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学校特集

成蹊中学・高等学校

生徒の主体的な学びや活動を後押しする環境に注目。
成蹊の「人創り」が見えてくる。

掲載日:2020年3月10日(火)

成蹊_校長 跡部清先生
校長 跡部清先生

成蹊ではここ数年、国公立大学に一般入試だけでなく推薦入試でチャレンジし、合格する生徒が増えています。2017年度からは2年連続推薦入試で東大に合格。2019年度は筑波大学、東京外国語大学、東京農工大学、国際教養大学などにも合格者を輩出しています。「推薦入試を突破するには日々の積み重ねが重要です。コツコツと学ぶことはもちろん、一生懸命になれる何かと出会い、人とかかわり合いながら成長してきた生徒が道を拓いています」と語るのは校長の跡部清(あとべさやか)先生。
「個性の尊重」「品性の陶冶」「勤労の実践」という建学の精神に紐づく教育は、創立から100年を超えた今でも変わることはありません。令和の時代を生きる在校生も、教科の学びにとどまらず、多くの仲間とかかわり合い、個性を認め合いながら、世のため、人のためになることを考えて行動しています。「近年は生徒の発案で始まる活動が増えて、ますます主体性が伸びている」と話す跡部先生に、同校の具体的な取り組みについて伺いました。

目指す人物像は「自ら課題を発見し解答を導き出せる人」

成蹊学園は創立100周年(2012年)を機に、次の100年に向けての一歩を踏み出しています。成蹊中高では「グローバルに認知される教養と個性」「協調性のある自立精神と自律的行動」「知的好奇心と科学的探究心」を教育ビジョンとして掲げています。また、未来を創る人物像としてコツコツと努力しながら深い教養を身につけるとともに、仲間たちと協働して1つのものを創り上げる体験を積み重ねることにより、自ら課題を発見し、解答を導き出せる人物の育成を目指しています。

2019年4月からの「道徳」の教科化に伴い、同校では「桃李(とうり)」(中学3年間/週1日)という名の道徳の授業が始まりましたが、そこでも先述のビジョンや目指す人物像に紐づく授業が行われています。

成蹊_中3の「桃李」では感染症疫学研究者の卒業生から生き方を学んだ。
中3の「桃李」では感染症疫学研究者の卒業生から生き方を学んだ。

「道徳は扱う内容の幅が広く、様々なことができるので、正しい生き方を問うことに終始せず、社会での自分の立ち位置や、社会で自分のできることなどを考える場になればと思っています。中1を担当する教員は、授業にSDGs(世界の未来を変えるための17の目標)の活用を考え、17のテーマから気になるテーマを選び、それを中心にいくつかの目標と関連させながら考えさせています。」(跡部先生)

中学校には「生徒に社会を見せたい」と考える先生が増えていて、社会人との交流の機会を設けています。先日は生徒ホールに中3全員が集まり、卒業生で感染症疫学研究者のお話を聞きました。研究のことや自身が障害を負った話など、学校の先生からは聞けない話を社会人はしてくれます。また、中3の秋の遠足ではいくつかあるコースの1つは丸の内の都市開発をしている企業を訪問しました。

「遠足を企画する先生が成蹊会(卒業生団体)に声をかけると、OBが勤める企業が引き受けてくれました。東京駅に集合すると若い社員の方々が迎えに来てくださり、お話を聞きながら社内を見学。東京駅が正面に見える会議室でお弁当をいただいた後、東京駅周辺を散策しました。生徒たちは開発を自然を破壊することとのみ捉えがちです。建物を建てるということはその先の将来を考えるということや、1つ1つのビルで熱源を持つのではなく、複数のビルが共有して持つなど、自然への影響を最小限にするための工夫をしているという話には驚きがあったと思います」(跡部先生)

生徒の主体性を引き出す取り組み①
■遠足や学習旅行の企画
成蹊_中3秋の遠足は4つのコース
中3秋の遠足は4つのコースがある。その1コースは外務省を訪問。各省庁の役割を知る貴重な1日となりました。

中学校の遠足(春・秋に実施)は学年単位ですが、高校ではクラス単位で実施し、行き先や行程は毎回生徒たちの話し合いにより決定しています。集大成は高2の学習旅行(修学旅行)です。中には旅行会社のツアープランナーのように、興味のある生徒がツアーを企画することもあります。「毎年7、8くらいのツアー(国内・海外)ができます。教員が企画するものもあれば、生徒が企画するものもあり、屋久島や上高地キャンプ、北海道アイヌ、シンガポール、今回は中止になりましたが香港・マカオなども生徒の発案で始まりました。旅行プランが出揃ったら、生徒は行きたいコースを選びます。最少催行人数を上回ると、企画が成立するという仕組みです」(跡部先生)

