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学校特集

十文字中学・高等学校2025

多彩な繋がりと多様な経験から夢を描き大きな成長を促す

掲載日:2025年9月27日(土)

1922年、「学びたい」と願う女性に教育の機会を与えるために創立された歴史を持つ十文字中学・高等学校。現在も「自立した、社会で活躍できる女性」を育成すべく、様々なアプローチで生徒たちの知的好奇心を刺激し、人間的な成長を促し、将来を見据える教育を行っています。入試広報部主任で探究アドバイザーの松本高陽先生と英語科の土谷明子先生、また特別講座のために同校を訪れていた台湾實践大学のNick Vasiljevic国際ビジネス助教授にお話を伺いました。

生徒たちの知的好奇心を刺激する教養講座

「主体性の伸長」、「社会性の涵養」、「基礎学力の徹底」を3つの柱として教育目標に掲げる十文字中学・高等学校。柔軟性と主体性を持つ女性の育成を目指し、生徒たちの未来を見据えた学びの機会をふんだんに用意しています。

十文字_イタリアからの留学生と共に書道を楽しむなど、趣向を凝らした様々な教養講座が行われました
イタリアからの留学生と共に書道を楽しむなど、趣向を凝らした様々な教養講座が行われました

 取材に伺った日は、希望者参加型の教養講座が開催され、夏休みながら校内は活気に満ちていました。東京電気大学の先生による段ボールでの椅子作りやプログラミング、モルガン・スタンレーによる株講座など、中学生も参加できるバラエティ豊かな学びが用意され、積極的に取り組んでいました。

 入試広報部主任の松本高陽先生はこの教養講座について、
「生徒たちの視野を広げる様々な講座はこれまでも行ってきましたが、2024年からはより多くの生徒たちに届くよう講座化しました。生徒たちからも好評を博しています」と話します。

 昨年に引き続き行われたのが、中3から高3の17人の生徒が参加した台湾の實践大学との特別講座です。同大の先生方と学生たちが十文字を訪れ、3日間の英語によるワークショップを実施。今年から中3も参加可能になり、5人の中3生が挑戦しました。

 英語科の土谷明子先生は「オールイングリッシュで実施されるので、英検準2級以上を持っていることを条件としましたが、取得級より参加したいという生徒の気持ちを優先しました」と教えてくれました。

十文字_スイス出身で「日本のことが大好き」と話すニック先生
スイス出身で「日本のことが大好き」と話すニック先生

 台湾實践大学のNick Vasiljevic国際ビジネス助教授(以下、ニック先生)は、今回の学びの狙いについて、
「難しい課題に向かって、新たなものを生み出しながら挑戦する姿勢とクリエイティブに課題解決する力を養ってほしいと考えています」と話します。

 アメリカでもビジネスを展開し、台湾でドイツ系の企業のCEOも務めた国際経験豊富なニック先生。そうした経験をシェアすべく台湾で教鞭を振るう先生に、クリエイティブとは?と伺いました。

「世界は目まぐるしく変化し、2年後すら予測がしにくい状況です。まだ若い生徒たちが仕事に就き、退職するまでには50年以上の期間があります。
 そのため、これからの子どもたちは変化に合わせ、自分でクリエイティブに調節できる力をつけることが大切です。学校はその未来のために備えなければいけません。

 物事は全て白か黒かで判断できるものではありません。クリエイティブに大切なのは、その学びから得た様々な視点を繋げ、豊かな色彩を生み出すことです。
 今の子どもたちを取り巻く環境は情報が多すぎますし、情報が簡単に見られると想像の余地がなくなってしまいます。例えば空を見てぼけっと無になるような時間がなければ、クリエイティビティは生まれません。スマートフォンが深い学習を阻害していることは明白であり、その危険性に若い人たちが気づいていないことを危惧しています」

 ここで思い出すのは、スティーブ・ジョブズは思考力・創造性への悪影響や依存性の高さから、自分の子どもには14歳になるまでスマホを与えなかったというエピソードです。
「ジョブズはソニー創業者の盛田昭夫会長の考えに影響を受け、学んでいます。ソニーは技術や顧客からの視点などの全てを繋げプロダクトしていたことはひとつの好例です」(ニック先生)

国際感覚を養いながら、自身の言葉で発する自信をつける

十文字_實践大学だけでなく、様々な国の学校と学びの機会があります
實践大学だけでなく、様々な国の学校と学びの機会があります

 實践大学との教養講座では、グループで身近な課題を話し合いました。生徒たちが挙げたテーマは、学校の近くの信号が変わるのが早い、正門前の道路が狭くて危ない、学校のスリッパが大きくて履きづらいなど、彼女たちが自分ごととして抱えていた問題です。改善点について英語でディスカッションし、最後はパワーポイントでまとめ、発表しました。

