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学校特集

三田国際学園中学校・高等学校2020

ICTをパートナーに、社会で活躍する自律した学習者を育む。

掲載日:2020年7月1日(水)

未知なる脅威が世界を襲った2020年春。あらゆる行動が制限される最中、この苦境をも「前進する力」に変えている学校があります。それが今回ご紹介する三田国際学園です。
教職員が一丸となって、新学期からオンライン授業を軸とした学びの体制づくりに取り組み、1日6時限(オンライン授業は3時限)で時間割を組んで4月13日から開始しました。学びの環境が変わっても同校が掲げるビジョン「発想の自由人」を実現するため、新しい体制では学び続ける姿勢・力を備えた「自律した学習者」の育成をこれまで以上に大切にしています。設立当初からICTを軸に『世界標準』を意識してきた同校の教育が、さらに進化を見せています。その取り組みでリーダーシップをとった学習進路指導部の大野智久先生(学習進路指導部部長/生物)、城野大輔先生(学習進路指導部副部長・高3学年部長/国語)と、教頭・広報部長の今井誠先生に、ICTから観た三田国際学園の教育についてお話を伺いました。

三田国際学園を紐解くキーワード

【教育理念】
5つの力を育む「世界標準」の教育の実践
●5つの力/考える力・英語・サイエンスリテラシー・コミュニケーション・ICTリテラシー

【教育方針】
育てたい生徒像
発想の自由人
教育目標
相互通行型授業をはじめとする「世界標準」の教育を実現。
有機的につながり合う5つの力を伸ばし、12のコンピテンシーを高めて、学び続ける姿勢・力を備えた「自律した学習者」を育成する。

●12のコンピテンシー/共創・探究心・創造性・責任感・異文化理解・リーダーシップ・率先・問題解決能力・革新性・社会参画・生産性・コミュニケーション
求められる姿勢
Contribution(貢献)
授業の特色
生徒自身で考える授業を展開(教員はファシリテーターという位置づけ)

オンライン授業と授業時間外の活動の組み合わせで、
生徒の自律的な学習を促す!

3月末、三田国際学園では各家庭の通信環境を確認し、Zoomによる授業を行うことを決定しました。 4月初旬の教員研修でその方針や進め方を共有し、日常的にICTを活用している強みを生かして全教員がオンライン授業に特化したシラバスを制作。創意工夫しながら、生徒の知的好奇心を掻き立てる授業を展開しています。

三田国際_大野智久先生
大野智久先生

大野先生:オンライン授業を行うにあたり大切にしたことは、これまでの本校の教育の本質を変えずに行うということです。事前の教員研修でも、「育てたい生徒像」から逆算して授業を組み立てることや、相互通行型授業・探究的な学習も取り入れること、そして生徒自身が考える機会を作ることなどを共有しました。
授業の基本方針は対面授業と同じですが、時間割を設計する段階で直面したのが「オンライン授業では生徒の集中力が続かない」という課題でした。すべての授業(1日45分×7時間)をオンラインで行うことは難しかったため、授業時間数は通常の半分以下にし、授業時間も40分に短縮しました。少ない授業で学びを最大化させる新たな発想が必要だった時に立ち返ったのが、本校が大切にしている「自律した学習者」という考え方でした。
生徒自身で考えることは、授業中でなくてもできます。本来、授業の価値は、多様な生徒と教員が一堂に会して、同じ時間と空間を共有することだと考えています。オンライン授業も、その考え方に則って組み立てました。そして、「考える」「調べる」「書く」「読む」など、生徒が一人でもできることは授業時間外に行う。両者を棲み分けることで、授業の見通しを立てることができました。

オンライン授業と授業時間外の活動を交互に設定し、1日6時限というフレームで時間割を作り、全教員がシラバスを作って、4月の第2週から2週間(第1ターム)実施しました。

