学校特集

聖学院中学校・高等学校2018

他者のために生きる~人創りをめざして!~

掲載日:2018年6月1日(金)

1906年に創立以来、「Only One for Others」(オンリーワン・フォー・アザーズ/他者のために生きる個人)を教育理念とし、キリスト教の精神に基づいた男子の人間教育に力を注ぐ聖学院。110余年という月日が流れてもその教育が少しも色褪せないのは、聖書の普遍性にあります。キリスト教に馴染みのない子でも、毎朝の礼拝の中で、黙祷をして心を鎮め、聖書に基づく言葉のシャワーを浴びて、賛美歌を歌っているうちに、聖書の言葉が糧となり、自分を磨き、人を思いやり、行動できる人間に成長していきます。
「健全な心身をつくるには両方に栄養を与えなければならない。体を大きくするには食事と睡眠が大事。心を豊かにするには神様の言葉が大事」と話す校長の角田秀明先生に、聖学院の人間教育についてお話をいただきました。

《 聖学院教育の3本柱 》
聖学院中学校_

○他者のために生きる人になれ
○キリスト教精神に基づく人間力・思考力・国際力
○3つの力の融合で「Only One for Others」の理念を実現します。

聖学院の特色は「心が育つ」こと

聖学院中学校_校長 角田秀明先生
校長 角田秀明先生

角田校長:私は昨年の4月から校長をさせていただいていますが、この春、校長になって初めての卒業生を送り出すことができました。その際、彼らからたくさんの感謝の言葉をもらいましたが、なかでも彼らが書いた卒業記念の文集からは「心を育てること」の大切さを改めて実感させていただきました。

野球部員の保護者の方が、ある時こんな話をしてくださいました。
「中高一貫校に入ったので、息子に『1つのことを6年かけて一生懸命やりなさい』と伝えると、野球部に入りました。6年間一生懸命練習に取り組み、迎えた最後の試合。残念ながら後輩のエラーで負けてしましまったのですが、息子は守備位置から動けずにいたその後輩を迎えに行きました。仲間を思いやれる人間に成長した姿を目の当たりにした時、聖学院に入学させて本当によかった」というお言葉でした。

聖学院中学校_卒業証書を手に「ハイ!ポーズ♪」
卒業証書を手に「ハイ!ポーズ♪」(2018年3月)

聖学院に通って良かったと思うことは1人ひとり違いますが、「いろいろな体験をする中で、人と人との関係を築けるようになった」と、文集に書いている生徒がたくさんいたことが、非常に印象的でした。それは本校が掲げる「Only One for Others」の理念そのものであり、6年間の教育の成果を実感できた瞬間でもありました。

各クラスの代表で構成する代表委員会(保護者の会)では、卒業生の保護者の方が「私は先生方を信頼した。徹底的に信頼することにより、子どもたちも先生を信頼するようになった。この信頼関係がすべてうまくいく軸になった」と、下級生の保護者の方々に向けて話しているのを聞き、胸が熱くなりました。

なにかと批判の声が出やすい時代ですが、「預けたのだから信頼して任せる」という基本姿勢にはたいへん説得力がありました。今年の卒業生はそういう学年だったので、卒業生も、学校に対して、教員に対して、保護者に対して感謝の気持ちを素直に伝えてくれたのだと思います。

聖書の言葉が心の栄養になる

聖学院中学校_自らの生き方を考える毎朝の礼拝
自らの生き方を考える毎朝の礼拝

角田校長:本校の教育理念「Only One for Others」は、Only One「自分らしさ」を尊重する精神と、for Others「他者のために生きる」という精神を対にした理念です。私たちは神の創造物です。お互いが、「かけがえのないもの」として尊重し合わなければいけません。一人ひとりが持っている才能や賜物は、神様が授けてくださったものでもあります。しかし、賜物はいずれお返ししなければなりません。そのためにも磨き続けることが使命であり、その力は他の人のために使い、喜んでもらうことが大切なのです。この価値観は揺るぎません。中高時代に正しく行動するための「ものさし」を持つ意味は大きく、それが聖学院の教育の支えでもあるのです。

本校の一日は、毎朝15分間の礼拝から始まります。全校生徒と教員が一堂に会し、黙祷して心を沈め、聖書の言葉を聞きます。そして賛美歌を歌いますが、皆大きな声で歌ってくれます。

