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学校特集

品川女子学院中等部・高等部2022

中等部の新校舎が完成。文化祭では2年ぶりに受験生の姿も

掲載日:2022年10月1日(土)

1925年に創立した品川女子学院。「社会で活躍する女性を育てたい」という創立者の思いを受け継ぎ、校是に「自ら考え、自らを表現し、自らを律する」を掲げます。在校生は、社会で活躍する女性となるべく、主体的にさまざまな活動へ参加しています。今回は、2022年7月に完成した新校舎と、文化祭「白ばら祭」の起業体験プログラムなどの展示発表の様子を紹介します。

3つの校舎を1つにつなぐ新校舎

品川女子_教頭の平川 悟先生
教頭の平川 悟先生

 2018年11月より着工した新校舎の建て替え工事。校舎の南側へ新たに校地が加わり、これまで西棟・東棟の2棟だった校舎を3棟に増やす計画です。2020年にはC棟が、2022年7月にはB棟が完成。これから工事が始まるA棟は、2025年9月に竣工予定です。

 新校舎の特徴は「3つの校舎を1つにつなぐ」。渡り廊下の「上空連絡通路」と「地下連絡通路」で校舎同士をつなげることで、道路を隔てた場所にある棟との行き来がスムーズになります。

 教頭で、広報部長を兼務する平川 悟先生は、新校舎について次のように語ります。
「生徒たちも、新校舎を楽しんでいる様子です。コロナ禍は依然として続きますが、新校舎には窓を開けなくても、エアコンと換気扇で24時間換気できる設備が整っています。全館冷暖房完備ですから、オープンスペースや体育館の居心地もよくなっています」(以下、平川先生)

 生徒のことを第一に考える同校では、新校舎建設期間は旧校舎と新校舎をうまく組み合わせて利用することで、生徒たちが仮設のプレハブ校舎を利用することがないよう、工夫しました。

「生徒たちにとって中高を過ごす6年間は、長いようで、あっという間に終わる青春時代。その思い出の中に、仮設のプレハブ校舎で過ごす時間を作ってほしくないなと思いました」

 プレハブ校舎は、壁が薄く音が伝わりやすいなどのデメリットがあります。その点、旧校舎と新校舎で過ごすことで、工事の騒音に煩わされることなく、生徒たちは学校生活を楽しめたといいます。

ゆとりある広い廊下で、生徒のコミュニケーションも活発化

品川女子_B棟の教室前の明るく広々とした廊下。換気もバッチリです
B棟の教室前の明るく広々とした廊下。換気もバッチリです

 今回完成したB棟は、地下2階、地上5階建てで、中等部の教室や職員室、美術室や被服室、調理室といった実技系教室、カウンセリングルーム、屋上には弓道場が設置されています。校舎のすぐ隣を新幹線が走っていますが、防音設備が整っているため、騒音が気になることはありません。

 職員室前には、ホワイトボードや机が並べられ、いつでも質問に来た生徒を教えられる環境が整っています。また、職員スペースには、教員同士がコミュニケーションを取りやすくなるよう、テーブルとイスを設置。生徒の些細な変化も、職員同士で情報共有できるようにしています。

 新しく設置されたのは弓道場です。弓道部はこれまで、別の弓道場を借りていましたが、新校舎に新設されたことで、校内で練習が行えるようになりました。

品川女子_C棟の屋上スペース。弓道部がのびのびと活動できるようになりました
C棟の屋上スペース。弓道部がのびのびと活動できるようになりました

 一方、すでに完成しているC棟は、地上5階建て。高等部の教室や理科室、屋上運動広場を設置しています。屋上は、見晴らしのいい北品川の景観を眺めながら、体育の授業やクラブ活動で活用されています。

 それぞれの校舎の特徴は、教室前のゆとりある広い廊下です。コロナ禍が落ち着けば、学年集会などでも利用できる予定で、生徒たちがクラスの垣根を越えて、交流できる場へと発展を遂げることでしょう。中高の教室内にはプロジェクターを完備し、Wi-Fiの環境も整っています。

「生徒会が主体となり、新校舎それぞれの棟のコンセプトカラーと、トイレなどのマークを考えました。トイレのマークは、本校の制服を模したアイコンで、来校者からは『かわいい』と評判。ぜひチェックしてみてください」

