学校特集

麹町学園女子中学校・高等学校2018

「豊かな人生を自らデザインできる自立した女性」を育む
教育改革に着手して3年目。着実に成果を上げ、来年度は新コース制導入へ

掲載日:2018年9月18日(火)

「解」のない次代を生きる子どもたちが「みらい型学力」を身につけるため、教育改革に着手して3年目。キャリア教育プログラム「みらい科」や、活動型の授業で英語の4技能をバランスよく身につける安河内哲也氏監修の「アクティブイングリッシュ」、英語4技能をバランスよく身につけるための独自テスト「KEPT(Kojimachi English Proficiency Test)」の導入などで、英検取得率の向上をはじめ、目覚ましい成果を上げています。そして2019年度から新コース制の採用を決めた同校。これら2016年から始めた教育改革の取り組みと成果を校長の山本三郎先生に伺うとともに、それぞれのプログラムを牽引する英語科主任の小川浩正先生と、入試対策募集担当で社会科主任の野坂雄介先生に、具体的な内容をお話しいただきました。

山本三郎校長インタビュー Ⅰ
生徒の自己肯定感を高める4つの教育改革

「みらい型学力」を身につけることで、
自己肯定感を高める

麹町学園女子_校長の山本三郎先生
校長の山本三郎先生

麴町学園の建学の精神である「聡明・端正」には、「豊かな人生を自らデザインできる自立した女性を育てる」という教育ビジョンが込められています。校長の山本三郎先生のリーダーシップのもと、2016年から次代を見据えた教育改革を推進してきました。大阪で約40年間、女子教育に携わってきた山本校長は同校に着任してきた時、「とても温かみのある学校」という印象を強くもったそうです。

「麴町学園では、職員室の前にはいつも生徒がいて、教員と話している。そうした光景は、過去にあまり経験のないことでした。生徒と教員の距離が近く、卒業生の来校もしばしばです。縦と横のつながりが強い、温もりでつながる校風ということがよくわかりました」

真面目で素直な生徒が圧倒的に多い同校。しかし、山本校長はあることを強化したいと強く思ったそうです。それは、生徒一人ひとりの自己肯定感を高めること。そこで打ち出したのが、「みらい科」「グローバルプログラム」「思考型授業」「アクティブイングリッシュ」という4本柱とした"vivid innovations"という教育改革でした。これは、高い英語力と豊かに生きるための学力「みらい型学力」を身につけ、「多様化する社会に自信をもって羽ばたき、そのステージで鮮やかな輝きを放つ女性」を育成することを目指した取り組みです。

麹町学園女子_インターナショナルラウンジ
昼休みや放課後にネイティブの先生が常駐する「インターナショナルラウンジ」は、生徒に人気の場所

「私が大阪で初めて女子校の担任をした当時は、生徒のお母さん方のほとんどが専業主婦という時代でした。でも、40年経った現在では、お母さんが専業主婦であるご家庭はごく少数と、割合が逆転しています。そうした保護者の方の多くは、自らの社会経験に照らし合わせて、これからの時代を生きる子どもたちには『使える英語』が必須の能力だと考えています。そんな中、英語科特別顧問として、実用英語推進機構代表理事である安河内哲也先生を迎え、本校の英語教育大改革『アクティブイングリッシュ』は、導入わずか2年半で目覚ましい成果を上げています」

安河内メソッドのキーワードは
「学ぶ英語から、使える英語へ」

麹町学園女子_朝の音声活動でもトレーニングを積んでいく
朝の音声活動でもトレーニングを積んでいく

同校オリジナルの英語教育プログラムとしてスタートした「アクティブイングリッシュ」は、英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)を身につけ、「使える英語」を習得させる安河内メソッドで行われます。英語科の先生方が安河内先生の監修のもと、授業をビデオに録画してさらに改良を加えるなど、半年間の準備を重ねて始まりました。

キーワードは「学ぶ英語から、使える英語へ」。具体的には、
① 朝の音声活動(全学年で、毎朝8時30分から10分間、教科書の英文を音読したり、英語の曲を歌う)
② ICTのフル活用(電子黒板の設置や1人1台所有のiPad、パワーポイントの活用など)
③ チームティーチング(英語で協働学習するグループワークやペアワーク)
④ アクティブラーニング(思考型授業)
⑤ グローバルプログラム(ネイティブの教員が常駐してオールイングリッシュで会話するInternational Loungeの設置、海外への修学旅行など)
と、英語力を高めるさまざまな取り組みを行っています。