「生徒たちは2時間ほどで、課題解決について論理的に考えられていました。
 今日は3日目で英語でのコミュニケーションにも慣れてきていたので、なぜそう思ったの?など、意図的に深く切り込むような質問を立て続けにしました。厳しい時間だったと思いますが、生徒たちはしっかりと答えてくれ感銘を受けました」とニック先生。

 昨年の実施時、實践大学の先生方に「間違ってもいいから、自分の言葉でどんどんSpeak out(恐れずに堂々と発表すること)していこう!」と促されていた生徒たち。

「台湾の先生方は普通の速度で話すので、初日は英語が聞き取れず不安そうな生徒もいましたが、台湾の方たちにとっても生徒にとっても、英語は外国語。間違えても大丈夫と伝えてくれ、安心感を得て、生徒たちの話す量も次第に増えていきました」(土谷先生)

 ニック先生は同校の生徒たちについて、「最初はとてもシャイでしたが、触れ合っていく中で安心して心を開いてくれたのか、のびのびと学んでくれたことが印象的です。ただしシャイさというのは、知的である証拠。周りの状況を見ているということなので決して恥ずべきことではありません」と話してくれました。

人々との交流を通じ、多様な学びを得る

十文字_「お祭り」をキーワードに日本と台湾の文化比較も行いました
「お祭り」をキーワードに日本と台湾の文化比較も行いました

 3日目の午後は、日本のお祭りと台湾夜市を模した屋台を企画してみんなで楽しみました。
「昨年参加した生徒は、台湾の方たちのホスピタリティの高さを体感し、私たちは何もしてあげられなかったという思いを抱えていました。昨年に続き受講した生徒たちは積極的に発言し、動いて他の生徒たちをリードする存在に成長し、前年の後悔を活かせた成長ぶりに目を見張りました。周りの生徒たちも、次の機会にはそうした役回りになれるのかなと思っています」と土谷先生。

十文字_十文字の充実した英語教育を受けたいと高校から入学したM.K.さん
十文字の充実した英語教育を受けたいと高校から入学したM.K.さん

 この特別講座に参加した生徒たちは、何を感じたのでしょう。
 英語は比較的得意と話す高1のM.K.さんは「英語の力をもっと深めたいと思ったことと、台湾の人々と直接コミュニケーションが取れる貴重な機会と思い、参加しました。
 1日目は何を話していいかわかりませんでしたが、3日目には文脈や問われていることが理解できるようになり、思いも伝えられるようになっていきました。
 最初は緊張しましたが、話していくうちにだんだん楽しくなりました。怖がらずに外国の方とももっと話したいと思いましたし、国や言語を超えてコミュニケーションできた時のうれしさや楽しさ、充実感が得られました」と話します。

十文字_他の生徒たちの分の浴衣もたくさん提供した、中3のS.M.さん
他の生徒たちの分の浴衣もたくさん提供した、中3のS.M.さん

 海外の方と接するのが好きで、英語の勉強を頑張っている中3のS.M.さん。
「ニック先生が次々と疑問をぶつけてこられましたが、しっかり考えなければ答えられないので、課題解決に向かう姿勢が養われたと思います。いろいろな面で学びが深まり楽しかったですし、日本人の先生方にもほめていただき、うれしかったです」

 S.M.さんは今年の春休み、マレーシアでの1週間の短期留学に個人的に参加しました。
「日本語を使ってしまう機会が多かったこと、勇気が出なくてみんなと食事ができなかったことを後悔していましたが、今回は自分から誘えました。英語ができればたくさんの方とコミュニケーションを取れますし、世界のどこでも働けます。それはとても素敵なことです」

「生徒たちにとって挑戦も多かったでしょうが、濃い充実した3日間だったと思います」と話す土谷先生。S.M.さんたち中3生の頑張りに感動したと教えてくれました。
「彼女たちが台湾に親近感を持ってくれ、英語でのプレゼンに自信がついてきたところで、高校生になった時、台湾でのプログラムに繋げていけたらと楽しみにしています」

 と言う通り、8月には十文字の有志の生徒たち5人が、實践大学での2週間のプログラムに参加しました。午前中は英語の授業に取り組み、午後は台湾の文化を学習。生徒たちは他の参会者(総勢60名)と同じ寮に宿泊し交流を図りました。

「市内観光なども行いますが、課題も多く出されます。2週間英語漬けの環境にいるとかなり負荷がかかりますが、それを乗り越えた生徒たちからは自信に満ちた笑顔が溢れていました。
 このサバイバルのような2週間を共に過ごした生徒たちは学年が違っても仲良くなります」(土谷先生)

