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学校特集

武南中学校2018

学力とともに優れた人格を形成し、未来に羽ばたく力を育成
「中高一貫コース」開設から6年目。
入試新設、コース選択制など、変革を続ける

掲載日:2018年9月1日(土)

授業を中心に「使える英語」の力を養い、多様なフィールドワークで見聞を広め、先を読む力を育むために「囲碁」を必修にするなど、将来社会で自立し、世界中の人々と協働するための素養を身につけさせる武南中学校。中高一貫教育「BUNAN Advanced」を掲げて中学校を開校してから6年が経ち、「中高一貫コース」では全学年がそろいました。その同校に、新しい道筋が加わります。また、同校には4つの "I "があります。それは、「Innovation:変革する心」「Intelligence:豊かな教養を愛する心」「Integrity:人間力を高める心」「International Mindset:世界を知る心」のこと。そして、それらを統合する「4つの『I』が未来の『I(わたし)』を創造します」というスローガンに基づいて、同校の教育をご紹介していきます。まずは、来年度からの新しい道筋について、中学校校長の小松正明先生にお話を伺いました。

Innovation★変革する心

2019年度の新入生から、「コース選択制」を導入。そして、入試も新設

来年度の入学生から、高校に進学する際、「コース選択」ができることになりました。
とはいえ、中学校は「中高一貫コース」のみで、すべての生徒が先進的コースの一員としてそのまま6年間持ち上がるシステムです。高校から入学する生徒とはカリキュラムも異なり別クラスになるのですが、その同校で「コース選択」とは?

武南_お話を伺った、中学校長の小松正明先生
お話を伺った、中学校長の小松正明先生

小松校長:「これは、部活にもっと打ち込みたいという生徒の希望に応えたものです。つまり、中学受験をした段階ではまだ親御さんの敷いたレールの上にいますが、中学に入ると大きく成長します。そして自我が芽生え、興味の幅も広がってきますから、自分の道を自分の手で選択できるようにしたのです」

中学の部活は水・木の週2日間と決まっていますが、学年が上がるにつれて「もっと部活をしたい!」という声が多くなってきたのだそうです。中学に隣接する高校には強豪のサッカー部がありますが、そのことも大きな刺激になっていました。ところが、高校に進んでも、「中高一貫コース」の生徒は先取り学習を実践し、高校からの入学生とは授業時数も異なるため、高校の多くの部活動には参加できない仕組みでした。

そこで、「中高一貫コース」の学びをますます充実させる一方、もう一つの道筋を用意し、中学の3年間を「中高一貫コース」で過ごした生徒も、高校の「特進」「選抜」「進学」の各コースへの編入を認めることにしたわけです。

武南_部活動は、知・徳・体のバランスのとれた学習活動の一環
部活動は知・徳・体のバランスのとれた学習活動の一環

この改革が意味するものは、「勉強よりも部活」ではありません。人は学びをとおして鍛えられ、磨かれるもの。だから、「何をとおして学びを深めるか」という主軸を自分で選択するということです。
これもまた、同校が掲げる4つの "I "の一番目、「変革する心」の促進の一つ。「中高一貫コース」に一つの膨らみをもたせたもの、つまり、大学進学の先にある生徒の人生を見据えた新たな道筋の創出といえるでしょう。

ところで、高校のグラウンドには、地元の「武南ジュニア」(武南高校との関係はない)というサッカーのクラブチームがやってきて練習することもあるそうですが、高校にあがる際に「コース選択」が可能になることで、今後は、その小学生たちが武南中学に入学してくる展開も生まれるかもしれません。

そして、もう一つ。
来年度入試から、公立中高一貫校を目指す児童も受験できるように「適性検査型」を新設、また従来の2科・4科入試の受験生を含めた各入試の成績優秀者を対象に「特待生制度」も導入。入試でも、さらなる多様化を目指していきます。

International Mindset★世界を知る心

グローバル社会で活躍するため、国際感覚を磨く

では、「中高一貫コース」での学びを詳しく見ていきましょう。
21世紀を担うグローバル人材の育成を目指す同校は、英語学習を柱に、世界へと視野を広げる「国際理解教育」に力を注いでいます。英語で自分や日本のことを語り、世界各国の文化や諸問題を考える授業をはじめ、さまざまなアウトプットの機会も豊富に設けていますが、まさに頭だけでなく、身体に英語をしみ込ませていきます。

