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学校特集

品川女子学院中等部・高等部2021

協働しながら常にチャレンジするマインドを育む、品女の寛容性

掲載日:2021年9月1日(水)

1925年、まだ女性に参政権がなかった時代に「社会で活躍する女性を育てる」ことを目指し創立された品川女子学院。この理念を受け継ぎ、先進性をもった教育を展開している人気校です。その同校がこれまでの教育のブラッシュアップをはかりつつ、新たなステージに上りました。
今春から校長に就任した、中等部の神谷 岳先生と高等部の権藤英信先生にお話を伺いました。

新体制がスタート!
期待がますます高まる

品川女子_中等部校長の神谷 岳先生
中等部校長の神谷 岳先生

 2021年4月より、これまで副教頭と学年主任などを務めてきた神谷 岳先生と権藤英信先生が中等部と高等部それぞれの校長と副校長を兼務し、新たな教育体制となった品川女子学院。次なる局面へ進んだ同校ですが、いままでと同様に生徒の主体性を育みながら、時代の要請に応える教育を実践していきます。

 中等部新校長の神谷 岳先生は、同校に新しい教育を取り入れ続けてきた立役者です。例えば2006年から他校に先駆け導入した、中3の3月に実施する海外修学旅行。ロングステイコースを選択した生徒はホームステイしながら現地校に通い、世界を生徒自身の身体と感性で体験し、たっぷりと吸収しています。

品川女子_SDGsも
SDGsも"自分ごと"と捉えて学んでいます

 同校のキャリア教育「28Project」は、卒業後10年の節目にあたる28歳になった時、自分の足で立ち、能動的に人生を創る人になっていることを目指しています。
 2012年度からその一環として、起業家の考え方である「デザイン思考」に取り組み、生徒たちの学びの次元を飛躍的に向上させてきました。
「デザイン思考」は中1の総合学習の時間に実施しています。生徒それぞれが身近な課題を見つけ仮説を立て、検証し、解決策を探っていきます。このサイクルは、同校での活動のすべての基盤となるものです。
「本校の学びのベースにあるのは"社会"です。集団で何かに取り組むことは、今の社会で求められる重要な力。そのため様々な手法を取り入れながら、チームやグループでの学びを重視しています。生徒たちが社会に出た時に『学校で学んでいたのはこれだった』という気付きをもたせてあげたいのです」と神谷先生が教えてくれました。

他者を知ることで
自分を豊かにするキャリア教育

品川女子_質問しやすい環境も自慢です
質問しやすい環境も自慢です

「デザイン思考」を学ぶ際に最も大切にしているのが「共感」です。
 神谷先生はこれまで、学年主任として道徳や総合学習の授業を担当していました。このたび中等部の校長に就任し、中2の生徒たちと行った授業では、今後より一層力を入れるディベートに取り組みました。

「ディベートは肯定と否定で戦う、言ってみれば勝ちを取りにいく議論です。しかし、勝ち負けだけではなく、共感する意識を磨くことで、自分とは異なる意見もしっかり認め合い、考え、自分に取り入れられるようにしています」(神谷先生)

 同校では社会人との協働授業も積極的に行っています。
「外部からの目があることで、勉強以外にも光の当たる部分がたくさん出てきます。ですから自分が得意な部分に気づける機会が豊富にあるのです。
 本校ではよく『健全な競争』と言っていますが、中1の頃から様々なことで競い合わせています。頻繁に行うプレゼンテーションでも順位をつけますが、できる人をきちんとリスペクトしつつ、プレゼンが苦手だったとしても他の得意な部分を認め合える関係性を一番大切にしています」(神谷先生)

 協働でものごとを行うなかで、他者性を認めることにより人間関係を構築しています。自分と他者がいて、相手の他者性をきちんと認識するということは、相手の気持ちを慮ったり、その立場になって考えられること。それにより、自分にはなかった考え方に触れることもでき、人間としての幅が広がります。

