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学校特集

桐朋女子中学校・高等学校2021

「ことばの力」を育み、物事に取り組む姿勢をつくる教育
「Learning by Doing」…多くの経験を通して学び、創造力あふれる女性の育成を目指す

掲載日:2021年6月1日(火)

 1941年に山水高等女学校として創立し、1948年、現校名に名称変更した桐朋女子は、今年創立80周年を迎えます。「こころの健康 からだの健康」を学校のモットーとし、新しいものを創り出す創造性豊かな女性を世に送り出しています。「ことばの力」をすべての活動の土台と考え、学校生活のあらゆる場面を通じて生徒たちの創造力を養い、一人ひとりの個性を尊重しながら「こころの健康 からだの健康」を育んでいます。30年来、数学科の教員として桐朋女子の教育を支え、校長に就任して3年目の今野淳一先生に、同校の教育の特徴と学校生活について伺いました。

「こころの健康 からだの健康」を育む桐朋女子の教育

●こころの3要素「知・情・意」をバランスよく

桐朋女子_校長の今野純一先生
校長の今野淳一先生

今野校長:桐朋女子では半世紀以上前から通知表を使わず、入試時には口頭試問を採用してきました。これらは1960年代に第6代校長の生江義男先生が導入したシステムで、現在の桐朋女子の教育の礎となっています。また、中高一貫校の利点を生かして中学から高校への接続をスムーズにするブロック制を導入しています。本校が校是とする「こころの健康 からだの健康」の「こころ」は「知・情・意」の3要素に分けられますが、「知」とは知識や知恵、「情」は感情や情熱、「意」は意志・意見などです。本校は、こうした「こころ」の3要素を健やかに育てる女子教育を目指しているのです。そのうえで、グローバル化が進むこれからの時代に必要なものは新しいものを創り出す力であり、創造力に必要なものは「ことばの力」です。「こころの3要素」と「ことばの力」を育むこと、それが本校の教育の特徴です。

第6代校長・生江義男先生

桐朋女子_生江義男先生
生江義男先生

なまえ・よしお●1960年に桐朋幼稚園・小学校・女子中学校・高等学校の園長・校長に就任。1967年の中学入試から口頭試問を導入。1970年よりブロック制を始め、通知表を廃止するなど、個性尊重の教育を実践し、現在の桐朋女子につながる礎を築いた。


●すべての活動の土台となる「ことばの力」を創造的に

桐朋女子_基本的人権を学ぶため、図書館で調べ学習をする生徒たち
基本的人権を学ぶため、図書館で調べ学習をする生徒たち

 人は「ことば」を通して考え、「ことば」によって他者に考えを伝えます。ことばは思考と表現のためのツールですから、日本語や英語だけでなく、数式なども「ことば」の一つと言えるでしょう。桐朋女子では思考手段であり伝達手段である「ことば」の力がすべての活動の土台になると考え、それに基づいて、さまざまな場面で論理的な思考力や発想力、表現力、主体性・協働性を養っています。

 物事を論理的に捉える思考力を育むために、入門過程のAブロック(中1・中2)では、国語の授業で副読本『論理エンジン』(水王舎)を用いて日本語の論理的な使い方を繰り返し学習し、文と文の間の論理的関係を理解して文章の要点を読み取る訓練を行います。また、社会や理科など各教科で体験学習を数多く実施し、レポート指導を徹底。「自分で調べ、考え、まとめて書く」トレーニングを繰り返すことで、「ことばの力」を身につけていくのです。

桐朋女子_スリランカで幼稚園を運営する方など、多方面で活躍される方の講演会なども実施
スリランカで幼稚園を運営する方など、多方面で活躍される方の講演会なども実施

今野校長:大人でも、主語と述語が曖昧で、発言の主旨がよくわからない話し方をする人がいますよね。自分が何について話しているのか、何を伝えたいのか、日々、論理的思考を組み立てる訓練を行うことで、「ことばの力」を獲得していきます。『論理エンジン』は01(初級)から03(上級)まであり、03ぐらいになると、大人でも一瞬判断に迷うような例題が載っています。授業の時間だけではなく、1日5分とか10分でもいいので、バランスよく継続して学習することが大切です。レポートでも、学年が上がるにつれて主語と述語を正確に認識し、文と文のつながりを意識するようになりますので、訓練の効果は確実に表れていると思います。
 英語力を伸ばす努力もさらに必要です。授業では、教員が英語で投げかけ、生徒に英語で答えさせる場面をなるべく数多く取り入れるようにしています。また、ディスカッションなどを中心に、英語で聞く力、伝える力を強化しています。2021年度からは、高1ではオンライン英会話を導入し、タブレットを使ってネイティティブの講師と1対1で英語力を磨いていきます。

