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学校特集

八王子学園八王子中学校・高等学校2022

実験や観察が多く
思考力も磨く理科教育
-中学理科部は学園祭の実験教室が人気-

掲載日:2022年6月11日(土)

八王子学園八王子中学校・高等学校は、JR西八王子駅から徒歩5分という便利な場所にあり、国際社会を生きるための21世紀型スキル育成をはかる「八王子中学校イノベーション」の推進でも注目を集めています。人生を前向きにとらえていける思考力や実行力を育て、英語教育やICT教育でも定評がある同校。今回は実験を多くとり入れ考察やレポートを通して思考力を伸ばしている理科教育について、中学理科実験担当の冨樫愛美先生にお話を聞きました。

中2の理科実験は年間24時間

八王子学園_実験助手歴9年の冨樫愛美先生
実験助手歴9年の冨樫愛美先生

 1928年に創設された八王子学園八王子は、「人格を尊重しよう、平和を心につちかおう」という学園モットーのもと、多様な生徒の個性を引き出す教育を行っています。2012年に中学校を新設して中高一貫校となり、最難関の国公立・私立大進学を目指す「東大・医進クラス」と難関大進学を目指す「一貫特進クラス」のコース制を導入。最難関大学現役合格プロジェクトを推進し、2021年3月には東京大学理科二類、2022年3月には東京大学文科一類と、2年連続で東大現役合格者を出しています。生徒の能力と個性を伸ばす多彩な教育を行っている中で、同校が力を入れている理科の授業と中学理科部の活動について、理科実験助手を担当する冨樫愛美先生に話を伺いました。

【1人1台ずつ双眼実体顕微鏡を装備】
八王子学園_使いやすく整頓されている実験機器
使いやすく整頓されている実験機器

「学習指導要領で決められている理科の授業は、公立校では週3時間の学年もありますが、わが校の理科は全学年週4時間。そのぶん、実験にも多くの時間を割くことができます。中1は年20時間、中2は年24時間、中3は年13時間ほどの実験を実施しています。教科書に載っている実験はすべて網羅し、発展的な内容や結果を考察させる時間も設けて理科の力を伸ばします。実験は1班4~5人に分かれて行い、理科教員のほかに実験助手も入るのが基本。見ているだけの生徒を作らないように、全員が手を動かすように目を配っています」と冨樫先生は話します。

八王子学園_双眼実体顕微鏡と実体顕微鏡は、1人1台ずつ使える
双眼実体顕微鏡と実体顕微鏡は、1人1台ずつ使える

 実験に使うのは、1階の中学実験室と9階の化学実験室、生物実験室。双眼実体顕微鏡や実体顕微鏡はそれぞれ1人1台ずつ使える台数を揃えてあり、その他の実験機器類も充実しています。

 同校では夏休み中に10日間の「夏期授業」があり、全員が参加します。学期中の通常授業内での実験は1時間で行うので、2時間以上かけて行う実験や観察は、この夏期授業の中で扱います。たとえば中1では「エタノールの分留」、中2では「金属の燃焼」といった実験を行うほか、中1はまる1日を使って多摩動物公園(日野市)で動物観察を実施しています。

【オリジナル実験ノートは毎年改訂】
八王子学園_
   
八王子学園_実験ノートは中学3年間で6冊
実験ノートは中学3年間で6冊

 実験で使用するテキストは、担当の先生が作っているオリジナルの「実験ノート」。年ごとに担当する先生が変わるし、カリキュラムの変更もあるので、毎年改訂しています。中学3学年でそれぞれ理科1、理科2の実験ノートを作るので、3年間でびっしり書き込みをした自分だけの実験ノートが6冊出来上がります。
「年度末に担当教諭が決まった時点で実験ノートを作り始め、4月の1回目の実験の授業に間に合うように作成しています。プリントだとバラバラになってしまったりなくしてしまったりするかもしれませんが、ノートにすれば前回の実験を振り返ったりテスト勉強するときも便利です」(冨樫先生)。