このようなことができるのも、中学生のうちから継続的にグループで行程を考える経験をさせているからです。「成蹊には高校から入学する生徒もいますが、こうした企画や新しいものづくりは中学から進学した生徒が流れを作って一緒に企画することが多くなっています。日頃から周囲の意見を聞いて取りまとめる習慣が身に付いているからではないでしょうか」(跡部先生)

生徒の主体性を育む取り組み②
■高校生徒会
成蹊_中3秋の遠足は4つのコース
高校生徒会震災復興パートのポスター発表での様子

「以前は全員対象に何かをする、あるいは学校側が用意したものから生徒が選択することが多かった」という跡部先生。しかし今は「自分たちで創った活動に取り組んだり、学内外に発信したりする機会が増えている」と言います。「先日も、生徒会の震災復興パートが日本ESD学会で発表しました。高校生徒会は、文化祭でも外部の方を招いて講演会をしたり、トークショーを行ったりしています」(跡部先生)

高校生徒会には「震災復興」「ダイバーシティ」「チャリティー」「成蹊スポーツ(新聞)」「校内環境」「食堂」「会計」「校歌斉唱」など、生徒の発案で立ち上がり、継続的に活動しているさまざまなパートがあります。パートリーダーたちが全校生徒に声をかけ、それに反応した生徒を巻き込んで活動しています。「震災復興パートは毎年、東北の被災地に伺い、夏祭りのお手伝いをしています。ダイバーシティパートは、LGBTやオタク、偏見など身近な問題をとりあげて勉強会をしたり、大学のゼミに行き活動報告をしたりしています。"多様性"のよさを享受するには"寛容な心"が欠かせません。「個性の尊重」を建学の精神にもつ本校ではいまや『多様性に寛容な心を持とう』が学校全体の合言葉になっているほど、非常に有意義な活動となっています」(跡部先生)

生徒の主体性を育む取り組み③
■国際交流

セントポールズ校(アメリカ)との交流は2019年で70年、カウラ高校(オーストラリア)とは2020年で50年を迎えます。「新しいプログラムもこういった伝統や、学校対学校の信頼関係がもとになって広がりをみせています。例えば『セントポールズ校と交流があるのなら』と、同じボーディングスクールのチョート・ローズマリー・ホール校やフィリップス・エクセター・アカデミー校と交流が始まり、今ではこれらの学校に多くの進学者を輩出しているイーグルブルック校という中学のボーディングスクールともつながっています」(跡部先生)

国際交流の支援や推進のために、アカデミックアドバイザーとしてネイティブ教員も配置していますが、生徒から「自分たちも留学生を手伝いたい」と声があがり留学生と在校生のかけ橋となる団体「成蹊インターナショナル・アライアンス(留学経験者中心とした有志生徒による成蹊高校生の国際交流グループ)」が発足しました。
「その生徒たちが留学報告会(6月と2月に実施)で活躍してくれています。海外から本校に来ている人たちとの交流会なども企画、運営しています。留学に興味はあるけど迷っている生徒に対しても報告会のレセプションで『そういう思いがあるなら行けばいいよ』とポンと背中を押してくれます。私たち教員が主導しなくても、心が通う報告会が成り立っているのはすごいなと思います」と跡部先生。最初は1人の生徒の発案で始まったこの活動が、ずっと継承されており、この積極的な行動力と空気感も同校の生徒たちの特徴であり、校風と言えるでしょう。

セント=ポールズ校との交流
70年の歴史に重み 多様性と寛容な心は共に目指すところ
成蹊_

2019年は成蹊とアメリカのセントポールズ校 (St. Paul's School, 以下SPS) との交流70周年。先日跡部校長が参加した式典では、SPSのGiles校長から成蹊とSPSとの交流の歴史が語られ、成蹊の校歌とSPSの校歌をモチーフにした曲が演奏され聖歌隊が歌うなど、大いに盛り上がりました。
交流のきっかけは、戦争で父親を失った日本の少年が「アメリカで学びたい」という希望をもち、母親がそのひとり息子の意思を尊重し背中を押したことに始まります。「多様性を育みたい」と考えていたSPSもそれを快く受諾してくれました。とはいえ、SPSにも当時は戦争で親を亡くした生徒がクラスに何人もいる状態。担任の先生は心配したそうですが、留学したその日本人の少年は最後まで立派に留学をやり遂げました。最後の弁論大会では「人は平等だけど、一人ひとりみんな違う」という趣旨のスピーチが評価され、今でも伝説になっているそうです。「SPSのGiles校長は、『多様な生徒が入ることにより、自校の生徒が輝く』と話され、『寛容な心の必要性』にも触れるなど、目指しているものの共通性を実感することができました」(跡部先生)