三田国際_新型コロナ禍においても同じ時間と空間を共有できるオンライン授業
新型コロナ禍においても同じ時間と空間を共有できるオンライン授業

大野先生:「誰もが未経験なので、まずは失敗を恐れずにやってみよう。」それが最初の思いでした。大学受験を見据えた高2の授業は、通常教科書に沿って進めていましたが、今回は教科書が生徒の手元に届いていなかったため、過去に対面授業で使っていたプリントを配布して授業を行いました。通常45分×8時間かけて行う内容を40分×3時間で行うため、授業で理解できない部分は生徒が自学で補うことになります。そこで、理解に役立つ参考動画のリンク先を伝えることにしました。授業の前に見るのか、後で見るのか。見ないという選択肢ももちろんあります。自分なりの学び方を確立してほしいと思い、そのような仕掛けをしたところ、授業後に行っているアンケートにそのような気づきを書いてくれた生徒もいました。

本科・インターナショナル・メディカルサイエンステクノロジー、3つのコースの高校1年の生徒全員で行った探究型の授業では、科学技術をテーマに40分×2時間の授業を行いました。

大野先生:大人数でしかも初めて受け持つ学年だったため、2時間でどこまでできるのか予測のつかない授業でした。しかし、「オンライン授業と授業時間外の活動をうまく活用すればここまでできるのか」という発見もあった授業でした。あらかじめ「科学技術のどんなことを探究してみたいか」という"問い"を考える課題を与えていたので、1回目の授業は全員の問いを共有することから始めました。問いの作り方を簡単にレクチャーした後、Zoomのブレイクアウトセッションを使ってグループディスカッションを行い、各自の問いを深めたところで、1回目の授業は終了しました。
自分の問いを掘り下げて考えを深めながらまとめる作業は、授業時間外で行う課題としました。課題はschoolTakt(スクールタクト/学習支援システム)を使って提出してもらい、優秀作品をピックアップ。2回目の授業は、それらのプレゼンテーションを行いました。その後、全員の成果物を見られる状態にして、生徒たちが自由にコメントをつけ合いました。通常の対面授業では異なるコースが交わる授業があまりなかったため、生徒は大きな刺激を受けたようです。

国語の他、基礎ゼミや、その流れを汲むリベラルアーツを担当している城野先生は、コミュニケーションを促すことに重きを置いています。

三田国際_城野大輔先生
城野大輔先生

城野先生:その1つとして、生徒に質問投稿をしてもらっています。ラジオにたとえると、僕がパーソナリティで生徒がリスナーです。私が投げかけたテーマに対し、生徒たちが考えたことや気になったこと、気づいたことなどをどんどん投稿してもらい、私が選りすぐって「こんなおハガキが来ています」というような感じで紹介しています(笑)。また、オンラインのホワイトボードを生徒も教員も自由に書き込める形で活用することで、デジタルな空間とリアルな空間を繋ぐ活発な議論が展開されることも見えてきました。毎回の振り返りコメントを見ていると、通常の授業とは異なる大人数授業での"パーソナリティ"と"リスナー"のやり取りからも、生徒ひとりひとりの気づきや学びが深まり、物事をメタ的に見ることに繋がっていると分かります。

第1タームが終了後、全教員で振り返りを行い、研修を実施しました。そして、各教員がうまくいったことや今後に向けた改善点、使用しているツール、生徒の声などを共有して、5月の第2週から第2タームに入りました。

大野先生:普段から生徒に毎回アンケートを取り、授業改善に活かしている先生がたくさんいましたが、対面授業からオンライン授業になって、この動きがさらに加速しているように感じます。教員同士から学び、生徒の声からも学べる。そこが本校の良いところだと思います。

城野先生:世の中では「この機会に学校という場を再定義・再構築する必要があるのではないか」という声があがっています。我々も"コロナ禍をしのぐためのオンライン授業"に留めてしまうのではなく、三田国際学園が掲げるビジョンに向かって、ブレイクスルーできるような取り組みにしたいと考えています。

ICTを軸に自ら問いを立てて探究する力を培う6年間。
社会に還元するための学びがここにある。

設立当初よりICTを教育の軸に据えている三田国際学園。自分専用のiPadを、学びを広げる「パートナー」と位置付けて、中1から6年間にわたり日常的に活用していますが、どのような効果をもたらしているのでしょうか?