こうした学習の成果を確認する定期試験には、中学・高校統一の4技能型定期試験「KEPT(Kojimachi English Proficiency Test)」を導入しています。「KEPT」とは、4技能を均等に測定し、指導と評価の一体化を図る同校ならではの定期試験です。

授業内容を繰り返し学習しなければならない
「KEPT」の導入

麹町学園女子_英語科主任の小川浩正先生
英語科主任の小川浩正先生

「『KEPT』は、英検の出題形式に合わせた本校独自のテストで、中1から高3まで同じ物差しで4技能をバランスよく測ることを目的にしています。最大の特徴は、授業内容が繰り返し繰り返し試験領域に入ってくることです。各学年の1学期末は、中間試験までに学習した範囲を30%出題。2学期の中間は、1学期までに学習した範囲から40%出題。3学期は、2学期までの学習内容を50%出題といったように、1年間を通じて、同じ教科書を繰り返し学習しなければならないように工夫されています。これを全学年、一律のルールで行うのです」と、英語科主任の小川先生。
「教科書を何度も繰り返して覚えた英語を活用することで、自分が言いたいことを徐々に伝えられるようになります。細かな文法を教えていなくても、生徒たちは体験的に英文構造を理解していきます」

英検は全員が受検しますが、卒業までに全員が英検2級以上の取得を目指します。安河内メソッド導入1年目から生徒の英語力は想像以上にアップしました。中学で3級以上を持っている生徒が格段に増えたのです。導入2年目の2017年では、高校在籍者数に対する2級、準2級取得者の割合が、70.9%にまで上昇。2018年の1回目の英検では、高3の3名が準1級に合格しました。

「KEPTではライティング配点が25点になりますが、中1では25単語以上、中2が30単語以上、中3が50単語以上、高1が80単語以上、高2・3が100単語以上の英作文問題が出題されます。この成果だと思うのですが、本校の生徒のライティングのスコアが非常に高いことにも驚きました。アクティブイングリッシュの積み重ねから生まれた成果だと考えています」

●2017年「英検」合格率全国比較
麹町学園女子_

※上図は昨年度のもの。今年度は高3の「準2級以上」は82.1%、中3の「3級以上」が78.6%と、さらに上昇している。

主体は「生徒」。
全員が参加する授業

成果として表れたのは、このような数字で目に見えるものだけではありません。
「安河内先生が提唱される授業方法は、音声をとても重視しています。本校では使用する教材には、必ず音声がついている教材しか用いません。そして、電子黒板やパワーポイント、ICT教材をフル活用し、教科書の英文を全部暗唱できるほどまで繰り返し学習していきます。肝心なのは、授業の主体が『生徒』であること。授業では、教員が英語を使う時間よりも、はるかに多くの時間を生徒が英語を話すように授業を構成しています。また授業者としては、教員自身が受けたいと思えるような授業を行っているかと、自ら問いかける視点を持つようになったことも大きなことです」(小川先生)

麹町学園女子_思考型授業では、活発に意見交換
思考型授業では、活発に意見交換

先生方は現在も授業を録画して研修会を行い、意見を交わし合うそうですが、そのなかで気づかされることも多いのだとか。
「授業中はどうしても、手を挙げる生徒に目がいきがちです。そこで、質問には全員挙手させるようにし、その際、答えに自信がある生徒はパー、あいまいな生徒はチョキ、自信がない生徒はグーで挙げるように指導しました。そして、チョキの生徒を積極的に指名して、できるだけ多くの生徒が発言できる授業環境を整えることを心がけています」

4本柱の教育改革は
有機的につながっている

麹町学園女子_
グローバルプログラムの柱は「語学力育成」「英語活用」「異文化理解」の3つ

小川先生は、「アクティブイングリッシュ」の考え方は、単に英語科だけの取り組みに留まらず、同校が進める教育改革の4本柱が有機的につながっていると言います。

「本校独自の『みらい科』の考え方は、『豊かな人生を自らデザインできる自立した女性』という本校の教育目標の実践です。みらい科の理念には、レジリエンス(困難に打ち勝つ力を身につける)とセレンディピティ(困難に喜びを見出し、果敢に挑戦する力)という二つが、背骨のように通っています。『アクティブイングリッシュ』で目指すのは、自学自習すなわち、自ら学ぶ力を培い、さらに吸収する力を養える生徒を育てること。気づきの学習はアクティブラーニングそのものであり、それは『思考型授業』も『グローバルプログラム』も同じです。自ら学習できる生徒(人材)に育てることは、4本柱の教育プログラムに共通している理念であり、すべてが有機的につながっているのです」

