学校特集
サレジアン国際学園世田谷中学高等学校2026
掲載日:2026年2月1日(日)
「21世紀に活躍する力『世界市民力』を育む」を教育目標とする、サレジアン国際学園世田谷中学高等学校。いままで経験したことのない問題に直面したときに、それらの解決法を主体的に見いだす「考え続ける力」、グローバル社会で他者と意志を通わせるための「言語活用力」、協働・共創をするための「コミュニケーション力」、常に科学的に思考し、判断できる「数学・科学リテラシー」、そしてカトリック・ミッションスクールとしての「心の教育」。これら5つの柱を据え、それぞれの力を伸ばしていく「世界市民力」育成のための教育プログラムを展開しています。
今回は、同校の中3生4名にインタビュー。ゼミでの探究に没頭する本科クラス2名と、海外研修やSAP(サレジアン・アカデミック・プログラム)を通して学びを広げてきたインターナショナルクラスの2名が、それぞれの言葉で「今の学び」を語ってくれました。
自身に合った2タイプのクラスで伸びやかに、
夢中で学べるサレジアンの日々
サレジアン国際学園世田谷中学高等学校では、本科クラスとインターナショナルクラスという2つの学びの軸を通して、生徒一人ひとりが自分の関心を起点に、探究を深めています。
本科クラスでは、ゼミ活動を中心に、「好き」や「疑問」を出発点として、自らのテーマをとことん掘り下げる学びを重視しています。その姿勢を象徴する言葉が、キャッチフレーズである「本科生よ、狂いたまえ」です。常識や正解にとらわれず、自分の問いに没頭し、突き抜けて考え抜いてほしい----そんなメッセージが込められています。
一方、インターナショナルクラスでは、英語で考え、社会課題と向き合いながら、世界へと視野を広げる実践的な学びを積み重ねています。帰国生、国内で英語力を伸ばしてきた生徒など、背景はさまざまですが、それぞれの「伸び方」を大切にしつつ、主体的に学ぶ姿勢を育んでいます。
【本科クラス】
ゼミで深める「自分ごと」の研究
本科クラスのA.Hさん(以下、Hさん)が所属するのは、「ビジョナリー・キャピタル」というゼミ。経済学や消費者行動心理学などを学ぶこのゼミで、Hさんは「鏡よ鏡―With Fantasy Mirror―」という独自のテーマに取り組んでいます。
「毎朝の忙しい時間をサポートしてくれる鏡の開発と、それをどう売っていくかというビジネスモデルを研究しています」
実は当初、Hさんは「アボカドの鮮度判定アプリ」の開発を構想していました。しかし、中1から高2まで同じテーマに向き合い続けるというゼミの特性を踏まえ、より自分自身の悩みに直結するテーマへと方向転換したといいます。
「毎朝準備に時間がかかってしまったり、忘れ物をしてしまったり。そうした自分の悩みを解決できる研究を続けたいと思いました。『鏡よ鏡』という名前にしたのは、ディズニーの『白雪姫』が好きで、響きの良い商品名にしたかったから。自分の悩みと、好きなことを掛け合わせています」
開発中の鏡には、忘れ物チェックやスケジュール確認、後ろ姿を映す機能に加え、パーソナルカラー診断をもとにしたメイク提案など、実生活を意識した機能が盛り込まれています。「自分ごと」のテーマだからこそ、探究はより深まっていくのでしょう。
一方、R.Sさん(以下、Sさん)は自然科学領域のひとつである「スケーリングラボ」に所属し、「筆圧の数値化」というテーマでシャープペンシルの研究に打ち込んでいます。筆箱は常に2つ、シャープペンシルのコレクションは50〜60本にも及ぶそうです。
「小5のとき、友達に誘われて文房具店に行き、あるシャープペンシルに出会いました。デザインも素材も機能もすべてが魅力的で、もっと知りたいと思ったのが研究のきっかけです」
実際に筆箱を開きながら説明するSさん。ドイツのステッドラー、フランスのロットリング、日本のぺんてると、メーカーごとの違いを話すうちに、真鍮製で滑りにくい軸や、芯が常に尖るクルトガ機構など、構造や機能の話題へと広がっていきました。シャープペンシル一本一本に向けられたまなざしから、探究への純粋な情熱が伝わってきます。
