学校特集

立教新座中学校・高等学校

一人ひとりの個性を尊重し、のびのび育てる立教新座の教育
生徒が自ら“選択”し、判断していく積み重ねが自由闊達な校風をつくる

立教新座中学校・高等学校は、埼玉県新座市にある私立男子校の中高一貫校で、日本聖公会系のミッションスクールです。立教大学の一貫校であり、推薦入学で約75%の生徒が立教大学へ進学するほか、難関私立大学・難関国立大学へも多数進学しています。自由闊達な校風を伝統とし、勉学も部活動も自主性を重んじた教育が行われています。そうした自由・自主を謳歌すると同時に、生徒自身の"選択"と責任ある行動を重視した教育理念はどのように形成されるのか。「自ら考え、判断する人間になる」ことが求められる立教新座中学校・高等学校の教育方針について、副校長の山内辰治先生に伺いました。

宣教師が開校した学校の教育理念

立教新座_副校長の山内辰治先生
副校長の山内辰治先生

山内辰治副校長「立教新座は、少し大人びた生徒たちがのびのびと生活している学校だと思います。教員側も学校生活のいろいろな場面で、生徒たちができるだけ自分で考えるように指導していますし、彼らを大人扱いするようにしています。立教大学の先生方によれば、立教新座出身の学生は、自分の意見をもっている、自分で判断しながら物事を進めていける人が多いと伺います。中高6年間の教育が、そうした人間形成につながっていると感じています」

 正門を入ると、まず正面に建築家アントニン・レーモンドの設計による「立教学院聖パウロ礼拝堂」(タイトル部の写真)が目に飛び込んできます。祈りに始まり祈りで終わる、立教新座の1日。生徒の自主性を重んじる校風は、宣教師が始めた私塾という建学の歴史と無縁ではありません。

立教新座_高校は私服もOKなど、自由な校風
高校は私服もOKなど、自由な校風

 明治維新から間もない1874年。アメリカ聖公会の宣教師チャニング・ムーア・ウィリアムズ主教が、聖書と英学を教える目的で東京・築地の外国人居留地に私塾を開いたことが、立教学院の始まりです。その後、池袋に移転し、1948年の新学制に基づいて「立教中学校」「立教高等学校」が開設されました。1960年に、立教高等学校がより良い環境を求めて埼玉県新座市に移転。以後、約40年間にわたって中学は東京都、高校は埼玉県と、所在地が東京都と埼玉県に分かれる状態が続きましたが、2000年の中学校併設に伴って「立教新座中学校・高等学校」と改称(立教中学校にも高校を併設し、立教池袋中学校・高等学校に改称)。新座のキャンパスで、中高一貫校としての歩みが始まりました。

山内副校長「中1では週1時間、礼拝の授業を行っています。キリスト教への信仰を強要することはありませんが、授業で学ぶだけでなく、入学式や卒業式、年間の行事など学校生活のあらゆる場面で、キリスト教の学校であることを実感する環境にあると思います。一人ひとりの生徒を固有の人格をもつ存在として尊重し、それぞれがもっている個性を大事に育てたいと考える教育方針は、キリスト教の理念と通じています」

 こうした歴史の上に立ち、立教新座は「共に生きる」という「キリスト教に基づく全人格教育」を建学の理念としています。

自由・自主性を重んじる教育を伝統に

 生徒の自主性の尊重は、立教新座設立以来の伝統です。学校生活全般に及ぶ自由自主な校風はどのようにつくられ、"大人びていく"背景にはどのような教育があるのでしょうか?

山内副校長「中1の『国語(表現・書写)』の授業では、作文を書いたり、みんなの前で発表したり、ディベートを行ったり、自分の考えを表現する力を養います。作文は教員の指導の下、そのテーマになぜ興味をもったのか、ことばの意味を調べたり発表に備えてみんなにわかるように書いたり、疑問・調査・結論という思考の道筋を組み立てることを中1から始めていきます」

立教新座_高2の校外研修旅行
高2の校外研修旅行も3コースあり、テーマは「平和学習」。上は「中国・四国(広島)コース」の生徒が広島を訪れた時のもの

 また、多彩な選択科目を擁する独自のカリキュラムも、立教新座の特長です。生徒たちは、授業や研修などで自らの"選択"を迫られるさまざまな場面に遭遇することになります。その第一歩は、中1の体験学習から始まります。

