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学校特集

光英VERITAS中学校・高等学校2023

女子校最後の卒業生が東大に合格。共学化3年目の「今」に迫る
「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」を軸とした教育は、ますます進化中!

掲載日:2023年9月1日(金)

 2020年度まで女子校として人気を博していた聖徳大学附属女子が、校名を光英VERITASに変更し、共学化して今年で3年目。中学からの入学生は中3に、高校入学生は高3になり、全学年で共学化が整いました。そんな節目の今年、3月に卒業した生徒が東大理科Ⅰ類に合格。共学化に伴い、進路指導にもいっそう力を入れていこうとしていた矢先、女子校時代最後の生徒が果たした快挙です。共学校の後輩たちに、見事にバトンを渡して巣立っていったのです。そんな同校の「今」はますます元気に満ちています。今回は同校独自の探究的な学び「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」を軸に展開する「理数・サイエンス教育」「英語・グローバル教育」を中心にお伝えします。

共学化で、さらに学校内が色彩豊かに

■「学業+α」で、文武両道を地で行く生徒たちが学校に彩りを加える

 これまでも東工大や東京藝大、早慶上理、ICU、海外大など、バリエーション豊かな進学実績を残してきた同校ですが、女子校時代最後の卒業生による東大現役合格は同校初の快挙で、共学化でさらなる進学校化を目指すなか、この上ない置き土産となりました。

光英VERITAS_校長の川並芳純先生
校長の川並芳純先生

川並校長:「とてもうれしかったですね。彼女は中高一貫生で、予備校には通っていなかったため、担任のサポートもかなりありました。また高2の時から東大理Ⅰを志望していたようですが、彼女がいたクラスでは交換日記を活用して、みんなでモチベーションを高めていたようです」

 日記帳をクラス全員で回して、自分の学習の目標や日々の出来事の感想を書く。文字で書いて他者に見せることは自分を表明することです。書いた本人の「やる気」の起爆剤になり、また仲間同士での良い刺激にもなったとか。

川並校長:「彼女はバドミントン部でも活躍していました。この前年に東工大に合格した生徒がいたのですが、彼女は吹奏楽部で頑張っていました。本校の生徒は学業だけでなく『+α』で何かを頑張っている、本当の意味での文武両道を地でいっている生徒が多いですね」

 川並校長はよく「女子校から共学校になって変わったことは?」と聞かれるそうですが、「変わったことはない」と断言します。

川並校長:「変わったというより新しい色、彩りが増えたと思っています。東大に合格した彼女は、また新たな色を加えてくれたと考えています」

■「カタチに残る学習をしよう」の声がけのもと、野球部が残した記録

 同校の学びの軸となるのは探究的学び「ヴェリタス・トルネード・ラーニング」です。例えば、ある物事に対して課題や疑問点を見出し、それに対する答えを探し求める。でも、一つの課題が解決してもその先にはさらに大きな課題がある。このように、課題解決のための挑戦は続いていくのです。

光英VERITAS_千葉県でベスト16に入る野球部
千葉県でベスト16に入る野球部

川並校長:「トルネード・ラーニングは自ら学ぶ力を高め、生涯にわたって学び続けることができる人材を育成するもので、授業はもちろん行事や部活動などの学校生活全般に関わっています。そのうえで、私は生徒たちに『カタチに残る学習をしよう』と言っているのですが、勉強でも部活動でも、せっかく挑戦するのならカタチに残してもらいたいですね。例えば、野球部は創部3年目にして強豪ひしめく千葉県でベスト16までいきました。これもカタチとなる結果です。野球部の快挙は、創部以来、練習方法にトルネード・ラーニングを取り入れてきたからなのです」

 練習試合の中身を振り返り、課題を見出して次に活かす方法を吟味し、次の試合でそれを実践する。これを繰り返した結果、強くなっていったのです。

■「生徒の、生徒による、生徒のための学校」を作るために

 また、川並校長は日頃から生徒たちに「自分を大切にしよう」とも伝えているそうです。自分を大切にできる人は、家族も友達も守ることができる。自分を大切にすることは他者を思いやることに繋がり、ひいては学校全体の雰囲気を良くしていくことにも繋がっていくからです。

川並校長:「例えば、夜遅く自宅で勉強している時に友達からS N Sで連絡が来たとします。でも、送ったほうも相手が勉強をしていることはわかっているはず。これは、相手を大切にしていないことになります。送られたほうも自分を大切にするのなら、返事より勉強を優先させたほうがいい。『やるべきことを、やるべき時間に、やるべき場所でやる』ことを大切にできない人は、自分のことも大切にできないのです」

