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学校特集

世田谷学園2017

「和」を重んじる精神で、一人前の男に育つ旃檀林の獅子児たち
6年間をかけて確かな人間力を育成し、難関大学への高い現役合格率を誇る!

掲載日:2017年9月1日(金)

前身は500年以上前、1592年に開設された曹洞宗の僧侶養成機関「旃檀林(せんだんりん)」にまでさかのぼる、正真正銘の男子伝統校。禅を重んじる曹洞宗の教えを基盤に、人間力を磨いて学力も着実に身につけさせますが、硬派なイメージとは違い、自由でのびのびとした校風で、おっとりしたタイプの生徒も多いようです。
そんな同校の、男子校ならではの指導について広報部副部長の宝地戸通至(ほうちどゆきのり)先生にお話を伺いました。ちなみにタイトルにある「旃檀林の獅子児」とは、自信と誇りと気概の意味を込めた同校の生徒たちの呼称です。

学校生活

一歩ずつ、ていねいに「男児」から「男子」へと育てていく

お釈迦様の言葉「天上天下唯我独尊」を建学の理念としますが、そこには「一人ひとりはかけがえのない尊い存在である」という人間観と、「お互いが理解し認め合うことで、平和な地球社会の創造が可能となる」という世界観が込められています。これをわかりやすく「Think & Share」という英語で表現して教育理念とし、さらに噛み砕いた「明日をみつめて、今をひたすらに」「違いを認め合って、思いやりの心を」を学校生活のモットーとするなか、生徒たちは好きなことに打ち込みながら、「和」の心をもってのびのびと過ごしています。
さて、その実際はというと......。

入学後、「友達づくり」から始める学校生活

世田谷学園_入学直後に行われる中1のオリエンテーションで
入学直後に行われる中1のオリエンテーションで

中学生くらいまでの年齢では、男子は女子よりも精神的成長が少し遅い、とよくいわれます。自分から話しかけることが苦手なタイプが多いことも事実。そこで、同校では入学直後の4月にオリエンテーションを実施します。1泊2日で山梨県にある西湖に出かけ、スポーツや出会いのゲーム「エンカウンター」などを行って、「友達づくり」に取り組むのです。6年後にたくましい男子として巣立っていく同校の学校生活は、このように一歩一歩ていねいに、目をかけ手をかけるところから始まります。

世田谷学園_ゲームをとおして、少しずつ心の距離が縮まっていく
ゲームをとおして、少しずつ心の距離が縮まっていく

宝地戸先生:「とくに中1では勉強も大切ですが、それよりもまず、友達をつくることを重要と考えていますので、行事の組み方もそこを意図しています。実際、たった1泊ですが、このオリエンテーションを終えたあとの生徒たちの顔は明らかに違いますね。ぎこちなかった雰囲気だったのが、生徒同士が打ち解けて、クラス全体がにぎやかになります。まだ中1ですから、互いにじゃれ合ったりする生徒もいて(笑)」

規律正しく、でも、のびのびと

世田谷学園_登下校時、生徒たちは校門のところで学舎にお辞儀をする
登下校時、生徒たちは校門のところで学舎にお辞儀をする

仏教の教えと坐禅(最後のコラムを参照)を教育の大きな柱とする同校では、登下校の際に校門のところで学舎に一礼をするのが慣例です。このように聞くと「規律が厳しく、堅苦しい学校」と思ってしまうかもしれません。でも、それはちょっと違います。この礼には、学舎のほか校内各所にある仏像や祖師への感謝や敬意を表するという意味があるのですが、同校の教育理念が「形」に現れたものともいえます。旧来の形というのは、普遍性をもっているもの。最初はその意味がよくわからなかったり、照れくさかったり、見様見まねでぎこちなくても、形から入り、形に則っているうちに、徐々にその本質に気づいていくのです。

宝地戸先生:「この校門での一礼は慣例として、自然に受け継がれています。形という器を作ることで、その器にだんだんと心が宿っていくのです」

では、その形や器、心とは、どのようなものなのでしょうか。それは、生徒手帳に書かれた「基本的な心構え」の中に端的に示されています。

・諸の悪は作すこと莫く(もろもろのあしきことはなすことなく)
・衆の善は奉行し(もろもろのよきことはぶぎょうし)
・自ら其の意を浄くする(みずからそのこころをきよくする)
・是れ諸仏の教なり(これしょぶつのおしえなり)

これは、「悪いことをせず、すすんで良いことをする。人が見ていても見ていなくてもそれができるようにする。それが仏様の教えです」という意味。ここでは「仏様の教え」とありますが、「人のあるべき姿」の理想であり、難しいけれど、とてもシンプルなことです。仏教を学び坐禅を組むことで(形・器)、人生観・世界観(心)を養っていくのです。