聖書の中に「人はパンだけで生きているのではなく、神の口から出る1つひとつの言葉で生きている」という言葉がありますが、世界中の人々が聖書から栄養をいただいて、よりよく生きる力に変えています。聖学院の生徒たちも、聖書の言葉を6年間、毎日食べ続けているので、自ずと聖書の言葉が蓄積されていきます。不思議なもので、同じ言葉を聞いても受け取り方、響き方は1人ひとり違います。言葉というものは、その人にとって必要な時に吸収されるのでその場では響かないこともありますが、ある時、ふいに背中を押されることがあります。これは私の体験ですが、何かに突き動かされるように「今やらなければ」と行動してしまうことがよくあります。先ほどご紹介した野球部の生徒の話も、後輩の気持ちを想像し、行動に移した結果です。

人間の心と体は連動しています。両方に栄養を与えなければ、よりよく生きることはできません。体を大きくするにはよく食べ、よく寝ることが大事です。つまり、心を豊かにするには、神様のお言葉を素直に受けとめ、行動し、互いを認め合うことなのです。

男の子は自分で手応えをつかめば伸びていく

聖学院中学校_女子の目線を気にせず、みんなで楽しく昼食タイム!
みんなで楽しく昼食タイム!
学食も利用可能です

角田校長: ある生徒は当初自分のことを「おとなしくて目立たない」と嘆いていました。小・中学校時代は、女子のほうが成長が早く、何事に対しても積極的です。もし本校に女子生徒がいたら、その子も女子の影に隠れてしまったかもしれません。その点、聖学院には男子しかいません。自ら重い腰を上げると、当然、いろいろなことが降りかかってきます。それでも「やってよかった」と思ったり、「自分もやればできるんだ!」ということに気づいたりすると、前向きな気持ちは自然と湧いてくるのです。その後、その生徒はクラスの委員長にも立候補するほど、何事にも積極的に動くようになりました。

彼の言葉を借りれば、それは「小学校時代には考えられなかったこと」でした。未体験のことに挑戦すれば、当然失敗もします。言うことを聞いてくれない、人が集まってくれないなど、うまくいかないことだらけで、普通は「もう二度とやらない」と思うでしょう。ところがその子は違いました。

その原動力となったのが「友だち」、つまり環境です。友だちが「お前やれよ」「お前がやるなら協力するから」と背中を押してくれたからです。もちろん担任もサポートしました。密かにクラスメイトに声をかけ、協力を仰いだのです。するとクラス単位で競う体育祭や記念祭など、団結力がものをいう場で大きな成功を収めることができたのです。その子は「自分のような者を支えてくれたのは仲間だ」と卒業文集に書いていましたが、こうした成功体験により自分を肯定できれば、もう心配いりません。放っておいても男の子は伸びていきます。高3になる頃には困った人がいれば率先して助けに行く、そんなたくましい好青年に成長しました。

聖学院中学校_記念祭で設置された正門ゲート
記念祭で設置された正門ゲート

子育ては、子どもが自立・自律することです。私たち大人がいつまでも付き添っていられるわけではありません。それを忘れてしまい、子離れのタイミングを間違えたり、焦ったりすると親子関係にヒビが入ります。

もっとも身近にいる親は、子供の足らないところが見えてしまうので、先回りして本人が困らないようにしてしまいがちですが、それでは本人が気づかぬうちに年齢を重ねてしまいます。本人が手応えをつかむには失敗も必要なのです。

見守るには忍耐が必要です。その点、聖学院は男子だけの学校なので、決して成長を急かしません。必要な時に手を差し伸べる程度の距離を取りながら、「独り立ちできるな」とこちらが安心できるまでとことん見守ります。それは自分で決めたこと、目指したことには根気よく取り組み、邁進する、それが男の子だということを本校の教員たちは知っているからです。

《 L.L.T. 》

L.L.T.は「Learn Live Together」の頭文字をとった、聖学院独自の授業です。中1、中2を中心に、中学生が1年間を通して命の大切さや人間関係の構築などを学び、グループで意見を交わしたり、それをまとめてプレゼンテーションしたりすることで、互いの価値観を尊重し、ともに学び合う姿勢をつくりあげています。

さまざまな体験学習で、魂を揺さぶる6年間~命のバトンを受けて~

角田校長:感受性が豊かな時期だからこそ、さまざまな経験により、刺激を受けて、ものの見方や考え方の引き出しを増やしてほしい。そして自分がやるべきことに気づいてほしい。そのような思いから、本校では体験学習に力を入れています。

聖学院中学校_糸魚川農村学習で行った田植え
糸魚川農村学習で行った田植え

中3の「糸魚川農村体験学習」は、人間力を養うことを目的とした、今年で33年目を迎える行事です。各ご家庭に分宿して、植林作業や田植えなどの体験をします。田植えや植林はもちろん、農家の方々とのコミュニケーションさえ初めての経験です。当然、生徒たちは緊張の連続ですが、この緊張感が生徒たちの心身を大きく成長させます。その後、お世話になった方と年賀状のやりとりをしたり、家族で遊びに行ったりと、交流は続きます。ある生徒は大学生になってから「自転車で遊びに行った」と話していました。つながりというのは思わぬところから始まります。そして人生を豊かにしてくれるのです。

