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学校特集

江戸川女子中学校・高等学校2023

多様性を認め、互いを尊重して高め合い、未来で輝く人間に
学力も教養も、しなやかな強さも身につける、充実した6年間

掲載日:2023年9月20日(水)

1931年の創立以来、「教養ある堅実な女性の育成」を建学の精神としてきた江戸川女子中学校・高等学校。都内で初めて高校英語科を設置し、英語教育に定評がある進学校です。2021年度には国際コースを新設し、帰国生を含め、特に高い英語力を持つ生徒をさらに躍進させるカリキュラムが誕生しました。校訓の「誠実・明朗・喜働」の下に楽しみながら学ぶ生徒たちを、丁寧に指導される先生方。その思いと2024年度入試について、国際コース英語科の熊川美帆子先生、大穂佑紀子先生、髙橋まり子先生、入試対策委員長・吉田秀徳先生に伺いました。

「Positive, Active, Respectful」という言葉と共に成長する

江戸川女子_人気の国際コース
人気の国際コース

 江戸川女子中学校・高等学校(以下、江戸女)は、一般コースと国際コースからなっています。英語に重きを置く国際コースは2021年から始まり、いま、中1から中3まで約70名の生徒が在籍しています。帰国生もいれば、生まれも育ちも日本という外国籍の生徒もおり、ひとえに英語が好きで勉強して入学してきた生徒もいる。それが同校の国際コースです。

 国際コースでは、英語の授業は週に9時間。英検2級以上の力を持つ生徒で構成する「アドバンストクラス」と英検3級以上の力を持つ生徒を対象とした「スタンダードクラス」に分けて実施されています。

 ネイティブ教員による「Reading Writing Listening Speaking」、探究授業にあたる「Global Studies」、文法をマスターする「Grammar」やオールイングリッシュで行われる美術と音楽の授業など、英語力を磨き上げながら、協働する姿勢と思考力をも向上させる内容です。

 国際コースは、元々持っている高い英語力をさらに向上させることを目的としています。しかし、帰国生にありがちな英文法への苦手意識をカバーして、「流暢に英語が書ける、話せる」ということを最終到達点とするわけではありません。それよりももっと高次元の、知識や経験を増やしたあとに自分が何をしたいか、その目標に対して英語をツールとして何が実現できるかを考え、将来につなげることを目標としています。

江戸川女子_中2を担当する高橋まり子先生
中2を担当する高橋まり子先生

 高橋まり子先生が担任を務めるのは中2の国際コースのクラスです。1学年に1クラスの国際コースは、3年間クラス替えが行われないため、高橋先生は「馴れ合いにならないようにする」ことに留意しています。

 生徒たちは、1年間をかけてお互いのバックグラウンドや性格などを把握し、打ち解けてきました。学校の雰囲気にも慣れてきたからこそ、改めて、お互いの意見をきちんと聞いてディスカッションができるように指導しているそうです。互いの個性を大切にしつつ、クラスとして統一感を持ってもらうため、「Positive, Active, Respectful」というスローガンを提示しました。

「生徒たちにはPositive=積極性を持ってほしいと思っています。そして、自分から発信しなければ気づいてもらえないことがあることも理解してほしい。だから、どんなにたどたどしくても自分の言葉で発してほしいという願いをこめてActiveを挙げています。そして、その発信されたメッセージを、Respectful=皆で理解して尊重し合う、そんなクラスであってほしいと思っています」(高橋先生)

 国際コースで取り組む「Global Studies」は、SDGsをはじめとして海外の学校のシステムなどを研究して発表する探究学習です。そこで、今までの海外滞在経験から獲得してきた知識やそれぞれのバックグラウンドを共有することで、各国のリアルな実情と、同級生の生い立ちを知ることができるのです。国際コースならではの刺激的な内容です。

「年頃の女子によくある、あの子が好き・嫌いという一方的な決めつけが無くなってきました。誰に対しても、『そういう考え方もあるのか』と主張を受け止められる、お互い様の心が育ってきています」と高橋先生は手応えを感じているそうです。

江戸川女子_日本語や日本についても学んでいきます
日本語や日本についても学んでいきます

 ある生徒は、探究授業でクラスの代表としてプレゼン発表をする際、自分のクラスのことを「卵かけご飯のよう」と評したと話してくれました。

「『うちのクラスはいろいろな人がいるけれども、みんなが混ざってすごくいい味を出している』という意味で表現したそうです。自分のクラスに対してそう思ってくれたことはうれしかったですし、このユニークな感性をそのまま持ち続けてほしいと感じました」と高橋先生。