 生徒会が考え抜いた新校舎のコンセプトカラーやマークは、主体的に考える象徴として、後輩たちへ受け継がれていくことでしょう。

旧校舎との別れを惜しみ、卒業生約800人が来場

品川女子_完成予想図。手前右側がA棟です
完成予想図。手前右側がA棟です

 2025年に完成予定のA棟は、地上4階建て。合唱祭などで利用する約700席の講堂ホールや作法室、図書室、プレゼンテーションルーム(仮)、屋上テニスコートが設置される予定です。特に図書室は、図書館機能に加え、自習や発表など多様な用途で活用できる空間へと仕上げるそう。

「プレゼンテーションルームは、すり鉢状の階段教室で、1学年が入る広さ。生徒たちがより発表しやすくなる予定です」

 A棟が新設されるのは、旧校舎の東棟があった場所です。同棟の取り壊しが決まった時は、別れを惜しむ卒業生が集う「お別れOG訪問会」を開催。20代~30代を中心とした約800人の卒業生が訪れました。

「中には赤ちゃんを連れた卒業生の姿もあり、まるで同窓会のような雰囲気でした。私立中高は教員の異動がありませんから、元担任などの恩師といつでも再会できるのがいいですね。どの生徒も、思い出が詰まった旧校舎とのお別れと、懐かしい同級生や教員との再会を楽しんでくれていました」

 母校の風景を懐かしむ卒業生が、これだけ集まるという事実が、同校のこれまでの教育を物語っているといえるでしょう。

「本校は駅から近いのが利点。A棟は、2023年に入学する新中1が、中3の夏頃に完成する予定です。正門の雰囲気も変わりますから、受験生や卒業生には、ぜひ一度見に来てほしいですね」

探究文化発表会の側面を持つ文化祭「白ばら祭」

品川女子_「白ばら祭」でのチェンバーオーケストラ部の発表
「白ばら祭」はそれまでの学びの集大成。意欲に満ちた発表が並びます

 そんな新校舎を使って9月18日、19日に開催されたのが文化祭「白ばら祭」です。「白ばら祭」は、生徒たちが研究成果を発表する大切な場。今年のテーマは、素晴らしい才能があふれ出ることを意味する「才華爛発(さいからんぱつ)」でした。展示発表では、テーマにふさわしい、生徒たちの魅力あふれる研究成果が並んだ文化祭となりました。

「文化祭では、社会課題の解決に向けて探究を続ける文化発表会のような側面があります。各学年の展示のほかは、高校生が身近な課題を見つけ、その課題について調査・分析し、解決策を考え行動する『チャレンジベースドラーニング』の報告展示やクラブ発表も開催されました」

 コロナ禍前は約9,500人が来場した「白ばら祭」。コロナ禍では在校生とその保護者だけに入場を制限し、オンラインで中継したり、各クラスで特設ホームページを作成したり、研究発表を動画にまとめたりと、外部に向けて工夫して文化祭の様子を伝えていました。

 2022年は2年ぶりに受験生の来場が可能に。受験生は、在校生たちの研究成果を発表する姿に、目を輝かせていました。

「受験生にとっては、在校生のリアルな姿が見られる貴重な機会。未来の自分と重ね合わせ、憧れのまなざしで在校生を見る姿が印象的でした。在校生も、受験生の質問に、精いっぱい答えていましたね」

 同校では、実行委員に文化祭などの行事の準備や運営を一任しています。「白ばら祭」を運営するのは、文化祭実行委員のメンバー。今年は、約260人の実行委員が集まりました。

「本校では、文化祭だけでなく体育祭や合唱祭の実行委員は、『やりたい』と挙手した生徒全員が参加できる仕組みです。班によっては、約100人まで実行委員が膨らむことも。実行委員は中高一緒に活動し、高2の委員長をはじめとする各リーダーが大人数の実行委員をまとめあげていきます」

 教員はあくまでサポート役。文化祭実行委員は、実行委員長のほかに執行班や校内管理班、受付班、起業体験班、特別企画班などのグループに分かれて行動します。

 中には、先輩たちの働きぶりに憧れ、中1からずっと実行委員を続ける生徒もいます。

柔軟な発想力と課題解決思考を養うデザイン思考

品川女子_SDGsを学ぶ際は、自分の日常と結びつけて考えます
SDGsを学ぶ際は、自分の日常と結びつけて考えます

 文化祭では、中3で行う起業体験プログラムに向けて、デザイン思考で培った探究の成果を中1中2が教室展示で発表。

 デザイン思考とは、同校の「21世紀型教育」の基盤となる、「問題解決以前に問題発見を重視する」「チームで動く」「やってみて検証」という考え方を身につける場。「問題発見力」「共感力」「発信力」「内省力」などの力を育みます。