 実験のときは必ず「実験ノート」を持参し、やり方や観察内容、結果などを書き込んで提出します。このノートの特徴は、実験の内容や結果を書き込むだけでなく、自分なりの考察を記入する欄を多めにとっていること。「なぜそのように考えたか、理由を述べなさい」など、考えさせる設問を入れ込んでいます。実験を行ったグループ内で話し合うこともあれば、一人で考えて書くこともあり、びっしりと書きこみをして提出する生徒もいます。先生は提出されたノートの考察を読み、時には意見やアドバイスなどを書き添えて返却しています。

【中3は学期ごとにレポートを提出】
八王子学園_廊下に貼り出された優秀レポート
廊下に貼り出された優秀レポート

 高校生になると理科実験のたびにレポートを書くことになります。レポート執筆のための仮説や考察、結果の分析といった力は、大学生や社会人になっても必要とされます。そこで中3では学期ごとに1回、実験レポートを提出させています。レポートの書き方は「実験ノート」で紹介しており、優秀なレポートは理科室の外に掲示します。生徒たちは友達や先輩の優秀レポートを見ることで「こんなところまで観察するのか」「こんな風に仮説を立てて実験し、結果を検証すると考えが深まるんだ」と気づきを得ることができ、次回からの実験やレポートに活かすことができるのです。

 実験助手を9年務め、実験の内容や生徒の実状を熟知している冨樫先生は「年によってやり方が変わったり、実施しない実験が出ないように気を配っています」と話します。また、これまで蓄積した情報やノウハウをメモしておき、予備実験や実験本番では生徒がケガをしないことやクオリティを揃えることも意識しています。

「たとえばオール電化住宅などの普及で火を扱ったことのない生徒もいるため、ガスバーナーを使う時はマッチを擦る練習も必須です。中には火を怖がる生徒もいるので、寄り添って見守り、声をかけながら行います。カミソリの刃を扱ったことがなく、間違えて刃先を持ってしまう生徒も多いので、予備実験のときに担当の理科教員にはそのことを伝えておきます。そのほかにも、密度の実験でメスシリンダーに金属片を入れるときは、斜めに入れるとメスシリンダーが割れてしまうのでまっすぐ入れるように声をかけるなど、実験ごとに細かい配慮をしています」。

 先生の丁寧な指導と実験ノートなどのきめ細かいフォローで、生徒たちはのびのびと実験を行い、思考力や観察力を伸ばしています。考察力や論理的思考力を伸ばすことで、新しい大学入試にも対応する力を育むことができるのです。

中学理科部は学園祭での実験やコンテスト参加も

【4月に学園祭実験教室の準備を開始】
八王子学園_自分たちで提案して実験を行う中学理科部
自分たちで提案して実験を行う中学理科部

 5年前に創部した中学理科部も、ユニークな活動を行って注目を集めています。以前は理科部は中高合同のクラブ活動でしたが、中学生と高校生では下校時間が異なり中学生は最後まで実験ができないこともあったので、5年前に中学理科部が分離したのです。現在は中1の6人を含む13人で活動を行い、9月の学園祭に向けた準備をスタートさせています。

八王子学園_学園祭では実験教室を実施
学園祭では実験教室を実施

「学園祭ではスライム作りなどの実験教室を開催し、受験生だけでなく地元の小学生なども参加してくれて毎年盛況です。2020年、2021年はコロナ禍で中止となりましたが、今年度は開催予定なので、4月から準備を始めました」(冨樫先生)。

中2と中3は「実験教室で、こんなことをやりたい」とアイデアを練り、スライドを作って5月に全部員の前でプレゼンします。その中から5つの実験を選び、縦割りの班を作って学園祭での発表に向けて準備を始めます。

これまで学園祭で実施して人気が高かったのは、スライムや人工イクラなど、作ったものを持ち帰れる実験です。そのほかにも、

 ・刑事ドラマなどで登場するルミノール反応体験(段ボールで暗室を作って、ルミノールと過酸化水素水が反応して紫青色に光る様子を観察する)
・自由自在に動くシャボン玉(ドライアイスの上でシャボン玉を作ると落ちないし割れにくい)
 ・アルミホイルと活性炭で作る電池

