学校特集

日本学園中学校 2017

個性を尊重し得意な道で勝負できる男子を育てるパイオニア
独自教育「創発学」で、生徒の“得意”を未来へとつなげる!

掲載日:2017年9月10日(日)

京王線と井の頭線が交わる「明大前」駅から徒歩5分。文化財に指定されている校舎が歴史を物語る日本学園。男子教育においては130年あまりの実績をもち、画家の横山大観、内閣総理大臣を務めた吉田茂、最近では俳優の斉藤工など、各界に多彩な人材を輩出しています。
その背景には、天才を創るよりも各人の天分を活かすことに重点を置いてきた、創立者・杉浦重剛の精神があります。
現在もその精神を引き継ぎ、頼もしい人材を世に送り続ける同校の教育について、校長の水野重均先生と中学部長の谷口哲郎先生に話しを伺いました。

日本学園の『創発学』とは

豊かな体験により、感性や知的好奇心を育む、日本学園が生み出した独自のプログラム。生徒一人ひとりがみずから創造し、発信できる力を伸ばすことを目的としています。具体的には、『調査研究プログラム』と『キャリア教育プログラム』を主軸に、<体験・取材⇒まとめ⇒発表⇒評価・反省・改善>という作業を主体的に行います。

○体験・取材・・・ひとつのテーマに多角的にアプローチすることにより、創造的な思考力を伸ばします。

○まとめ・発表・・・まとめ方を工夫し発表経験を積み重ねることにより、自分の考えを他者に伝える発信力を高めます。

○評価・反省・改善...良かったこと、良くなかったことを振り返り、次へつなげます。

豊かな体験により、感性や知的好奇心を育む『創発学』が教育の根幹

日本学園_校長水野重均先生
校長 水野重均先生

水野校長:私は、平成元年(1989年)から本校で情報を教えています。今でこそ、ICT教育が盛んに行われる時代になりましたが、本校ではかなり前から取り組んでおり、ICTによる論理的思考力、表現力、判断力、分析力の伸長を図ってきました。当時はWindowsが普及していない時代です。工業高校、商業高校ではCOBOLなどの言語を用いてプログラミングの授業を行っていましたが、その授業を普通科の高校に持ち込むのは「少し違うな」と感じていました。金槌は釘を打つための道具、のこぎりは木を切るための道具。ではコンピューターはなにをするための道具なのか。そう考えたときにまず思い浮かんだのが、コンピューターは「計算が速い」ということでした。

さらに大量の情報を蓄積することもできます。つまりコンピューターは脳の働きを助ける道具ではないかと考えました。さらにこの特性は「プレゼンテーションに使えるのではないか」と思いました。そこで、いろいろな情報を集めて整理し、まとめてプレゼンテーションをする、いわゆる探究型の授業にコンピューターを組み込みました。当時は『パワーポイント』などもない時代です。生徒たちは自らプログラムを組み、画像を提示してプレゼンテーションを行いました。その様子を見ていて、プログラミングは"論理的思考力"を、プレゼンは"発信力"を伸ばすことに気づきました。「これはおもしろい」とICTの可能性を見い出し、他の授業やホームルーム活動で使えないかと考えている矢先に、高校から中学に異動になりました。

当時は中学にもいろいろな行事がありましたが、すべてが単発で行われていました。「これらの行事を、学年を通じて有機的につなげることはできないか」と、同じ学年を担当していた谷口先生と話し合い、着目したのが各地を取材してまわる『地域散策』という行事です。デジカメが流行り始めた時期でもあり、生徒はたくさん写真を撮るものの、いざ発表となると、それに耐えうる写真がありませんでした(笑)。つまり意図を考えて撮影していなかったからです。その点に気づいたとしても、中1限定の行事では、その後の進歩がありません。そこで中1→中2→中3と繰り返し行うことで、技術の向上を図り、その結果、意図をもって写真を撮ることができるようになりました。

日本学園_校内には生徒たちが制作した壁新聞が!
校内には生徒たちが制作した壁新聞が!

生徒の成長には、"気づき"を重ねることが重要です。壁新聞のように掲示して発表するだけでなく、互いの作品の評価もさせました。皆が同じ地域を散策しているので、「なるほど、そういう目の付けどころもあったのか」と、生徒自ら気づくことが多く、次の行事に活かすことができました。テーマを決める際には『マンダラート』というマインドマップのような発想技法を取り入れました。キーワードとなるAとBから、その中間の「B´」を引き出すというものです。こうした「問題解決手法」を駆使しプログラム化した、生徒が能動的に取り組む形態を、私は最初『情報発信型教育』と名づけていました。それを『創発学』という名に改めたのは、それまでの「教師は話す人、生徒は聞く人」という"当たり前の教育"を、根本から変えたかったからです。生徒の「どうして?」「なぜ?」という質問に先生が答える。これが『創発学』の原点になります。

