学校特集
目黒日本大学中学校高等学校2025
掲載日:2025年5月9日(金)
目黒日本大学中学校高等学校が日本大学の準付属校としてスタートしたのが2019(令和元)年。その年に入学した一期生の生徒たちが、この3月、無事に卒業を迎えました。この6年間、一期生と教員が一体となってつくり上げてきた新しい伝統と校風は下の学年へと着実に受け継がれています。そんな同校に根づいた新しい伝統と校風について、またオーストラリア短期留学をはじめとした特色あふれる行事の魅力について、広報部主任・数学科の天野正貴先生にお話を伺いました。
一期生と教員が
築き上げた新たな文化
今年3月、一期生の卒業というひとつの節目を迎えた目黒日本大学中学校高等学校(以下、目黒日大)。天野正貴先生は、一期生と共に歩んだこの6年間を次のように振り返ります。

「一期生たちは、中3から高1に進級するタイミングが新型コロナウイルス感染症の流行と重なりました。そのせいで、本来は中3の2~3月に行われるオーストラリア短期留学は、高1の夏休みに希望制で実施されるなど、学校生活では前例のないイレギュラーな場面に遭遇することの多かった学年です。
しかし、生徒たちは皆、めげることなく常に前向きで元気でいてくれました。そして何より、本校の新しい校風の土台を一緒につくり上げてくれたことに心から感謝しています。例えば、年に数回開催している受験生親子向けの学校説明会のお手伝い。こちらが『今度の学校説明会でこういう仕事があるんだけど、やってみる?』と声をかけると、『やります!』『やりたいです!』と次々に生徒の手が挙がるんです。学校説明会に限らず、さまざまな行事やイベントに対しても同様です。この自主性や積極性は、一期生から、二期生、三期生へと着実に受け継がれており、ほぼ全員の生徒が積極的にお手伝いに参加してくれています。中間・期末テストがある忙しい時期でも『大丈夫です。勉強もお手伝いも両方できます!』と言ってくれます。そんな生徒たちの姿はとても心強く、頼もしいです」

同校の学校説明会は、受付・誘導・案内・司会・音響・照明・校舎見学ツアーなどの多くの役割を生徒たちが熱意をもって運営しています。在校生によるプレゼンも必ず盛り込まれ、もはや"お手伝い"のレベルを超え、"生徒主体"で取り組んでいます。同校では、こうした自主性や生徒の発信力を育むために先生方も尽力しています。
「この6年間、学校行事やイベント、探究学習などあらゆる面において、我々教員たちは『どのようにしたら生徒の自主性や発信力を引き出せるか』を常に念頭に置きながら、生徒に対して声をかけ、促してきました。それが奏功した実感がありますし、生徒たちに根づいてきている自主性や積極性は間違いなく、本校の財産ですね」(天野先生)
こうした教員の高い教育意識と働きかけは、毎年ブラッシュアップしながらどんどん進化。いまは「生徒一人ひとりの長所を見極めて引き出す」ことにも注力しています。

「常に心がけているのは、"生徒ファースト"ということです。幸い、一学年約100名という程よい生徒数のため、教員は一人ひとりにしっかりと目を配ることができます。例えば、適性があるにも関わらず、生徒がそのことに気づいておらず取り組めていなかったり、自信がなかったりというケースがあるとします。そんなときに、的確なタイミングを見計らって、生徒が積極的に向き合えるように声かけしします。結果、その生徒は自信をつけ、自分自身の力で可能性を広げていくことができます。そんな風にそっと発芽を促すような、または背中を押すような、可能性にあふれた生徒たちをピカピカに磨き上げる教育を目指しています」と、天野先生は熱く語ります。
そんな先生方のやさしく熱心な教育を受けた一期生たちは、卒業時に在校生に向けて次のような言葉を残しています(HPにあった一部を抜粋・編集し、ご紹介)。
どんなことに取り組むとしても、周りの方の支えがあること、そして、それに対する感謝の気持ちを忘れないでほしいです。実際、私は部活動や受験勉強を通してたくさんの支えがあったことに気づきました。私が希望進路に行くことができたのも、顧問の先生の理解や協力、さまざまな方の応援があったからです。
(一貫クラス[文系]熊谷 夏望さん 早稲田大学スポーツ科学部へ進学)
6年間いちばん近くで寄り添い、見守ってくださった先生方に心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。私は目黒日大の最大の魅力は先生方だと思っています。それはとても熱心で尊敬でき、信頼できる先生方が本当に多いからです。勉強では朝、放課後や休み時間を使い、質問に答えてくださり、おかげで塾には行かずに大学受験に臨むことができました。他にも礼儀や言葉遣い、感謝の大切さなど人として大切なこと、大人になっていくために必要なことをたくさん教えていただき、悩んでいる時は親身に何度も相談に乗ってくださいました。
(一貫クラス[理系]川口 祐輝さん 日本大学歯学部へ進学)
ほかの一期生たちも、教員や学校に対する感謝の気持ち、後輩への温かいアドバイスをしたためていました。そうした言葉の数々に、「心の成長が感じられて、とてもうれしく思います」と、天野先生も笑顔を浮かべていました。
自身の進路に目を向ける好機会
中1から実施する「日大学部訪問」
生徒自身が自分の将来を見据えるための機会が豊富にある目黒日大。なかでも「日本大学の学部訪問」は、中1の早いタイミングから実施しています。

