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受験情報ブログ

2月2日午後、駒込中の自己表現入試の取材レポート

2019年2月2日の午後、駒込中学校では今年新設された自己表現入試が実施されました。

2019年2月2日の午後、駒込中学校では今年新設された自己表現入試が実施されました。自己表現入試とは、受験生の調査力・思考力・判断力・表現力を総合的に判断する新しいタイプの入学試験です。「情報を読み取り、それを自分の頭の中で整理し、自分なりの方法で表現していく力をみる」というコンセプトのもと、先駆けで導入された駒込中学校の自己表現入試を取材しました。

「社会科や調べ学習が大好き!」な受験生のための自己表現入試

皆さんは2022年度から高校社会科の授業が大きく変わることをご存じでしょうか。例えば歴史(世界史や日本史)の授業では、暗記重視の通史の授業から「歴史の研究の仕方」を学ぶ授業へとシフトすることになります。新しい授業で先生が行うのは、史料の提示と時代背景の説明だけ。あとは生徒たちが自らその史料の内容を読み取り、「なぜそんな史料が残されたのか」「その史料が今に伝えるものは何なのか」などを生徒同士のディスカッションを通して考える授業になります。いわゆるアクティブ・ラーニング型の授業です。


2020年度からセンター試験は「大学入学共通テスト」に変わり、大学入試全体が上に挙げたような授業コンセプトに沿った試験になると考えられています。この新テストに対応すべく、駒込中学校・高等学校(以下、駒込と略式)では、「駒込学園ミレニアム改革」と銘打って、いち早く教育改革を推進してきました。すでに現場の授業レベルでは、ディベートやテーマごとのグループワークなどを積極的に採用しているそうです。


この学校改革の一環として、今年、駒込は「新しい授業や大学入試に対応できる能力を持った(あるいは、その萌芽が見える)生徒」を集めるための自己表現入試を新設しました。この入試では、従来の入試では測りきれない受験生の力を問います。その力とは、調査力、思考力、表現力、そして判断力です。「社会科や調べ学習が大好き!」という受験生に、うってつけの新タイプ入試となっています。

受験生は試験問題をみてからコース(受験科目)を選択

駒込の自己表現入試は、与えられた資料をもとにしてアイディアを考える「クリエイティブコース」または、異なる意見を持つ相手に対し自分の考えをきちんと伝える「ディベートコース」のどちらか1つを選び、作文やグラフ、イラストなどを用いてプレゼンテーション資料を作成する「アクティブ・ラーニング型」の入試です。

自己表現入試の大きな特徴は、受験生は実際に試験問題をみてから、どちらのコースを受験するか選択することができることです。入試を選択制にした理由を駒込の先生に伺ったところ、二つの理由を教えていただきました。一つ目の理由は、受験生に「自分で選んだ」という意識を持たせることで、自分の表現に責任感を持ってもらうため。二つ目の理由は、ハードルが高い課題に対して受験生が前向きになれるための配慮でした。コースが2種類あれば、どちらかはできそうな気持ちになれるでしょうから、受験生にとっては嬉しいですね。

受験生はパソコン・タブレット・書籍を自由に使い課題に取り組む...

自己表現入試の集合時間は午後1時45分、試験会場は図書館となっています。試験は午後2時スタートで、終了時間は午後4時50分です(午後4時以降は自由退室できます)。


自己表現入試は2時間50分の長丁場ですが、長時間ずっと席に座って問題を解くタイプの入試とは違います。受験生がリラックスして問題に取り組めるように、しっかりと配慮されていました。例えば、調べ物をするのに図書館を歩き回るのはもちろん、考えをまとめるために瞑想しても良いですし、トイレにも自由に行くことができます。部屋にはお茶とお菓子も用意してあるので、クリエイティブな考え事をするにはもってこいの環境です。

試験が始まると、受験生たちは貸し出されたパソコンとタブレット、それに図書館の書籍などを使って各自課題に取り組み始めました。

新しい仕事を提案するクリエイティブコース試験

クリエイティブコースの試験内容について紹介しましょう。この試験では、受験生はある企業の新入社員となり、その企業に新しい仕事の提案をするというシチュエーションになります。


まず受験生は、インターネットに繋がったパソコンやタブレットを使って、企業のホームページを調べます。その会社がどのようなサービスや商品を出しているのかを調べたうえで、受験生は「これまでにないクリエイティブな提案」を行う、というのが試験の課題です。


提案する内容は、新規事業(新商品・新サービス)に限らず、その企業の中のシステム改善(新しい部署の創設や労働システム改革など)でも構いません。この試験で重要なのは、「提案内容が企業の方針・理念に合っているかどうか」だそうです。その企業がどのような方針に基づき、現在いかなる経営をし、どのような事業を行っているのかを、受験生たちは自分で調べて考える必要があるのです。

“異なる意見の人”へ“自分の意見”を表現するディベートコース...

一方、ディベートコースの試験では、世の中で話題となっているテーマについて扱っていきます。まず受験生は、テーマに関する賛成意見と反対意見の記事(新聞記事やネット上のコラムなど)を読みます。その後、どちらかの意見に同意し、その理由は何かを「自己表現」する、というのがディベートコースの課題です。


自分の意見を固めるために、クリエイティブコースと同様、本を読んだりインターネットで他の人達の意見を調べたりすることもできます。この試験で重要なのは、「自分がその意見の側に立った根拠を明確に示しているかどうか」だそうです。受験生たちは、自分と異なる意見の人に対して、自分の意見をしっかり主張できる答案を作っていく必要があるのです。


解答用紙は、クリエイティブコース・ディベートコースともに5mm幅の方眼用紙が使われていました。受験生たちは文章やグラフだけでなく、新商品のイラストやコンセプトアートなど、自由に自分の考えを表現することができるよう配慮されています。受験生たちはカラーペンや色鉛筆などを使いながら、工夫を凝らして自分達のアイディアを表現していました。

入試対策には学校説明会と入試体験会がお勧め

駒込の自己表現入試は、従来の入試では測りきれない様々な力が求められる試験となっています。このような新タイプ入試の対策は、ご家庭や既存の塾だけでは正直難しいでしょう。


そこでお勧めなのが、駒込が開催している学校説明会と入試体験会です。学校説明会では、自己表現入試の評価ポイントや採点基準などを、子供達にも分かるように丁寧に説明してくれます。そして入試体験会では、その場で模擬テストにチャレンジできるだけでなく、駒込の先生による答案の作り方の解説も行われます。


自己表現入試に興味を持たれましたら、この機会に学校説明会や入試体験会に参加されてみてはいかがでしょうか。(ご参加には同校Webサイトからの予約が必要です)