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学校特集

城西大学附属城西中学・高等学校2018

城西の正門をくぐれば、そこに世界が見えてくる
中3で全員参加のオーストラリア研修を実施する「JFGLプログラム」がスタート

掲載日:2018年11月1日(木)

1918年創立、その後、大正時代の自由主義教育を掲げる私立学校の先駆けとなった城西学園は今年、創立100周年を迎えました。建学の精神として掲げるのは、「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」。長年、国際社会でリーダーシップを取ることのできる人材の育成を目指し、グローバル教育に力を注いできた歴史があります。1982年以来、交流協定を締結した姉妹校は7カ国に及び、"城西の正門をくぐれば、世界が見える"と言われるほど多くの国々から積極的に留学生を受け入れてきました。そして、2018年の中学入学生から、生徒の未来を見据えた「JOSAI Future Global Leader Program」をスタート。これは中学3年次に行われる全員参加のオーストラリア研修(14日間)のためのロードマップでもあり、手厚く生徒たちをサポートする取り組みが見てとれます。特進クラスを設けず、生徒たち全員の実力を強化し、国際感覚を身につけさせたいという同校の試みについて、校長の斉藤栄先生ほか2名の先生方にお話をうかがいました。

「JOSAI Future Global Leader Program」
を完成させる3つのポイント

●「JOSAI Future Global Leader Program」とは?

城西大城西_校長の齊藤栄先生
校長の斉藤栄先生

「『JOSAI Future Global Leader Program』は、生徒の3年後、5年後、10年後を見据えた教育プログラムです。多様なグローバル社会で生きていく子どもたちは、語学力や異文化理解力を持ち合わせなければなりません。どのような局面にも適応し、貢献できるグローバルな人材を育てることが目的です」と、校長の斉藤栄先生は言います。

このプログラムの中心となるのは、2018年の中学入学生が3年次の3学期に全員で行うオーストラリア・アデレードでの海外研修(短期留学)。南オーストラリア州の教育省と提携したプログラムで、現地の一般家庭にホームステイしながら2週間を過ごします。希望者はさらに4週間、滞在期間を延ばすことも可能です(計6週間)。
「最初の1週間はオリエンテーションを兼ねて現地の語学学校に入り、学校やホームステイ先で過ごすために必要な知識を全員で学び、2週目は7つの現地校に分散して、現地の生徒と同じ学校生活を体験します」と、国際交流課課長の高橋嵩先生。生徒たち(現中1は68人)は1校あたり5~10人弱のグループに分かれて、現地校の授業を受けることになっています。ちなみに滞在期間を延長した生徒は、現地校に5週間通うことになります。

中3での海外研修を実施するにあたり、全員が快適で充実した留学を実現するために、先生方は段階を踏んで生徒たちを成長させていく「アデレード研修ロードマップ」を作成しました。

●アデレード研修ロードマップ

【画像をクリックすると拡大します】

中学3年という年齢での海外研修について、斉藤校長はこう語ります。
「オーストラリア研修は単なる留学ではなく、中3という多感な時期に親元を離れることで生徒の自立心を育て、思考力、判断力を養うことも目的の一つです。言葉や文化の違いという壁を乗り越え、環境に適応しようとするこの2週間の体験は、生徒に自信を与えるでしょう。その自信を核として、高校生活、さらにその先の進路を考えるきっかけにしてほしいのです」と、斉藤校長は話します。

中高一貫校である利点を活かし、中学は「自立心を養う3年間」、高校は「夢の実現に向けた3年間」と位置づけ、中学では「基礎学力」「語学力」「国際感覚」の3ポイントを中心に生徒たちの実力を強化していきます。

●1. 基礎的生活習慣と、基礎学力の定着を図る

城西大城西_国際交流課課長の髙橋嵩先生
国際交流課課長の髙橋嵩先生

中1生は入学と同時に、3年後にやってくる「2週間の海外研修」という目標が設定されることになります。現地校で学ぶためには、コミュニケーションのための英語だけでなく、自分自身の日本文化への理解も含めて、全教科において基礎学力の強化が必要です。
そのため、中1・2は「基礎学力の定着を図る」時期と位置づけ、生徒たちの学ぶ意欲を引き出す授業、知的好奇心を刺激する体験重視・本物主義の教育を実践します。