三田国際_自発的な学習を促すiPad
自発的な学習を促すiPad

城野先生:私は中高一貫の1期生が入学してからこれまで、中学時代は担任として、高校時代は学年主任として関わってきました。iPadの活用と生徒の成長には密接な関係があります。
最初(第1ステップ)はインターネットで調べたり、自分の考えを入力したりと、いわば何かの代替で使用するものです。しかし各教科や教科横断の授業が進むにつれて、iPadは生徒たちにとっての"思考のエンジン"へと変わります。そして、ICTと相互通行型授業が噛み合うことにより、生徒は自ら問いを見つけてそれを探究していくようになります(第2ステップ)。
それが常態化するとクリエイティビティを発揮し、新しいものを生み出すようになっていきます。そこでのアウトプットが、学内外の発表へとつながることもあります(第3ステップ)。ICTは、本校が目指す自律的な学習を促す上で非常に重要な役割を担っています。今回のオンライン授業でも、さらにチャレンジングなことができるのではないかと期待しています。

城野先生は昨年、「それぞれのコースでそれぞれのアウトプットにチャレンジする」をスローガンに、1期生の背中を押しました。三田国際学園を創るため、共に走り続けて来た生徒たちに、頭で考えるだけでなくアクションを起こしてほしかったからです。

城野先生:2期生・3期生には、1期生が背負ってきたものを受け継いで欲しいという思いもありました。1期生の自分の考えを発信する姿からは「社会に参画する一人として自律する」「世の中に貢献する」といったマインドを持っていることが感じられました。本校のICT 教育の考え方に基づき、きちんとステップを踏みながら自由に挑戦させていこうという我々の意識と紐づいたことで、うまく回っていったのかなと思います。

高3になった今も、他者を巻き込み、共感を得ながら社会を良くしていきたいという思いを力に、受験勉強も頑張りながら活動を継続している生徒がいます。

大野先生:高3を中心とした複数の生徒と教育系のプロジェクトを立ち上げ、日々の学びや気づきを記録して共有する「ポートフォリオ」に関する活動を行っています。実際にやってみるといろいろな学びや気づきがあるものの、立ち上げ当初、規模は大きいものではありませんでした。しかし、生徒の中から「社会課題につなげることで、自分たちにできることはないか」という声が上がり、その後も「私たちが事例をためて全国に発信していこう」「高校生同士がポートフォリオを話題に交流し合えるといいね」などのアイデアが次々と出てきました。今記録しているものをポータルサイトで発信したり、イベントを行ったりといった形で発信していくようです。実際に、外部の団体に招かれてイベントに登壇するなど、活動は広がりを見せています。
大学の推薦入試やAO入試では、今自分ができることや能力を客観的に示すことが大切です。その材料として効果的なのは、受賞歴よりもポートフォリオではないかと考えています。もちろん、活動の目的は推薦入試やAO入試ではありませんが、活動自体が自分の能力を客観的に示すことにつながるので、結果的にそのような入試にも活きてくるのではないかと思います。

同校では放課後になると、研究者としての素養を養うメディカルサイエンステクノロジークラス(以下MST)やメディカルサイエンステクノロジーコース(以下MSTC)の生徒が自然とラボに集まり、探究活動に夢中になっています。本科やインターナショナルの生徒はその姿に影響を受けているのでしょうか?

