学校特集

聖徳学園中学・高等学校

STEAM教育で磨かれる21世紀を軽やかに生き抜く力
温かな信頼関係の中で育まれる
能動的な姿勢と伸びやかな創造性

2017年、創立90周年を迎えた聖徳学園中学・高等学校。
地球人として全世界的に物事を捉え、思考する力を育成するために21世紀型教育を行っています。
現在推し進めているICT教育とSTEAM教育について、さらに生徒一人ひとりの可能性を引き出す新校舎について、学校改革本部長の品田健先生と情報システムセンター長の横濱友一先生にお話を伺いました。

STEAM教育を促進する校舎

聖徳学園中学校_学校改革本部長の品田健先生
学校改革本部長の品田健先生

聖徳学園では、2015年よりICT教育が本格的に導入されました。現在の中3より入学時に全員がiPadを所持し、学校生活の中で積極的に活用されています。その上で現在学園で推進しているのが、「STEAM教育」です。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)のそれぞれの単語の頭文字をとったもの。これからの世界を生きる子どもたちにとって不可欠な力です。

今年4月から使用が開始された新校舎を中心に、これらに目が向く学びが仕掛けられています。

中1のICT授業の実践例

聖徳学園中学校_情報システムセンター長の横濱友一先生
情報システムセンター長の横濱友一先生

横濱先生が中1で週1時間実施しているICTの授業で行ったのは「フリーフォールエッグ」。卵と紙と糸などを使って、卵を落としても割れない仕組みを作ります。

授業は2回続きで行われ、初回はスローモーションで撮られた卵を落とす動画を見て、どのように落下しどう割れるかを研究。Web検索も自由なので、生徒たちはiPadを使って調べたり分析したり、あらかじめ正解動画を確認したりしました。その上で次回の授業までの1週間で、各自がどんな装置を作るのかを考察しました。

翌週の授業では、スポンジなどの資材を使って卵を包み、実際に落としてみます。この授業の狙いについて横濱先生は、
「正直なところ、卵は割れてもいいのです。ここで養いたいのはコミュニケーション能力だからです」と話します。

聖徳学園中学校_活気あるICTの授業風景。
活気あるICTの授業風景。

授業の始まる直前に3〜4人一組のチーム分けが発表されます。生徒たちは制限時間の中で話し合ったり手を動かしたりして、それぞれが考えてきた装置を協働しながら作ります。

この実験では、授業直前割り振られるチーム分けだけでなく、生徒たちには様々な負荷がかけられています。
「6チームに分かれましたが、各班に割り当てられる資材のほか、クラスでハサミは2本、タコ糸は巻かれたもの1つのみを使用します。自分たちの班で熱中していても、周りのことも見られる能力がほしいからです」(横濱先生)

自分が所属するコミュニティで能力を発揮できても、それを取り巻く社会(授業)でもコミュニケーションを図れる人材を育成することが目標です。さらにWebに載っているこの実験は、30分で行う構成になっています。それを15分間で行うため、生徒たちは協力しながら時間を短縮する方法を探り、効率化を計らなければなりません。

生徒たちに何を求めるのか

聖徳学園中学校_男女の仲の良さも自慢
男女の仲の良さも自慢です。

横濱先生は、この授業の手応えについて笑顔で話してくれました。
「授業の最後にリフレクションの時間を設けています。生徒たちに『今日、先生が伝えたかったことは?』と尋ねると、「チームワークがうまくできた」という声が上がりました。最初から全員がその狙いに気づくということはありませんが、班の誰かとその思いを共有していくことで、それぞれの視野も広がっていくことでしょう」

横濱先生は、生徒たち自身が気づきを得たことがこの授業の最大の収穫だったと言います。
「本校の生徒たちは、気遣いをしながらも自分の意見をきちんと言う、という中間地点を探りながら取り組めていました。生徒たちにとっては楽しい授業だったようで、僕もうれしかったです」

聖徳学園中学校_中1ファームステイ
中1で行われるファームステイは
農村を知り、理科的視野も養います。

品田先生は、「生徒たちは終了後、これで終わりにするのではなく、もっといい方法や他の方法がなかったか、調べたり考えたりすると思うのです」と言います。

なかには理科や技術の先生に意見を求める生徒もいるそうです。科学的・工学的な視点を磨くだけでなく、コミュニケーションも培われる活動の一例です。
さらに理科の授業で物理的な説明がなされることで、さまざまな方向からこの事例について考える力が養われるでしょう。同じ教材で異なる方向性から負荷をかけることによって、生徒たちの学びがより促進されます。

これが聖徳学園で実施されている、STEAM教育の一つの姿です。

高校生が中学生に敗北⁉

聖徳学園中学校_工夫を凝らしてぺーパータワーを作ります。
工夫を凝らしてぺーパータワーを作ります。

教科や学年を超えた授業も積極的に行われています。この春、高校生の情報と中学生のICTの授業で一緒に実施したのは「ペーパータワー」の作成です。

ノリなどを使わずに、紙で一番高いタワーを協力して作ります。もちろんこのチームもその場で発表されたメンバーです。中1生と高1生が同じ課題に同時に取り組みましたが、進め方などに大きな違いが見られたそうです。