城西大城西_ICTを駆使しながら、協働学習に取り組む生徒たち
ICTを駆使しながら、協働学習に取り組む生徒たち

その学習指導の一つが、同校独自の「オープンクエスチョンの活用による全員参加型授業」です。先生が投げかける正解のない課題に対して、生徒一人ひとりが答えを模索していくもので、時には時間制限を設けずに1問のみを解くことも。「なぜ?」と疑問をもつことで答えの理由や根拠を深く考え、知識が定着しやすくするこの教育スタイルは全教科で導入されています。

今年度からは生徒一人ひとりがタブレット端末を持ち、専用のソフトを用いて学習できる環境も整えました。
また、「特進クラス」を設けない同校では、生徒同士が互いに教え合いながら理解を深めるPIL(Peer Instruction Lecture)型学習を実践しています。思考力、表現力、協調性を育み、互いの違いを認め合う「個性の尊重」は、建学の精神を反映したものといえるでしょう。

●2. 語学力を高める密度の濃い英語教育

実践的な語学力を身につけるための英語の授業は、中学の3学年それぞれで週7時間設定され、タブレットを用いて4技能を伸ばす学習を行います。そのうち3時間は、全学年ともネイティブの先生によるオールイングリッシュの英会話の授業を実施。レベル別の少人数授業で、日常会話に不自由しない程度の英語力を養い、海外研修出発までに全員が英検3級以上の取得を目指します。英語科の先生に加え、常勤のネイティブの先生も6名と、陣容も豊富です。

学年フリーで学ぶ放課後講座「Josai Academic English」(希望制)や、国によって異なる文化的背景やさまざまな視点、考え方なども合わせて学ぶ「ベルリッツ英語特別プログラム」、また英検やTOEFL、TEAPなどの対策講座や長期休暇中の補習も充実。
中3の海外研修の前に一定の実力を身につけられるよう、密度の濃い授業や学習支援体制を用意するのはもちろん、海外進学や英語を使った職業を目指す生徒がしっかり学べる環境を整えています。

さらに、今年度からはTOKYO GLOBAL GATEWAY(TGG)も活用。東京都教育委員会が昨年の9月にオープンした新しい体験型英語学習施設で、イングリッシュ・スピーカーが生徒に付き添い、オールイングリッシュの環境を体験できるスペースです。「病院や空港カウンターなど英語が飛び交うさまざまな仮想空間があり、生徒は英語が『通じた』『わかった』といった成功体験を豊富に得られます。日帰りで模擬留学体験をすることができるので、年に2~3回は活用していきたいと思っています」(高橋先生)

●3. 留学生を迎えて、グローバル社会を生き抜く国際感覚を養う

城西大城西_中学3年間の学校生活は、すべてオーストラリア海外研修の準備期間と設定
中学3年間の学校生活は、すべてオーストラリア
海外研修の準備期間と設定

そして、3つ目のポイントが「国際感覚」を養うことです。
2017年度に海外から受け入れた留学生は292名、同校から海外に留学した生徒は50名。高1では各クラスに平均一人の長期留学生が在籍していて、日本の生徒たちと同じ授業を受けています。今年度はドイツ、フランス、デンマーク(2名)、タヒチ、スウェーデンなどからの留学生が在籍中。ヨーロッパを中心に世界中の留学生が在籍しており、姉妹校からの短期留学生は10名単位で来校するそうです。
留学生たちはホームルームクラスに入って城西生とほぼ同じ生活を送り、サークルや学校行事にも参加しています。

城西大城西_留学体験で得たさまざまな出会いは、一生の財産になる
留学体験で得たさまざまな出会いは、一生の財産になる

ところで、最初の段階では日本語の取り出し授業を行ったり、ネイティブの先生がカウンセリングに近い形で見守ったりと、同校は留学生たちへの手厚い指導にも定評があります。そのためでしょう、城西生とも自然に馴染み、積極的に学校生活を送るようになるのだとか。
「例えばフランスの留学生は来日当初は、日本語はもちろん英語も話せなかったのですが、本校で学ぶ間に両方とも覚えて帰国しました。本校での共通語は日本語と英語。1年を通じて留学生が校内にいるので、『城西にいれば世界を感じる』といっても過言ではありません」と高橋先生。

