学校特集

相模女子大学中学部・高等部2017

プログラミング教育を導入 楽しみながら21世紀型人材を育てる
新指導要領に先駆けた改革で新時代に必要な学びを採用

掲載日:2017年11月11日(土)

明治33(1900)年に東京都文京区に創設された日本女学校が相模女子大学中学部・高等部の前身です。昭和21(1946)年に現在の神奈川県相模原市に移転し、幼稚部~大学院までを擁する総合学園として幅広い教育を行っています。創立者・西澤之助氏の言葉「高潔善美」を建学の精神に掲げ、学力だけでなく人間力や女性ならではのたおやかさを併せ持つ女性を育成し、世に送り出しています。自己肯定感など心を育てる教育でも定評のある同校ですが、21世紀に必要とされる人材を育てる最先端の教育もとり入れています。今年度から新たにスタートしたプログラミングの授業を担当する川原田康文先生、広報の中間義之先生に話を伺いました。

楽しみながらプログラミングを学ぶ中1の授業

これからの時代は人工知能やビッグデータが活用される、第4次産業革命に突入していきます。それに伴い、2020年に実施される新学習指導要領では、小学校からプログラミング教育が必修化される予定です。

相模女子大学中学部_プログラミングを担当する川原田康文先生
プログラミングを担当する川原田康文先生

そうした動きを見据えて、同校では今年度の4月から、いち早くプログラミング教育をスタートさせました。プログラミングの授業を担当するのは、川原田康文先生です。川原田先生は、ロボティクス科を教科化した立命館小学校(京都)で、7年間教えてきたプログラミング教育の草分け的な存在。今年度から相模女子大学で小学部の副校長に就任し、小学部と中学部のプログラミング教育を担当しています。

今年度は中1が週1回、技術の授業でプログラミングを学びます。教材は中学生にも使いこなしやすい教育版レゴmindstorms EV3を使います。テキストは川原田先生が作成したオリジナル教材。課題に対する考え方、プログラム、実験結果、考察などを書きこめるようになっています。

4月の1回目からロボットを操作したり、ロボットを走らせて時間と距離を測定したりと、実際に手を動かします。6月からは「90度曲がるプログラム作り」「カラーセンサーを使ってプログラムを作る」など、徐々に踏み込んだ内容になっていきます。

プログラミングの授業を始めて、半年経った10月の授業を見学させていただきました。

相模女子大学中学部_黒いライン上をジグザグに走らせる
黒いライン上をジグザグに走らせる

この日はカラーセンサーを使ってライントレースするプログラムに取り組んでいました。黒い太いラインの上にロボットを置き、そのライン上をロボットがジグザグに走るようにプログラミングするのが課題です。単にライン上を走るだけでなく、右に向かって走ってラインを出そうになったら左に方向転換して進み、左端に来たら今度は右に方向転換して...という繰り返しで走らせます。

相模女子大学中学部_進捗状況に合わせてアドバイス
進捗状況に合わせてアドバイス

川原田先生は課題の内容を説明した後は、細かいやり方などは教えず「自分たちで考えてやってみて」と生徒に指示を出しました。生徒は2人1組で作業します。さっそくパソコンに向かい、相談しながらプログラムを考え始めました。

先生は生徒たちの間を回りながら「どうやってマイナスを入力するの?」といった生徒の質問に答え、「最初に直進したらダメだよ」「これだとラインの右端しか見てないよね」とアドバイスします。

試行錯誤を繰り返して答えを見つける

相模女子大学中学部_「このままのプログラムでは動かないよ」とヒントを出す
「このままのプログラムでは動かないよ」とヒントを出す

授業開始から20分ほど経ったところで、先生が教壇に立ちました。「こういうプログラムを入力している人が多いね。一見、正解に思えるけど、このままのプログラムだと黒いラインからはみ出して白にいったところで止まっちゃうよね。なぜだか分かる?」。

生徒たちが考え込んでいると、「センサーが白を認識したら、白から黒にいくという指示が必要だよ」と先生がヒントを出しました。「あ、そうか!」と気づいた生徒たちは、さっそくまたコンピュータに向かい始めました。