 このような他者に対するおおらかさは、社会に出てから日本国内はもちろん、海外では当然ながら、必ず役に立ちます。

「1クラス25人の生徒といえど、多かれ少なかれ摩擦はあります。しかし国際社会に出たら、もっといろいろな人がいて、さまざまなことが起こります。どのような環境でも『Positive, Active, Respectful』の心を持って、自分の意見を持ってきちんと伝えつつ、相手の意見も尊重できる健全な精神的土壌を作っていきたいです」(高橋先生)

 江戸女での学校生活を通じ、多くの教養や知識を身につけ、世界で羽ばたける女性になってほしい、それが高橋先生の願いです。

音楽や芸術も、世界に通じる共通語となる

江戸川女子_イマージョン教育を担当する大穂佑紀子先生
イマージョン教育を担当する大穂佑紀子先生

 国際コースの音楽と美術の授業では、英語で学ぶイマージョン教育を行っています。大穂佑紀子先生は、ネイティブの先生と共に音楽の授業を担当しています。

 音楽の時間は週2時間、一般的な音楽の授業と、弦楽を学ぶ授業を行います。中1の前期では、楽譜の読み方など音楽の基礎を座学で学んだり、合唱を行ったりします。その要素を組み合わせた集大成として、作曲がテストの課題として出されます。中1はグループで、中2は個人で作曲し、ルーブリックで評価します。

「オールイングリッシュではありますが、内容は、どこの学校でも行っているような音楽の授業です。ただ、国際コースならではの多彩な感覚を引き出せる場になれたらと思っています」と大穂先生。

 そのために、毎年、授業の内容は生徒の要望も取り入れています。音楽の授業を英語で受けているということ自体にも満足感があるらしく、集中して取り組む生徒が非常に多いそうです。

 生徒たちは、和音の構成など作曲の法則を学んだ後に、グループで話し合いながら作曲するなど、クリエイティブな過程も楽しみながら挑戦しています。また、世界の音楽のジャンルを語るプレゼンテーションでは、日本のボーカロイドが人気を博すなど、中学生らしい一面も見られました。

 大穂先生は授業を通して、音楽や芸術は英語と同じく世界に通じる共通語であるということを実感してほしいと考えています。
「将来的には、教科を横断した授業にしたいですね。例えば音楽で言えば、江戸時代の音楽と、同時期の外国ではどのような音楽が演奏されていたか。美術で言えば、肖像画の時代背景と画家の思想がどうシンクロしているかなど、音楽と芸術が世界を捉え直す一助になればと思っています」(大穂先生)

江戸川女子_世界で活躍するため、教養を培う場がたくさんあります
世界で活躍するため、教養を培う場がたくさんあります

 大穂先生は、国際コースを含め、英語を得意とする生徒たちに、「身についた高い英語力を使って何を発信していくかを突き詰めていってほしい」と願っています。

 その教えを受けた同校の卒業生たちの中には、英語が得意な生徒ほど、英語圏以外の地域に留学することが多いそうです。日本の大学在学中にフィンランド、デンマークにそれぞれ留学した先輩方、日本の大学を卒業し、スウェーデンの大学院で研究を続け、帰国後に日本で働く先輩もいます。

「自分の好きなことを1つ携えて、いろいろ吸収しようという前向きな気持ちと一緒に江戸女に飛び込んできてください。たとえ引っ込み思案な子でも、その姿勢さえあれば大丈夫。友だちと一緒に成長していくことができます」(大穂先生)

 自分の好きなものや打ち込みたいことを、自信を持って発信していけるようになってほしいと語る大穂先生。そのパワーは将来につながると確信しています。
 江戸女での6年間で訪れる、たくさんのことに興味関心を広げることで、世界中のどこに行っても適応できる力がついていくことでしょう。

しなやかな感性を身につけるカリキュラム

江戸川女子_弦楽器を授業で習える学校はそうありません
弦楽器を授業で習える学校はそうありません

 上質な英語教育を享受する国際コースの生徒たちですが、その教育は英語だけに偏っているわけではありません。

 同校の教育の特徴は、全生徒が揃って参加する情操教育や、丁寧な指導と先取り教育にもあります。
 象徴的なのが、中学3年間に週1時間の「特別教育活動」として行われる茶道・箏曲・華道の授業。そして、4つの弦楽器を演奏する「弦楽の授業」です。

「国際コースの『弦楽の授業』は、オールイングリッシュで行います。バイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバス、それぞれの専門のプロに指導に来ていただいています」と大穂先生。