高校生は話し合うことに慣れているため、PDCAサイクルに基づきプランを立て、最も強い構造とは?といった議論を行います。
「このタワーは最後に上部におもりとして消しゴムを乗せます。高校生は練りに練った自分たちのプランはうまくいくと思っています。時間いっぱいまで考えて、いざ作って消しゴムを乗せた瞬間に壊れ、タイムアップとなり結果記録がゼロというチームも出ます。話し合いも重要ですが、やってみることも大切ということに気づきます」(品田先生)

中学生たちは、話し合いもしますが、まず手を動かしてみる生徒もいるそうです。試してみて失敗すると他の方法に切り替え、トライアンドエラーを繰り返しながら意外とできてしまうのだとか。

品田先生は、「これを双方に見せることが大切です。中学生は見切り発車で始めても話しすぎても上手くいかないことを学びます。高校生は中学生の発想力に驚かされるでしょう」

高校生は紙同士をぐしゃっと握って組み合わせる中学生の様子にびっくりしたそう。考え方がしっかりとしていても、最終的に崩れてしまえば、2段でも積み上げられた中学生たちのほうが良い結果となります。

この授業の狙いの一つは、正解のない問いを探ること。組み合わせ、チームを変えるのも有効で、多様な発想に触れたり、行動に移す大切さを学びました。

未知の問題に取り組む

聖徳学園中学校_コミュニケーション能力が高い生徒が多くいます。
コミュニケーション能力が高い生徒が多くいます。

高1が情報の授業で取り組んだのは「火星ゲーム」です。2015年公開の映画「オデッセイ」から着想を得たもので、3人一組で火星に取り残された宇宙飛行士と仲間を残して帰還した宇宙飛行士、NASAのスタッフ役に分かれてそれぞれの立場での話し合いを行います。最終的にNASAとしての声明文を作りますが、この3人で徹底的に議論して出したものを最適解とします。

まずは同じ立場の生徒たちで話し合いをし、その後チームに戻って、各立場で話し合いをします。正解が決まっているわけではないので、グループ同士での意見交換も大歓迎です。

「あっちのチームは助けないって言ってる!」、「こっちは絶対に助けるよね!」といったやりとりがあちこちで起こります。様々な意見やシチュエーションに備えて話し合います。

助けに行くのに何年かかるか、ひとりを助けるために複数人の人材やお金を投入できるのか、そのひとりは助かったとしても、救助隊に何かがあったら。いや、最悪の場合は......。そのお金があったら、飢餓で苦しむ人々を救えるのでは? 生徒たちにたくさんの試練が降りかかります。ここでももちろんWebで調べてOKです。

「様々なリスクを考えて、例えば隠蔽するとどうなるのか。『正しいかどうかは別として、世の中でもよくあるよね。でも必ずリークされてしまう。それがバレたらもっと大変なことになる』と伝えました。生徒たちは、思考を行き来させてブレることもありますが、それでもいいと思うのです」(品田先生)

それぞれの立場を慮りながら、自分の主張も伝えつつ議論を重ね、最適解を探っていく授業は、まさに21世紀型教育の目指す一つの形といえるでしょう。

鉛筆、消しゴム、iPad

これまで見てきたようにICTの授業だからといって必ずiPadやMacBookを使うわけではありません。その理由を品田先生はこのように話します。
「すべてがICTに置き換わるのではなく、生徒にとって新たな文房具、学びのツールとしてICTがあると考えています。彼らがこれからの社会で生きていく必要な能力を身につけるための一つの手段として、ICTを学んでいるという認識です」

聖徳学園中学校_それぞれが使う選択も使わない選択誌もあります。
それぞれが使う選択も使わない選択肢もあります。

例えばこの日、新校舎1階のラーニングコモンズで行われていたのは、中3の国語・俳句の授業です。

まず講義型の授業で俳句の成り立ちや種類、鑑賞などについて学んだのち、その後自分でも俳句を作るなど、俳句をあらゆる角度から学びました。
その上で、この日はグループごとに一句選び、「この俳句のどこが良かったのか」を生徒同士で教え合う授業を展開していました。
3分間、その作品について語りますが、3分は大人でも至難の業。それにもかかわらず、自分の授業を聞いてほしくて呼び込みをする教師役の姿も見られます。

授業の様子を見ていると、紙に手書きする生徒がいれば、タブレットに書き込んだり打ち込んだりする生徒がいて、それぞれが好きなツールを自由に使っています。

横濱先生は、
「中3はICTが導入された最初の学年ですが、生徒たちのなかで、iPadが文房具の一つとして自然と鉛筆や消しゴムと同列で根付いているのでしょう。紙に書いたほうがいい時、写真に撮ったほうがいい時、生徒たちはそれぞれのリテラシーを持って活用しており、理想的な使い方が身についているのではないでしょうか」と言います。

