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学校特集

東京家政大学附属女子中学校・高等学校2023

海外留学を充実させKASEIからSEKAIへ東京家政大学附属女子の学び
地に根を張り、天に翼を広げる生徒たちを後押し

掲載日:2023年5月26日(金)

 140年以上の歴史を持つ東京家政大学附属女子。建学の精神「自主自律」できる女性を育てるために、生活信条「愛情・勤勉・聡明」を掲げています。2020年度からは国際バカロレアの中等教育プログラム候補校として認定され、"KASEI"から"SEKAI"へ向けて、大きな一歩を踏み出しています。
 今回は、中学校・高等学校統括責任者と高等学校校長を兼務する大澤力(つとむ)先生に、同校の展望についてお話を伺いました。

建学の精神「自主自律」とは、地に根を張り、天に翼を広げること

「東京家政大学を世界一の学校にしたい」と就任時から意気込んでいた大澤力先生。その思いは、今も変わらないと言います。

東京家政_中学校・高等学校統括責任者、高等学校校長の大澤力先生
中学校・高等学校統括責任者
高等学校校長の大澤力先生

「中高一貫教育の6年間は、人の一生を決める大切な時期。本校にはその大切な時期に寄り添える、誠実さと一生懸命さを兼ね備えた教員が揃っています」

 140年以上続く歴史の中で、同校は建学の精神「自主自律」を掲げてきました。

「自主自律という言葉は、現代を生きる生徒たちにとって、やや伝わりにくく感じるかもしれません。ですから私は自主自律を、『地に根を張り、天に翼を広げる』ことだと、わかりやすくして伝えています」

 地に根を張るというのは、「つまり自分たちが生きることだ」と、大澤先生は言います。生きるために必要な衣食住を実感し生活する日々。それは同校の広大なキャンパスで自然を感じながら育ち、スクールランチ(完全給食)などを通して食を学ぶことにつながります。この豊かな時間が、自身の健康や将来の進路、食品ロスなどの社会問題に目を向けるきっかけになるのです。

 また、「アドミッションスタッフ」の活動も重要です。アドミッションスタッフとは、学校説明会などで受験生と保護者をお迎えし、学校生活や勉強方法について話をする在校生の活動です。受験生に説明するために学校の良さを自ら見出す時間は、同校へ通う生徒たちにとって自信につながるのです。

「一方、『翼を広げる』とは、生徒たちが自らの人生を切り開くこと。つまりはキャリア教育と関係しています」

東京家政_自主自律像と東京家政大学附属女子の校舎
自主自律像と東京家政大学附属女子の校舎

 同校はキャリア教育において、世界平和を願いながら生涯学び続けるという価値観を大切にしてきました。その価値観は、国際バカロレア(以下IB)が掲げる全人教育とも共通します。

 このことから、同校は2020年度より、IBの中等教育プログラム(MYP)の候補校となりました。

「これにより、"KASEI"から"SEKAI"へはばたく生徒たちを一層支援できる環境が整いました。本校が目指す人物像は、国際的な視野を持つ価値観に基づいたIBの10の学習者像とも重なっているのです」

 IBが掲げる10の学習者像
・探究する人
・知識のある人
・考える人
・コミュニケーションができる人
・振り返りができる人
・信念をもつ人
・心を開く人
・思いやりのある人
・バランスのとれた人
・挑戦する人

 "KASEI"から"SEKAI"へ。このキャッチフレーズの"SEKAI"が意味するのは、外なる世界のグローバルだけではないと大澤先生は言います。

「"SEKAI"とは、生徒自身の内なる世界も示しています。中高の大切な6年間で自分の世界を確立する。そして、自信をもって、外の世界と力強くつながっていく。自主自律という言葉が『地に根を張り、天に翼を広げる』と言い換えられることを理解していただけると思います」

広大なキャンパスとスクールランチで、生かされている自分に気が付く

東京家政_事務室前のガーデンには、「アンネのバラ」が植えられています
事務室前のガーデンには、「アンネのバラ」が植えられています

 同校の広大なキャンパスと豊かな自然は、都内でも類を見ない素晴らしい教育環境です。中高と大学はワンキャンパスでつながり、その広さは約9万平米。全国学校・園庭ビオトープコンクールで8度も入賞したビオトープも設置されています。ビオトープには120種の野草が植えられ、校内では2000本の樹木と200種を超える野草、約25種の野鳥が見られます。

「生徒たちは豊かな緑と触れ合うことで、自分の体さえ自然の一部なのだと実感し悟ることができるでしょう。空気を吸って生きること。自分以外の命をもらって食べること。すべての循環の中に自分がいることを体験する時間は、彼女たちの未来を支えるはずです」