●五感で感じる、本物に触れる

桐朋女子_イカの解剖中。真剣な表情と繊細な手つきに注目
イカの解剖中。真剣な表情と繊細な手つきに注目

 どの教科でも数多くの実験・実習を実施。見学、実習、実験、制作などさまざまな体験学習を通して、「本物」に触れる機会をもち、五感で感じ取ります。そこで得た気づきや学びを、レポートや新聞という形にまとめて考察する。その一連の流れを大切にしています。
 たとえば、中3の地学の授業では三浦半島の剣崎に出かけ、ハンマーやルーペを持って本格的な地層調査を行います。また、家庭科の調理実習は年複数回行い、だしのとり方からご飯の炊き方までしっかり学びます。すべて単に経験値を高めるだけでなく、本物に触れる体験学習の中で、互いに話し合ったり協力したりするプロセスを大切にしているのです。

桐朋女子_土地利用図や地形模型図を作成した後は、学校周辺のフィールドワークを実施
土地利用図や地形模型図を作成した後は、学校周辺のフィールドワークを実施

今野校長:コロナ禍の影響で、思うようにできないことが多いのは残念なことですが、それでも、3密を避ける工夫を施しながらさまざまな対応をしています。実験が多い理科の授業ではパーテーションを立て、1クラスを2つの実験室に分散させて2人の先生が授業を受け持つこともあります。見学授業や家庭科の調理実習などまだ実現できていないこともありますが、その分、新聞記事を比較対照してレポートにまとめることなどにも力を注いでいます。本校が重要視しているのは、現場に行って「本物」に触れることでしか得られない気づきです。21年度は、こうした状況が少しでも改善できるといいのですが。

●生徒一人ひとりとしっかり向き合う

桐朋女子_1対1の面談は、じっくりと時間をかけて
1対1の面談は、じっくりと時間をかけて

 6年間を通じて成績評価に通知表を使わないことも、桐朋女子ならではの特徴です。前期・後期各学期の終了時に、担任の先生と生徒の個人面談を行い、評価を伝えるのです。一人の生徒につき約20〜30分の時間をかけながら、学習状況や部活動、日常生活のことなどについて話し合うのだとか。
桐朋女子では3段階・5段階評価のほかに、各教科の担当の先生から生徒一人ひとりについて評価記号では表しきれない部分を文章で表したコメントが寄せられます。面談では、これらの評価とコメントを担任の先生が伝えていきます。

今野校長:本校は、教員が生徒一人ひとりにしっかり向き合っている学校です。日頃から教員室に来る生徒も多く、生徒と教員の距離感は近いのではないでしょうか。通知表を採用しない理由は、学習成果を単に数字で測るのではなく、生徒が理解できた点と理解できなかった点はどこかを確認し、改善点を見つけて指導することが学校の役目だと考えるからです。面談中に生徒の不満が出ることもありますよ、「あんなに頑張ったのに」と(笑)。そういう気持ちも汲み取りながら、「どうしてだろう?」「どうすれば良いと思う?」と、生徒自身が納得して次のステップ主体的に進めるように仕向けていきます。

伝統ある特別活動は「探究」そのもの

●行事にも、生徒たちのアイデアが詰まっている!

 桐朋女子では、年間を通して主体性・協働性を育むさまざまな行事が行われています。春の体育祭、秋の桐朋祭、冬のミュージックフェスティバル(合唱祭)、修学旅行や研修旅行などの宿泊行事も多彩です。どの行事も生徒たちが企画・運営し、楽しむ気風が溢れており、生徒たちは伸び伸びと青春を謳歌しています。なかでも、生徒たちの評価が圧倒的に高い行事が体育祭です。
中高合同6学年対抗で行われる体育祭は「足の歴史」「つな引き」「玉入れ」「団体徒手」など全14種目。6年間を通じて同じ種目に出場する生徒もいます。

桐朋女子_優勝旗を手にして感きわまる生徒たち
優勝旗を手にして感きわまる生徒たち

今野校長:中1から高3までハンディキャップなしで競うのですが、たまに「下克上!」と言って、下級生が上級生を負かすこともあります。後輩はなんとかして先輩に勝ちたいと技を磨き、先輩の練習方法を盗もうと観察したり研究したりしています。生徒たちが熱をもって励むその姿勢は、まさに「探究活動」そのものです。生徒自ら考え、方法を模索し、結果を出そうと努力する。昨年の体育祭は密にならずにできる「リレー」や「玉入れ」など種目限定で行いましたが、今年は「マスク着用・間隔を空ける・密を避ける」などの条件を課して行う予定です。桐朋女子の生徒は創意工夫が大好きですから、この条件下でやれることが絶対あると考えるはず。「あれができない」「これができない」ではなく、「こうすればできる」「ああすればできる」という喜びを感じてほしいと思っています。部活動でも、なんとかして活動できる方法を探そうと、生徒たちは必死に努力していました。春の体育祭でどんなアイデアを考え出すのか。生徒たちの発想に期待して、とても楽しみに待っています。