同校では、この「基本的な心構え」さえ心に留めていれば、事細かな生活指導は必要ないのだそうです。だから、普段は自由でのびのびとしていても、時と場をきちんとわきまえられる生徒が多いのでしょう。

行事

仲間とともに、人生観、世界観の基礎を構築する

豊かな人間性を育むためには、仲間と一緒にさまざまな体験を重ねることが重要です。感動したり、悔しかったりするなかで自主性や協調性が育まれ、そこで得られた達成感や成功体験は一生の宝になるでしょう。そして、それらはすべて、大人になって社会で活躍するための素地になります。その意味からも、同校ではクラブ活動と同様、行事を大切にしていますが、以下にご紹介するのは抜粋になります。

サマースクール(中1)

世田谷学園_初めてのカヤック体験。30分くらいで操れるようになるとか
初めてのカヤック体験。30分くらいで操れるようになるとか

中1の7月に行われる「サマースクール」では長野県の黒姫高原に2泊3日で出かけますが、「友達づくり」のオリエンテーションから3カ月を過ぎ、生徒同士の距離も縮まっています。ここではマウンテンバイクやカヤックに挑戦したり自然の豊かさを学ぶとともに、集団行動の大切さも学びます。

宝地戸先生:「朝はグループに分かれて散歩に出かけ、音をいっさい立てないで静寂の中に身を置きます。そして風の音、鳥の声、人里の音など、静けさの中で聞こえてくる音を『サウンドマップ』として自由に書き取らせます。東京では意識できない、自然の音と対峙するのです」

また、夜はナイトハイクを体験。懐中電灯を持って森の中へ行き、途中で明かりを消します。そして暗闇に目が慣れてくると、「闇の色」にも濃い・薄いがあることに気づきます。そして沼のほとりにレジャーシートを敷いて座り、宇宙の歴史やその寿命、生き物の命についてなど、暗闇の中で先生が語ってくれるさまざまな話に耳を傾けます。そこをホタルがス〜ッと飛んでいくのですが、日常では味わえない異空間で、生徒たちはえも言われぬ感動を覚えるそうです。

「静けさの中の音」「暗闇の中の明るさ」、このような豊かな学びができるのも、同校の魅力の一つではないでしょうか。

今年初! 生徒悲願の「体育祭」が実現

世田谷学園_ようやく実現した体育祭に、生徒たちは大張り切り!
ようやく実現した体育祭に、生徒たちは大張り切り!

6月1日に、代々木第一体育館で体育祭が行われました。昨年まで実施されていたのはクラス対抗の「体育競技会」。球技や水泳、武道など、いろいろなことに挑戦できたのですが、生徒たちから「学校をあげての体育祭をやりたい」という声が挙がるようになり、ようやく今年、「体育祭」の開催にこぎつけたわけです。

体育競技会は中高別に行われていましたが、体育祭は6学年縦割りの赤・青・黄・白・黒の5色対抗戦に。学年ごとの競技をはじめ、6学年合同の種目ではEXILEのようなダンスを取り入れた「応援合戦」にユニフォームを着た「部活対抗リレー」、そして先生も飛び入りでお坊さんの格好で走るなど、おおいに盛り上がりました。生徒は大満足、観戦していた保護者の方々にも大好評でした。

宝地戸先生:「生徒会が主体となってつくりあげたのですが、準備段階から色別のチームごとに、上級生が下級生の整列や各種目の指導をするなど、熱が入っていました。当日は生徒会長をはじめとする生徒会のメンバーが司会・進行を務め実況中継をしたのですが、みんな相当頑張っていましたね」

永平寺研修旅行(中2)

世田谷学園_永平寺の厳かな雰囲気のなかで、精進料理をいただく
永平寺の厳かな雰囲気のなかで、精進料理をいただく

中2の11月には曹洞宗の大本山である永平寺・京都研修旅行が2泊3日で行われます。永平寺では禅宗の修行僧である雲水の修行生活を目の当たりにし、法話を聞いて食事の作法を学び、坐禅を組みます。夜は9時に就寝、朝は3時30分に起床し、掃除などの作務(さむ)をし、坐禅を組み、お経を唱え、精進料理をいただきます。この体験は自分を見つめ直し、日常の生活を顧みるきっかけになる貴重なもの。その後、京都へ1泊して、日本古来の文化を学びます。

宝地戸先生:「永平寺では精進料理をいただくのですが、食べ盛りの生徒たちも『意外に美味しい!』と言います。ちなみに、永平寺で精進料理だからというわけではないのですが、翌日の京都では『すき焼き』を食べます。聖と俗ですね(笑)」