山本三郎校長インタビュー Ⅱ
生徒が持っている本来の能力を引き出す教育を目指して

中1は英語で落語、
中2はパワーポイントと英語でプレゼン

麹町学園女子_英語でプレゼンする生徒
英語でプレゼンする生徒

2016年から始めた改革によって自己肯定感を持ちはじめた生徒たちは、さまざまな場面で持てる力を発揮するようになりました。「アクティブイングリッシュ」の取り組みの一環として、夏には中1と中2の保護者の方を招いて3日間の英語ワークショップの成果発表会を行いますが、山本校長は言います。

「今年の夏の発表会を見て、私は大変驚きました。中1は入学して約3カ月しか経っていないのに英語で落語を披露し、中2は遠足で行った調べ学習の成果をパワーポイントを使いながら英語でプレゼンしていたからです。アクティブイングリッシュの成果、表現力の向上に感動するとともに、これこそ、私たちが求めていた教育の姿だと感じたのです。グループワークのなかでも、英語を流暢に操る生徒もいればそうでない生徒もいます。彼らが力を合わせてプレゼンを行っている姿に、生徒たちの成長を強く感じました。
私が教師になりたての若い時代、当時の校長に、『EDUCATIONの語源はラテン語のEDUCATUSである。その意味は導き、引き出すこと』と教わりました。本校では、教師が目指すべき本来の教育、すなわち、生徒が本来持っている力を導き出す教育を行っている。社会もまた、そうした人材を求める時代になっていると感じています。そして、女性が持っている良さを残しながら、生きる力を身につけさせていかなければいけないと強く感じています」

しなやかにたくましく生き抜くための
「みらい科」の授業

麹町学園女子_入試対策募集担当・社会科主任の野坂雄介先生
入試対策募集担当・社会科主任の野坂雄介先生

「みらい科」は、中1から高2までを対象に週に1時間行われる、同校オリジナルのキャリア教育です。
「みらい科の授業には、キャリア教育、グローバル教育などさまざまなことが含まれています。予測不能な不確実な時代に生きる生徒たちが社会に出た時、しなやかにたくましく生き抜いていく能力・資質を育てるためにカリキュラム化したプログラムです」と、社会科主任の野坂先生は話します。

「『みらい科』は、『こうじまちコンピテンシー』と『こうじまちセレンディピティ』の育成を目的として、現在の中3が中1の時から始めた『みらいセミナー』という授業をベースに、今年、中1から高2までが対象のストーリー性を持ったプログラムとして再編しました。『コンピテンシー』とは、社会から求められる人材に必要な、適切な能力を養うことです。本校では、『つながる力(人間関係・社会形成能力)』『自分を信じる力(自己理解・自己管理能力)』『しなやかさ(課題対応能力)』『出会う力(キャリアプランニング能力)』の4つに分け、卒業時までに確実に身につけさせます。

また、『セレンディピティ』は、準備ができている状態を指します。それに必要なのが、折れない心です。これをレジリエンスと言います。何が起こるかわからない不確実な社会の中で、すぐに『わからない』『できない』『無理です』と放り出すのではなく、何に対しても『とにかく頑張ってみます』というレジリエンス能力を養うものです。そのためにはたくさんの失敗と成功体験を重ねることが大切ですので、失敗を恐れず、諦めず、新しいことにチャレンジする能力を育てていきます」(野坂先生)

失敗と成功の積み重ねが
「こうじまちセレンディピティ」を作る

麹町学園女子_環境学習で作成した「北の丸公園魅力マップ」
環境学習で作成した「北の丸公園魅力マップ」

「みらい科」の中1の授業で、北の丸公園で行った環境学習などが、千代田区内の生物多様性の保全に貢献したものとして「ちよだ生物多様性大賞」に入賞しました。成果の展示物が、千代田区役所の玄関に飾られました。このように、中1から高2まで、学年ごとに越えるべきハードルを設定し、生徒たちは多様な経験を積んでいきますが、そこでも、できるだけプレゼンの機会を増やすことが重視されています。

中2では、こんなハードルもあります。
10月のアイルランドへの修学旅行で、現地の同世代の子どもたちに日本の魅力を英語で伝えるという課題を出しました。中2の5月に遠足で行った、鎌倉でのフィールドワークの内容を英語でプレゼンするというものでした。

麹町学園女子_中2で実施されるアイルランドへの修学旅行で
中2で実施されるアイルランドへの修学旅行で

「これは初の試みでしたが、残念ながらうまくいかないことが多かったです。英語で発表することに気持ちが集中してしまって写真などをうまく活用できず、現地の生徒たちに興味を持たせる工夫ができなかったのです。相手の反応を見て、生徒たちは『あれ、何がいけなかったのかな』と考えました。そして半年後、その反省を踏まえて、今度は中1を相手にアイルランドを紹介するプレゼンを行ったところ、今度は芸人の物まねをして笑わせたり、写真を使うなど、アイルランドで失敗した経験をうまく生かすことができました」(野坂先生)