など、目で見て変化や動きが分かるものも、演示すると子どもたちから歓声が上がりました。今年の学園祭に向けたアイデア出しは始まったばかりですが、
 ・炭酸水を混ぜて作るしゅわしゅわスライム
 ・好きな色と香りの石鹸を作ろう
といった実験が候補にあがっています。

【実験教室では子ども向けの解説も】

 どんな実験を実施するか決まったら、班分けして練習を始めます。「大勢のお客さんが来てくれるし、子どもも参加するから、手早く飽きさせずにできるように1つの実験は5分が目安。効率よく実験を行うための手順を考え、準備を重ねます」(冨樫先生)。

 この準備や練習過程で、理科部では全員の参加意識を高める工夫を行っています。学園祭の実験準備に限りませんが、部活の最初に「今日はこの実験をやります」「今日の実験の見どころはこの部分です」と、その日の予定を発表するのです。班ごとに別々の活動をすると、他の班の活動には無関心になりがちですが、この事前発表のおかげで全部員がその日の実験の内容を把握できます。実験のメインの場面に「今からコーラを混ぜるよ」「これを入れると光るから、見に来て」と声をかけると、全員が集まって実験を見学。こうして部員はすべての実験に参加し、内容を把握することができます。

 実験教室では演示後に、実験の内容を解説します。学園祭が近くなると解説発表の練習も行いますが、自分の班以外の発表のときはお客さん役になって聞き、疑問点を質問します。発表者は想定される質問が分かるためスムーズな受け答えを練習でき、その他の部員も自分が手を動かしていない実験についても自分ごととして理解を深めることができます。

 半年がかりで準備した学園祭の実験教室は人気が高く、多くの人が訪れます。理科部のOB、OGや高校理科部の部員も実験教室を見学に来てくれることもあります。参加した子どもたちや受験生、在校生たちの「楽しい」「すごい」「理科って面白い」という言葉が、部員たちのモチベーションや原動力になっているのです。

【実験レポートはコンクールに出品】

 9月の学園祭が終わると、中2、中3は自分のやりたい実験を提案し、半年ほどかけて実験を実施します。学園祭の実験教室と同様に実験案をプレゼンし、先生の了承を得て縦割りで班を作って実験にとりかかります。昨年度は
 ・苔を採取していろいろな条件下で育てる
 ・さまざまな素材で船を作って密度や浮力について考える
といった実験を行いました。

 苔チームは学校周辺で採取した苔を、「水没させる」「土に埋める」「日を当てない」「水を与えない」「水の代わりに水酸化ナトリウムをやる」など、さまざまな条件で苔を育てました。クラブの活動日は週1回ですが、それ以外の日も水やりや観察、写真撮影などを行い、結果をレポートにまとめました。
 船チームはいくつかの消しゴムを使って船を作り、それと同じ大きさの船を発泡スチロールや牛乳パックで作成。船の上にビーカーを乗せて水を入れ、何グラムで沈むかを調べました。

「失敗したり最後まで終わらない実験もありますが、危険がないものなら許可して生徒たちの自主的な活動を見守っています。完成したレポートは全て科学系のコンクールに出品しています。まだ入賞したことはありませんが、いずれ入賞を目指して実験やレポートの腕をあげていきたいと思っています」と冨樫先生は話します。
 中学理科部の初代部長は理科に対する好奇心を深め、東京農工大学に進みました。高校では違う部活に入る生徒もいますが、理科が好きで高校でも理科部に入部したり、高校理科部で部長を務める生徒もいます。IT教育やプログラミング教育、AIなど理数系の知識はますます重視されており、文系学部に進学する生徒も論理的な思考力や数学力が必要とされています。同校の理科教育やクラブ活動の取り組みは、これからの時代を担っていく生徒たちの興味関心を育て、キャリアへとつながる道を示しています。

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