品田先生がさらにこう教えてくれました。
「ICT化が進むと集約されて、手で字を書くことがなくなってしまうのでは、と危惧する方がいますが、本校の生徒は自分にふさわしいものを選択しています。その上で情報を共有する時、きちんと伝えるためにはどうしたらいいのか、単なる報告だけでなく自分なりに考えた情報を付加することがコミュニケーションの第一歩なのだと生徒たちは体験を通じて知ることになります」

聖徳学園中学校_早稲田大学などと高大連携授業も実施。
早稲田大学などと高大連携授業も実施。

伝える経験の繰り返しで、自分自身は何を使えばベストなのか、という状況判断を身につけていきます。

「ICTは何にでも使えるものということに気づけないと、導入の成功とは言えないと思います。先生がタブレットの使用を強いたり、生徒は決まった使い方しかできないのでは意味がありません」(品田先生)

横濱先生は、次のタームに入った聖徳学園のICT教育についてこう話します。
「ICTを導入して効率化を図る段階を経て、生徒たちが課題発見から問題解決へとどんな行動を起こせるか、それがどう成長につながるのかということを、状況を見極めながら指針を示すことがこれからのICT活用の姿だと思います。後輩たちに使い方をどう伝えられるか、それを受け継いだ後輩たちがもっと発展・拡大できるのかということが求められます。生徒たちが気づきを得られるように、教員がファシリテート能力を発揮することが、我々のICT教育に対する姿勢です」と言います。

その一方で、プログラミングの授業も行われており、今後必須といわれるスキルを身につけられる内容もきちんと用意されています。

ICTはあくまでもツールであるという考えのもと、時々に応じた状況を見られる力、自分で取捨選択できる行動力や判断力も培っているのです。

学校外のコミュニケーション

日常にICTを駆使する環境がありますが、現代において社会問題化していることの一つに、特に中学生によるSNSにおけるコミュニケーションの難しさがあります。

聖徳学園中学校_学校行事で友達との絆がより深まります。
学校行事で友達との絆がより深まります。

聖徳学園では昨年から「Talknote」というSNSを使っており、各方面から大きな注目を集めました。

「本校は800人ほどの生徒と100人強の先生方の集合ですが、267のグループがあり(2017年6月現在)、昨年1年間では約18万7千件のコミュニケーションがなされました。およそ半数は学校にいない時間帯に行われたやりとりです。このSNSがなければ、この18万件を超えるコミュニケーションはなかったかもしれません」(横濱先生)

ここで行われているのは、リアルなコミュニケーションの延長上やその一歩手前の部分。
例えば文化祭での企画について学年のグループを作って、企画の責任者に諸手続きを指示したり、参加希望者を募ったり、それぞれが呼びかけあったり、時にはみんなと共有しやすい使い方についての指南も行われます。

この「Talknote」を使って、SNSの使い方を具体的に学ぶことができました。
ICT教育先進校の聖徳学園だけあって、SNS上での人格も一つの個性として認め合う環境が整っています。だからこそ、横濱先生はこのツールについてこのように話します。

「SNSでありながら、生身に近いコミュニケーションがはかれる素晴らしいツールです。ただし、これだけでは通じないことに気づく機会ともなっています。リアルがあるからこそ、バーチャルなコミュニケーションが成り立つことに気づいた生徒が多くおり、むしろ関係性が深まっていくことを感じました」

聖徳学園中学校_地上3階、地下1階建ての新校舎。
地上3階、地下1階建ての新校舎。

学校からのお知らせや面談の日時の相談など、保護者ともこのSNSでやりとりをしています。既読かどうかもわかるので、未読の場合には個別にお知らせすることもできます。
「学年通信などを掲載した時、保護者から『いいね』がつくと、担任は仕事へのモチベーションが高まります」

ICTの活用により、コミュニケーションは無限の広がりと可能性を持っているのだと感じられる一例です。

コミュニケーション能力の種とは

聖徳学園中学校_中3ニュージーランド研修旅行。
海外との交流も盛んに行われています。
写真は中3のニュージーランド研修旅行。

これら様々な活動を通して、コミュニケーション能力を磨いている聖徳学園の生徒たちですが、校内を歩いていると気づくのが、多くが挨拶をしてくれることです。校風について、卒業生でもある横濱先生はこう教えてくれました。

「授業や学校生活の中で、様々な経験を積み重ねていくことで培われるコミュニケーション力は大きいと思います。ただし、授業以外での要素がこの学校にはあると感じています。改めて実感したのは先生と生徒の距離が近いこと、人間に興味のある人懐こい生徒が多いのです。もともとコミュニケーションがしやすい温かな環境があるのでしょう。新校舎は明るく開放的な空間です。こういうところで学んだほうが、いろいろな情報が取り込みやすくなるかもしれません」

もともと持っているオープンな気質と温かな信頼関係が築ける環境がある聖徳学園。
生徒同士が学び合い、能動的に学んでいく姿勢を養っています。

屈託ない生徒たちはこの環境の中で互いを鍛え合うことで、未知の世界と出合っても、その状況を楽しみながら生き抜くことのできるタフな精神力と日本人らしい気遣いを持ちながらコミュニケーションをとることのできる、きめ細やかな人間として育っていくのでしょう。

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