 全く触れたことのない段階からコツコツと練習し、中3の9月に発表会を行います。努力を積み重ねることによる成果を実感できるため、自己肯定感を高める一助になります。

江戸川女子_心を合わせて奏でる「第九」は胸に響きます
心を合わせて奏でる「第九」は胸に響きます

 高1の3月に行われる、ベートーヴェンの交響曲第九番の発表会も、同校では欠かせない学校行事の一つです。吹奏楽部がオーケストラを担当し、高1の生徒全員がドイツ語で「第九」を合唱します。男声パートは父兄が担当し、総勢約600名が舞台に上がる一大イベントです。

「思春期に父子で協力して一つのことを成し遂げるので、とても思い出深いものになるようです。これをきっかけに『第九』に魅せられ、娘さんが卒業されたあとでも毎年出演くださるお父様もいらっしゃいます」と大穂先生。

 同校の生徒たちはコースを問わず、こうした授業や行事で優雅な所作や伸びやかな感性を育てながら、成長していきます。

 そうした一方で、中学ではしっかりと基礎力をつけ、英語・国語・数学・理科は、中学校の時点から高校の内容に入ります。高校では夏期・冬期講習や入試直前講習、東大・医学部受験講習などを通じて、さらに上のレベルの学習を行います。
 しかしそれらは、受験だけを主眼とした先取り教育ではありません。生徒たちは、実験を多用した探究型の理科の授業や、実社会の流れを取り入れた社会の授業などで、学びに対する意識を高めます。その上で総合学習の授業や進路指導を受けます。そして、自分史の作成、将来の夢を語る作文制作、職業研究とその発表などの経験を経て、自分の将来の姿を明確にイメージしていきます。

 これを基に、将来の夢を実現するためには何を学ぶべきか、目前の課題が未来とどうつながっているかを自覚した上で、自身の研鑽へと向かうのです。

3年目を迎えた国際コースの未来は

 現在、国際コースの中3の担任である熊川美帆子先生は、国際コースが発足した2021年度から生徒たちを見つめてきました。彼女たちが江戸女で過ごす6年間のうち半分が過ぎ、高校でどのような学びを重ねるべきかが具体的になりつつあります。

江戸川女子_中3の担任である熊川美帆子先生
中3の担任である熊川美帆子先生

「英語の4技能を伸ばすのは当然ですが、いろいろな知識や経験を積まなければ、何かを訴えたい時の説得力に欠けます。高校からはそうした観点も考慮しながら、将来のために英語力を伸ばしていきたいと思っています」(熊川先生)

 2023年度から、国際コースの中3が全員参加する海外研修の行き先をインドネシア・バリ島に決定しました。

「日本もアジアの一部であることを実感し、SDGsなど世界の諸問題を自分ごととして捉えるきっかけとなるプログラムにします」と熊川先生。

 バリでは、ゴミ問題を考えるためにボランティア活動への参加や、バリ土着の信仰である「バリ・ヒンドゥー」を知る異文化体験も予定されています。国際コースの生徒たちが、得意の英語を用いながらどのような経験を心に刻んでくるのか、そこから自分の将来に向けてどのような思いを巡らすか、熊川先生たちは楽しみにしています。

 また、同校では2023年度から「U.S.デュアルディプロマプログラム」(日本の学校に通いながらアメリカの名門高校卒業資格を同時取得するオンラインプログラム)が導入されました。説明会には、予想を超える約80名の保護者が参加し、注目度の高さが窺われました。

江戸川女子_日本の外に出なければ気づけないこともあります
日本の外に出なければ気づけないこともあります

「日本の大学も海外大への進学も、と両方の可能性を考えていらっしゃる方が増えているのではないでしょうか。生徒たちには自身の選択肢を増やす機会として、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいですね」(熊川先生)

 さらに熊川先生は、学校生活の中には無駄な時間は一つもない、勉強も部活動も行事にも打ち込んでほしい、そして日常生活の中から、あらゆる経験を積んでほしいと語ります。あわせて、固定観念にとらわれず、自分が心から望むことを模索し、それに対して英語をどう使うかを考えてほしいのです、と教えてくれました。これは、国際コースの生徒たちを見守る先生方の共通の思いでもあります。

「好奇心のある、チャレンジ精神のある生徒と共に学びたいですね。一人ひとりの未来の可能性を広げられるように、私たちがしっかりとあと押しします」(熊川先生)

 江戸女の先生方は皆一丸となって、生徒一人ひとりを見つめ、その子を伸ばすことを考え続けています。

2024年度入試では適性検査型入試が新設

江戸川女子_入試機械の豊富さは、同校の多様性を示しています
入試機械の豊富さは、同校の多様性を示しています

 一般4科、一般英語特化型、一般基礎学力型(旧AO)、帰国生英語特化型、帰国生基礎学力型など、多様な入試が用意されている江戸女。2024年度には適性検査型入試が加わります。