 さらに川並校長は、とくに意識が高まりつつある高校生に伝えていることがあります。それは、「私にルールを作らせるな」という言葉です。

光英VERITAS_同校は「生徒の、生徒のよる、生徒のための学校」を目指す
同校は「生徒の、生徒のよる、生徒のための学校」を目指す

川並校長:「本校の校則は厳しくはありません。しかし、ルールを破ったり、他人に迷惑をかけるようなことが起きた場合、私たち教員は新たなルールを作らなければならなくなります。今、私たちが享受している自由とは先人たちが苦労したうえで勝ち取ったもの。私はもともと歴史の教員ですので、このように歴史の話を交えながら、自分たちの気の緩みから自由を奪われないようにしなさい、と話しています」

 川並校長は「生徒の、生徒による、生徒のための学校にしたい」と言います。「自分を大切にしよう」「私にルールを作らせるな」という言葉の背景には、このような意図があるのです。

「理数サイエンス」「グローバル教育」で国際的に活躍する人材を育てる

■「自分で実験の方法を考える」ユニークな授業を展開する「理数サイエンス」

 かつて川並校長は、「共学化した際には理数系にも力を入れたい」と語っていました。そして現在、校舎の2階をサイエンスフロアとし、7室すべてを理科教室にした抜群の環境の中、実験を重視した授業が行われています。今回は理科に焦点を当ててご紹介しますが、授業以外にも「誰でもサイエンス」と名づけた気軽に参加できる実験教室を設けるほか、数々のコンテストへの参加など、学びの場は活性化しています。
「中学では週に2回は実験をするようにしています」と言う理科の笠牟田先生は、4年ほど前から自身の授業で「自分で実験の方法を考える」というユニークな授業を実践しています。

光英VERITAS_理科主任の笠牟田勇人先生
理科主任の笠牟田勇人先生

笠牟田先生:「『実験は楽しいけれど、理科は楽しくない』という生徒が増えていると感じたことをきっかけに、このような授業にしました。当時、実験と座学の授業で学ぶ理科の繋がりが曖昧で、何が起こっているのかわからない、だから理科はつまらないと感じている生徒が多かったようです。そこで、自分たち自身で実験の方法を考えれば、理科をより身近に感じられるのではないかと思ったのです」

 主体的に考えることで、生徒たちは意欲的に授業に臨むようになり、高校生になって得意科目に理科を挙げる生徒も多くなったのだとか。このほかにも、笠牟田先生は生徒に人気のゲームやトランプなども取り入れながら、理科に親しむ工夫をしています。

光英VERITAS_イカの解剖。指先に集中して慎重に
イカの解剖。指先に集中して慎重に

笠牟田先生:「例えば、あるゲームを使って、その動物が実在するか実在しないかを当てるというグループワークをしたこともあります。実在しないにもかかわらず、実在しているかのような設定を作ることは動物に関しての知識がなければできませんし、聞いているほうも同様に知識がなければ判断できません。この授業でも、トルネード・ラーニングが生かされています」

 生徒同士の活発なやりとりが目に浮かびます。まさに「探究的学び」にあふれる授業は生徒の理科的興味を見事に引き出しました。また、その授業内容や指導法については先生方の間で共有しているそうです。

光英VERITAS_年に5〜6回実施する「誰でもサイエンス」。上はその中の一つ、科学マジックや科学クイズを行う「わくわく科学教室」の様子
年に5〜6回実施する「誰でもサイエンス」。上はその中の一つ、科学マジックや科学クイズを行う「わくわく科学教室」の様子

 理科は、実はふだんの生活と直結している学問。ですから、生徒たちが日常の事象と理科を結びつけて考え語れるようになること、それが笠牟田先生の願いでもあります。

笠牟田先生:「私自身、学生時代から理科がすごく好きだったというわけではありませんので、そのことも授業改革に功を奏しているのかもしれません(笑)。授業で心がけているのは生徒と一緒に楽しむこと。これからも生徒と共に理科を楽しんでいきたいと思います」

 このような授業の成果でしょう。女子校時代、高校の理系クラスは1クラスに止まっていましたが、現在は約半数が理系志望だそうです。
 ICTも効果的に活用しながら探究的な学びを繰り返す同校の理科ですが、今後は、3年前に連携協定を結んだ東京理科大学の模擬授業や実験実習の実施、また多様な企業との連携も計画中です。

■地球市民としてより良い社会を築くための「グローバル教育」

 同校が実践するグローバル教育の目標は、人・社会・自然環境の保持に貢献できる「次世代の地球を守るリーダー」を育成することです。そのため、「英語学習」「行事」「異文化交流」「地球的課題の知識・理解・実践」「進路」「留学」という柱を立て、それぞれに用意されたプログラムは40以上にものぼります。

光英VERITAS_英語科の冨田万貴子先生
英語科の冨田万貴子先生

冨田先生:「共学化してからはグローバル・プログラムもさらに増え、毎年、進化・成長しています。今年から徐々に海外研修も復活していますし、コロナ禍以前はイギリスで行っていた語学研修を今年からアメリカに変更しました。ロサンゼルスに滞在しましたが、楽しい要素も取り入れ、ディズニーランドに行ったり、メジャーリーグのエンゼルスの試合観戦もしました。そのため、野球部員の参加希望者も多かったですね(笑)」

