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学校特集

捜真女学校中学部・高等学部2023

信頼からつながる学び、広がる高大連携

掲載日:2023年9月1日(金)

 捜真女学校は中高一貫のミッションスクールです。生徒一人ひとりの存在を受け入れ、社会が望む「型」にはめない教育を実践し、それぞれの個性や能力をのびやかに開花させています。高大連携はもとより、柔軟に学外の専門家を講師として招聘する土壌があり、取材に訪れた日も、複数の学年で学外の方による授業が行われていました。
 その狙いは生徒の視野を広げることにあります。進路指導部をはじめ、学年、教科、部活など各所で奥深い学びができる機会を創出、学内の先生方が学ぶ姿勢を養い、基礎学力を積み上げ、学外のスペシャリストが学びへの興味関心や意欲を引き出します。
 その相互作用により、生徒たちは意思をもって進路を選択。特に「総合型入試」では、その強みを発揮し、自分らしい進路を実現しています。
 指定校推薦枠も約700と、県内でも有数を誇りますが、それは各大学に進学した卒業生の学習意欲が高く評価されている証。このような信頼は一朝一夕に築けるものではありません。
 今回は中島昭子先生(学院長)、稲川さつき先生(進路指導委員長)、新井昂太先生(広報委員長)にお時間をいただき、「高大連携」をキーワードに、多方面から信頼を寄せられる捜真女学校の教育についてお話を伺いました。

広い世界があることを知る。
それが捜真の進路指導

 東京藝術大学(音楽)、東京工業大学(工学)、慶應義塾大学(法学)、聖路加国際大学(看護)、北里大学(獣医)、上智大学(総合グローバル)...。「進路選択では合格実績よりも、本人の進路希望を大切にしています」と稲川先生が話すように、同校の卒業生の進路は多岐に渡ります。

捜真女学校_学院長 中島昭子先生
学院長 中島昭子先生

中島先生:文系(約6割)、理系(約3割)のほか、約1割の生徒が「美術」「音楽」「体育」などの専門的な分野の大学に進学しています。
 一般入試にチャレンジする生徒も多数いますが、指定校推薦で青山学院、慶應義塾、上智、聖路加国際など64件、総合型入試で麻布、慶應義塾、中央、東京薬科など67件(いずれも22年度実績)と、多くの合格者を出しているのが本校の大きな特色となっています。

※進学実績はこちら→http://soshin.ac.jp/jogakko/

 近年、このような特色が際立ってきた背景には、「広い世界があるということ。それを知って、自分の進むべき道筋を自ら立てることがキャリア教育である」という中島先生のポリシーがあります。

捜真女学校_進路指導委員長 稲川さつき先生
進路指導委員長 稲川さつき先生

稲川先生:「心理学に興味がある」と言っても、「カウンセラー」しか見えてこない生徒が少なくありません。そのような生徒たちには、例えば「心理学はもっと奥が深いよ」「こんな心理学もあるんだよ」と伝え、物事を違った角度から見ることを促しています。
 選択肢を増やし、世界を広げることによって、生徒は一歩踏み込んで考え、明確な理由をもって志望校を選ぶことができます。自分の考えをきちんと認識していれば、志望理由を自分の言葉でしっかりと説明できます。そうした力が、思考力・表現力が求められる「総合型入試」で強みとなり、希望の進路を実現する生徒が増えている要因だと分析しています。

 入試の多様化により、生徒が志望する大学や入試形態で準備が異なるため、1人の生徒を3名の先生が、各方向から支援する、ハイブリッドな入試サポート体制も功を奏しています。

捜真女学校_

新井先生:その生徒をよく知っている教員(1方向目)と、受験する大学の対策を知る教員(2方向目)、面接やプレゼンテーションなどの入試形態の対応に特化した教員(3方向目)が連携し、きめ細かく対応しています。生徒が安心して総合型入試に取り組める体制が整ったことにより、積極的にチャレンジする生徒が年々増えています。

教員の個人的なつながりを起点に
広がる多彩なネットワーク

 生徒に寄り添う風土は、今に始まったことではありません。捜真女学校の文化として根づいています。

中島先生:斜めの関係(生徒にとって縦の関係にあたる保護者や教員、横の関係にあたる友人たちではない方々との触れ合い)を築きにくくなっている今、私たち学校がその役割を果たさなければいけないと思っています。生徒が進路の件で訪ねて来たら、「どうしてそう思うの?」と聞いてみて、私にはわからないことであれば「どなたかとお話してみた?」「私の知り合いを紹介しましょうか」というように、生徒に寄り添い、要望があれば斜めの関係の橋渡しをします。生徒は「そんなこと、してもらえるのですか」と驚きますが、本校では私に限らず、どの先生も同じようなことをしています。
 ありがたいことに、学外の方や卒業生も、私どものお願いに耳を傾けてくださり、「捜真生だったら」と受け入れてくださるので、高大連携だけでなく、教員の個人的なつながりや、様々な出会いをきっかけに、本校の学びに関わってくださる方が増えています。