 中1では、社会科と理科で校外学習を実践しています。社会科では、地域社会をテーマに立教ゆかりの地を見学する8コースの中から、日程や場所、一緒に行くメンバーなどを考慮しながら生徒自身が行き先を選びます。理科も同様に、つくばの研究機関の2コースから選び、それぞれテーマに沿って調査・観察を行い、レポートをまとめます。このような校外学習は多くの学校でも行われていますが、立教新座では、どのコースを体験するか、どのコースで何を学びたいのかを中1から生徒自身に考えさせ判断させて、行き先を決めるのです。

 校外学習の行き先は年度によって少しずつ異なり、2017年度には立教発祥の地である築地や、池袋キャンパスのある豊島区などがありました。事前学習・事後学習の手引きとして、その都度、先生方が各目的地の歴史や情報をまとめたしおり(冊子)を作り、生徒たちはそれを持って校外学習の地に出かけていきます。

立教新座_緻密でていねいに作られたしおり。先生方の力作だ
緻密でていねいに作られたしおり。先生方の力作だ

山内副校長「行き先は毎年少しずつ異なるので、教員たちも毎年しおりを作り直しています。目的地の古地図や歴史を調べるなど、しおりも力作です。手間もかかるし大変だと思いますが、教員も楽しみながら作っています。事前学習や事後学習の指導など、ガイダンスをきめ細かくていねいに行っていることも、我が校の特長ではないでしょうか」

 そうした学校側のていねいなサポート体制があるからこそ、生徒たちを一人の人格をもった大人として扱い、"選択"を委ねることができるのでしょう。自らの時間を管理する自由こそが重要という考えの下、立教新座では、このように生徒自身が決める機会をたくさん設けています。

学年全体でスクランブルする中3の校外学習

 毎年5月に実施される、中3の研修旅行(4泊5日)も大事な校外学習の場です。「日本の自然と文化に触れる」をメインテーマにした5コース(石垣島・西表島コース、屋久島・鹿児島コース、東北コース、関西コース)を設定(2018年度実績)。こちらも、先生方がまとめたしおりによる事前学習で現地の行動計画を立て、研修終了後は事後学習・レポート作成を行います。もちろん、行き先を選ぶのは生徒自身です。

立教新座_研修旅行のあとは、文化祭でレポートを発表
研修旅行のあとは、文化祭でレポートを発表

山内副校長「観光重視だったり体験重視だったり、コースによって内容も違います。そうしたコースの特徴を把握して、生徒自身が選ぶ。そこが大事なポイントです。そして、クラスごとに行動するのではなく、希望するコースを選んだ生徒たちが集まります。つまり、学年全体をスクランブルする。それがおもしろいのです。研修から帰ってきて、たとえば北海道に行った生徒と九州に行った生徒同士でそれぞれの体験を話し合って、会話が弾む。互いの体験を分かち合うことができます。北海道でファーム体験をした生徒たちに、秋の収穫物が送られてきたこともありました(笑)」

 研修旅行は、生徒の意志や指向を育て、経験を分かち合うことにつながります。事前学習・事後学習・文化祭でのレポート発表など一連のプロセスも、生徒の自主性を養う大切な作業に位置づけています。

高3の自由選択科目は約80講座

 このようにさまざまな「選択」の積み重ねを経た集大成が、高3の自由選択科目と卒業研究論文です。
 高3になると、必修の選択科目のほかに、最低3講座(6単位)を履修する自由選択科目があります。月曜から金曜まで、毎朝2コマの時間を割り当てる自由選択科目が約80講座。幅広いテーマが並ぶ中から、自分の興味・関心や将来の目標に合った「自分の学び」を生徒が主体的に選択します。

立教新座_「自由選択科目」に、語学だけで10講座以上もあるのは驚きだ
「自由選択科目」に、語学だけで10講座以上もあるのは驚きだ

 2017年度の自由選択科目を見ると、英語はもちろんのことドイツ語・フランス語・イタリア語、さらにはスペイン語・ロシア語・ラテン語・アラビア語などの外国語科目から、ハワイの研究、元素誕生のからくり、スポーツ・トレーニング理論、日本の伝統手芸などさまざまな分野、多種多様なテーマが並んでいます。TOEFL受験準備講座、英検2級受験対策などの科目もありますが、立教新座の先生方の専門分野を生かした講座や、立教大学の教員による講座もあり、大学での専門研究につなげていくこともできるなど、その幅広い内容に驚かされます。