発表と対話が育てる、本科クラスの探究力
本科クラスでは、年間を通して研究成果を発表する機会が複数回設けられています。その代表的な場が、10月に行われる学園祭と、1月末に開催される全校ポスターセッション「Accademia Salesiana」です。
「全校生徒の前で発表できるのは、とても貴重な経験です。頭の中で研究が整理されますし、第三者の視点から意見をもらえるのがありがたいです」とHさん。
Hさんの父親もゼミ活動に強い関心を持ち、研究に対してさまざまな提案をしてくれるそうです。保護者も自然と研究に関われる環境が、同校の特徴のひとつといえるでしょう。
Sさんも大舞台での発表をこう振り返ります。
「他の学校では、なかなかここまでの発表機会はないと思います。本校の先生方は熱量が高く、面談を重ねる中で研究がどんどん深まっていきます」
実際に、Sさんは「Accademia Salesiana」で優秀賞を受賞しました。先生たちは決して手取り足取り教えるわけではありませんが、生徒の「やりたい」という思いに対しては、全力で伴走します。厳しさと温かさを併せ持つ指導が、挑戦する生徒たちを後押ししているのです。
Sさんは、「つくばScience Edge」(中高生のための科学のアイデアコンテスト)でも発表を経験。「外部の発想やアイデアに触れられて、とても刺激になった」と話します。
Hさんも、学びを学校の外へと広げることに積極的です。アボカドの研究の際は、自らアポイントを取り、秋田県立大学を訪問。教授との対話を通して研究理解を深めました。現在の鏡の研究ではAGC株式会社を訪れ、実際の開発現場の話を聞いたといいます。
繰り返し発表し、問い直し、外の世界と行き来する。そのプロセスそのものが、生徒たちの探究力を確かなものにしているのです。
学びを"自分の研究"につなげる
関西探究合宿の4日間
中3の11月に実施される「関西探究合宿」は、京都を拠点に「伝統と革新」をテーマとして行われる3泊4日のプログラムです。
訪問先の多くは研究施設や企業で、寺院の見学はごくわずか。Sさんは、清水焼団地、関西光量子科学研究所、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、京都産業大学などを訪問しました。
「最初は『観光がないのか』と思いました。でも、終わってみると本当にいい体験でした」
なかでも強く印象に残ったのは、研究の最前線に立つ人たちのマインドだったといいます。
京都産業大学では「人類の知識が増えることに貢献できるのが嬉しい」という教授の言葉に触れ、ATRでは、かつては映画の中の夢物語だった技術が、長い年月を経て現実となり、人々の生活を支えていく姿を目の当たりにしました。
「研究に向き合う姿勢そのものに、とても感動しました」(Sさん)
一方、Hさんは、京町家の保存活動を行う「らくたび」、大和ハウス工業、京セラ、和菓子の老舗・鶴屋吉信、国立国会図書館、京都大学などを訪問しました。
「どの企業も伝統がありながら、時代に合わせて革新を続けていました。顧客のニーズを理解し、最新技術で応えていくことが、便利な暮らしをつくる。その考え方が、私の研究テーマとも強く重なりました」
最終日のプレゼンテーションでは、3日間の学びを自分の研究にどう生かすかが問われました。体験をそのまま受け取るのではなく、学びを抽象化し、別の文脈へと転用する力が求められる、難しくも貴重な機会です。
Sさんは、シャープペンシルの研究と訪問先での学びを、「データ」という視点から捉え直しました。
「ATRのロボット『SHOSA』は、人の動きをデータとして学習します。そうした考え方は、筆記動作を数値化する自分の研究にも通じると感じました。また、龍安寺の枯山水からは、リラックスと集中の関係に着目し、その視点を筆箱の中の配置研究にも応用できると気づきました」
