学校特集

宝仙学園中学高等学校共学部理数インター2018

さらに多様な生徒との出会いを広げる「知的で開放的な広場」へ!
“常識を超える”発想で次々と「新たな入試」を導入してきた宝仙学園共学部理数インターの進化とは?

掲載日:2018年8月7日(火)

"常識を超えた"発想で進化する
自由で活気ある「知的で開放的な広場」!

宝仙理数インター_
校長 富士晴英先生

女子校であった宝仙学園に、共学部「理数インター」が新設されたのが2007年。それから10周年を迎えた節目の2016年に、「これからの10年」を見据えて、次世代を担う子どもたちのスキルを育てる『知的で開放的な広場』をめざして、様々な意味で、次のステージへの進化をスタートさせました。同時にこの年から、次々と「新たな入試」を導入し、多様な受験生との出会いの機会を広げてきた同校は、ついに「日本一入試方法が多い学校をめざす!」と明言する、「中学入試の多様化」を象徴する存在となっています。

そうした意味で、この宝仙学園共学部理数インターは、創立12年目を迎え、さらに多様な生徒との出会いの機会を広げて、「知的で開放的な広場」から生徒を未来へ送り出す"常識を超えた"自由で活気ある進学校へと進化しているといって良いでしょう。

その宝仙学園共学部理数インターの立ち上げから教頭として関わり、2015年からは校長として同校の進化をリードしてきた富士晴英先生は、この2016年から今年2018年までの進化の過程で、どのような手応え感じてきたのでしょうか。そして、さらに来春2019年以降に向けて、どのような進化を辿ろうとしているのでしょうか?

【沿 革】

1928(昭和 3)年 中野高等女学校を設立。
2007(平成19)年 中学校共学部(理数インター)を新設。
2008(平成20)年 創立80周年を迎える。
2010(平成22)年 高等学校共学部(理数インター)を新設。
2011(平成23)年 高等学校共学部がスタンフォード大学研修を開始。
2016(平成28)年 共学部理数インターが創立10周年を迎える。教科『理数インター』を授業に導入。リベラルアーツ入試を新設。
2017(平成29)年 グローバル入試を新設。
2018(平成30)年 英語AL(advanced Learner)入試、新入試「理数インター」を新設。
2019(平成31)年 新4科入試、AAA(トリプルA)入試を新設。

【校 長】 富士 晴英

【所在地】
〒164-8628 東京都中野区中央2-28-3
TEL:[中学共学部]TEL:03-3371-7109
https://www.hosen.ed.jp/jhs/

【交 通】
東京メトロ丸の内線・都営地下鉄「中野坂上駅」から徒歩5~8分。JR中央線・総武線「東中野駅」から徒歩15分。そのほかJR「中野駅」、「新宿駅」からバスの便あり。

日本一入試方法が多い中学ですが、なにか?
すべての学習歴は理数インターに通ず!

宝仙理数インター_
入試リーフレット表紙

「やがては日本一、入試が多様な私立中学校にしたい」と、以前から校長の富士晴英先生自らが公言していた宝仙学園共学部理数インター。今春2018年の中学入試では、何と7種類もの入試を実施し、これまで以上に多様な受験生(=小学生)との出会いを実現し、それぞれの入試で合格した多様な入学者を迎え入れました。

「これからの教育環境は多様性が大事で、生徒同士が"学び合い"、"教え合う"ことのできる教室や授業、学校づくりが実現できると良いと考えてきました。そういう意味で、本校が導入している多様な入試が、いろいろな子どもたちが入学してきてくれる導線になっているとすれば、それは嬉しいことですね」と富士先生は言います。

「そういう多様な生徒が集う環境だからこそできる、有機的な意味を実感してほしいと思っています。たとえば『1~10』までの課題があるとすると、『1~10まで全部できる子』はほとんどいませんし、逆に『1~10まで全部できない子』もいないのです。だからこそ多様な子どもたちを迎え入れたいのですね。『みんなちがって、みんないい!』という一節がありましたが、そういう環境で徹底的に自己肯定感を高めてもらえれば良いのではないかと本校は考えています」と富士先生。