 さらには、「食材を育てることで、もっと食を身近に感じてほしい」という大澤先生の願いから、千枚田での田植えを体験する中学1年生の宿泊研修も始まりました。千葉県にある校祖・渡邉辰五郎さんの生誕の地を訪ねるほか、飯盒(はんごう)炊飯やジャム作りを行います。

東京家政_クラスメートと食べるスクールランチは格別の味
クラスメートと食べるスクールランチは格別の味

「将来的には、校内に田んぼを作る予定です。全学年が体験できる広さにはならないでしょうが、興味を持つ子が集えるくらいにはなるでしょう。そうやって、食が身近に感じられる日々は、生徒たちの心を豊かにしていくと思います」

 食の大切さは、完全給食で味わう中学3年間のスクールランチからも学びます。豊洲市場直送の食材を使って、1年間違うおいしいメニューを提供。この年頃に必要な鉄分やカルシウムを意識した、野菜がたっぷりと入った献立で、ご飯を主食とした一汁三菜+乳製品の日本型食生活を取り入れています。

 スクールランチでは旬の食材や食事マナーなどを生徒に伝えるほか、栄養教諭指導のもと、年に2回、学年ごとに異なるテーマで食育教室を実施。栄養バランスやダイエットの正しい知識など、自分の健康を守るために必要なことを身に付けます。

中高大連携で、生徒の興味・関心のきっかけづくり

東京家政_大イチョウの下を、友達と歩く生徒たち。大学生の様子を目にすることもあります
大イチョウの下を、友達と歩く生徒たち。大学生の様子を目にすることもあります

 キャリア教育では、25歳の自分を想像し、なりたい自分に近づく「ヴァンサンカン・プラン」を実施。大学分野別模擬体験授業などを実施していますが、今後はさらに中高大の連携を加速させると言います。その一つとして、高校の家庭科で選択する保育の授業では、東京家政大学子ども支援学部で教鞭を取る和田明人教授が、附属出身者も含む大学生とともに参加しています。

「担当する大学生は、中高一貫校の卒業生。身近な先輩が授業をする姿に、保育を志す生徒は『しっかり勉強して、いい保育者をめざそう』と思いを新たにすることでしょう」

 東京家政大学造形表現学科にある陶芸の窯を使って、美術を選択する高校生が焼き物を体験する取り組みなども行われています。

「大学には世界的に有名な研究者が教授として在籍しています。教授たちと話をする機会を作ることは、子どもたちの知的な興味・関心を引き出すきっかけになるでしょう。大学教授にとっても、生徒に教える経験はいい勉強になると思います」

 一方、高校には、「生涯、学び続けられる人」という同校の生活信条を体現した教員がいます。

「生物を担当する高校の教員は個人で研究を続けており、文部科学省が優れた研究に補助金を出す科学研究費補助金を取得しました」

 生徒と生活を共にする教員が、人生をかけて学び続ける姿を間近に感じることは、生徒自身も将来を思い描くきっかけになることでしょう。

今年度から海外研修を再開。長短期留学が充実

 今年度からは、海外研修が再開します。同校では"KASEI"から"SEKAI"へを、より一層強めるため、中3と高2で行う海外修学旅行に加え、ニュージーランドの大学とカナダの高校と提携した長短期留学のプログラムを拡充することとなりました。中でも、カナダはIBの認定校を目指す高校で、大澤先生は、「海外のIB校とつながることで、柔軟な指導を目にできる機会」と期待しています。

「IBという共通の価値観を持つ学校と繋がることで、本校の生徒が現地に行ったときに共感を抱くだけでなく、海外の生徒を本校へ受け入れる機会にもつながると考えています」

 生徒たちが海外研修へ行く機会は、次の通りです。

・シンガポール修学旅行
中学3年生で行う修学旅行では、9月に5日間シンガポールを旅します。テーマは「ふれあいと学びの旅」で、現地の情報について事前学習し、修学旅行中に現地の文化や人々と実際に関わります。帰国後は修学旅行での内容をレポートにまとめ、プレゼンを行います。

・オーストラリア修学旅行
高校2年生の修学旅行では、9月にオーストラリア・シドニーを6日間訪れます。現地の大学生を交えて班別行動を行うほか、少数グループでファームステイを行い、これまでに培ってきた英語力を使って、コミュニケーションを図ります。特進クラスは学校交流を行い、現地の高校生と交流を行う時間も。