品川女子_学んだあとはまとめとプレゼンをしっかり実施
学んだあとはまとめとプレゼンをしっかり実施

 神谷先生は「これらの活動により、結局は生徒自身が得手不得手なども理解できます。実はキャリア教育ともつながっていて、将来を見渡して考えられるのです」と話します。

 なお、大学入学後も学生団体のリーダーをやる卒業生も多いのだそう。
「誰かが尻込みしていたら『じゃあ私がやります』と前に出られるタイプの生徒が本校には多々いますね。こうした行動が取れるため、"卒業後も品女生は品女生がよくわかる"と言われます」と、神谷先生が笑顔で教えてくれました。
 自分が活躍できる場所でしっかりと輝ける。やり遂げた達成感も知っているため、どんどん挑戦したいというモチベーションが養われているのです。

実社会を体験してみる
「起業体験プラグラム」

品川女子_高等部校長の権藤英信先生
高等部校長の権藤英信先生

 この「社会」というキーワードは、高校でももちろん大切にされています。中3と高1では「起業体験プラグラム」を実施。

 高等部の新校長である権藤先生は「社会とのつながりとよく言っていますが、高等学校の位置づけは社会に出る前の準備ではありません。高校生は知識量や経験からも、もうすでに"社会の一部"という考え方をしてほしいと伝えています」と話します。

 例えば15年ほど前から取り組んでいる「起業体験プログラム」では、企業とコラボレーションをして商品開発などを行います。これらの成果は9月に行われる「白ばら祭」(文化祭)の模擬店で販売し、毎年大きな話題となっています。
 ただしその相手となる企業を学校は用意しません。ファーストコンタクトであるアポ入れから生徒自身が行います。
「断られたり、お叱りを受けたりすることもあります。例えば自分から電話をかけたにも関わらず、担当の方が外されている時、折り返しのご連絡をお願いしてしまうなど、生徒たちはまだ社会人としてのマナーは身についていません。大小様々な失敗はありますが、高校生だったら学びになるということもあります。実際に参加してみるというところが高等部の位置づけとしては大きいのです」と権藤先生は笑います。

品川女子_CEFRを目標に、「生きた英語」を学びます
CEFRを目標に、「生きた英語」を学びます

「自分でやってみて断られるとか、友達を巻き込んでみるとか、とにかくやってみること。例えば大学生や社会人になって会社を作ろうとなった場合、見たことも体験したこともなければ、何から取りかかればいいかわからないでしょう。しかし、本校の生徒は全員が『会社を作るなら、まずは事業計画の作成が必要』と知っています」(権藤先生)

 このプログラムに取り組む期間、クラスは「株式会社」として機能し、生徒たちはそれぞれ社員として様々な役職で奮闘し、文化祭当日を経て、最後は株主総会を行い会社を解散します。

「リーダーでなかったとしても、そこに参加してみたり、横目で見ているということがとても重要です。なお、文化祭終了後もその子たちは社長やマネージャーなどとずっと呼ばれています。本校ならではのユニークなところなのではないでしょうか」と権藤先生は教えてくれました。

 机上で考えるのではなく、まずは社会に出て挑戦してみる。協働して試行錯誤しながら、自分自身で学んでいくことを最重要視しています。

二兎以上を追うような
欲張る学校生活を満喫

 活発な印象のある品川女子学院の生徒たち。彼女たちの知的好奇心はとどまるところをしりませんが、それは先生方も同様です。それがよくわかる取り組みに、年間30〜40が実施される「特別講座」があります。これは外部の社会人などに協力を仰ぐほか、同校の先生方が自分自身の好きな分野で開講し、生徒たちが選択しています。さらに最近は少しずつ生徒発案の講座も出てきています。
 権藤先生は、映画好きで日本大学芸術学部に進学し、現在は映像関連の会社に就職したあるOGのエピソードを教えてくれました。
「非常におとなしい生徒でした。でも『それほど売れていないが、大好きな映画監督の作品があり、みんなにどうしても観てもらいたい』という強い思いがありました。特に規制はないので、反対する理由もありません。早速その子は監督に連絡をし、映画の試写会を行うことになりました。四国にお住まいでしたがおいでいただき、作品についてお話しくださいました」