中1、中2で基礎を学び、中3で自分の好きなテーマに取り組む

日本学園_収穫された生きたタコに思わず...(笑)
収穫された生きたタコに思わず...(笑)

谷口先生:『創発学』は、『調査研究プログラム』と『キャリア教育プログラム』を主軸としています。中1、中2で取り組む『調査研究プログラム』は、林業・農業・漁業の現場に行き、「事前学習・調査⇒現地での体験・取材⇒まとめ・発表」と進めていきます。単なる体験学習ではなく、農業だったら農家に泊まり、その農家がやっている農作業を手伝い、インタビューをしてまとめます。まとめ方も、新聞にしたり、パワーポイントを使って発表したり。いろいろ経験させることにより、写真の撮り方、まとめる時の色の使い方なども年々上達しています。発表では周囲の反応を見ながら進める余裕も出てきます。

水野校長:このプログラムで大事にしているのは評価・反省・改善です。発表して終わりではなく、良かったこと、良くなかったことを振り返り、次につなげることを大切にしています。気づきを積み重ねることにより、力を伸ばすことができるからです。

日本学園_都会では経験できない機会が豊富に用意されています。
都会では経験できない機会が
豊富に用意されています。

谷口先生:男子は中3あたりから大人が顔を出し始めるので、『創発学』は『調査研究プログラム』と『キャリア教育プログラム』の2本立てで行っています。教師から言われたことに取り組むよりも、自分の好きなテーマ、自分が見つけたテーマに取り組むほうがはるかにおもしろく、熱心に取り組むので、中3は15年後の自分をイメージし、そこにつながるテーマの調査・研究を行います。親に話を聞いたり、自分が希望する職業に就いている人に自らアポイントを取って会いに行き、「本当のところはどうなのか」という生の情報を引き出したりしてまとめます。一度発表をさせてから論文を書くのも、中3の『キャリア教育プログラム』の特色です。

『創発学』を支える『読書テスト』では情報を読み取る力を磨く

日本学園_徹底した読書指導!
徹底した読書指導!

谷口先生:『創発学』により、日本語を駆使して自分の考えや思いを伝える力をつけるために、合わせて取り組んでいるのが『読書テスト』です。本来、「本を読んで、必要な情報を取り出し、論理構成して人に伝える」という作業が男子は得意ではありません。そこで年5回の定期テスト終了後に、『読書テスト』を行っています。

例えば中1の1学期中間テストまでは創立者・杉浦重剛先生の本、中1の1学期期末テストまでは杜子春の本、というように課題図書を定めます。そして記述問題で本の内容を問うのです。本は持ち込んでかまいませんが、50分で解くには内容が頭に入っていないと難しいので、生徒たちは2度読み、3度読みしてきます。中には付箋をつけて、すぐに開けるような準備をしてくる生徒もいます。そこまでしている生徒は本読みの深さがまったく違います。国語のテキストを与えても"気づき"が非常に多くなり、質問の質が年々高まってきています。

日本語と英語を同時に鍛える『CLP』で生徒を大きく育てる

日本学園_オーストラリア語学研修
オーストラリア語学研修

谷口先生:さらに本校では、「日本語ができなければ英語はできない」という考えのもと、CLP(コンバインド ランゲージ プログラム/日本語と英語を同時に鍛えていく総合学習プログラム)に取り組んでいます。日本語と英語をコンバインドさせながら、両輪で子どものリテラシーを高めることを最終目標としています。例えば、中3次に全員でオーストラリアへ渡航し、ホームステイをします。そこでは英語で取材活動を行います。生徒たちは"両輪"を回すことにより、それに見合う取材をしてきますし、内容のある記事を書いて発表しています。

水野校長:英語もいろいろなことをやっています。ターム留学は今年初めて行いましたが、参加者4名の内2名が内部進学者でした。

NGP(Nichigaku Glocal Program)※"glocal"とは、globalとlocalを合わせた言葉です。
▼中2 ブリティッシュヒルズ語学研修プログラム
▼中3 オーストラリア語学研修(全員参加/約2週間/ホームステイ)
▼高1 ターム留学(希望者/1月〜3月/ホームステイ/ASAプログラム)

水野校長:参加者の中には、留学する前と比べてTOEICのスコアが300点くらい上がった生徒がいます。留学前は470点、帰国後すぐは740点、直近では845点です。男子は興味関心を持つと、そこからグングン伸びます。その成長の過程を間近で見られることも男子教育の醍醐味です。

コツコツ努力する姿勢を身につけさせる『デイリーレッスンノート』

日本学園_デイリーレッスンノート
デイリーレッスンノート

谷口先生:もちろん努力が苦手だからといって、そのままにしておくわけではありません。中学3年間は、生徒たちに『デイリーレッスンノート』を持たせています。漢字、英単語、英文などを毎日必ず見開き1ページ、学習することを課題とし、翌朝担任に提出させています。その成果として、中3次にはクラスのほとんどが英検の3級以上を取得しています。