●経験や体験を通して学ぶ 「Learning by Doing」

桐朋女子_「音楽班」は昼休みにコンサートを行うことも
「音楽班」は昼休みにコンサートを行うことも

今野校長:これまで桐朋女子で行ってきた経験や体験を通して学ぶ教育は、アメリカの哲学者ジョン・デューイが提唱した教育概念「Learning by Doing」に通じるものがあります。日本語では「行動学習」「実験的学習」などと訳されていますが、「為すことによって学ぶ」という意味です。本校では「見る・聞く・触れる」などの五感を使い、単なる知識ではなくこころで、からだで発見・実感を得ることを何より大切にしています。「ことばの力」を高め、表現力や論理的思考力を重視し、多くの経験を通じてじっくり学ぶこと。時代は加速度的に変化していますが、そうした変化に対応できる論理的思考力、発想力、表現力が「21世紀型の学力」ではないでしょうか。本校は、健やかな「こころの健康 からだの健康」を養いながら、中高6年間を通して物事に取り組む姿勢を根本的に作り上げていきます。

高大連携システムを強化

 表現力や論理的思考力を重視する昨今の総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)でも、桐朋女子は高い合格率を実現しています。昨年度は、卒業生171人中101名が総合型や学校推薦型選抜で合格しています。

 教育連携を行う「高大連携」の取り組みを推進しており、2019年には東京女子大学と電気通信大学と高大連携協定を締結しています。電気通信大学には、生徒が大学を訪問して、研究の様子や実験環境を実際に見聞きする機会を増やしています。また、東京女子大学とは新たな推薦制度導入で合意し、2021年度から最大25名まで推薦入学が可能になります。


先輩に聞きました!

●好きなことには全力で向き合うべし

島村ゆいさん
(2016年3月卒業/上智大学総合グローバル学部2021年9月卒業予定)

中3の体育祭で激しく後悔したこと
桐朋女子_島村ゆいさん
島村ゆいさん

 桐朋女子の一番の思い出は、中3の体育祭です。その年の私たち中3は中2に負けてしまい、学年全体でも大ショックでした。私はモダンダンスが大好きで中1から「団体徒手」に出場していたのですが、中3の時だけなぜか「全力で何かをやるなんてカッコ悪い!」と出場しなかったのです。15歳の思春期にありがちな反抗心でした(笑)。他の生徒たちの踊りを見るのも嫌で、結果的に学年対抗でも負けてしまった。それが本当に悔しくてショックでした。好きなことに手を抜いてしまうとどれだけ後悔するか、身をもって体感した出来事でした。


ニューヨークのダンス留学で出会ったジャイロキネシス
桐朋女子_マーサ・グラハム舞踊学校でのショーにて
マーサ・グラハム舞踊学校でのショーにて

 桐朋女子で私が学んだことは、好きなことから逃げず、全力で向き合うことの大切さです。大学3年の夏に休学してニューヨークのマーサ・グラハム・スクールに入学しました。腰痛で踊れなくなった時に出会ったのがジャイロキネシスでした。1980年代に元バレエダンサーのジュリオ・ホバス氏によって考案されたエクササイズで、「ダンサーのためのヨガ」ともいわれています。好きなダンスを追求していたからこそ出会うことができたのです。リハビリ効果もあって少しずつ踊れるようになったので、大学卒業後は、ジャイロキネシス・トレーナーとして、ダンサーとして活動していきたいと思っています。


●やりたいことを思うままに実行できた6年間

花堂柚紀(はなどう・ゆずき)さん
(2016年3月卒業/中央大学文学部卒/大阪・NPO法人こどもの里勤務)


クラシックギターひと筋だった6年間
桐朋女子_花堂柚紀さん
花堂柚紀さん

 中1の時にギター部の演奏会を見たことがきっかけで入部し、クラシックギターを習い始めて夢中になりました。コンクールにも出場し、高校生になると校内のテラスで弾き語りをしたり、駅前で路上ライブをやったり。バンドを組んでライブハウスで演奏したこともありました。ギターひと筋で伸び伸び過ごすことができた6年間でした。桐朋女子にはやりたいことを突き詰める意識が強い生徒が多いので、自然に自分も何か夢中になれることを見つけなければという気持ちにさせられます。高3の夏に1年間のアメリカ留学を決心できたことも、授業などで自ら考えて実行に移すプロセスを何度も経験していたから、自然と行動に移せたのだと感じています。


現状を変えたい、変えようと意識している桐朋生
桐朋女子_高校在学中は、いつも友達と弾き語りを楽しんでいた花堂さん
高校在学中は、いつも友達と弾き語りを楽しんでいた花堂さん

 大学時代にはNGOの教育支援活動でカンボジアに留学したのですが、この4月からは自分なりのテーマをもって、大阪で恵まれない子どもたちのための支援活動をしています。桐朋女子の仲間たちに会うと、日々努力していることがわかる話題が多くて、会うたびに意識改革させられます。そうした仲間たちに出会えたことも、桐朋女子に入って良かったと思う理由の一つです。現状をなんとか変えたい、変えられるようになりたいと意識している人が多い。もともとの資質というより、桐朋女子で培われた自我が影響しているのだと思います。

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