そうして試行錯誤を重ね、プログラムを完成させた生徒たちは教室後方のテーブルへ。シートの上で実際にロボットを走らせて課題の通りに動くかどうか検証します。

相模女子大学中学部_「右ラインの右側しか見てないね。惜しい!」
「右ラインの右側しか見てないね。惜しい!」

ラインの外側に沿ってジグザグに走ってしまったり、ラインからコースアウトしてしまったりと、最初はなかなかうまくいかないグループも。

でも、少しずつ成功するグル―プが増えてきて「やったー!」「先生、できた!」と生徒たちの弾んだ声が教室に響きます。

課題どおりのプログラムが組めると、先生からシールをもらってテキストに貼り、過程や結果などをテキストに書きこみます。

相模女子大学中学部_自ら難易度の高い課題に取り組む生徒も
自ら難易度の高い課題に取り組む生徒も

一方で、課題が達成できてもまだ満足しない生徒もいます。「何十回もプログラムを繰り返し入れるより、ループさせる命令を入れたほうがいいんじゃない?」「先生、次は何をやればいい?」「先生、速さを変えて動かしてみてもいい?」など、より高度なテクニックを思いついたり、違う動きに挑戦したり。それに応えて先生も「それじゃ、次は赤を見つけたら音が鳴るようにしてみて」とさらに難しい課題を与えていました。

50分の授業はあっという間に終わりました。生徒たちは「難しい課題に向かっている」というより、好奇心や意欲にあふれていて、楽しみながら考え、手を動かしているのが印象的でした。

21世紀型人材を育てる深い学び

この日の授業を振り返って、川原田先生は「私が課題を出していますが"面白いからやってみよう"という遊び感覚の学習ができていると思っています」と話します。

新学習指導要領では
●深い学び(習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程が実現できているかどうか)
●対話的な学び(他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できているかどうか)
●主体的な学び(子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる、主体的な学びの過程が実現できているかどうか)
という3つの学びが重視されています。「プログラミングの授業はまさにこの3つの学びを実現できるものです」と川原田先生は力をこめます。

相模女子大学中学部_数学や物理的な要素も含まれる
数学や物理的な要素も含まれる

「2人1組で作業をするのは、共同作業という学習を入れたかったからです。話し合い、考えて答えを見つける作業は21世紀型学習の"対話的学び"にあたるものです。また、必ずしも答えは一つではなく、いくつもやり方があっていい。それにたどりつくためにたくさん手を動かし、試行錯誤したり失敗を繰り返したりすることも大切です。外国では母国語以外の言語でプログラミングの授業を行うケースも見られます。そうすることで、生徒は楽しみながら他言語も習得できるのです。また、プログラミングには数学的要素、物理的な要素も入ってくるため、多面的な学習ができます。まさに21世紀型学習を体現しているのがこの授業なのです」(川原田先生)

広報の中間先生も、中1の授業の様子を見学してこう話します。
「今までは、他人の前で発表して間違えたくない、何度も失敗を繰り返したくない、最短距離で正解にたどりつきたい、という生徒が多い傾向にありました。"先生、早くやり方を教えて"と求めてくる生徒が多いのです。ところが中1のプログラミングの授業では、生徒たちは"間違ってから考えればいいや""やってみたら違っていたから、もう1度考えてみよう"と、失敗を恐れないし、何度失敗してもへこたれません。これまでとは明らかに違う傾向で、そうした取り組み方ができるようになったのはこの授業の効果だと感じています」

ロボットとの会話で笑顔が広がる

校内には「Pepper」というロボットが2体設置され、通りかかる生徒たちと会話しています。集まってきた生徒たちにPepperが「一緒に踊りませんか?」と話しかけると、生徒たちは「え??」と驚いた表情でPepperを見つめます。すると、おもむろにPepperがテレビドラマの主題歌を歌いながら身振り手振りをつけながら踊り出したのです!