●英語学習は、3年間で840時間

武南_
コミュニケーションツールとしての英語習得を目指す

同校の英語の授業時間は、中1・2が245時間、中3では英会話も含めると350時間。3年間で合計840時間にものぼり、これは公立中学校の2倍にあたります。
中1からタブレットを用いてプレゼンテーションやディベートなども実施しますが、このように積み重ねた英語力は、近いところでは中2と高1で実施される海外研修での実践につながり、またペーパーテストから民間検定に代わる2020年からの新たな大学入試に有効なのはもちろん、将来社会に出た時に必ず役立つものです。

小松校長:「英検も重視していますが、目標は、中3までに準2級を取得すること。中3で2級、中1・2でも準2級をとる生徒がいるなど、なかなか頑張っていますね。若い教員も多く、アイデアを出し合いながら授業を行っていますので、生徒たちも英語が好きになっていくようです」

リスニングも強化していますが、ただ聞くだけではなく、ノートの取り方や問題の解法、ディクテーション(聞いて書き取る)やシャドーウィング(聞いて即座に復唱する)なども大切にしています。
また、タブレットに自分の音声を録音し、そのデータをALT(外国語指導助手)に送ると、先生が評価をつけながら手ほどきをしてくれるといった指導も行われています。ちなみに、送信された音声を生徒がイヤホンで聞くなど、英語ではリスニングの試験にもタブレットを活用。

●世界を実感する海外研修

武南_アジア研修で、現地校の生徒と交流
アジア研修で、現地校の生徒と交流

中2でアジア研修、高1でアメリカ研修、そして高2では古都研修(京都・奈良)があります。世界を見たあとで、改めて日本をふり返るという意図から、この順番で実施されています。
アジア研修では、急速に経済成長を遂げるベトナムやカンボジアを訪ねますが、現地の同世代がリンガフランカ(共通言語)として英語を操るのを目の当たりにするなど、生徒たちは大きなカルチャーショックを受けます。そして、そのことは世界に目を開き、日本を見直し、自分の将来をも見つめるきっかけになっていくのです。

武南_1期生からスタートしたアメリカ研修にて
1期生からスタートしたアメリカ研修にて

高1のアメリカ研修ではホームステイを経験しながら、マサチューセッツ工科大学やハーバード大学など世界のトップ校の授業に参加し、現地の大学生と一緒に市内観光も行うなど、さまざまな交流をもちますが、その体験を通じてさらに自分の世界を広げ、思考を深めていきます。

そして研修旅行の総仕上げとして、高2で京都・奈良へ。異文化を体験して視野を広げたあと、改めて日本に立ち返り、日本古来の文化や歴史にふれるわけですが、昨年度は、京都・奈良の大学に通う留学生と一緒に古都巡りをしたそうです。

●グローバル教育の背景にある、校長の体験

このように世界に視野を広げる重要性を、校長自らもまた経験していました。
校長は教職に就いて以降、埼玉県の公立小学校や中学校で体育を教えていましたが、ある時、日本人学校が教員を募集しているのを知り、応募したそうです。

小松校長:「じつは、私は飛行機に乗るのも嫌い、外国も嫌い、英語なんて言わずもがな、という人間だったのです。でも社会情勢がどんどん変わっていくなかで、自分が殻に閉じこもっていてはいけないと、遅まきながら一念発起したわけです。すると採用試験に通りまして、3年間ベルギーへ。そこでさまざま体験をし、自分の国だけに留まっていてはいけないと身を以て実感したのです。ですから、生徒たちにもチャンスがあればいろんな国に出ていって、経験を積ませたいと。もちろん、教員自身も同じで、いろいろ経験しなければ生徒たちに良い教育はできません」