一見無関係に見える事柄のあいだに共通点を見いだし、自分の研究へとつなげていく力。関西探究合宿で培われたその姿勢は、今後さまざまな場面で生きていくはずです。
常識にとらわれず、突き抜ける
ゼミで磨かれた3年間
将来について、Hさんは「まだ決まっていない」と前置きしつつ、こう話します。
「でも、ゼミを通して自分の興味がはっきりしてきました。大学の学科選択にもつながると思います。以前は『好きなこと』で止まっていましたが、今はそれをさらに深められていると感じています」
Sさんも、この3年間での成長を実感しているといいます。
「学園祭に他校の友達を呼ぶと『すごいね』と言われることがあります。でも自分としては、興味と好奇心をつなげているだけ。小学生の頃は発表が苦手でしたが、今は自分の研究を自信を持って語れるようになりました。将来の自分が楽しみです」
常識にとらわれず、突き抜けた発想で挑戦する姿勢を後押しする、同校からのメッセージを体現するかのように、Sさんは言葉を結びました。
Hさんもまた、「情熱をもって学べる環境があり、自分から行動する力が身につく学校です」と、3年間の学びを振り返りました。
【インターナショナルクラス】
個々の「伸び方」を大切にするインターナショナルクラス
H.Uさん(以下、Uさん)は、中1の2学期からサレジアン国際学園世田谷中学校のインターナショナルクラス(アドバンストグループ)に編入した帰国生です。マレーシアで暮らし、小4までは日本人学校、その後はインターナショナルスクールに通っていました。
一方、E.Mさん(以下、Mさん)は入学当初スタンダードグループに在籍していましたが、英語力を磨き続け、中3の2学期にアドバンストへとステップアップしました。
「最初は、アドバンストの生徒が英語を流暢に話す姿を見て、『無理だ』と思いました。でも、行きたいという気持ちは変わらなかった。3年間努力し続けた結果、入学式で見た"あの人たち"と、今は同じクラスにいます」
Mさんは、英語を「英語のまま」理解できるようになった瞬間について、「気づいたら、そうなっていた」と振り返ります。最初は日本語に置き換えて考えていたものが、次第に英語がそのまま頭に入ってくるようになったそうです。
「ただ、スピーキングは中3になって、やっとできるようになりました。インターナショナルクラスの授業には『察する』文化がありません。自分から言わなければ伝わらないし、自分の意見を伝える責任がある。だからこそ、話せるようになったのだと思います」
英語で向き合う社会問題
SAPが広げる学びの視野
インターナショナルコースの柱となっているのが、SAP(サレジアン・アカデミック・プログラム)です。毎年テーマが設定され、本年度は社会問題を英語で探究しています。
扱うテーマは、SNSでの誹謗中傷、ジェンダー差別、ひきこもりなど多岐にわたります。
Mさんは、次のように話します。
「小学生の頃は、SDGsで取り上げられている課題しか知りませんでした。でもSAPでは、そこでは触れられていない問題にも目を向けます」
さらに、学びの変化についてこう続けます。
「例えば海洋生物を守る話も、以前は理由がよく分かっていませんでした。でも今は、海洋汚染という具体的な背景を説明できるようになりました。問題同士のつながりが見えるようになったと感じています」
Uさんも、「SAPを通して、身近な問題を『自分たちに何ができるか』という視点で考えられるようになった」と語ります。現在は社会学や心理学に関心を持ち、将来は起業したいと考えているそうです。
現在は社会学や心理学に関心を持ち、将来は起業したいと考えているそうです。またMさんは国際的な場で法律に関わる仕事を通じ、様々な人のサポートをしたいという目標も。SAPでの学びが、将来像と直結していることがわかります。
シドニー研修で体感する、リアルな大学体験