この宝仙学園共学部理数インター〈以下:宝仙理数インターと表記〉では、2007(平成19)年に開設されて第3期生の入試時、つまり10年前から「公立一貫型入試」を導入し、もともとは公立中高一貫校を志望していた受験生(小学生)が受けやすい形で門戸を開き、多様な入学者を迎え入れようとしてきました。

その後、2016年入試から「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」の先駆けとなった「リベラルアーツ入試」を新設。翌2017年には、「公立一貫型入試」を2月1日午前にも新設。この2月1日「公立一貫型入試」が爆発的な人気を呼び、500名近い受験生が同中学校を受験に訪れました。

宝仙理数インター_

この2017年には、以前から実施していた「帰国生入試」ともつながる「グローバル入試」を追加。そして今春2018年入試では、「英語AL(advanced Learner)入試」と、学校名そのものを冠した新入試「理数インター」を新設し、さらに注目を集める存在となりました。

こうして、新たな受験生(=小学生)と出会うことのできる機会として、次々と新タイプ入試を導入してきたことをバネに、宝仙学園理数インターは、この児童生徒数の減少期にあってなお、志願者数と入学者数を増やし続け、首都圏でも最も活気と勢いのある私立中高一貫校として"進化"し続けています。

今春2018年に新設した新入試「理数インター」の導入~実施にあたって、評価基準を検討する際にも、
「この(アクティブラーニング型の)新入試『理数インター』も、あえて導入するのだから、入試の最中に先生方が、ルーブリックなどの採点表を持って、チェックしながら進行するといった形式はやめてほしい、と頼みました。せっかく初めての授業(探究学習)型の入試を導入するのだから、立ち会う先生方は、ファシリテータとして、まず受験生を楽しませてほしい、とお願いしました」と富士先生。

どちらかというと「入試という厳粛な場なのだから、何より公平性を保てるような採点・評価基準があってしかるべき」と考えられることの多い学校教育の現場にあって、この発想は"常識の枠を超えた"ものと言ってもいいでしょう。

ワクワクしながら始まる新入試
「理数インター」の「答えのない学び」!

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実際に今春2018年入試から新設された入試『理数インター』はどのような内容だったのでしょうか。
2016年4月から同校の新教科『理数インター』として授業にも組み込まれたアクティブラーニング形式の新たな学びを、中学入試にも反映したものが、このユニークな新入試「理数インター」です。私たち首都圏模センターでは、2月1日午後に実施された第1回『理数インター』入試を(進行の邪魔にならない範囲で)取材させていただきました(それを3月1日のWeb記事で2月にご紹介しています)。

この2月1日の午後に実施された、新入試『理数インター』の受験生をはじめ、「リベラルアーツ入試」、「グローバル入試」、「英語AL入試」の受験生は、最初に「日本語リスニングテスト」という、聞き取り形式のテストを教室で受験しています。

その「日本語リスニングテスト」を終えて準備を整えた受験生が、新入試『理数インター』の試験科目である教科『理数インター』のために、ICT1教室に移動してきます。

男女混合で4~5人ずつグループになって、ユニークな変型テーブルに受験生が着席すると、いよいよ16時から、今春2018年入試から新設された『理数インター』入試(=アクティブラーニング形式の授業)が開始されました。

始めに、教務部長の米澤貴史先生からのアナウンスで「アイスブレイク」が行われます。
教室内の前後に用意されたモニターには、「入試『理数インター』~答えのない学びをしよう~」というメッセージが、イラストとともに表示されています。

教室内には開始から、ビデオで動画を記録する先生を含めて5~6名の先生がスタンバイしています。それでも、「試験官」というカタ苦しい感じではなく、あくまでファシリテータとして、受験生の学びの進行を支援するために付き添っています。

今後の中学受験生(小学生)が当事者として直面する「2020年大学入試改革」以降の新しい大学入試と、現在の子どもたちが大人になったときの新たな社会で求められる力を育てる「学びのスタイル」を伝えるためのメッセージが、ここで最初に示された「答えのない学びをしよう」ということなのでしょう。

このICT1教室に集まった受験生と先生方は、これが入試本番という、ふつうなら緊張感に包まれる空間にありながら、何だか全員が、この入試の開始を待って「ワクワクしている!」印象さえ受けました。