ここで、校長がベルギーで体験したことをいくつかご紹介しましょう。
2002年に、日韓共同開催でサッカーのワールドカップが行われましたが、校長はその試合をベルギーの日本人学校で見ていました。日本の初戦の相手は、なんとベルギー。その時、日本からは開幕前のベルギーの様子について、ベルギーからは日本のサッカー事情についてなど、両国のメディアから取材されたのだそうです。

武南_外務省の職員による出前講義
外務省の職員による出前講義
「外務省と日本の国際協力について」なども実施

小松校長:「それも、たまたまベルギーにいたから経験することができたことです。ちなみに、その日は日本人学校では『日本がベルギーに勝利したら、最悪の事態を想定して授業を切り上げ集団下校。引き分けか負けた時は平常授業』という指示が出ていました。結果は、引き分けでしたが(笑)」

ほかにも、泉岳寺の僧侶が雅楽の演奏旅行でヨーロッパを訪れた際には日本人学校に来て演奏してくれたり、豪華客船「飛鳥」がアントワープに寄港した際には日本人学校の生徒たちを見学に招いてくれるなど、人との出会いも、物事との出会いも、日本にいたのではできない経験をたくさんしたのだそうです。
その校長の実体験が、同校の教育に生きていることは言うまでもありません。

Intelligence★豊かな教養を愛する心

グローバルスタンダードな武南での学び

教養を深めるために多様なプログラムを用意する同校ですが、そのなかからいくつか抜粋してご紹介します。

●フィールドワークで視界を広くする

武南_美術のフィールドワークで訪ねた、江戸東京博物館にて
美術のフィールドワークで訪ねた、江戸東京博物館にて

グローバルな視野をもつためには、本物にふれるさまざまな体験をし、五感でキャッチする「実感」をもつことが大切です。そこで、同校では芸術科、理科、社会科、国際理解など、多岐にわたるフィールドワークを実践。
そして、フィールドワークの前には調べ学習を、事後にはレポート作成やプレゼンテーションを行うなど、体験を実のある知識として自分のなかに取り込んでいきます。
ちなみに、オペラ鑑賞の事前学習として、古典的、社会的なアプローチを試みたり、英語で書かれた作品を読むなど、教科横断的な指導が実施されることも。

●ICT教育で情報処理能力と自己管理能力も身につける

武南_ICT機器は、通常の授業でフルに活用されている
ICT機器は、通常の授業でフルに活用されている

同校はICT教育にも先進的に取り組んできましたが、各教科の授業で教科書やノートと同様、教材としてタブレットを使用するほか、生徒たちは「フォーサイト」という手帳と「クラッシー」という学習アプリをセットで活用しています。

「BASL(BUNAN Advanced Self Learning)」と呼んでいる放課後の30分間、フォーサイトでその日の学習を確認し、帰宅してからの学習計画を立てますが、これは時間を自己管理する良い習慣づけにもつながっています。
また、クラッシーは自学自習をサポートする機能がついているアプリですが、ここにも自宅学習の時間などを記録。自分の足跡のふり返りに活用するとともに、仲間と勉強時間の比較もできるので互いの励みになっているといいます。
この両方を毎日、担任の先生に提出または送信するのですが、先生方にとっては生徒の現状や推移などを一元管理する「生徒カルテ」として、指導のための重要な資料となっています。

ところで、集会で校長が生徒に向けて話す時も、生徒たちはフォーサイトでメモをとりながら聴くのですが、ここにも一つ、同校の個々に応じた指導姿勢をかいま見ることができるエピソードがありました。

小松校長:「私から生徒によく質問を投げかけるのですが、その時、下を向いている生徒は指しません。上を向いて自信がありそうな生徒を指すのです。なぜなかといえば、自信のない生徒に無理やり話させても、みんなの前で恥ずかしい思いをするのは嫌だと、しゃべらなくなってしまいます。そういうことが苦手な生徒に対しては別の指導が有効なのであって、そこであえて指す必要はないのです。ですから、『この子は絶対答えられるな』という生徒を指し、その生徒に自信をもたせるようにしています」