總持寺一泊参禅(高3)

高3になると、同じく曹洞宗大本山である總持寺に赴きますが、最上級学年ともなれば現地集合・現地解散です。中2の永平寺一泊参禅も同様ですが、全クラス一斉に行くのではなく、学年が2班に分かれて別日程で行くため、多い班では1回につき130人くらいが行動を共にします。

そして、ここでももちろん坐禅を組み、法話を聞くのですが、その晩は全員が総持寺の大広間で一緒に寝ます。130人が布団を並べて寝る光景は想像するだけで壮観ですが、じつはこのときが、高3とはいえ、楽しくてしようがないようだと先生は教えてくれました。

学習

先生方のモットーは「楽しくなければ授業ではない!」

世田谷学園_中1・2の理科の授業は、実験や観察を中心に展開
中1・2の理科の授業は、実験や観察を中心に展開

6学年を2年ごとの3期に分け、それぞれ「自分に厳しく、人に温かい人格の形成」「平常心のレベルを高く」「これまで培った力や心の強さをもって志望大学現役合格へ邁進」というモットーを掲げています。そして、「楽しくなければ授業ではない!」という先生方の指導のもと、生徒たちは自ら考え、実践していく能力を身につけていくのです。

学習でも、クラスの一体感を重視

1学年は5クラス編成。中1は均等クラスで、中2からは1クラスのみ東大を目指す「特進クラス」を設けますが、特進クラスは固定ではなく、学年末の成績によって編成替えを行います。また、ほかの4つの一般クラスは国公立大学、難関私立大学を目指し、着実に力をつけていきます。

宝地戸先生:「とくに中学生のうちは、同じメンバーと過ごすことでクラスメイトとしての絆が深まります。時にはうまくいかないこともあるでしょう。でも、そういうことも乗り超えて人間関係を構築していく。そこを最も大切に考えていますので、本校はホームルーム単位での授業にこだわっています」

そのかわり、テストの成績が良くなかったときには再テストや指名制補習の「ステップアップ講習」(中1〜高2)でフォローするほか、希望制の「特別演習」(中2〜高1)、「大学受験講習」(高2〜3)など、バックアップ体制は万全です。

そして大学受験が視野に入ってきた高1・2になると、それまでに培ってきた基礎学力と生活習慣が大きな土台となって効力を発揮するのです。「大学受験は団体戦」という同校ですが、事実、都内男子校屈指の現役合格率を誇っていることが、それを証明しているといえるでしょう。

主要教科だけではない、実のある授業

宝地戸先生:「家庭科では料理も裁縫もしますが、みんな、けっこう上手ですよ。もしかしたら、女子も顔負けかもしれません(笑)。調理では食材のカットや野菜の皮むきなどもていねいですし、裁縫もきれいに仕上げますね」

芸術系も充実しています。たとえば音楽ではドイツ・イタリア歌曲を原語で歌うほか「合唱コンクール」にも取り組み、美術ではICTを活用した映像作品にも挑戦するなど、自己と向き合い表現し、かつ他者と協力しあいながら創造する楽しさを学びます。体育では温水プールや柔道・剣道・空手道専用の武道場など、充実した施設を活用して、心身の発達段階に応じた授業が行われます。ちなみに体育の授業とは別に、中2で剣道、高2で柔道が必修となっています。

世田谷学園_調理にも意欲満々。エプロン姿も板についている!

調理にも意欲満々。エプロン姿も板についている!

世田谷学園_中学では音楽と美術が必修、高1・2は音楽・美術・書道から選択

中学では音楽と美術が必修、
高1・2は音楽・美術・書道から選択

「生き方」の授業

世田谷学園_禅堂で坐禅を組む生徒たち
禅堂で坐禅を組む生徒たち

宝地戸先生:「『生き方』の授業では仏教の話をしたり、坐禅を組むこともありますが、社会問題を題材にしながら自分を静かに見つめ、他者を思いやる心を育てることを目的としています」

「生き方」の授業とは、同校オリジナルの授業です。「なぜ勉強しなければならないのだろう?」「どう生きていけばいいのだろう?」と、思春期にはさまざまな疑問や不安が生まれます。そんなとき、自分を見つめ、自分と対話する。そして、自分や社会を取り巻くさまざまな物事の本質を探ることによって、解決への糸口を見つけていこうというのがこの授業です。

ある卒業生は、次のように言っています。「大学に入って新しい環境で困難に直面したときも、それに根気よく対応していく心構えや忍耐力といったものが、いつの間にか自分のなかに備わっていたことに気づきました。『生き方』の授業など、世田谷学園では、社会で生きていくうえで必要となる『備えるべきもの』『知っておくべきこと』を教えてもらいました」 