 中1では「SDGsを体感する」をテーマに、身近な関係性を再発見していきます。6月には、校外学習として千葉県木更津市にある農・食・アートが融合したサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」を訪れ、循環型の社会について学びます。文化祭では、この校外学習での学びをもとに生徒同士でプレゼンテーションを行い、ポスター展示を実施しました。中にはスライド動画を作成する生徒も。

 中2は「日本を知る」がテーマ。田植え体験や浴衣の着付け、遠州流の茶道、草月流の華道、そして宿泊行事で訪れる京都ならではのビジネスについて触れることで、企業と社会の関わり方や社会貢献について考えていきます。文化祭の展示では、各クラスで社会的な問題に目を向けた展示を行いました。

 中3になると、起業体験プログラムの成果を、出来上がった商品や販売、企画についてのポスター、スライド動画をもとに展示発表します。

 起業体験プログラムとは、各クラスが社会課題を解決するための株式会社を立ち上げ、起業を体験するもの。企業理念を掲げ、生徒たちは社長やマネージャー、広報、会計などの役割を担い、株式の発行や出資金を募るなど、実際の起業さながらの運営を行います。

「起業体験プログラムは、文化祭での発表が集大成。文化祭では中3・5クラスの会社ができました。中1、中2の頃から培ってきた柔軟な発想力と課題解決思考を発揮して、生徒たちは社会貢献度の高い企業を作り上げ、発表・販売していました」

 高1、高2の有志も、起業体験プログラムを行い、12チームが文化祭で展示発表や販売を行いました。

「本校では、実社会と関わる教育を重視しており、社会課題について学び、考える機会を設けています。卒業生の中には、社会課題について掘り下げて考え続け、NPO法人の立ち上げや実際に起業する生徒も出てきています」

 生徒たちが主体的に社会課題について考えることで、大人では発想できないような興味深い商品が出来上がっています。過去には保湿成分配合除菌アルコールなどの商品が販売され、人気を博していました。

大きく視野を広げて、自分の進路を選び取る

品川女子_知る喜びや考える楽しさを大切にしており、実験なども豊富に行われています
知る喜びや考える楽しさを大切にしており、実験なども豊富に行われています

「白ばら祭」で実力を発揮した生徒たち。その進路は多種多様です。

 2022年3月の卒業生の進路は、国公立大学に7名、早慶上理ICUに28名、GMARCHに46名が進学しました。

 毎年医学科へ入学する生徒も数名おり、今年は2名が現役で進学。デザイン思考や起業体験プログラムの影響もあり、様々な活動をテーマに多彩な進路を描きます。難関国公立大学へ推薦入試で進学する生徒もいます。

 生徒たちが自分の興味・関心や将来の夢を具体的に思い描ける理由は、同校のキャリア教育「28project」に起因しています。「28project」は、女性にとっての「28歳」という年齢を、仕事・結婚・出産などが起きる人生のターニングポイントと捉え、28歳になったときの自分を思い描き、実践するためにどう行動すべきか模索する取り組み。

 同プロジェクトの一環として、中1から希望制で参加できる「社会人による特別講座」では、旅行業界、メディア、農業など、さまざまな分野の外部講師を招いて、女性としての自分や未来像を見つめるための講座を開いています。これにより、生徒たちは自分の知らない業界や世界があることを知り、大きく視野を広げていくのです。

「教員として進路相談に乗ることもありますが、決めるのは生徒自身。私たちは、生徒たちの気が付かなかった選択肢を教えることくらいしかできません。『白ばら祭』などの行事で忙しく過ごす中でも、生徒たちが自分の夢に向かって一生懸命に取り組んでいる様子は心強く感じます」

品川女子_現在の東棟正門横に飾られている校歌
現在の東棟正門横に飾られている校歌

「白ばら祭」の由来ともなっている、同校のシンボル「白ばら」は、女性運動でも大きな業績を残した歌人・与謝野晶子が作詞した同校の校歌でも登場します。歌詞の中では、ばらの花に例えられる生徒たち。その歌詞の通り、社会の中で、才能の花を開花させていくのです。

 最後に、平川先生から受験生へ向けてメッセージをいただきました。

「受験生の皆さんには、世界中のニュースに目を向けながら、勉強ができることがいかに幸せなことかを感じ、成果を信じて努力を続けてほしいですね。コロナ禍ではニュージーランドの修学旅行を中止していましたが、今年から再開。より学校生活を楽しめる環境が整っています。11月26日にはオープンキャンパスも実施予定です」

 新校舎竣工により、新たな歴史を刻む品川女子学院。コミュニケーションが取りやすくなることで、生徒の主体的な活動がより花開いていきます。

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