冬のスキー教室(3泊4日)では、留学生たちは「10分前行動」や「10時消灯」にカルチャーショックを受けながらも、城西生と一緒に大浴場に入ったり、枕投げで盛り上がるそうです。
また、合唱コンクールでは、城西生がまだうまく日本語が話せない留学生に、一生懸命日本語の歌を教える場面もよくあるのだとか。

城西大城西_高校では、中期・短期の多彩な留学制度も
高校では、中期・短期の多彩な留学制度も

「本校では、留学することや留学生の存在が特別なことではありません。生徒たちは日々の生活を共に過ごすことで、異文化的な考え方を学んだり、グローバル社会への適応力を身につけていきます。日本人である自分自身を見つめ直し、成長する機会にもなっていますね」と、斉藤校長も話します。

高校では中期(3カ月)・長期(10カ月)の留学プログラムも用意されているため、中3でオーストラリア留学を経験した生徒は、さらに広い視界から自分の将来への道筋を選択することができます。

●全教科で体系的に取り組む事前学習

城西大城西_第1学年主任の伊東美香先生
第1学年主任の伊東美香先生

3年後の留学という目的意識をもつことで、生徒の学習意欲も旺盛です。
それを支える先生方の丁寧なサポート体制も忘れてはなりません。「教員たちの面倒見の良さが本校の特徴です。全員参加の留学に向けて保護者の方の不安がないように、きめ細かく丁寧な事前学習を行っています」と、斉藤校長。

留学前の事前学習としては、例えば中2では日本文化を学ぶ鎌倉校外学習や、農業体験をするサマースクールを実施しています。

城西大城西_稲作体験では田植えから稲刈り、収穫米の販売まで行う(中1)
稲作体験では田植えから稲刈り、収穫米の販売まで行う(中1)

「農業体験プログラムは、毎年、群馬県水上市の農家に1組5人ぐらいのグループでお邪魔して、農作業を手伝ったり、収穫した野菜を料理したりします。また、本校の卒業生でもある埼玉県坂戸市の農家に協力していただいて、田植え・中干し・稲刈り・収穫と稲作体験も行います。とれたお米は文化祭で販売するのですが、その価格も生徒たちが決めています」と、第1学年主任の伊東美香先生。

本物に触れる体験型学習の多さは同校の特徴の一つですが、このように、留学に向けた事前学習プログラムでも体験主義を実践しているのです。「田植え」や「稲刈り」といった一部分だけではなく、「生産から消費まで」を教科横断的に知る体験をし、学んでいくのも同校らしいところ。
さらに稲作体験をもとに、国語では稲作に関する小説を読んだり作文を書き、理科では田んぼの水を採取して微生物を観察、家庭科では自分たちが植えたお米を調理実習で使用するなど、すべてのプログラムが有機的につながっています。
「こうした体系的な取り組みも、本校の特徴だと思います」(斉藤校長)

伝統と歴史に裏づけられた
城西の国際交流

●国際交流の歴史を重ねて36年

城西大城西_体験主義・本物主義を貫く同校。上は理科実験の様子
体験主義・本物主義を貫く同校。上は理科実験の様子

1982年にアメリカ・オレゴン州の高校と交換留学制度を設けたところから、同校の国際交流はスタートしました。「国際化」「グローバル化」という言葉もなかった頃から、同校では先進的な国際交流事業に取り組んできたわけです。高校で長期留学を経験した生徒が、帰国後に留年をすることなく3年間で卒業することができるという海外留学の単位認定制度も、同校が先駆けとなって実践してきたものです。

その後、オーストラリア、韓国、中国、ニュージーランド、カナダ、台湾の各校と姉妹校提携を結び、さらにアメリカやオーストラリアの姉妹校のほか、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、チェコ、メキシコ、ブラジルなど、世界中から長期留学生を積極的に受け入れています。
「JOSAI Future Global Leader Program」は、36年前から積み上げてきた伝統と歴史の上に成り立っているのです。