 受講前には1年間で学ぶ内容をまとめたシラバスが配られるため、生徒は授業内容を理解して"選択"します。そして、科目は、たとえ一人でも希望者がいれば開講されます。

山内副校長「生徒が一人しかいない講座はマンツーマン授業です。昨年度も、希望生徒が一人という講座があったのですが、生徒は大好きなテーマだからどんどん授業が進んで、1年間で学ぶ内容が数カ月で終わってしまい、さらに濃密な内容の授業になったというケースもありました。担当の教員はうれしい悲鳴をあげていましたね(笑)」

中高6年間の集大成となる卒業研究論文

立教新座_卒論は、立教新座での学びの集大成
卒論は、立教新座での学びの集大成

 高3の1年間をかけて生徒たちが取り組む卒業研究論文も、立教新座の重要なカリキュラムの一つです。
 高2の3学期にテーマ設定と資料集めを始めて、高3の11月の完成・提出に向け進めていきます。1年間をかけて論文を作成する体験はとても大変な作業ではありますが、生徒の研究能力と自己表現力の向上を促します。また、日頃から問題意識をもって生活することにつながり、同時に批判的な目を養うことで視野の広さを獲得することにもつながっていきます。

 卒業研究論文は毎年、1冊の冊子にまとめられます。2017年度の卒業研究論文(第15集)から、優秀作品に選ばれた論文テーマをいくつか挙げてみましょう。

立教新座_卒論の研修要旨は、英語でまとめられている
卒論の研修要旨は、英語でまとめられている

「日本未開のインバウンドビジネス~世界16億人のムスリムを狙え~」
「なぜ日本は思いやり予算を負担し続けるのか」
「日本の文化と著作権の在り方」
「アメリカ・キューバの国交正常化開始の契機~政治・外交・経済ファクターから見る背景と展望~」
「国内における未婚化についての考察」

 グラフやデータを組み込むなど、どれも数10ページにわたる力作揃いで、A4サイズ1枚程度の研究要旨は、英語でまとめられています。

山内副校長「卒業研究論文は、教員側もかなり熱を入れて指導します。生徒たちも、全然違うテーマに興味をもつ生徒と意見交換をすることで、新たな視野を獲得することもあります。そうした作業は、お互いの違いを認めあって『共に生きる』ことにもつながっているのではないでしょうか。立教新座では中1の時から、さまざまな場面で"選択"し、経験を重ね、そして結論を出す。高3の卒業研究論文に至るまでの下地を、明確に教育カリキュラムの中に組み込んで、道筋を整えているのです」

自分の人生。自ら"選択"して歩んでいく力をつける

 卒業研究論文は、「テーマをもって真理を探究する力」と「豊かで的確な日本語の能力」の育成を目指す教育目標の集大成として実施するもの。そうしてつかんだ独自のテーマを追究することで、解決を探っていく力と豊かな人間性を養います。自由選択科目にしても卒業研究論文にしても、立教新座が重視しているのは、単に正しい解答を得るだけでなく、そこにたどり着くための過程そのものといえるでしょう。

 こうした教育方針に対して、「本当に子どもの自主性に任せて大丈夫だろうか? ある程度、手取り足取り教えてほしい、道筋を決めてあげてほしい」といった不安を抱く保護者もいるかもしれません。

立教新座_留学生と交流
オーストラリアのアクアイナスカレッジから来校した留学生と交流。留学生たちは、在校生の家庭にホームステイをする

山内副校長「たしかに、保護者からそういった言葉を聞くこともあります。でも、我々としては、実際にやれるかどうかの結果ではなく、"やってみたい"という生徒の気持ちを育てていくことが大事だと考えています。自分の人生ですから。自分の選択で苦労や回り道をしても、後悔はないと思います」

 "選択"の場面は、また別の機会にもありました。国際交流も盛んな同校では、「異文化交流〜海外での学び」として、留学やサマースクールのプログラムも用意されています。毎年、夏休みには中3の希望者を対象にアメリカ・サマーキャンプ(約2週間)が実施されます。カリフォルニア州サンディエゴ近郊のキャンプ場で現地の子どもたちと一緒にアウトドア活動をしたり、ホームステイを行う内容ですが、昨年は10数人の生徒が参加しました。

山内副校長「夏休み期間中ですから、部活動の重要な大会日程と重なることもあり、生徒はどちらを優先するべきか悩むわけです。相談にきても、自分で決めなさいと。生徒の気持ちを汲み取って、こうしなさいと言わないところが我が校らしいところです」

立教新座_見事な環境。グラウンドも、とにかく広い!
見事な環境。グラウンドも、とにかく広い!