 彼女の熱意は実行することへとつながり、その結果、みんなの心を動かしました。

 なお、今春卒業した中に、ほとんどの「特別講座」に出席し、自分なりの経験や視点を生かしてAO入試に臨んだOGがいます。自己アピールに長けていたこの生徒は、なんと受験校のすべてに合格し、現在は中央大学法学部に進学し、法律学を学んでいます。

「講座の内容はその後の進路や学問に直接役に立たなくても、生徒たちにとっては大きな糧になっているのだろうと思います」(権藤先生)

 勉強だけでなく、自分の興味関心にも熱心に取り組み、「二兎追ってみよう」が合言葉になっている同校。主体性を持って自らが一歩を踏み出す勇気をあと押ししてくれる環境がここにはあるのです。

強固な絆で結ばれる
温かな校風

品川女子_学ぶこともクラブ活動も進学もがんばるのが品女生です
学ぶこともクラブ活動も進学もがんばるのが品女生です

「私、卒業生と喋るのが好きなんです。おそらく学校で一、ニを争うほど好きで、このために教員をやっていると言ってもいいくらい。学年の3分の1ほどの卒業生が就職すると学校へやってくるのですが、『報告にきてくれてありがとう』と言うと不思議そうな顔をします。来るのは当然と思っているんですね」と笑う権藤先生。

 権藤先生のもとには連日のように、卒業生たちから近況報告や相談が寄せられるそうです。卒業後も続く、生徒と先生方の絆の深さが改めて伺えます。
 例えばこの取材の前5日間だけでも国内有数のデパートでそれなりのポジションにいたというOGは退社して共同でベンチャーを立ち上げました。また、アメリカに本社を置くコンピュータ関連企業にいたOGもグループで別会社を立ち上げるために会社を出ました。

 実は上記の起業をするというOGたちの年齢を伺うと、今年28歳になる卒業生たちなのだそう。同校のキャリア教育「28Project」で蒔かれた種が着実に生徒たちの中に息づいていた証拠です。

「今朝はこの春に送り出した大学1年の子が『先生、悩みがあるので面談してください』と連絡してきました。『インターンで行きたい企業が多すぎてどうしよう』、『このご時世で留学に行くべきか』と本校の卒業生らしく、やりたいことが多すぎるといった相談でした。ちなみに留学へは行けるならぜひ行ったほうがいいと伝えました」(権藤先生)

品川女子_新校舎の屋上には、開放感のある運動場も
新校舎の屋上には、開放感のある運動場も

 なお、品川女子学院は現在新校舎を建替え中で、完成時は3つの校舎を地下や渡り廊下でつなぎ、一体化させて使用します。完成は2025年8月を予定していますが、段階的に実施しているので、生徒たちが仮校舎で過ごすことがないようにと配慮されています。

 あわせて、新校長のお二方が取り組んでいるのが、生徒たちと直接触れ合う先生方の労働環境の向上です。
「先生たちは生徒のために、ということはもう本当によくやっています。先生方がしっかりと授業に生きるような勉強ができて、余裕があるという環境整備をすることが僕の役割なのだと思っています。それが最終的に生徒たちに還元されていくのではないでしょうか。ポジションが変わり、今度は自分がなんでもやるわけにはいきませんが、新しい取り組みも積極的にバックアップして、新たしいことを常に取り入れていきたいですね」(神谷先生)

 新校長先生から、受験生へのメッセージをいただきました。

「受験勉強をがんばっていてやりたいことができないとか、いろいろなことをやりたい気持ちはあるけれど、なかなか一歩が踏み出せないという小学生が多いように感じています。本校には小さなことから大きなものまで、チャレンジする機会がたくさんあります。自ら一歩を踏み出して変われるきっかけを作ってあげることが、学校としては重要だと思っており、どんな子でも活躍する素地ができています」(権藤先生)

「私立学校は様々な校風があり、大事にしているものもそれぞれ微妙に違います。
本校はオープンな学校なので、ぜひ来て見ていただいて、自分の感覚でいいなと思ったら一緒に学びましょう」(神谷先生)

 中高が強力にタッグを組み、細やかに生徒たちの成長を育み見守る体制がさらに整った品川女子学院。生徒一人ひとりが自分自身の生き方をダイナミックに選択していく環境がここにはあるのです。

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