 5月にはオーストラリアと台湾の姉妹校から約80名の生徒が来校するなど、対面での国際交流も復活していますが、来年1月にはニュージーランドへのターム留学も3年ぶりに再開する予定です。

光英VERITAS_同校を訪れたマレーシアの生徒たちと
同校を訪れたマレーシアの生徒たちと

 ほかにもマレーシアや台湾など、英語圏以外の国々との交流も大切にしている同校ですが、姉妹校や交流校をさらに増やす予定なのだとか。さらに、共学化以降はロシアやエジプト、ネパールなど外国籍の生徒が入学してくることが多くなり、校内のグローバル化にも拍車がかかっています。
 また、同校オリジナルのプログラム「台湾ペンパルプロジェクト」には中学生全員が参加し、台湾の中学生と英語で文通をしています。

冨田先生:「生徒たちは、このプログラムを楽しんでいます。なかには手紙だけでなく、日本のお守りやアニメのステッカーを封筒にしのばせる生徒もいますね。最近の子どもたちはデジタルばかりで、手紙を書くこと自体あまりないと思いますが、この文通はアナログの良さに触れられる恰好の機会にもなっています」

光英VERITAS_早稲田大学Intercultural Communication Centerと連携して、世界各国からの留学生との協働学習も実施
早稲田大学Intercultural Communication Centerと連携して、世界各国からの留学生との協働学習も実施

 さまざまな場面で互いに影響し合い、相手を受け止めたうえで、主体的に考え実行していく。異文化交流を大切にするグローバル教育もまた、トルネード・ラーンニングに基づいて行われます。
 また、海外留学のエージェントと締結したことで、海外大学への道筋も明確になりました。早速に、ある高3男子は「オックスフォードへ行きたい」と意欲を燃やしているそうです。

 ご紹介したグローバル教育のほか、英語力育成のために、英語劇やネイティブの先生による英会話、オンライン英会話、英語多読活動など、通常の4技能5領域を育成する授業以外にも多様な活動を行う同校。改めて、冨田先生が考える「グローバル人材」とはどのような人のことか、お聞きました。

冨田先生:「英語科では、英語によるコミュニケーション能力の育成を図っていますが、グローバルな人材とは英語力を持つだけでなく、地球の問題を自分事としてとらえられる人のことだと思います。そのためには表層的な英語力ではなく、異文化理解や世界の諸問題への理解に基づいた、人と人を結ぶコミュニケーション能力が必要です。遠い国のことも自分と関連づけて考え、毎日の生活に落とし込む。これからの時代、社会に出た時には日本人同士だけでなく、外国人とも一緒に働くことになるでしょう。その時、外国の方との間に心の壁を作らないようにオープンマインドを持ち、『和の心』を以て向き合ってほしいですね。生徒たちには、グローバル社会で生き生きと活躍できる人になってほしいと願っています」

共学化3年目、元気な学校の今後にも注目

■「金平糖」のように育っていってほしい

光英VERITAS_多彩な個性が集うから、それぞれがいっそう輝ける
多彩な個性が集うから、それぞれがいっそう輝ける

川並校長:「理系志望者も増加傾向にあり、説明会にも多くの方が参加されるようになりました。またこの3年間で彩りも増え、よりカラフルになりました。本校はこれからも、学びたいという生徒の意欲に応え、また学びたいと思える環境であり続けたいと思います。そして、生徒たちには金平糖のように、中心には大きな核となるものを持ちながら、中高6年間をかけてそこから飛び出す自分ならではの凹凸の粒を作り、大切に育てていってほしいと思います」

 共学校になって3年目。共学化初年度の男女比は4:6でしたが、今年入学した中1は男女比が5:5になりました。全学年が揃った今、同校の挑戦はまだ始まったばかり。今後も注目です。

■土台心を磨く「小笠原流礼法」は、「トルネード・ラーニング」を支える土台

光英VERITAS_全学年で週に1回、礼法の授業が行われる
全学年で週に1回、礼法の授業が行われる

 千葉県観光誘致促進課より、海外の生徒たちの研修先として打診が絶えないという同校。つい先日もマレーシアや台湾からの生徒が同校を訪問。着付けや書道、海苔巻き作りを通じて交流を深めたそうです。

 受け入れ先として声がかかる大きな理由として、川並校長は「小笠原流礼法が大きいと思います」と言います。小笠原流礼法は、もともとは室町時代の武士の作法。美しい振舞や所作などは相手を思いやる心や感謝の心から生まれたもので、礼法ではその精神を培います。宗家監修のもとに行われる小笠原礼法は、共学化した現在も全学年で週に1時間必修となっていて、卒業後は免状をもらえます。

「礼法は、トルネード・ラーニングを支える土台中の土台です」と川並校長は言います。さらに、冨田先生も「世界に誇る日本文化でもある礼法は、グローバル教育とも繋がっています」と。
 礼法を身につけた生徒たちが、世界に羽ばたく未来が間もなくやってきます。

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