 2022年度の卒業生の中にも、先生に相談したことから道が開けて、進路につながった生徒がいます。

捜真女学校_NPO法人との繋がりがきっかけで実施された横浜市会での勉強会
NPO法人との繋がりがきっかけで実施された横浜市会での勉強会

新井先生:ある生徒が社会的問題に関心があり、知人の弁護士を紹介したことがありました。その弁護士が関わるNPO法人で活動させていただくと、法律の解釈に着目し、厚生労働省に問題提起する彼女の活動ぶりを高く評価してくださり、総合型入試で法学部を受験する際に、「(大学入試に)必要なら推薦書を書きますよ」と声をかけてくれました。実際にはお願いしていませんが、お忙しいなか、そこまで本校の生徒を気にかけてくださったことには感謝しかありません。


 その弁護士の方と同校とのつながりも、別の先生の紹介がきっかけです。

新井先生:本校では例年、文化祭の売上金をすべて寄付していますが、どこに寄付するかは生徒が決めています。5年ほど前に児童虐待防止に目を向けた生徒がいて、ある教員との繋がりで、その弁護士が関わるNPO法人が学びに関わってくださいました。
 それから2、3年後に、再び児童虐待防止に目を向けた生徒が、先述の卒業生です。歴代の捜真生が紡いできたご縁のおかげで、その生徒は活動場所を得て、自分の信念に従い活動した結果、総合型入試で第一志望の大学に合格しました。

中島先生:目標を持つと強いですよね。その強さの根源は、基礎学力であったり、友だちとの信頼関係であったりします。私も捜真の卒業生ですが、ここで出会い、ともに育った友だちは、姉妹のような、いとこのような...。何十年経っても、そんな信頼関係で結ばれています。それもこの学校のどこかアットホームというか、家族的な雰囲気があるからではないかと思います。

大学の先生や社会人を招いての
出張講義や授業が盛ん

 同校の強みは、そうしたネットワークに加え、教科や学年、校務分掌など、さまざまなところで先生同士が話し合い、必要性を感じるプログラムがあれば、いつでも柔軟に取り入れることができる風土です。取材に伺った日も、複数の学年で学外の先生による講座が行われていました。

捜真女学校_国立国語研究所の先生による辞書の引き方講座
国立国語研究所の先生による辞書の引き方講座

稲川先生:中1は国語の授業で、辞書の編纂に携わる国立国語研究所の方から辞書の引き方を学びました。この方は私の大学時代の先輩ですが、「小中学生向けのプログラムがある」と聞き、授業をお願いしました。
 中3は総合の授業でJTBの方から旅行業界や仕事のお話を伺いました。さらに、日本経済新聞の記者の方から日経電子版の利用の仕方を学ぶリモート授業にも参加しました。この企画は、新聞離れが進んでいると日頃から懸念していたこと、さらに総合の授業で「根拠」を得るには、手当たり次第ではなく、入門書や概要編、新聞記事などから「探す」という作業が必要であると感じたことがきっかけです。Vプロジェクトの一環として中3、高1、高3は新聞記者の仕事内容などもお聞きします。そうしたやりとりの中で、新聞の扱い方を深めていけるのではないかと期待しています。

 大学の先生方による出張講義も年2回、中3以上の生徒を対象に実施しています。

中島先生:中高一貫校では中3あたりから進路について考えるようになりますが、大学のオープンキャンパスは高校生を対象にしているのが一般的です。そこで本校の出張講義は中3以上を対象としていたのですが、最近では、中2の中にも参加希望者が現れて驚いています。質疑応答の場面でも、中学生が高校生に負けじと質問する姿が見られます。それはとても素晴らしいことだと思っています。

 昨年度は津田塾大学総合政策学部の小館亮之先生(副学長)と、慶應義塾大学法学部の薮本将典雅先生が登壇しました。

稲川先生:津田塾大学といえば創立者の津田梅子さんが2024年から新紙幣に採用されます。「今」起きていることにアンテナを張り、各方面の先生にご相談申し上げるのですが、根底にはやはり生徒に視野を広げてほしい、喚起の場になってほしいという思いがあります。
 例えば津田塾大学の場合、「キャンパスは小平か。横浜からでは通いづらいな」と感じてしまうと、それ以上のことを調べようとしません。千駄ヶ谷にもキャンパスがあるのですが気づかないのです。法学部は今でこそ人気を取り戻しつつありますが、まだまだ「難しそう」「弁護士になる人が学ぶ場所でしょ」と考える生徒もおり、選択肢になりにくい学部です。直接お話を伺う機会を設けることにより、身近に感じてくれればいいな、という思いで実施しています。