アイスブレイクで緊張をほぐし、教室内がなごやかな雰囲気になると、最初のアクティビティーが開始されます。
この後の入試の様子は、先のWeb「受験情報ブログ」記事に詳しくご紹介していますので、ぜひそちらをご覧いただきたいと思います。

中1はコラボレーション、中2はプレゼンテーション、
中3はラーニングがテーマとされる教科『理数インター』の授業

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今回の記事作成のために、編集部が富士校長のインタビューと授業取材に訪れたのは6月末。この日、2016年4月から授業に導入されている教科『理数インター』の、中学2年生のアクティブラーニング型の授業を見せていただきました。

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中学2年生の『理数インター』での学びの課題は「プレゼンテーション」。まず自分の意見をはっきりと表現することにチャレンジして、さらにグループワークのなかで意見を出し合い、中1で経験し、鍛えたコラボレーション力を発揮しながらグループ全体の意見を創っていくという作業に進みます。

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この日のテーマは、学園祭で販売すると仮定したオリジナルの水を商品として開発し、そのコンセプトや効用、魅力を動画で伝えつつ、プレゼンテーションするというもの。発表時間は約3分間。各グループで考えた新商品について、コマーシャル動画や静止画、手描きのイラストなど、思い思いの素材を使って、クラス全員に見てもらい、最後に口頭でのプレゼンテーションをして、質問などを受け付けるという手順で授業が進行していきます。

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この中2授業のファシリテータの先生は2名。ときどきコメントを挟んで進行を促しますが、基本は生徒たち自身がプレゼンテーションを進めていく様子を、脇で見守っている形です。

各グループとも、ネーミングやコンセプトを工夫した新商品の魅力をより多くの人に伝えるべく、がんばって要点をアピールします。他のグループが発表しているときにも、クラス全員が和やかに傾聴。笑いや驚きの声も起こるなか、リズム良く各グループの発表が進められていきます。

そして最後は、どのグループの商品が良かったかを全員で投票。その結果はどうなるか、楽しみでもあります。
そうした授業風景を見せてもらっているうちに、授業時間はあっという間に終了時刻を迎えました。

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そんなわけで...、保護者にも喜んでもらえる
『理数インター』体験会参加のススメ

「こういう学びのスタイルの授業(新教科『理数インター』)や入試(新入試『理数インター』)を導入して、誰がいちばん喜んでくれたかというと、受験生の保護者です」と富士先生は言います。

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この6月末の取材時に見せていただいた中2対象の『理数インター』授業。

「受験生と保護者向けにも、昨年からこの『理数インター』の学びを体験してもらえる機会を月に1回設けています。こういう入試や学びを『のびのびして楽しそうだな!』と思ってくれる小学生と保護者が注目してくれるようになりました。

そこで今年からは、親もわが子の様子を眺めるだけではなく、親同士がグループになって、子どもたちと同じように、学びの体験をしてもらえるようにしたところ大好評で、とくにお父さんたちが喜んで取り組んでくれています。企業の研修などでも、こうしたグループワークが取り入れられているのでしょう。話し合い、自分と違う発想や意見に出会って、新たな気づきを得られたり、振り返りができたりする体験を、親子で楽しんでくれる機会になっています」と富士先生。

どうやら親がわが子の学びを近くで眺めていると、つい口を出したくなってしまうようですが、自身も同じようにグループでの学びに取り組むと、夢中になって自分たちも楽しんでくれるそうです。

この体験会は毎回30名(15組)程度の定員で行われているそうですので、宝仙理数インターの新教科『理数インター』(新入試『理数インター』)とはどのようなものなのかを知っていただくには、この機会に参加していただくことが最も早道かもしれません。

それでは、こうした新教科『理数インター』の授業では、生徒はどのような形で評価を受けているのでしょうか。
「基本はコメント評価ですので、その意味では個々の生徒に合わせた絶対評価です。ただ、それぞれの生徒の回答が教室内で全員に共有されたときには、それが個々の生徒にとっては相対評価にもなり得ますので、そこで各自がいろいろな気づきを得てくれれば良いと考えています。試験や評価のために勉強をするのは、本来はおかしな話でもありますので、生徒自身が自分の学びに生かせるようなフィードバックが得られれば良いと本校では考えています」と富士先生。

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次々に新たな教育展開と、入試の多様化に取り組む宝仙理数インター。その"常識を超えた"柔軟な発想と実践は、決して大上段に構えた大仰なものではありませんが、現代の小学生の若い世代の保護者のニーズを、かなり広く、しっかりととらえているように感じられます。

偏差値や大学進学実績よりも、
生徒に「いちばん楽しい」と言ってもらえる学校に!