 どうしようか迷う生徒に温情をかけることも可能ですが、敢えて突き放して生徒に"選択"を任せる。将来、社会に出た時に、決断に迷う場面はいくつもあるでしょう。いつも大人が助けてあげるわけにはいきません。こうした学校生活のさまざまな場面を経験することで、立教新座の生徒は、「自ら考え、判断できる人間」に成長していきます。その根底に、生徒を一人の大人として大切にしようとする精神があることは言うまでもありません。

恵まれた施設環境と充実のクラブ活動

 立教新座では、部活動も盛んに行われています。中学校では体育部15、文化部10、高校は体育部22、文化部17のクラブがあり、中学生は約95%、高校生は約90%が参加しています。中学校の体育部には、サイクル部、フェンシング部、ラグビー部、高校でも空手道部、馬術部など、他校ではあまり多くない種目の体育部があることも、立教新座の特長でしょう。立教大学の学生と一緒に活動を行う部も多数あり、文化部には、クワイヤー(聖歌隊)とオルガニストギルド(パイプオルガン)もあります。

立教新座_アメリカンフットボール部
アメリカンフットボール部
立教新座_フェンシング部
フェンシング部
立教新座_吹奏楽部
吹奏楽部

 こうした多種多様な部活動は、充実した施設や指導環境に支えられています。郊外ならではの約10万㎡におよぶ緑豊かな広大なキャンパスに、冷暖房を施した総合体育館や人工芝の全天候型グラウンド「セントポールズ・フィールド」、50 m×10コースか25m×8コース2面になる分割展開が可能な室内温水プール、広さ11000㎡のサッカー場は2019年3月には全面人工芝に整備されます。ほかにもテニスコート、野球場などの各種専用施設など、目を見張るほどの充実ぶりです。どれも公式の大会が開催できる整備された施設で、生徒たちはのびのびとスポーツに励んでいます。

立教新座_15年に竣工したセントポールズ・アクアティックセンター
15年に竣工した
セントポールズ・アクアティックセンター

 年度始めには中1生が、施設が広すぎて体育の授業がどこで行われているかわからず、キャンパスをウロウロ探しまわることもあるそうです。こうした恵まれた環境の中で努力を重ねる生徒たちは、素晴らしい成績や研究成果をあげています。埼玉県のオリンピック強化選手に選ばれるほど、優れた成績をあげる生徒も生まれています。

 また、16万冊を超える蔵書や各種資料をそろえた図書館をはじめ、コンピュータ教室や舞台付きの「セントポールズ・スタジオ」など、生徒の学びを支える理想的な学習環境が整っていることも、立教新座の特筆すべきポイントです。

卒業生の進路〜立教大学と他大学の選択〜

立教新座_16万5000冊を超える蔵書を誇る図書館。1日に約300名の生徒が利用している
16万5000冊を超える蔵書を誇る図書館。
1日に約300名の生徒が利用している

 立教新座の中高一貫教育は、「生徒一人ひとりが自分の希望する分野に進学すること」を進路指導の柱に据え、中学から高校へ、高校から大学へと、生徒自身が自分のやりたいことや方向性を探っていきます。中学入学時からつねに「選択」を提示し、さまざまな学習・経験の中から自分にふさわしい道を見つけ、将来への希望を抱き、自らの進路を決定できる「全人格教育」を行っています。

 進学実績でいえば、立教大学の一貫校であり、高校3年間の学習成績が立教大学推薦基準を満たしていれば、立教大学に推薦入学することができます。過去3年間では、推薦希望者の99%が立教大学に進学しました。例年約20%の生徒が他大学への進学を目指していますが、医・歯・薬学系や理工系を目指す生徒が多いのは、立教大学にはない学部であることが大きな理由でしょう。また、高2から「他大学進学クラス」に入っている生徒でも、高3の11月下旬まで立教大学への推薦入学の進路が確保されていることは、大きな安心材料といえるでしょう。

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