学校特集
品川女子学院中等部・高等部2025
掲載日:2025年11月1日(土)
2025年に創立100周年を迎えた品川女子学院。2018年から段階的に進めていた校舎の新築工事も終了し、より一層快適に学べる環境・設備が整いました。生徒の意見を大きく取り入れて完成した新校舎(A棟)について、また100周年を機に新たにスタートした起業マインド育成を目指す「チェンジエージェントプロジェクト」について、生徒2名と英語科の山根雅広先生にお聞きしました。
学びを促進させる新校舎
充実した環境で成長を目指す
京浜急行線・北品川駅から徒歩2分。品川駅からも歩いて約12分と好アクセスな立地にある品川女子学院。全面新築が終了したばかりの校舎は、自然光が差し込む明るい雰囲気で、渡り廊下を通じて行き来ができるようになっています。
校舎内には、学年ごとの教室が設置されたフロアのほか、900席以上の客席と音響設備が整った講堂、コンビニが併設されたカフェテリア、約4万冊の蔵書に加え、授業と自習のスペースを備えた図書室などのほか、広々とした体育館や実験設備が揃った理科室など、その充実ぶりが光ります。
さらに特筆すべきは、生徒同士や先生との打ち合わせ、コミュニケーションや交流を深めやすくする小スペースや空間が多く設置されている点。同校の学びの特色である「座学と体験を組み合わせたエネルギッシュな学び」をさらに促進するような空間となっています。
校舎の周囲にある庭と、A棟のカフェテリアについては、中3~高2(当時)の有志の生徒たち計55名に、コンセプトの企画・考案から建設業者との打ち合わせなどまでを担当しました。
「庭とカフェテリア、それぞれチームに分かれて実施しました。『生徒たちの柔軟な発想力を活かしてもらいたい』、そして『校舎に対してより愛着を持ってもらいたい』という本校教員の想いから、放課後に行われる特別講座を通じて実現させました」と、担当した英語科の山根雅広先生は話します。
もともとは、トイレのマークを考案するという小規模な講座から始まったものでしたが、新築工事が進む中で、庭とカフェテリアづくりに携わる講座へと発展していきました。
生徒の意見を大きく反映
品女らしさを感じる庭とカフェテリア
校舎の新築工事にあたり、庭づくりに携わった高1(当時中3)のN.Y.さん、高2(当時高1)のH.B.さんに、アイデアやこだわり、頑張ったことなどお聞きしました。
――どんな庭なのか、コンセプトなどについて教えてください。
N.Y.さん:庭は、校舎のまわりをぐるりと囲むような形です。その形状から、「世界一周」をコンセプトにしました。「日本一周」ではなく、「世界一周」にこだわったのは、海外との交流が多い学校であること、海外について触れる研修や学習が多いこと、中3 時の修学旅行先が海外であることなど、本校らしさがより感じられるという理由からです。
H.B.さん:庭は大きく5つのエリアに分け、一つひとつのエリアをアジア、アメリカ、オセアニアなど世界の大陸に当てはめています。かつ、その大陸ごとにふさわしい物語を設定し、エリアごとでどんな木々や花を植えるかを決めていきました。例えば、アジアのエリアでは日本の「竹取物語」をテーマにしているため、竹を植えたり、飛び石を置いたりしています。
――庭づくりの活動を振り返り、自分にとってチャレンジングだった点はどこですか。
N.Y.さん:この活動ではスライドづくりやプレゼンの機会がとても多くあり、その点がとても難しくもありやりがいを感じた部分でした。先輩方がつくるスライドは見やすくてとてもきれいですし、発表も上手です。私もそうなりたいと思い、スライドづくりの際は自分なりに工夫したり、発表の際の話し方や伝え方も先輩を見習ったりして頑張りました。
H.B.さん:私は当時高1だったので、最初は高2の敏腕な先輩方をサポートする意識が強かったのですが、受験時期を境に先輩方が活動から抜け、今度は後輩をいかにリードするかという意識が高まっていきました。完成後、庭の植物の植え替えや水やりといった維持・管理についてどう後輩たちに引き継いでいくか考えたことが、私にとってはチャレンジングでしたね。また、今後も長年にわたってこの場所で日々を過ごす先生方にとっても、この庭が癒しの空間になるように、という想いも大切にしました。
――H.B.さんは、先輩方のどんな部分を敏腕だと感じていたのですか。
H.B.さん:本校では中1時からデザイン思考について学んでいます。仮説と検証を繰り返す思考プロセスを身に着けると同時に、それを発表する機会も多いんですね。先輩方は、この経験をたくさん積んできていますので、話し合いの場での意見の出し方、他の人の意見の受け止め方や補い方がとても上手なのです。そのおかげで、とても有意義な話し合いができました。
―― 活動するなかで楽しかったのはどんな点ですか。