「日本大学は医・歯・薬学部を含む全16学部87学科を備えた総合大学。なかでも千葉県松戸市にある歯学部への訪問は、キャンパスや病院見学のほか、齲蝕(うしょく)体験、模擬講義など、とても濃い内容で実施しています。また、高1時には日大の各学部長から全学部の説明を聞く機会も設けています。日大の中で行きたい学部を探すためではなく、『大学とはどんなところなのか』、『自分は大学で何を学びたいのか』を知ってもらう目的で行っています。生徒がやりたいことを見つける、自身の進路を早くから考える良いきっかけになれればうれしいですね。実際、大半の生徒が進路や学部選びをスムーズに行えています」と、天野先生は説明します。
準付属校のため、日大へ内部推薦で進学する生徒は現在、全体の約7割。残りの3割の生徒は、国公立・難関私大を含めた他大学へ進学しています。
「学校としても、最初から日大進学のみに照準を定めることはしていません。生徒たちは日大進学を"お守り"としながら、自分の希望する進路を考え、大学受験にチャレンジできる環境です」(天野先生)
国公立・私立の最難関大学や医学部への進学を希望する生徒には、特別課外授業を開講。中1時より、難関大学の入試問題への対応力習得に焦点を絞り、演習を中心とした指導を行うなど、手厚い進路指導を実践しています。
目玉行事の「オーストラリア短期留学」
英語力とプレゼン力を発揮
学校行事やイベントが充実している同校。特に力を入れる大きな行事に、中3の2~3月に実施する「オーストラリア短期留学」があります。

「約1ヵ月の間、生徒たちはホストファミリーの家と現地校で、多様な価値観に触れながら異文化の中で過ごします。2024年度の実施時は、あいにく帰国の直前にサイクロン(台風)に見舞われるというアクシデントもありましたが、生徒たちは気丈に乗り越えてくれました。
本校では、週に一度iPadを使って、フィリピンのスタッフとのマンツーマンで行うオンライン英会話、ネイティブ教員によるEnglish HR、英語で自身の考えを発表するスピーチコンテストなどを行っています。このオーストラリア短期留学は、生徒たちがそのような日頃の学習で身につけた英語スキルを試す場、表現力を存分に活かす場として用意しています。そして『英語スキルをより高めたい』、『通じなくて悔しかったからもっと頑張りたい』という意欲にもつなげていくことができれば、と考えています」(天野先生)

生徒たちは、現地校で授業や課外活動を体験するほか、探究学習で3年間を通して学んだ日本のことを英語でプレゼンします。慣れない環境、しかも母国語ではない言語にも関わらず、生徒たちは皆、堂々とした発表を行えているそうです。その背景には、天野先生が述べたような英語教育に注力している点が挙げられますが、もうひとつ、重要な取り組みが挙げられます。それは、「学校生活の中に、人前で発表する機会をたくさん散りばめている」ことです。
「冒頭の学校説明会のお話にも通じますが、本校では、生徒が人前で自分の考えや意見を発表する場を学校生活の中で豊富に用意しています。説明会以外では、校外学習の振り返り、各学年が探究学習の成果を披露する発表コンクール、保護者の面前でプレゼンを行う三者面談、英語のスピーチコンテストなど。そのため、生徒たちのプレゼン力はおのずとぐんぐん磨かれていきます。回数を重ねていくごとに自信もつき、その結果、海外留学先でも堂々とプレゼンできるのでしょうね。生徒たちからすると、もしかしたら最初はやらされている感覚があるのかもしれませんが、後々になり『やっていて良かった』と気づいてもらえるはず。自分の考えをまとめる力は、高3時に内部推薦のための志望理由書を書くときにも効果を発揮しています。生徒たちは悩むことなくスラスラと書けていますよ」
天野先生の笑顔から、生徒たちの大きな成長ぶりを伺うことができました。
中高一貫生の絆づくりと
受け継がれる目黒日大らしさ
2024年、同校では初の試みとなる「よみうりランド」での中高一貫行事を実施しました。高1生がリーダーとなり、他学年ミックスで組んだ8〜9人のグループでよみうりランドを散策するというものです。

「中高一貫クラスで6学年が揃い、今後ますます中高一貫生徒同士の絆を強めていってもらいたいという教員の思いで企画しました。先輩がしっかりと後輩の面倒を見て、後輩は先輩を頼りながらも自発的に活動に臨む。そんな姿が見られました」と、天野先生は話します。
自主性や発信力にあふれた"目黒日大生らしさ"は、きっとこのような場でも、受け継がれていくでしょう。目黒日大を目指す受験生親子に向けて、天野先生は次のようなメッセージを送ってくれました。
「学校説明会は、本校や在校生の雰囲気を知っていただく絶好の場です。気になったことがありましたら、気軽に在校生に質問してみてくださいね。生徒たちには、『どんなことでも素直に本音で答えていいよ』と伝えています。在校生目線で語る本校の良い点・悪い点を、皆さんに知っていただきたいと思います」

春から冬にかけて5回実施される学校説明会では、「オーストラリア短期留学レポート&中学1年生による受験体験記」、「英国ケンブリッジ大学語学研修レポート&中学1年生による受験体験記」、「中学2年生の探求&部活動パフォーマンス」など、複数の異なるテーマで開催される予定です。
同校の魅力を感じ、在校生の輝く姿を見るために、ぜひ目黒日本大学中学校高等学校へ足を運んでみてくださいね。