中3の『デイリーレッスンノート』は、学習内容を限定せず、各自工夫して大学ノートを活用しています。自ら欲して勉強してほしいからです。この時期になったら自分で自分の将来を心配し、なにをすべきかを自分で考えることが重要なので、いつまでも「ああしろ、こうしろ」ではなくて、「あなたはどうしたいの?」と訊ねるようにしています。

水野校長:つまりは自転車と一緒なのです。乗れるようになるまではつきっきりですが、ある程度乗れるようになったら見守っていればいい。転びそうになったら、また支えてあげればいい。そのほうが子どもは楽しいのです。学び方がわかってきたら、ぴったりと寄り添う必要はありません。ただし、男子は基本「寂しがり屋」です。見守ることだけは忘れてはいけません。

『キャリア教育プログラム』で自分を見つめ、進路を拓いた生徒も多数

日本学園_職業人の生の声を聞くことで、見聞が広がります。
職業人の生の声を聞くことで、見聞が広がります。

谷口先生:本校には中3の『キャリア教育プログラム』で取り組んだテーマが、大学での学びや職業につながった卒業生が多数います。例えば経済に興味をもっていたある生徒は、BRICS(ブリックス/ブラジル、ロシア、インド、中国など、次の経済発展につながる国々の頭文字をとった言葉)をテーマに経済発展の推移をグラフで見せながらプレゼンしました。ちょうど中国が急成長するかしないかの時期です。その生徒は高校に上がるとブラジルに1年留学しました。彼のFacebookを見ていると、最初は日本語表記でしたが、そのうち英語になり、やがてポルトガル語になりました。その内容から教育問題に興味がありそうだったので、帰国してから訊ねると「公立と私立の学校を比較するために、現地の学校にお願いして取材した」とのことでした。彼は「国立大学は無償だが、レベルの高い私立学校に通わないと国立大学は受からない」という社会の矛盾を見抜き、その後、大きな志をもって、立命館大学に進学しました。

日本学園_男の子は1度夢中になったら一直線!
男の子は1度夢中になったら一直線!

私が担当した生徒の中にはウルトラマンをテーマにした生徒もいました。私が「(テーマとして)ウルトラマンはまずいのではないか」と言うと、「ウルトラマンは産業です。ウルトラマンを甘く見ないでください」と言われてしまいました(笑)。彼が興味をもっていた職業は、イベントの仕掛け人であり、自ら円谷プロに出向いてスタッフ15名に取材を行いました。その生徒は青山学院大学を経て、イベンターとして現在活躍しています。

また、恐竜をテーマに古生物について調べた子は、新潟大学の古生物の権威が行う夏の特別講義があることを自分で調べ、高1から高3まで毎年参加し、その新潟大学に進学しました。大学では古生物を専門に学び、そろそろ卒業する時期ですので、将来が楽しみです。

日本学園_日本学園ではプレゼンが当たり前!
日本学園ではプレゼンが当たり前!

彼らは『キャリア教育プログラム』により自分の得意を見つけることができましたが、もちろん進路につながらない子もいます。ただ、1度自分と向き合い、得意を探ったという経験は、"次を探す"力になると思います。

また、取材をして発表すると、話をしてくださった方や協力いただいた方への感謝の気持ちも芽生えます。それは普通の中3ではなかなかできない貴重な体験です。円谷プロに取材するにしても、いろいろな人を介してたどり着いた結果が大学進学、そして現在の職業へと結びついているのです。将来を思い描くことで、日々の学習に対するモチベーションも向上します。思春期を迎える男子にとって『創発学』は、非常に効果的なプログラムと言えると思います。

生徒一人ひとりの将来に目を向けた教育が日本学園の真骨頂

日本学園_昇降口掲げられている創立者・杉浦重剛のことば
昇降口掲げられている創立者・杉浦重剛のことば

水野校長: 本校には、「身心清潔見義明決者得稱大日本人」(身も心も清らかで、筋道の通った正しい行いをし、世界の人と交わっても恥ずかしくない人物となれ)という創立者の言葉がありますが、何かをやろうと思っても身体や志がしっかりしていなければできません。さらに、『創発学』により得意を伸ばしてあげれば、生徒たちはぶれることなく成長できます。

谷口先生:私は、取材に行く生徒には「特ダネを取ってこい」と言っています(笑)。特ダネを取るということは、自分しか目をつけていない、一番すごい素材を見つけることができるということです。文章を書くにしても「これがおもしろかった」というセンスを感じさせることが非常に重要であり、特ダネを見つけることはそういう感性を磨くことにつながると思っています。

水野校長:私たちは「人として生きていくための広い学びを、中高時代に身につけておかないと本当におもしろい人間にはなれない」という考え方のもとで日々の教育に取り組んでいます。これが人間形成を目的とする日本学園(にちがく)の130年あまりの歴史であり、そういう学校だからこそ卒業生は個性派揃いなのです。

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