グローバル教育

世界中のどこにいても、たくましく生きていけるように

同校が育てたい人物像として掲げているのは、次の3つ。

・ 「智慧の人」...自立心にあふれ、知性を高めていく人
・ 「慈悲の人」...喜びを、多くの人と分かち合える人
・ 「勇気の人」...地球的視野に立って、積極的に行動する人

世田谷学園_英会話の授業では、グローバルコミュニケーション能力を磨く
英会話の授業ではグローバルコミュニケーション能力を磨く

これらは、今求められる「グローバル人材」の資質そのものです。同校は英語教育も充実していますが、大学受験に必要な英語力を育成することはもちろんのこと、ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウとの「交換留学」も実施するなど、異なる文化や考え方にふれる機会を豊富に設けています。

また、リスニングや正確な発音の指導など、国際交流に活きるグローバルコミュニケーション能力の育成にはとくに力を入れ、実践体験として海外研修に出かけます。

希望者参加の「ニュージーランド研修」(中2)

中2の「ニュージーランド研修」は、毎年抽選で選出されます。年度によって多少のバラつきはありますが、例年70〜80名もの応募者があるそうです。

ニュージーランドではホームステイをしながら、交流校の授業に参加したり、自然にふれるアクティビティに挑戦。英語を介した異文化体験は、その後の語学学習へのモチベーションにもつながっています。

全員参加の「カナダ英語研修」(高1)

世田谷学園_世界へ踏み出す第一歩となる「カナダ英語研修」での1コマ
世界へ踏み出す第一歩となる「カナダ英語研修」での1コマ

高1では、全員参加のカナダ英語研修があります。1985年から交流のあるブリティッシュ・コロンビア州にあるグレンライオン・ノーフォーク校(GNS)での英語学習を中心とした体験です。ディベートなど発言する機会が多いGNSでの授業には、生徒たちはおおいに刺激されるそうです。

12日間の日程で、半分はビクトリア大学で寮生活、半分はホームステイを体験。純粋で優しい同校の生徒たちは現地で評判がよく、何年にもわたって受け入れてくれている家庭もあるのだとか。そして、お別れのときにはその家のおばあちゃんが孫を見送るように頭をなで、お互いに涙しながら名残を惜しむそうです。また、この経験がきっかけとなって海外の大学へ進学した卒業生もいるといいます。

ところで、先生は微笑ましいエピソードも一つ聞かせてくれました。

宝地戸先生:「中学生のうちは女子の目を気にせず、好きなことに思いきり打ち込める同性同士の環境の方が気楽だと思っていても、高1ぐらいになると少し変化してきます。カナダ英語研修で学校生活や観光案内の手伝いをしてくれるのはGNSの卒業生なのですが、それが女子大生だと果敢に話しかけていますね(笑)」

このように、同校では教科学習に偏ることなく、人として、男性としてのバランスのとれた素地をつくるために、オールラウンドな学びが展開されています。初々しい中学生、そして凛々しい高校生の姿を見に、ぜひ学校にお出かけください。

坐禅、そして「臘八摂心(ろうはつせっしん)」
世田谷学園_

同校の校章は地球を形取った坐蒲(尻の下に敷くクッション)の上で、人が坐禅を組む姿を描いたもの。「坐禅」は同校の象徴ともいえます。 「生き方」の授業のなかで年に4回坐禅の授業がありますが、ほかにも週に1回、希望者が参加する早朝坐禅があります。早朝坐禅は授業前の朝7時くらいから始まりますが、多いときには100名くらいの生徒が集まるといいます。

坐禅は両膝とお尻の三点で坐るのですが、中1のうちは形が定まらないものの、だんだんと坐相もきれいになっていきます。また、高校生になると「坐禅を組むと、気持ちがスッキリする」と言う声が多くなるとか。学年を追うにしがたって、「姿勢を整え、呼吸を整え、ひたすら坐っていると、心も整ってくる」ことを、身を以て知っていくのでしょう。

 

世田谷学園_「臘八摂心」の様子。500〜600名が坐禅を組む様は壮観だ
「臘八摂心」の様子。
500〜600名が坐禅を組む様は壮観だ

そして、同校の伝統行事の一つである「臘八摂心」は、仏教の開祖、お釈迦様が悟りを開いた12月8日を記念して、禅宗のお寺で行われているものです。「臘」とは「臘月」、つまり12月のこと、「摂心」とは心を修めることを意味し、禅寺では12月1日から8日まで1日中坐禅を組むのです。同校でも、12月1日〜8日は日曜日を除く毎朝7時から約40分間、修道館アリーナで坐禅を組みます。自由参加ながら500〜600名もの参加者があるそうです。

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