生徒の主体性を育む取り組み④
■中3×大学ゼミ
成蹊_「中3×大学ゼミ」
知的好奇心をくすぐる「中3×大学ゼミ」は大学とワンキャンパスならではのプログラム。

「何事も継続することが大事」と日頃から語る跡部先生。同校では大学とワンキャンパスという立地を生かし、成蹊大学の先生による知的好奇心を刺激する授業「中3×大学ゼミ」(2学期の放課後に実施)を4年前から始めました。
「昨年はクローニング(1つの細胞から同じ遺伝子を持つクローンを作成すること)や村上春樹がテーマのゼミなどがありましたが、今年は"ピーチくん"という学園のキャラクターを使った商品開発に取り組む講座などがありました。どんな商品案が出てくるのか今から楽しみです(笑)。中3×大学ゼミも最初は44人から始まりましたが、毎年いろいろな先生が関わることで、新しい企画が増え、今回は100人以上の希望者が手をあげました。1学年は260人ほどですから4割近い人数です」と跡部先生。2019年度は中3×大学ゼミとは別に、文学部が開講した独自のワークショップ(テーマは外国人に日本語をどう教えるか)を開講していますが、こちらにも中1を含む20人弱が参加しているそうです。

生徒の主体性を育む取り組み⑤
■学校説明会
成蹊_学校説明会では在校生自ら校内ガイド
学校説明会では在校生自ら校内ガイドを務めて受験生親子を案内。

自分ができることを考えて行動を起こす生徒は、積極性のある生徒ばかりではありません。学校説明会に校内ガイドとして参加している生徒の中には「人前で話すことが苦手なので参加した」という者もいるそうです。「学校説明会で生徒に協力を呼びかけるようになったのも、中学生からの声がきっかけでした。『自分が受験をする時には在校生からの情報が少なかったので、今、自分たちにできることがあると思う。だから話をさせてほしい』と言って来たのです。それからというもの、学校説明会を行う際に、中高生に呼びかけると毎回30~40人が集まります」(跡部先生)

サポーターの役割はそのつど異なります。学校の様子を話すこともあれば、説明会の後に行うキャンパスツアーで、参加者の皆さんを案内することもあります。「先述の生徒は中1から参加し、5年目になりますが、最初は書いてある文章を読むだけでしたが、回を重ねるうちに自分の経験を交えながらスムーズに話せるようになりました。『学校のことがよくわかった』『今日は来てよかった』などと褒めてもらうと自信がつき、今では後輩の指導も積極的に行ってくれています」(跡部先生)

学びは机の上だけでは終わらない

成蹊_生徒の発案から立ち上がった震災復興パートによる東北ボランティア。
生徒の発案から立ち上がった震災復興パートによる東北ボランティア。

「中高の6年間はいろいろなことを体験したり経験したりしながら価値観を作るとき。その価値観をもとに自分の生き方を考え、世の中のため、人のために何ができるのかを考えます。だからこの時期には、より多くの体験や経験を積むことが大切です。個性を活かし、自分の得意とするものにかかわって力を活かせるといいですよね。そうするためには、思考力、判断力、表現力等に加え、発見力や行動力を身につけることが大切です。行動力とは、問題を解決するための計画や仲間を巻き込む力です。そこまで備って初めて、社会に出た時に人の役に立つ人間になれるのだと思います」(跡部先生)

成蹊では「人を創る」を教育の柱とし、教科の学びにとどまらず、多くの仲間とかかわり合い、個性を認め合いながら、世の中のため、人のためになることを考えて行動できる力を育むことに力を入れています。大学や、さまざまな分野で活躍する卒業生の協力もあり、すでに多くの生徒が活発に自分の思いを原動力に活動しています。「人を創る」成蹊の教育に興味をもたれた方は、ぜひ学校へ足を運んで緑豊かな教育環境と、活気に満ちた雰囲気を肌で感じてください。

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