、互いに相手や仲間を思いやる気持ち、その気持ちを表すことばを身につけ、豊かなコミュニケーショ・ストラテジーを育んでいくことができるのです」と執行先生。

これはまさに、いま今後の教育の大きな課題や焦点になっている「アクティブラーニング」や「PBL」「PIL」といわれる新たな学びのスタイル(=21世紀型スキルを育てる「IBプログラム」など世界標準の学習法)に通じるものであり、なおかつ独自性をもつ"国本女子オリジナルの"学びのスタイルといえるものなのでしょう。

そういえば、日本の教育機関で、この「アクティブラーニング」の導入に早くから取り組んでいるのは、中学・高校よりも、むしろ小学校や大学なのではないかという見方もあります。その意味では、大学で研究と教育を実践してきた執行先生を中心に、その教育手法を同じキャンパス内にある小学校でも並行して導入してきた国本学園は、私立中高一貫校のなかでも「アクティブラーニングの実践」に大変意欲的な学校といえるでしょう。

「この協同学習では、来年度はさらに『CLIL(クリル【※注3】)』と呼ばれる内容言語統合型学習を、高校の授業に全面的に導入したり、他教科とクロスして、さらに内容を深めていくことを計画しています」と執行先生。先生が描くビジョンに向けての授業改革は、今後ますます加速していきそうです。

【※注3】「クリル(CLIL)」とは?

CLIL
CLIL

「CLIL(クリル)」とは「Content and Laungage Intergarated Learning(内容言語統合型学習)」の略で、ヨーロッパでの語学教育で取り入れられるようになった比較的新しい指導法。教科内容を英語の4技能である、リスニング(listening)、リーディング(reading)、ライティング(writing)、スピーキング(speaking)を取り入れながら学習していく。 CLILによって英語を学習し、そして英語によってそれぞれの教科の知識を積み上げていく。また逆に教科の知識が高い語学力を身につける手段として使われる。 生徒は英語を通して様々な教科から新しい発見をすることに焦点を置いて学習していくことで、語彙と文法が自然に強化される。また新しい言語の習得が新しい知識の習得へと結びつくと考えられている。


「こうした授業の工夫を考えるにあたっては、『MI(Multiple Intelligences=多重知能)理論【※注4】』も取り入れています。もともとグループ学習そのものが、自然な形で『MI理論』を生かして、仲間を尊重し合って学んでいくもので、国本女子の協同学習は、まさにそうしたものです」

【※注4】「MI(=多重知能)理論」とは?

ハーバード大学のハワード・ガードナー教授が提唱する「多重知能(Multiple Intelligences=以下MI)」の理論。 この理論の中核にあるのは「知能は単一ではなく複数ある」「人間は誰しも複数(現在は8つ)の知能を持っている。長所やプロフィールが個人によって違うように、人によってある知能が強かったり、ある知能が弱かったりする」という考え方。この「MI理論」は現在、世界各国の教育現場やビジネスの世界で取り入れられるようになっている。


この「MI理論」は、早くから多様な習い事や英才教育、能力開発教室などに親しんできた子どもたちや、わが子の個性や才能の芽を育てることを願う最近の若い保護者にとっては、先ほどの「アクティブラーニング」と同じように、好感をもって多くに受け止められている教育の理論です。

以上のように、国本の英語教育では、いまの生徒にとって効果的と考えられる多様な学びの過程を具体的に授業に組み入れ、「グローバルな人材」として通用するコミュニケーション能力を育んでいます。

そして、生き生きとしなやかにコミュニケーションのとれる女性として成長できるよう一人ひとりの学びの過程を大切にしています。
そんな国本女子中学・高等学校の教育が、その新たな学びのスタイルを望み、あたたかな校風を慕って入学してきた子どもたちの自信と自己肯定観、そして今後の大学入試もクリアできる柔軟な学力を育ててくれることに期待し、今後に注目したいと思います。

絵本で英語を習得

絵本で英語を習得

秋の体育祭(町田キャンパス)

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