「うわぁ! すごい!」生徒たちから歓声があがり、一緒に踊り出すグループも。休み時間の廊下がPepperの即興ライブで大いににぎわい、盛り上がっていました。

夏に行われたPepperを使ったワールドロボットサミットのジュニア部門トライアル大会(国際大会)にも同校から3組の生徒が出場しました。そのうちの1組は、見事に3位入賞を果たしました。

「課題は【学校の中のPepper】でした。中1の生徒が、"母に試験結果を見せると<こんな問題ができないの>と怒られるし、先生に何度も同じ質問をすると<なぜこれが分からないの>と言われそうでイヤだ。でも、Pepperならそういうことを言わないんじゃないかな"と企画案を出したんです。そこで、Pepperと話したり質問したりすると答えてくれたり、試験の結果を見せると"ここが苦手だね"と言って問題を出してくれ、正解すると"すごい!""よくできたね!"と褒めてくれるというプログラムを作りました。

Pepperとのやりとりを図で表して、<こう話しかけたらこう答える><こう言ったらこちらに行く>とフローチャートを描いてプログラムに作りました。」(川原田先生)。

相模女子大学中学部_生徒に話しかけるpepper
生徒に話しかけるpepper

世界的な大会では、プレゼンテーションは英語で行うのが一般的です。今回は準備期間が短かったため日本語と英語でプレゼンテーションを行いましたが、次回はすべて英語でプレゼンや質疑応答を行う予定です。すでに「出場したい!」という生徒たちから手が挙がっており、生徒たちもやる気満々の様子です。

今年は中1のみでプログラミングの授業を行っていますが、来年度からは中1、中2でも授業を行い、いずれは高校にも広げて少しずつ高度な課題に取り組んでいく予定です。また、将来的には他の授業でもプログラミングをとり入れたり、学校外での活動も視野に入れています。「たとえば相模大野商店街とのコラボ企画を考えて、自分たちでプログラムしたものを置いてもらうなど、いろいろな活動ができるといいですね」(川原田先生)と夢は広がります。

自己肯定感を高める「マーガレットタイム」

同校では最先端のプログラミング教育をとりいれていますが、女子校ならではのきめ細かい教育も大事にしてます。建学の精神"高潔善美"には、高い志を持って信念を貫く強さと、女性としてのたおやかさや美しいものを愛する心を併せ持つ、という教育理念がこめられています。その理念に基づきつつ、現代の状況に合わせて、①研鑽力 ②発想力 ③協働力 の3つを教育の柱に据えています。

中でも、同校ならではの特色ある授業が「マーガレットタイム」です。「自己肯定感を高めれば、生きることにも学びにも積極的になれるはず」という思いから生まれた「マーガレットタイム」は2015年度から導入された授業で、命と向き合う時間です。

相模女子大学中学部_赤ちゃんの愛らしさに触れてみんな笑顔に
赤ちゃんの愛らしさに触れてみんな笑顔に

中1は誕生学協会の講師から、女性の体の構造、受精や着床、胎児がおなかの中でどのように成長していくのかなど、命の誕生について学びます。中2では「自然の命と人間の命」、中3では「歴史の中の命」をテーマに学び、6月の沖縄修学旅行では戦争の話を聞いたり防空壕やひめゆりの塔を訪れて"戦争と命"について身をもって学びます。2学期は助産師に話を聞いたり妊婦ジャケットを着て妊婦体験を行うほか、ママとなった卒業生と赤ちゃんをゲストに迎える時間も。赤ちゃんを抱っこしたりあやしたりすることで母の大変さを実感し、同時に泣き止まない赤ちゃんをママが抱っこするとピタリと泣き止む様子を見て母子の絆の強さを実感することができます。そうした学びによって自分が愛されていることを心に刻み、自然と家族への感謝の気持ちが芽生えるのです。

そのほか、中1の3月に国内で英語漬けの生活をする2泊3日のイングリッシュキャンプ、高2の6月には全員参加の5泊6日のニュージーランド修学旅行など、英語教育も充実してます。一昨年からは、オーストラリアの姉妹校やイギリス・カナダの交流校との双方向交流も始まり、机上にとどまらない学びや国際交流の機会もたくさん設けられています。一方、中1と高1で裏千家を学ぶ茶道が必修科目になっていて、日本の文化にもしっかりと目を向けているのも同校の特徴でしょう。

相模女子大学中学部_バトントワーリング部は全国大会常連
バトントワーリング部は全国大会常連

部活動は運動部、文化部ともに11のクラブが活動しています。バスケットボール部やバトントワーリング部など全国大会で実績をあげているクラブもあり、生徒たちはそれぞれの場所で、目標に向かって努力し邁進してます。

自己肯定感に支えられて、生徒たちは勉強にも友だち関係にも行事や部活動にも前向きに取り組んでいます。緑豊かな恵まれた環境の中で行なわれている豊かな学びを、ぜひ学校説明会などで体感してみてください。

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