 昨今、大学入試でも探究的な要素や思考力を問われるケースが増えてきています。同校でもそういった問題に対応する素質を持つ生徒を求めています。

 新設の適性検査型入試は、適性Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ(各45分)の構成で行います。東京都立両国高等学校・附属中学校や都立白鷗高等学校・附属中学校の入試問題に対応した作問となる予定です。適性検査型入試の体験会は10月22日(日)に開催されます。

 入試対策委員長の吉田秀徳先生は、中学入試までのプロセスを、合格か不合格かの1か0ではなく、自分を知る、弱点を知る機会にしてほしいと話します。それは一体どういう意図なのでしょうか。

受験は、自分を知る、飛躍させる機会になる

江戸川女子_入試対策委員長の吉田秀徳先生
入試対策委員長の吉田秀徳先生

 受験生である小学6年生のコンディションは、体調や試験問題との相性など、些細なことによって左右されます。

「本番の中学受験までに、自分の性格を知って、自分はどんな場面に弱いのかを把握できると、受験で成功しやすくなると思います」と吉田先生。

 そして、その弱みを無理に克服しようとしなくても、受け入れてカバーできるようになればいいと話します。保護者には、弱点を目の前にしてつまずいている我が子の背中を無理に押さないでほしい、静かに見守ってあげてほしいとも語ります。

 長年、同校の教諭、そして陸上部の顧問として生徒たちを指導してきた吉田先生ですが、自身も子どもの頃から陸上の競技者として生きてきました。

「まだ精神的に幼いと感じる小学生ですら、自分の失敗や負けた姿を親に見せたくないと思っています。逃げないで、自力で立ち上がれるまでは気づかないふりをしてあげてください。うまくいった部分があったら、それを指摘して褒めてあげればいいのです。もし本人がアドバイスを求めてきたら、答えてあげてください。そのような時間を経たあとに子どもが自力で立ち上がれたら、その経験はその後の人生で必ず生きてくるはずです」(吉田先生)

江戸川女子_支え合える友だちがいます
支え合える友だちがいます

 さらに、「負けを知っていて、それを受け入れることができる子は、強い人間です。負けられないと思って萎縮している子よりも、自分の弱みを受け止められる子は将来必ず伸びます。小学生にも、高校生にも、受験を控えた子どもたち全員に言えることです」と吉田先生。

 失敗したときやうまくいかなかったときこそがチャンス、と吉田先生は続けます。きちんと負けを認めたあとに自身を顧みることができ、行き詰まったときには誰かにアドバイスを求められる姿勢があるかが飛躍のきっかけになると教えてくれました。

 また、弱みとともに、自分の強みを分析することも重要です。 ある生徒は父親の影響で、幼い頃から鉄道マニアでした。受験の際にはそれを自分の強みと捉え、総合選抜型入試に臨みました。

 彼女が意識したのは、自分がこの学部に入った時に、九州地方の特急電車と地方創生とを絡めて探究活動をした研究成果によって、大学に貢献できると面接で伝えることでした。

「鉄道好きといえば男子が多いなか、女子校から志願、そして大学という研究機関にどのようなメリットをもたらすかを明言する。多くの受験生がいる中で目を引くことができたと思います。結果、彼女は第1志望の大学に合格しました」(吉田先生)

 進路指導と部活の指導はとても似ている、探究活動と部活動を関連付けて考えることもいいと吉田先生は提唱します。

「例えば陸上部に入ったと仮定します。自分は何が得意で、種目を何にするか。その種目で目標を達成するには何が足りないか、そのためにはどういった練習をすればいいか。逆算して考えることはたくさんあります」(吉田先生)

江戸川女子_人前に出ることが苦手だった生徒も、頻繁な機会があるからプレゼンなどの苦手意識が軽減されます
人前に出ることが苦手だった生徒も、頻繁な機会があるからプレゼンなどの苦手意識が軽減されます

 それは、自分の強みと弱みの把握、弱点の克服方法とそのための練習計画を考えることになり、大学進学を意識した際に、進学先の選定、学習計画の立案、進捗管理などにつながっていくというのです。

「取り組み方は中学受験もまったく同じだと思いますよ」と吉田先生。

 受験も部活動も、同級生との交流も、失敗も成功も、自分を見つめ直し、向上させるきっかけになる。前章で熊川先生が話す通り、日々の生活には、何一つ無駄はありません。そういったヒントを、同校の先生方は陰日向に寄り添いながら伝えてくれます。学力も教養も、しなやかな強さも身につけさせてくれる、それが江戸女の教育です。同校で過ごす6年間はきっと、輝かしい未来への礎となることでしょう。

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