ただし、富士先生ご自身も、当初からこうした柔軟な発想を持っていたわけではないと述懐します。
「共学部理数インターの開校から10年目を迎えて校長になったときに、『これまでの10年、これからの10年』について、あらためて考えました。正直なところ、最初の10年は、他の学校に『進学実績で負けたくない』と思っていましたし、できれば入試の『偏差値も上げたい』と考えていました。しかし、いまではそれらは『どうでも良いのでは...?』とさえ思うようになったのです。本当に受験生と保護者はそれを望んでいるのだろうか?...と」と富士先生。

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「そう考えたときに、本当に大切なのはそういうことではなく、いちばん『楽しい』と言ってもらえるような学校にしたいという想いが沸いてきたのです。そういう考えに立つと、『次はどこをイノベーション(革新)するか』という意欲や発想が沸いてきました。いまでは先生方も、同じように考えて日々、生徒に接してくれていると思います。そういう本校の考え方ややり方に目を向けて(共感して)くれる人に、本校のことを理解してもらえれば、かえって学校が楽しく、活気ある空間になれるといまでは実感しています」と笑顔で語る富士先生。

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校長室のドアに貼られた、
生徒による校長室のピクトグラム
(富士校長先生をもとにデザイン)

実はいま、同校の校長室のドアには、在校生がデザインしてくれたという富士先生のイラストが貼られています。それだけではなく、そのイラストを缶バッジにして、スーツの襟に着けているという富士先生。この一見ふざけた(失礼!)イラストは、来春入試に向けた学校案内やリーフレットにも度々登場しており、いまではすっかり、在校生にとっても富士先生のシンボルマークになっているといいます。

「やはり面白くない人と言われるよりも、少し変わった発想であっても、面白い校長と言われたほうが楽しいですよね」と笑う富士先生。そのユニークな校長先生の存在が、宝仙理数インターを象徴するものでもあるように感じます。

親子で学校説明会を聞きに来て、感じた子どもの直感と親の見識で
ベストの学校選びをしてほしい!

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そうしたユニークな発想で『楽しい』と言ってもらえる学校づくりをめざす進化の過程で、受験生の保護者からの「詳しく教育展開や学習内容を聞きたい」という要望も年々増えてきたと言います。
「本校は正直なところ、まだ発展途上の学校です、と保護者にはお伝えしています。それでも、生徒も教員も、日々明るく楽しく一生懸命に学校生活や授業に取り組んでいます。ですので、一度、親子で学校見学に来ていただき、そこでお子さん自身が感じた、子どものインスピレーションを信じてほしい。そういう直感が実は信頼するに足るものであったりします。子ども自身が、本能的に感じ取ることができるのでしょう。

一方で保護者には、各自の見識で学校を選んでほしいとお願いしています。
その両方のマッチングしたところが、そのご家族とお子さんにとってベストの学校選択ではないかとお話させていただいています」と富士先生は言います。

そうしたベストの学校選びをしてもらうために、宝仙理数インターでは最近「親子で参加する説明会」に、なるべく多くの小学生と保護者に参加してもらうことを心掛けています。
「たとえば東京23区内の中学受験率が20パーセント近く、首都圏でも10数パーセントだとすると、やはりエリート層であることは事実でしょう。そういう家庭の保護者は、わが子の学力アップや将来の進路に期待しつつも、もっと身近で、わが子の成長を自分の目で確かめたいと願っているものです。

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この記事の最後にもご紹介した「学校案内」の表紙イラストのなかには、校長の富士先生と、入試広報部長の中野望先生も登場している!