三田国際_一般社団法人Glocal Academy主催が主催する国際シンポジウムにも参加
一般社団法人Glocal Academy主催が主催する国際シンポジウムにも参加

城野先生:たしかにMSTCに刺激を受けている面もあるかと思いますが、私は1期生の学年主任になった時に、「MSTCは研究をしているからすごい」とか「インターナショナルコース・スタンダード(以下ICS)は留学があるからすごい」といった先入観を持たせないようにしたいと考えました。本科にはリベラルアーツ、ICSにはグローバルエデュケーションなど、それぞれのコースに特色ある授業があります。それらをただの"点"で終わらせず、点から線へ、線から面へと変化させるには、先に話したようなマインドが大切になります。どのコースの生徒も三田国際生としてのマインドを持ち、誰にでもチャンスがある環境を作るよう、これまで教育活動に取り組んできました。
昨年、これまでMSTCの生徒しか出ていなかった高校生の国際シンポジウム (一般社団法人Glocal Academy主催)に、本科やICS生徒が査読を通過して出場しました。それは1つの成果と言えると思います。彼らは大学受験という短期目標だけでなく、「一人の人間としてその先の人生をどう生きていくか」という長期的なキャリアパスもしっかり描けているのではないかと思っています。

設立6年目にしてベースができた三田国際教育。
さらなる進化にご期待ください。

三田国際_今井誠先生
今井誠先生

今井先生:オンライン授業実施を決めてから、教員の生徒たちへの情熱がさらに加速していると感じています。2月末頃から登校できない状況になってしまいましたが、教員はあわてることなく、朝・夕に生徒の健康チェックを実施したり、迅速にオンライン授業に移行したりするなどして、生徒が今まで通り学べる環境を作り上げました。その際、大野先生、城野先生を中心に、対面で行っている授業をそのままオンラインで再現するのではなく、生徒たちに自律的な学習習慣が身につくよう、「オンラインではできないこと」「オンラインだからこそできること」をきちんと整理したうえでスタートを切ることができました。授業時間数は少ないものの、進度が大幅に遅れるということもなく進めることができています。
本校の教員のチャレンジ精神や創造性が、三田国際学園が推進している教育の軸にピタリと合って、今があるのではと思います。教員だけではなく、生徒たちもいきいきと授業に取り組んでいます。これも、初年度から作り上げてきた貢献の姿勢が、学園全体に浸透しているからだと思います。

同校の部活動は週3日しか活動できませんが、1期生が指揮を執った昨年度は、複数のクラブが素晴らしい成果を発揮しました。

今井先生:1つはポップダンス部です。貢献の姿勢で活動に臨み、それぞれが自主トレを積み重ねた結果、日本中学校ダンス部選手権全国大会で優勝し、日本一になりました。吹奏楽部も、第59回東京都高等学校吹奏楽コンクールで栄えある金賞を受賞しました。このほかにも、様々なフィールドにおいて、生徒たちが活躍の場を広げています。
「コンピテンシーを身につけて実践していこう」と学校をあげて取り組み、積み重ねてきた力が花開いてきているという実感があります。ベースができた三田国際教育は、これからさらに進化して参ります。是非、ご期待ください。

今井教頭が振り返る2020年入試

三田国際_入試前の説明を受ける受験生たち
入試前の説明を受ける受験生たち

今年も3109名と多くの小学生に出願していただき、受験者も昨年より増加し、238名の新入生を迎えることができました。トップクラスの学校を目指している小学生が目立ちましたが、嬉しいことに本校が第一志望という受験生も数多くおり、本校の教育が期待されていることを実感できる入試となりました。
三田国際学園となって6年目。1期生を迎えた時から世の中はさらに変動し、これからも変わり続けていくことと思います。生徒たちが社会で活躍することができるよう、様々な工夫を凝らしながら教育実践を続けています。在校生や保護者の方の安心感・満足感が、学習塾をはじめ受験生保護者の方の間にも広がり、説明会に来てくださった受験生や保護者の方も、期待以上だと感じてくださっているようです。その結果が、今春の受験者増につながったのではないでしょうか。

■三田国際学園の学校紹介動画
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