インターナショナルクラスでは、中3の11月から12月にかけて「シドニー研修」が実施されます。生徒たちは大学の学生寮に滞在し、現地の大学生と交流しながら学びを深めます。ホテルではなく学生寮で生活することで、よりリアルな海外での大学生活を体験できます。
Uさんは、毎日のイングリッシュレッスンで環境問題について学びながら、4つの大学を訪問しました。
「特に印象に残っているのは、ニューサウスウェールズ大学の自由な雰囲気です。図書館で一人で勉強している人もいれば、友達とカフェで話したり、スポーツをしたりする人もいる。それぞれが自分のスタイルで学んでいて、とても面白そうだと感じました」
研修中には、英語でのプレゼンテーションにも挑戦しました。
「『より良い社会をつくるために、自分たちの街をデザインする』というテーマで、私たちのグループは、貧困問題を抱える人たちのための街を考えました。赤ちゃんが常に食べ物や飲み物を得られる仕組みや、ソーラーパネルを活用した持続可能な街づくりを提案しました」(Uさん)
学生寮での生活も、強く印象に残ったといいます。
「部屋の半分くらいが大きな机で占められていて、勉強中心の環境だと感じました。でも卓球ができるスペースなどもあり、心理面のケアも大切にされている。日本の大学とは違う文化を感じました。ランチボックスにリンゴが丸ごと1個入っていたのも驚きでしたし、友達と雑談しながら食べる時間がとても楽しかったですね」(Mさん)
研修中には、観光客も訪れるビーチでの清掃ボランティアにも参加しました。環境保護を、知識だけでなく実体験を通して学ぶ機会となったのです。
挑戦と努力の先にある未来
Mさんは、中3の1月下旬から6週間のカナダターム留学に参加します。ホームステイをしながら現地校に通う予定です。
「初めて訪れる国なので不安もあります。でも、日本ではできない経験をしたい。多国籍な環境で、さまざまな価値観やライフスタイルに触れたいです。本当に自分が英語を好きなのか、確かめたいという思いもあります」
Uさんもまた、明確な進路像を描いています。
「高校では、日本の高校に在籍しながら海外の高校卒業資格も取得できる、デュアル・ディプロマ・プログラム(DDP)を選択する予定です。そして卒業後は、アメリカかカナダの大学に進学したいと考えています」
同校への入学を検討している受験生に向けて、Uさんは「挑戦することが好きな人に来てほしい」と話します。
「海外では、他人の目を気にせず挑戦する姿勢が大切にされています。サレジアンもまた、一つの視点にとらわれず、多様な考え方を尊重する環境です。その中で、自分の意見を持ち、挑戦する力が身につけられると思います」
一方、Mさんは「努力を惜しまない人が向いていると思う」と語ります。
「スタンダードからアドバンストに進めたのは、努力を続けてきたからです。語学はすぐに結果が出ないことも多いですが、この学校には、その過程をきちんと見てくれる先生や仲間がいます」
そして、次のように締めくくりました。
「自分が諦めそうになったときにも、背中を押してくれる人がいる。努力を重ねることで、出会える先生や挑戦の場が少しずつ広がっていきます。頑張り続けることに意味がある。そう実感できる環境が、ここにはあります」(Mさん)
問いから始まり、世界へ広がる学び
本科クラスとインターナショナルクラス、学びの形は異なっていても、生徒たちはそれぞれの関心を発端として、深く考え、世界とつながりながら成長しています。4名の中3生に共通していたのは、「自ら問いを立て、学び、挑戦し続ける姿勢」でした。
サレジアン国際学園世田谷中学高等学校は、生徒一人ひとりの可能性に本気で向き合う学校です。ゼミでの徹底した探究、海外での実践的な学び、そして何より、自分の「好き」や「問い」を原動力に、思考と行動を積み重ねていける環境があります。まさに、これからの時代を生き抜き、自ら未来を切り拓いていく力を育てる、確かな土壌があるといえるでしょう。
ぜひ一度、同校に足を運び、生徒たちが自分の言葉で学びを語る姿を見に来てください。