このような作業の過程で、先生方は導きのヒントを出したり、問いかけは行っても、「こうしなさい」と指示することはありません。自ら気づき、修正し、実践するよう導いていくわけですが、ここでも、山本校長が話すEDUCASの精神が貫かれていました。

キャリア教育の最終段階は
企業とのコラボ

「みらい科」のキャリア教育として、中3では、同校周辺の企業に生徒自身が連絡してアポイントをとり、「求められる人材」というテーマで採用担当者にインタビューを敢行します。
「数人ずつのグループワークで、自分たちで考えた質問をするのですが、言葉のキャッチボールをするまでには至らないグループもありました。実際に体験して、それがうまくいかなくても、『ああ、先生の言った通りだった』と気づくことが大事なのです。その失敗と成功の積み重ねが、『こうじまちセレンディピテイ』を作っていくのです」(野坂先生)

麹町学園女子_職業体験(中3)を終えて、記念撮影
職業体験(中3)を終えて、記念撮影

さらに、中3の夏休みには、希望者を募って職業体験を行います。希望制にしたのは、自ら「やりたい」という気持ちを持つことを大切にしたかったからです。今年は、同校周辺のスターバックスや図書館、薬局などで職業体験を行いました。そうして、キャリア教育の最終段階の高2で行うのが、下着メーカーとのコラボです。
「コンセプトを考えて企画を提示するのですが、今年初めての試みなので、まだ結果は出ていません。私たちも生徒からどんなプランが出てくるか、楽しみに期待しています」(野坂先生)

「ブックトーク」と、
2年がかりで作成する「みらい論文」

さまざまな課題があるなかで、生徒が越えるべきハードルの例が、「ブックトーク」と「みらい論文」です。
中1で行うブックトークは、関連のある2冊の書籍を紹介する取り組みです。興味のある書籍とそれとつながりのある本を探し、両方の書籍を紹介します。中1に対して単なる書籍紹介より一段ハードルを上げて、そこにチャレンジすることで、レジリエンスを養うのです。

そして、さらに大きなハードルが、1万字でまとめるみらい論文です。生徒たちは選んだテーマについて研究をし、論文にまとめるのですが、それぞれの生徒に担当の先生がつき、アドバイスをしていきます。このように、高1から高2の2年間をかけて自分の考えをまとめた論文を書きます。

「今年、公募推薦で上智大学に合格した生徒は、『日焼け止めの効果』というテーマで書いたみらい論文を入試に活用しました。このように、実際の成果物といいますか、学んできたものを形に残してあげたい。2年間をかけて『一つのことに取り組んだ』『論文を仕上げた』と堂々と言えることは、生徒たちにとってとても大きな財産となっています」(野坂先生)

山本三郎校長インタビュー Ⅲ
3年目の教育改革の成果と、2019年度入試で導入する新コース制

「グローバルコース(英語選抜コース)」と
「スタンダードコース(みらい探究コース)」

「私が4本柱の教育改革で一番に目指したものは、生徒たちに自己肯定感を持たせることでした。2年半を過ぎて、それは確実に成功したと考えています。英検合格率の飛躍的なアップなどもあり、『英語の麴町学園』という社会的な評価もいただくようになりました。その結果、2018年度の中学1年生の入学者の30%強が小学校時代に英検4級取得という状況になっています(8月現在)。そこで、2019年度入試から、「グローバルコース(英語選抜コース)」と「スタンダードコース(みらい探究コース)」の新コース制を導入します。これまで中3の段階でコース分けしていたものを、中学入試の時点から行うことにしました。

麹町学園女子_6年間、意欲的に「みらい」を見つめていく同校の生徒たち
6年間、意欲的に「みらい」を
見つめていく同校の生徒たち

グローバルコースは、入学時に一定の英語力をもつ生徒を対象にしたコースです。みらい型学力に加え、アクティブイングリッシュのメソッドで、より高度な英語力を身につけます。スタンダードコースは、従来型の知識を中心とした学力(見える学力)と、思考力や表現力、コミュニケーション力など(見えない学力)をバランスよく育てます。同時に帰国子女入試にも力を入れていきます。入学後、中2~中3、中3~高1の2段階で、コース変更も可能です。何度も面談を重ねながら、きめ細かい対応をしていきたいと考えています」

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