 このように自分で動いていくことで、さらなる繋がりが拡張していくのです。

多様な学び方から、自分の将来を描いていく

十文字_東邦大学での看護体験。様々な経験をすることで、興味関心と資質のバランスも知ることができます
東邦大学での看護体験。様々な経験をすることで、興味関心と資質のバランスも知ることができます

「学びたい生徒」を全力でバックアップする十文字。ワシントン大学や成城大学、東京薬科大学、順天堂大学、東邦大学、東洋大学、日本女子大学、東京女子体育大学など、各分野に強みを持つ国内外の10以上の大学などと連携協定を結んでいます。生徒たちは大学の学びを享受したり、単位の互換制度があったりと多様な機会が用意されています。

 探究アドバイザーでもある松本先生は、
「本校にはいろいろな選択肢と多彩な夢を持ち、様々な個性を持つ生徒たちが集っています。そうした環境下で個性を尊重し合いつつも、互いに通じ合う部分を感じていて、他者のことを思いやれる生徒たちが多いことが本校の魅力の一つです。
 そういう生徒たちがグローバルかつローカルに活動していく中で、探究学習なども通じてやりたいことを見つけ深めて、将来への強い意思を持ってほしいと願っています」と話します。

 十文字では高校から、3つのコースに分かれ学んでいます。
・リベラルアーツコース:幅広く学ぶことで将来の可能性を広げ、新たな価値を創造する
・特選コース:未来(大学入試)を切り拓く武器として、学力に特化することを選択し、自らを磨き上げる
・自己発信コース:週4時間の探究活動で能動的な学びを深め、自己表現力を養う

十文字_生徒たちそれぞれが堂々とプレゼンする、J-Lab探究発表会
生徒たちそれぞれが堂々とプレゼンする、J-Lab探究発表会

 自己発信コースでは高1で、他コースでは高2で「マイテーマ」を設定し学びます。松本先生は「テーマを持って探究すると言うことは簡単ですが、実際に進めるのは意外に難しいこと。そのためテーマは、好きなことやワクワクすること、もう一方は嫌だと感じることやモヤモヤすることという、2つの軸から考えていきます。ワクワクは学問探究や物事の真理の探求になりますし、モヤモヤは社会課題にも繋がります」と教えてくれました。

「探究学習を推進する中で、学校にだけとどまっていたら何も見えてこないことに生徒たちも気づいてきています。
 例えば皮膚に線が入ってしまう『線状皮膚萎縮症』という病に悩む生徒がいます。探究のテーマとし、iPS細胞や再生医療で解決できないか研究室訪問をしたところ、現在の技術では困難でした。しかし将来は治せる可能性があると、医療系への進学を志望しています。
 また、ミュージカル好きを活かしてアメリカ・シアトルに2週間ほど留学した生徒は、自分たちで考える自由度の高い学びの中で、自己肯定感が上がる『ミュージカル教育』に着目し、現地で学んできました。日本の教育の中に組み入れたいと文学系の進路に向けて頑張っています」と松本先生。

 生徒たちは探究を通じて、自己肯定感の低さに向き合ったり、日本を超えた広い視点を持ったり、それを進路に繋げて行動を始めています。
「探究を進めるために外に出ていくことで、やりたい将来がより身近で具体的になっている印象があります」(松本先生)

十文字_進みたい未来が見えるから、学習にも邁進できる環境です
進みたい未来が見えるから、学習にも邁進できる環境です

 松本先生がさらに教えてくれたのは、海外のプログラムに参加した際の経験を取材したある生徒について。
「海外で自分が伝えたいことが言えなかったもどかしさを思い出して、インタビュー中に泣き出してしまいました。自分の言葉でもっと伝えられるようになりたいと、そのあとめきめきと成長。様々な発表の場面で代表に選ばれるようになり、探究発表会では堂々とマイテーマをプレゼンして準グランプリに輝きました。あんなに泣いていた子が何百人の前で発表できたことも素晴らしいですし、テーマに則し理系を目指していることに喜びを感じています」と目を細めます。

「理系進学者は3割程度おり、教育系や体育・美術系だけでなく、海外大学へは今春10名が合格をいただくなど、本当に幅広い進路選択が本校の生徒たちの特徴です」と松本先生。

 十文字では他にも様々なプログラムを推進しており、中には生徒発信で広がりを見せたものも。
「最初は高1と高2の10人くらいで始まった『子どもスキップ』という学童保育のお手伝いは、活動を聞きつけた希望者が増え、今や50人ほどの規模になっています」と松本先生。
 さらに巣鴨警察署とコラボした交通安全運動や学校近隣のゴミ拾いなど、地域との連携も強化しています。

 穏やかな環境の中、生徒一人ひとりの可能性を存分に広げている十文字の教育。生徒たちがいきいきと学ぶ様子を見に、ぜひ学校へ足をお運びください。

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