高2の「沖縄平和学習の旅」も、人間力を養うことを目的に、30年近く行っている行事です。現地では、戦争を体験している生存者の方を訪ねて、貴重な体験を語っていただきます。語り部の方々はかなりのご高齢ですが、私たちの訪問を楽しみにしてくださり、話の最後には必ず「命のバトンを渡しましたよ」とおっしゃいます。今はまだその意味がわからないかもしれませんが、生徒自身が年齢を重ねるにつれ、その言葉の真意を理解してくれるのではないでしょうか。

また、中3から高2を対象としたタイ研修旅行は、タイの山岳少数民族との異文化交流や国際ボランティアを主な目的としています。孤児院の施設にワークキャンプを張って、子どもたちと一緒に遊んだり、道路や家の補修作業などに取り組んだりして過ごします。環境や生活観の違いは、生徒たちにとっては大きなカルチャーショックとなりますが、「男」としての心の成長を遂げる絶好の機会にもなっています。

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タイ研修旅行で現地の子どもたちと!

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高2の沖縄平和学習

思考力入試で入学した生徒が学年トップ集団&読書王に

聖学院中学校_PBL型の授業を実践する聖学院では当たり前の授業風景!
PBL型の授業を実践する聖学院では
これも当たり前の授業風景!

角田校長:創造力や思考力を育みたい本校では、入試で「思考力入試」を実施していますが、昨年にこの入試で入学した生徒(現中2)が、1年の学年末に好成績を修め、さらに読書王(年間貸し出し数を競い表彰する)にも輝きました。聞けば小さい頃から読書が好きだったそうです。読書は一種の疑似体験です。読めば読むほど、経験知は上がります。その経験が土台となり、新たな発想や創造につながると私は思います。

また、本校では生徒自ら積極的に学ぶ力や意欲を引き出すために、授業や体験学習、さまざまな活動の中で、Project Based Learning(PBL)を用いた探求型学習を実践しています。PBLは自分たちの力で課題の解決に取り組み、議論と探求を重ねる学習法です。生徒は、生徒同士による学び合いの中で、自分の意見や価値観を多方面からふくらませていきます。

理科教育も力を入れていることの1つです。中学3年間で150種類の実験・実習を行います。その中で養われる、仮説を立てて確かめるという所作は、理科に限らず、生活の中のあらゆる場面で役立ちます。何事にも「本当なのか」と疑って、自分の目で確かめる習慣を身につけてほしいと考えています。

生徒が満足して卒業していく、それが聖学院~大学卒業後を見すえて~

聖学院中学校_それぞれの思いが詰まった卒業記念文集!
それぞれの思いが詰まった卒業記念文集!

角田校長:生徒たちの進路については「キャリアデザイン」というプログラムを実施しています。「自分は何をしたいのか」という考えを起点に、高1から自分の進路について考えていきます。「したいこと」が見えてきたら大学や学部を考えますが、大学に入ることがゴールではありません。大学を卒業してからの人生のほうが、圧倒的に長いのです。「キャリアデザイン」では、まず自分の考えを志望理由書にまとめ、担任のアドバイスを受けながら、未来予想図を固めていきます。そのため、本校では時間を問わず、さまざまな場所で担任と生徒が話をしているのが見受けられます。また、必要に応じて教科担当の教員が相談にのることもありますので、このきめ細やかな対応力が生徒や保護者と教員との信頼関係につながっているのだと思います。

聖学院中学校_聖学院ではネイティブも身近な存在!
聖学院ではネイティブも身近な存在!

卒業文集の中に、「中学まではぼんやりと過ごしてきた。高校になったらこれではいけないと思い、いろいろなことにチャレンジを始めた」と書いている生徒がいました。その子はオーストラリアの語学研修や1年間の長期留学でのホームステイを経験したことで、考え方を大きく変えたようです。「異文化の国で生活することにより、逆に日本のことがよく見えるようになった」とも書いていました。

彼のように、「ここで学んでよかった」と、生徒自身が満足して卒業していくことが私たちの一番の喜びです。そういう生徒は、神様からお預かりしている才能や賜物を磨いて他者のために生かすという、神様に喜ばれる生き方ができるようになるからです。「Only One for Others」を指針に、より良い生き方ができる生徒を一人でも多く送り出すことが私たちの使命でもあります。本校ではさまざまな仕掛けを用意して、人間力や思考力・判断力、国際力が身につくための教育を実践しています。本校の教育に少しでも興味をもってくださいましたら、ぜひ学校に足をお運びください。

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