東京家政_ニュージーランドのMassey Universityと提携する同校
ニュージーランドのMassey Universityと提携する同校

・ニュージーランド短期留学
ニュージーランドにあるMassey Universityは3つのキャンパスを持つ国立大学で、そのうちのPalmerston Campusは最も歴史が古く、農学部や獣医学部、航空学部が有名です。夏休みの約3週間、生徒たちは同キャンパスへ滞在し、ホームステイをしながら通学します。対象は高校1年生~高校2年生。英語レッスンや文化講義を学ぶほか、遠足などのスポーツアクティビティにも参加できます。

東京家政_カナダのThe High School at Vancouver Island Universityと提携する同校
カナダのThe High School at Vancouver Island Universityと提携する同校

・1年間のカナダ留学
The High School at Vancouver Island Universityは全校生徒が約60名のアットホームな高校で、IBの取得を目指しています。4月から翌年3月中旬までの1年間の留学が可能。対象は高校2年生です。

 いずれも、希望者対象のプログラムには成績上位者に奨励金を出しています。

 同校は、普段の授業でも、英語力の基礎をしっかりと構築しています。リズムや言い回しに慣れる英文の多読を授業に取り入れ、中2・高1ではネイティブ教員と2泊3日で過ごすEnglishCampを実施。ネイティブ教員との個別英会話レッスン(希望制)や、年間チケットを購入して受けるオンライン英会話も採用しています。「聞く・読む」のインプット、そして「話す・書く」のアウトプットをうまく取り入れ、英語の4技能をバランスよく育てます。

東京家政_ネイティブ教員との会話で、英語力を伸ばします
ネイティブ教員との会話で、英語力を伸ばします

「ネイティブ教員は、異なる文化的背景を持つ方が5名在籍しています。生徒と仲が良く、校内で一緒にパンを食べながら話す姿を見かけます」

 また、英検の取得にも力を入れており、全員合格を目指して二次試験対策も積極的に指導しています。

「今後は、生徒たちの海外大学への進学も視野にいれて展開をしていきたいと思っています」

振り返り学習で生徒の学力の基盤を作る

 同校が力をいれているのは英語だけではありません。興味があるテーマを自ら考え、行動して答えを導く探究学習や、すべての教科で実施するアクティブ・ラーニングも活発。中高6年間をかけて知識・技能や思考力、判断力、表現力といった資質や能力をバランスよく育成します。

 中学校では、学習習慣を身につけさせるため、繰り返し学習を推進。テスト後の見直しだけでなく、自学自習を強化しています。

 その一つが、昨年から始まったMy Study Roomでの取り組み。これまで自習室として活用されるほか、大学生がチューターとして常駐し、勉強の質問を受けていましたが、同校の教員と予備校の先生がタッグを組んで、生徒たちの「わからない」に答えるために少人数から授業を行っています。

東京家政大学への進学を補償された上で、
他大学を受験できる推薦併願制度

東京家政_アドミッションスタッフの中学生。高校生の先輩たちと仲良く活動しています
アドミッションスタッフの中学生。高校生の先輩たちと仲良く活動しています

 大学進学では、管理栄養士や社会福祉士、看護師、保健師、栄養教諭などを目指して、東京家政大学へ内部進学する在校生が全体の約35%います。

 昨年度からは、成績上位者に対して、第一志望である他大学が不合格になった時、第二希望の東京家政大学へ推薦入学を認める併願推薦制度が導入されました。

「大学受験はただでさえストレスが多くかかるものです。『東京家政大学に通えるんだ』とわかった上で他大学を受験できるのは、そのストレスを緩和させ、のびのびと自分の力を試すことにつながっています」

 この制度を使い、昨年は東京学芸大学に合格した生徒がいました。この生徒は、「併願推薦制度を使うことで、他大学へ挑戦しようと思えた」そうです。

「本校は人間偏差値を高め、人として愛される女性を養っていきたいと考えています。人として愛される女性と言うと、現代ではジェンダー的な思想からどこか外れたように感じられるかもしれません」

 しかし言い換えれば、その力は、コミュニケーション能力とも通じると言えます。

「本校に来た方々は皆さん、『生徒同士、そして生徒と教員の交流が温かい』とおっしゃられます。その理由は、女性・男性関係なく、人として大切な愛情や誠実さを重視にした指導を行っているから。これからも、温かく、愛情に満ちた人物を輩出していきたいと思います」

 "KASEI"から"SEKAI"へ。地に根を張り、天に翼を広げる生徒たちは、同校の教員に見守られながら、大きな一歩を進めています。

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