捜真女学校_東京理科大学の柿原先生による講義の様子
東京理科大学の柿原先生による講義の様子

 今年はeスポーツの第一人者である、東京理科大学の柿原正郎先生をお招きしました。

稲川先生:東京理科大学は校名に理科が入っているので、理科系の学部・学科しかないと思いがちですが、経済や経営も充実しています。「eスポーツ」に興味を惹かれて講義に参加した生徒が理科以外の分野もあることを知ってくれればと思い、お願いしました。



 学内でやっているから少しのぞいてみよう→のぞいてみたらおもしろかった→また参加しよう、というサイクルが生まれれば、自ずと興味関心も広がっていきます。

稲川先生:今となっては大学での必履修科目の一つとなった「データサイエンス」についても、高校生にいち早く触れてもらいたいと考え、先述の古舘先生に2022年夏に「データサイエンス概論」の講義をしていただきました。さらにそこで終わりにせず、全員に「データサイエンス」の運用面の実態についてもふれてもらいたいと考え、東洋英和女学院大学の長谷川かおり先生を冬にお招きし、コンビニの売り上げの実データをもとに、分析や解析の「データサイエンス」の講義をしていただきました。数学の授業で統計について学びを終えたタイミングでしたので前向きに取り組むことができました。抽象的な統計の学びが、具体的・実践的な学びへとつながっていってくれればいいなぁというのがこちら側の思いです。長谷川先生はゼミの学生さんも連れてきてくださり、各班のアドバイザーとして楽しくグループ学習を行うことができました。実際の大学生と触れ合う機会を得られたのも触れしい副産物でした。

中島先生:大学や企業が中高生の学びに積極的に関わってくださるので、とても感謝しています。出張講義等をきっかけに大学との関係性が広がり、大学や研究所が主催している研修会なども積極的に生徒たちに紹介しているのですが、そこにチャレンジする生徒たちが急速に増えています。時には私たちが知らないところで賞をいただいてくる時もあるので驚かされます。お招きする講師としては卒業生にもよく声をかけますが、昨年は高2の英語で、源氏物語を英語で朗読する講座を実施しました。

捜真女学校_角田光代さんと生徒の対談風景
角田光代さんと生徒の対談風景

稲川先生:講師は英語の朗読家で、源氏物語の翻訳本を英字で出版している青谷優子さん(元NHKアナウンサー/卒業生)です。角田光代さん(作家/卒業生)も源氏物語の現代語訳本を出版しています。生徒は教科書に掲載されている源氏物語【若紫】を読んでいます。教科書のオーソドックスな訳と作家の訳、さらに英訳を比較することによって、「1つの言語のとらえ方の違いが見えてきたらおもしろいよね」という発想から生まれた授業でしたが、たいへんな盛り上がりでした。

中島先生:角田さんにメールを書いた時に「学校にいらっしゃいませんか」というメッセージを添えたら、昨年いらしてくださいました。生徒との対談をチャペルで行うことになり、高2生が全校から募った質問を角田さんに投げかけるカタチでお話を伺いました。とても貴重な体験で、素晴らしい学びの場になったのではないかと思います。

捜真女学校_日当たりの良いテラスとカフェテリア
日当たりの良いテラスとカフェテリア

 このような様々な体験が、生徒の進路選択に何らかの影響を与えることは間違いありません。自分で選択した進路なので、大学に進学後も学習意欲をもって学び続ける学生が多く、その姿勢への評価が「指定校推薦枠」の拡大につながっています。文系だけでなく、北里大学、東京理科大学など理系の大学や、青山学院、ICU、聖路加国際などキリスト教系の大学、あるいは芸術、体育を専門とする学校など、幅広い学びが可能な指定校推薦枠を持っていることも、生徒が希望の進路を実現するための、大きな力になっています。
 捜真女学校は横浜駅からバスで10分ほどの、小高い丘の上にあります。聖書の翻訳、印刷を行う場所で始まった背景から、言葉を大切にする教育を推進しています。「日本の国語教育の神様」と言われる大村はまさんをはじめ、三雲孝江さん(アナウンサー)、阿木燿子さん(作詞家)、角田光代さん(直木賞作家)ら、言葉にかかわる職業で活躍する卒業生が多く、思考力・表現力が求められる総合型入試で多数の合格者を出しているのも、教育力の賜物と言えます。ぜひ一度、学校に足を運んで、同校のやさしさとたくましさに触れてみてください。

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