●「囲碁」で「先を読む力」を獲得する

中学校を立ち上げた時から、同校では「囲碁」が必修となっていますが、生徒たちは月に一度、土曜の4限に「囲碁」に臨みます。タイトルの下にある写真がそれです。

小松校長:「日本文化にふれさせたいというのもありましたが、『先を読む力』を育む目的で始めました。『囲碁』の時間には、毎回日本棋院から指導者の方が10人くらいいらしてくださるのですが、囲碁普及のためと先方からお申し出をいただき、無償で生徒たちを指導してくださっているんですよ」

今年の1月には初の試みとして、学年の勝率が同じくらいの2・3年生が対局する「2・3年対抗リーグ」が行われました。
結果は2年生が8勝、3年生が12勝。最終的には3年生が意地を見せましたが、双方の奮闘ぶりには日本棋院の方々も感心しきりだったそうです。
ちなみに、まだそれほど慣れていない1年生はクラスメート同士で対局しましたが、入学時に比べると囲碁を楽しめるようになってきたとか。

Integrity★人間力を高める心

規律をもって、伸びやかに過ごす学校生活

どんな時代でも、世界のどの場所にいても、最も大切なのは倫理観や人を思いやる心です。同校でも、人間力を高めるために日常的な生活指導はもちろん、社会と関わるさまざまな機会を設けていますが、以下はほんの一例です。

●平凡を非凡に務める「1A5S」

武南_通学路も、自分たちの手できれいに!
通学路も、自分たちの手できれいに!

同校には「平凡を非凡に務める」という考え方があります。
挨拶はただするのではなく「相手に届くようにする」、ノーチャイム制によって「時間管理意識をもつ」など、日々の学校生活においてつねに「1A5S(挨拶・整理・整頓・清掃・清潔・躾)」を心がけ、社会の一員としての規範を身につけていくのです。

●授業の一環として、地域との交流も

校内を自分たちで掃除するのは当たり前。同校では、通学路や近隣の清掃活動も積極的に行っています。
また、高齢者を対象とした介護予防教室などにも参加。ある時は、68歳から92歳までの男性15人の方々に、3年生20人が先生役となってタブレットの使い方を教えたそうです。
こうした地域との交流活動を、授業の一環として取り入れているのも同校ならではです。

そして最後に、もう一度、校長の思いをご紹介します。これは、「変革する心」の教師編ともいえるものです。小学校の先生も経験した校長は、基本的にクラスの児童に全教科を教える小学校の先生のあり方に、教師としてのある種の理想型があると言います。

武南_職員室前は早い者勝ちの、人気の自習スペース
職員室前は早い者勝ちの、人気の自習スペース

小松校長:「小学校の教員にとって、クラスの児童はみんな自分の子どものような感じなのです。たとえば算数が苦手でも図工が上手とか、すべてわかっている。弱いところは良いところに払拭されながら、その子の良さや個性が明確にわかっています。だから、担任にとっては、みんな良い子。でも、中学になると教科担当制ですので、数学の教師からすれば数学の出来・不出来で見てしまいがちになります。中高になると別の側面も出てきますので、小学校の教員のようにきめ細かな目配りをするのは難しいところもありますが、ただ、うちの教員たちはうまくやってくれていると思います」

武南_アットホームな校風の同校では、学年の壁を越えて仲が良い
アットホームな校風の同校では、学年の壁を越えて仲が良い

日々、変革を続ける同校ですが、日ごろ校長が先生方に伝えていることとして、以下の4つを教えてくれました。
①幅広く経験すること
②担当教科の高校入試・大学入試の試験問題を解き、100点を取ること
③教師は役者であれ
④落語を聞くこと

① ②は説明の必要はないでしょう。③はどんな場面でも自分の感情のままに接するのではなく、生徒とはつねに平常心で向き合うのがプロの教師である、④は高座に上がったら観客の反応を見ながら話し方を変える落語家の姿勢は、授業の運び方を考えるうえでたいへん参考になる、という意味です。

JR京浜東北線「西川口駅」から徒歩10分。静かな街並みの一角にあり、都内からのアクセスも便利な同校。教科学習でも、各種の多様なプログラムでも、生徒が自分の可能性の種を見つけ、それを大きく開花させることができるよう万全のサポート体制を敷く同校を実感するために、ぜひ一度、説明会にお出かけください。

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