●豊富な国際交流を支える建学の精神

このような同校の国際交流は、創立以来の歴史の上に花開いたものです。
同校は1918(大正7)年、中島久万吉によって城西実務学校として創立。その後、自由主義教育の先駆者で、自ら池袋に設立した児童の村小学校で、教科書を用いず、時間割は教師と生徒が相談して決めるというユニークな教育を実践していた野口援太郎が2代目校長となり、1925年より実務学校を城西学園と改称、自由主義教育の学校として新たなスタートを切りました。

城西大城西_温かな校風のなか、生徒たちは明るくのびのびと育っていく
温かな校風のなか、
生徒たちは明るくのびのびと育っていく

そして戦後、学園再興を行った5代目校長・新藤富五郎が掲げた校訓が「報恩感謝」です。
「報恩感謝」とは、さまざまな人から受けている恩恵に感謝し、報いるために、「今できること、やらねばならないこと」に全力で努力するという意味で、この言葉には同校の人間教育の真髄が表れています。

生徒の自主性を培い、自立的な人間が育つ新しい教育現場を作ろうとする教育方針は脈々と引き継がれ、アクティブラーニングあるいはPIL型学習、体験実践学習の重視という現在の教育体制に結実しているのです。

●特進クラスを作らず、共に学び、高め合う「共育」の伝統

城西大城西_体育祭は、中高合同で実施
体育祭は、中高合同で実施

そして、建学の精神に「天分の伸長」「個性の尊重」「自発活動の尊重」を掲げ、革新的な教育を進めてきた同校は、「共に学び、高め合う」ことを大切にした「共育」が伝統です。いわゆる「特進クラス」を作らず、生徒全員が同等に学べる土壌があることは、同校の大きな特徴といえるでしょう。

さまざまな課題や問題に対してみんなで取り組み、知恵を出し合い、力を補い合うなかで、個々の思考力や判断力、表現力が磨かれていきます。そうした校風が、多様な価値観をもつ人たちと恊働する「城西気質」を育てているのでしょう。

「適性型入試」と「英語技能入試」の
導入で、受験生数拡大をめざす

●入学生の裾野を広げた入試改革の影響

城西大城西_学園祭「しいの木祭」で、その実力を披露するダンス部
学園祭「しいの木祭」で、その実力を披露するダンス部

2017年度から同校では一般入試に加えて、「適性検査型入試」と、海外からの帰国生や優れた英語力を持つ生徒を対象にした「英語技能入試」を導入し、学内にさらに新しい個性を受け入れる大きな機会としました。
「英語技能入試」はリスニング(15分)に100点中40点を配当し、CEFR A2以上(英検準2級以上相当)の英語資格取得者は筆記試験を免除しています。また、「適性検査型入試」では、公立中高一貫校と併願して受験する生徒が増えています。

城西大城西_「獅子舞研究部」という珍しい部活があるのも同校らしい
「獅子舞研究部」という
珍しい部活があるのも同校らしい

最後に、入試企画部部長の坂本純一先生が受験生へのメッセージを語ってくれました。
「2017年、2018年と実施した新型入試はさまざまな効果をあげています。自力で英語力を英検3級程度まで上げることができた受験生は、あきらめずに学習を継続する傾向が強く、英語以外の教科においても優秀な成績をあげています。保護者の方からの問い合わせも増え、受験生の裾野が広がっていることを実感しています。特進クラスを設けない明るくフラットな空気感の校風を気に入ってくださる保護者の方も多く、本校の教員たちの熱意と面倒見の良さに期待して入学したという生徒もいました。本校の特徴をよく理解したうえで入学する生徒が増えてきたという印象です。中3でのオーストラリア海外研修に象徴されるように、豊かな国際交流の実績や体験を通して自立の精神を養う校風に魅力を感じて、多くの小学生のみなさんに受験してほしいですね」

ところで、帰国した留学生が「もう一度日本で学びたい」と再び来日し、城西を訪ねてくることもあるのだそうです。同校の国際交流の充実ぶりを物語っているだけでなく、同校が積み上げてきた「報恩感謝」の精神が先生方にも根づいていることの証、同校の校風がそう思わせるのでしょう。

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