N.Y.さん:植える花の花言葉をネットで調べ、色や配置のバランスを考えたり、図で描いたりしたことがとても楽しかったです。もともと植物が好きなので、春夏秋冬それぞれの季節で移り変わる景色を想像しながら考える作業も楽しんで取り組むことができました。建設会社や専門業者などプロの方々の意見を聞けたこともよかったです。あとは、先輩が優しく接してくれたことでだんだんと仲良くなり、意見や考えを言えるようになっていったことがうれしかったです。
H.B.さん:活動時期はずっと楽しく、特に辛かったことはまったくありませんでした。なかでもうれしかったのは、後輩との距離が縮まってとても仲良くなれたことです。最初は緊張していた様子の後輩たちでしたが、打ち合わせやプレゼンなどで協力し合ううちに、徐々に打ち解けることができました。
――N.Y.さんは、建設会社や専門業者からの意見でどんな気づきや発見がありましたか。
N.Y.さん:打ち合わせは月に1~2回のペースで行いました。専門の知識を持ったプロの方々ならではの視点やアドバイスをもらえたことは大きな発見でした。「こうしてください」と言われたことはなく、「こうではないですか」とヒントを出してくださったので、考え直すことができました。とても頑張りがいを感じられた経験でした。
終始、笑顔で質問に答えてくれたN.Y.さんとH.B.さん。学年の枠を越えた活動を通じて、日々の学習ではなかなか得られない学びを得て成長していることがうかがえました。このプロジェクトの活動について、担当した山根先生は次のように話します。
「プロジェクトを進める上では、できるだけ生徒の思いをそのまま反映できるように調整しました。『世界一周』をコンセプトとしたアイデアは、こちらの期待に見事に応えてくれたものでしたね。生徒たちの柔軟な発想力に加え、本校への気持ちをしっかりと表現してくれたことがとても印象的でした」
カフェテリアも、庭と同じように生徒たちの思いや意見が反映されていて、ランチや放課後の時間の憩いの場としてすでに多くの生徒から人気を集めています。校長先生もこうした活動を随時見守り、生徒たちの様子や充実ぶりに感心していたそうです。
N.Y.さんとH.B.さんは、新校舎の魅力、学校生活や生徒の雰囲気について次のように話してくれました。
N.Y.さん:A棟のカフェテリアの隣にある、プレゼンスペースにもぜひ注目してほしいです。扇形のプレゼンスペースや防音の仕切りパネルのあるミーティングスペースは、生徒のアイデアでつくられています。なかでも私のイチオシは、プレゼンスペースの裏にある横長のソファです。私は、お昼休みにそこで友達とおしゃべりしたり、放課後に起業体験の作戦会議を行ったりしています。窓の形も可愛くて、日光の光が入ってくる感じもお気に入りです。とても雰囲気が良く、ここで過ごす時間はきっと楽しい思い出になるはずだと思っています。
H.B.さん:品女と聞くと、好奇心旺盛で社交的な生徒が多い印象をお持ちかもしれません。そういう生徒もいますが、もちろん内気な子もいます。この学校で私が良いなと思うのは、友達同士で干渉しすぎず、お互い尊重し、個性を認め合う雰囲気があること。だからどんな性格でもきっと馴染めると思います。最初は人前で話すのが苦手だったけど、気づいたら平気になっていたということも十分あると思います。ぜひ、実際に学校を訪れてそうした雰囲気も感じてもらえたら嬉しいです。新校舎につくられた入口を入ってすぐの大階段にもご注目くださいね。開放感のある立派な大階段は、シンデレラ気分を味わえるはずです。
100周年を迎えスタートした
起業マインドを育むプログラム
品川女子学院では、新しく生まれ変わった校舎と足並みをそろえるように、全校生徒約1300名を対象とした新たな教育プログラム「チェンジエージェントプロジェクト」を始動しています。
<チェンジエージェントプロジェクトとは>
いまの社会で求められているのは「課題を発見し最適解を導く力」。その力を品川女子学院では「起業マインド」と呼んでいます。「チェンジエージェントプロジェクト」は、「起業マインド」を持った次世代リーダーの育成を推進するプログラムのことです。
「起業マインドの土台にあるのは、基礎学力。その上に、問題発見力・共感力・発信力・内省力を身に着けていくイメージです。1年生~5年生までの体系的な探究学習(CBLや起業体験)、企業や自治体との協働授業、外部講師による特別講座などを通じて、これらのスキルを定着させていくことを目指しています」と山根先生。
このプログラムでは、OGとのネットワークも活用しながらアントレプレナー(起業家)とイントレプレナー(社内起業家)の共通資質を育むことに重点を置いています。同校独自の学びである「28project」で培ってきた教育ノウハウを元に、ライフステージを問わず女性が社会で活躍できる環境の創出を目指しています。
ハード・ソフトの両面で、目覚ましい進化を遂げている品川女子学院。ぜひ、学校説明会やオープンキャンパスに足を運んでその魅力を体感してみませんか。