たとえば学校説明会の保護者アンケートにも『上の子も中学受験を経験しましたが、笑いの出る説明会を初めて経験しました』という回答がありました。一般的には私学でも、説明会では自分の学校の話ししかしませんよね。でも、それでは大半の人、とくに子どもにとってはつまらないものになってしまいます。だから私たちは、『教育の素人でもわかる』話をすることを心掛けるようにしました。とくに子どもって、素人の象徴みたいなものでしょう(笑)。それが良かったみたいです。

また、中学受験の準備をする過程で、ご自身もプレッシャーを感じている母親が、その重圧から解放されるような雰囲気があれば、やはりそういう学校は共感を呼ぶということに、私たち私立学校側もいまさらながら気づいたのです」と富士先生。

だからこそ、親も子どもと一緒になって、宝仙理数インターの学び(教育に触れて、その雰囲気を肌で感じてもらえる機会を、同校は積極的に設けているのでしょう。
そうした意味で宝仙理数インターは、いまも多くの学校が、進学塾や受験関係者からの評価を経て、中学受験生(=小学生)と保護者を高めるという構造にあるなかで、最も早く、しかも直接に「受験生と保護者に評価される」ための機会を設け、そうしたコンセプトでの情報発信に力を入れてきた学校ということができるはずです。
そういう教育姿勢を広く世の中に伝えるための、最も効果的で強烈なメッセージのひとつが、「入試を多様化する」ことだったのではないかと本編集部では解釈しています。

学校は「安心してチャレンジできる」、
「失敗してもいいところ」と生徒が思える空間でありたい!

宝仙理数インター_

そうした「これまでの10年」の歩みのうえに、これからの10年」を見据えて次のステージへと歩みだした宝仙理数インターがめざすのが、「失敗してもいい」学校、「楽しく学べる」学校の雰囲気づくりです。そういう学校づくりをめざすなかで、同校の先生方も変わってきたのでしょうか。

「学校が新たなステージへ進化し、生徒にもっと大きく成長してもらうために、様々な情報とノウハウをオーソライズして公開し共有することで、教員もお互いに学び合い、考え方やスタンスも変わってきました。

本校では、中学の職員室と高校の職員室が収容キャパの関係もあり別々ですが、かえって高校の出口(進路)に携わる教員の方が柔軟で、新たな学びのスタイルや学習支援、進路支援の体制を工夫することに、むしろ積極的に取り組んでくれました。これが良かったと感じています」と富士先生。

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そうした進化の過程で、宝仙理数インターでは「学校では失敗してもいいところ」という考え方を、生徒も教員も共有できるようになってきました。
「たとえば以前の本校には、定期テストで生徒のカンニング事件が起こると、全教科ゼロ点という厳しい処置が行われていました。でも、よく考えてみれば、教育とは処罰することではないですよね。いじめの問題にしても同じです。罰するよりも、何度でも諭して、生徒自身に理解してもらうことが必要です。
携帯やスマホの持ち込みについても同じです。生徒に持たせると、ゲームアプリがどうとか、セキュリティーの問題がどうとか、いろいろな問題も出てきます。でも、『いま本当に生徒が身に着けるべきは何か?』と考えれば、自ずと答えは出てくると思います。まず学校が柔軟になれなければ、生徒も自由に柔軟に成長できませんよね」と語る富士先生は、ときには「校長だって間違える人なんだよ」ということも生徒に語っているそうです。

来春2019年入試では、「AAA入試」と「新4科入試」を新設。
合計9種類の入試を行う中学校に!

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こうして、今春2018年では計7種類の入試を実施した宝仙理数インターは、来春2019年では、またひとつ新たな「AAA(トリプルA)入試」を導入します。
すでに同校のWebサイトにも、「ひとつのAはathlete、もうひとつのAはArtists、もうひとつのAは君次第! 各分野で全国レベルの実績を持っている受験生対象の入試です」と紹介されています。試験内容は、いわゆる「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」である「リベラルアーツ入試」と同様ですが、実績を証明する書類が必要となる入試です。

「せっかく新しいコンセプトの入試を導入するわけですから、思い切り"尖った"小学生に受けに来てほしいと思っています」と富士先生。

もともと、2016年から、同校が導入した「リベラルアーツ入試」の手応えが、続く2017年からの「グローバル入試」、2018年からの新入試「理数インター」の導入につながったものと編集部では理解しています。
首都圏の中学入試では(おそらく全国の中学入試でも)初めて、教科の筆記試験によって学力を担保することせずに、受験生の「学習歴(スポーツや芸術など習い事の活動歴も含む)」や「志望動機(意欲)」などの記述と、受験生本人がアピールしたいことを面接官の先生(2~3名)に伝える「プレゼンテーション」によって合否を決定する形で行われた、この「リベラルアーツ入試」。

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2016年入試から導入した「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」である「リベラルアーツ入試」の風景。この入試では自己肯定感の高い生徒が入学してきてくれるという。

宝仙理数インターと同じく、2016年から同様のコンセプトの「ポテンシャル入試」を新設した中村中学校〈東京・江東区。女子校〉とともに、いわば「中学入試の歴史を変えた」ともいえる、「自己アピール(プレゼンテーション型)入試」の導入によって、従来の中学入試の主流であった(まだ現在も主流の)「4科目入試」や「2科目入試」の枠組みと評価軸では測ることのできなかった、小学生の多様で多彩な資質や才能、潜在的能力にスポットを当て、それの力を評価して迎え入れることが同校では可能になりました。

「この入試を導入したことで、これまでは出会うことのなかった、多様な受験生と出会うことができるようになりました」という感想や手応えは、校長の富士先生をはじめ、この入試に関わった同校の先生方が一様に語っていることです。

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以前に同校の取材に訪れた日に、中1の英語授業で活発に発言して他の生徒にも声をかけ、クラスのムードメーカーになっていた元気な男子生徒が、この「リベラルアーツ入試」で入学してきた生徒だと伺いました。こうした生徒の存在が他の生徒にも良い刺激となって学校全体に活気を生み、いわゆる"ダイバーシティ"化を実現しているということなのでしょう。

ただし、宝仙理数インターでは、この「リベラルアーツ入試」をはじめ、「4科目入試」と「公立一貫型入試」以外の「グローバル入試」、「英語AL(advanced Learner)入試」、新入試「理数インター」の各入試の受験生は、それぞれの試験に挑む前に、共通の「日本語リスニング」テストを受ける形になっています。

この「日本語リスニング」は、45分の試験時間のなかで、放送を聞き、指示に従って入試問題に示された問いに、主に記述形式で答えていくもので、このテストを通じて、中学入学後に「授業をしっかり聞けるかどうか」の力を測っているといいます。

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多様な入試に挑む受験生に課される「日本語リスニング」テストの様子(写真は2017年入試)。

つまり、この「日本語リスニング」テストを導入したことよって、それぞれの入試では、より多様な評価軸で受験生の資質や意欲を測ることが可能になったということでしょう。

そして、さらに来春2019年入試では、従来の「4科入試」に加えて、4教科共通のテーマでの出題を課すという「新4科入試(特待選抜)」を2月1日の午後に新設(サンプル問題は10月に公表予定)。同時に今春まで4回実施されてきた「4科入試」を計3回に減らして、また入試のバリエーションを増やすことを公表しています。

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こうして、次々と「入試の多様化」を実現し、2年後に迫った「2020年大学入試改革」以降の、新たな力が問われることになる大学入試にも対応しつつ、現在の小学生が社会に出る2028~2030年以降の大きく変化する「AI(人工知能)時代」の社会で求められる力を育てるために、「答えのない学びをしよう」というメッセージを発信し続けている宝仙学園共学部理数インター。

こうして「知的で開放的な広場」をめざし、次のステージへと進化を図る同校の教育姿勢に、いま賛同する保護者が年々増えていることは、まさに"日本の教育の変化"と"保護者の志向~価値観の変化"を象徴するものでもあるでしょう。

この宝仙理数インターの「多様な入試」のなかから、自分の強味や特性を生かせる受験機会を選んで、この"ダイバーシティ"への入学を果たした小学生が、同校での中高6年間の学びを経て、やがて「宇宙まで」飛び出して行くような成長を見せてくれることが、いまから大いに楽しみです。

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