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受験情報ブログ

八王子実践中のプレゼンテーション入試(自己表現型・プログラミング型)

自分の打ち込んできたことを認めてもらえるから、高い自己肯定感をもって中学でもがんばれる!

すでに4科・2科の教科型の筆答試験を廃止し、「プレゼンテーション入試」と「適性検査型入試」だけで中学入試を実施している八王子実践中〈東京・八王子市。共学校〉の2023年「プレゼンテーション入試(自己表現型・プログラミング型)」の様子をご紹介します。取材・撮影・文/北一成〉〉

これからもがんばりたいことを伝える! プレゼンテーション入試

情報誌『my TYPE』が創刊から一貫してお伝えしてきた「中学入試の多様化」と、各私立中のユニークな「新タイプ入試」は、編集部と首都圏模試センターが、全国のすべての小学生と保護者の皆さんに今後も継続的にご紹介していきたいテーマです。
この「CASE STUDY 発見がある!出会いがある!新タイプ入試」コーナーの第7回では、すでに4科・2科の教科型の筆答試験を廃止し、「プレゼンテーション入試」と「適性検査型入試」だけで中学入試を実施している八王子実践中〈東京・八王子市。共学校〉の2023年「プレゼンテーション入試(自己表現型・プログラミング型)」の様子をご紹介します。

2019年入試から、あえて従来の教科型(4科・2科)の筆答試験を廃止し、いわゆる「新タイプ入試」だけで中学入試を実施してきた八王子実践中学校。とくに「プレゼンテーション入試」では、それまで受験生が打ち込んできたこと、これからもがんばりたいことをプレゼンし、合格者はそれを認めてもらえたことで、高い自己肯定感をもったまま入学してくれるようになったといいます。

それぞれに個性的なプレゼンテーションを披露!

第1回は2月2日午前、第2回は2月5日午後に実施される八王子実践中学校のプレゼンテーション入試では、「自己表現型」・「英語型」・「プログラミング型」のいずれか1つを選択して、個々のプレゼンテーションを披露します。

今回の取材に訪れた2/2(木)当日には、計19名の受験生が参集。この日は「英語型」の受験生はいませんでしたが、「プログラミング型」の2名と、そのほかの「自己表現型」の受験生が、それぞれに個性的なプレゼンテーションを見せてくれました。

外国語をがんばりたい!

この日のプレゼンテーション入試の試験会場となった教室の1巡目に元気良く登場したのは、外国語に興味を持ち、自ら色々な方法で学んできたという受験生。

自作のプレゼンボード(模造紙)に大きな字で単語を書き、それを読んで意味を説明してくれる姿には、取材している自分も圧倒されました。

アニメ制作をがんばりたい!

この日の受験生のなかには、3DSで制作されたアニメーションをインターネットで見たことがきっかけで、自分でもできるかもと考え、それから1人で2年間かけて作品を製作したという受験生も。

アニメーション作品の作り方や演出の工夫も、画用紙をめくりながら説明してくれていました。

プログラミングをがんばりたい!

このプレゼンテーション入試では、「自己表現型」の受験生は、事前に提出したエントリーシートの内容でプレゼンテーション(発表)を披露します。

この日の受験生にはいませんでしたが、「実用英語技能検定」3級以上の取得者を対象にした「英語型」の受験生は、出願の際に検定の合格証のコピーを提出します。

ジュニア・プログラミング検定Scratch部門、Bronze(3級)・Silver(2級)・Gold(1級)の取得者を対象にした「プログラミング型」の受験生は、この日は2人とも、自分でプログラミングしたゲームなどを披露してくれました!

スポーツ(バレーボール)をがんばりたい!

中高とも全国的な強豪校の女子バレーボール部への入部希望者もプレゼンテーションを披露します。これまでの活動や戦績、チームでの役割や心がけてきたことなどを、それぞれ自分の言葉や自作のプレゼンボード(模造紙)、数々の賞状なども使って面接担当の先生に伝えます。

なかには、先端がバレーボール型の自作の指し棒を使ってプレゼンする受験生も! 真剣なプレゼンテーションのなかにも、笑いがこぼれる様子が、見ている側も楽しませてくれます。

他のスポーツでもがんばりたい!

「自己表現型」を選ぶ受験生のなかには、バレーボール以外にも、自分ががんばってきたスポーツについてプレゼンテーションをしてくれる小学生も毎年います。

この日は、野球やソフトボールでがんばってきた男女の受験生がそれぞれいました。

これまで取材させていただいたプレゼンテーションでも、そのほかサッカーや剣道・柔道などの武道、ダンスやチアリーディングなどの実技を披露してくれた受験生がいました。

芸術(絵画・ピアノ・バレエなど)をがんばりたい!

これまで習い事でがんばってきた芸術・音楽(バレエ・ピアノ・絵画など)を披露してくれる受験生も毎年います。幼児期から小学生時代まで、受験生自身が好きで打ち込んできた様々な習い事やスポーツ・芸術・音楽などの活動をプレゼンテーションすることで、その継続力や集中力、潜在的な資質や将来への可能性などを見出して、評価してもらえます。

最近の子どもたちには、幼少時から各種の習い事やスポーツ、芸術、音楽などに親しんできた小学生が数多くいます。自分自身が好きで、これまで打ち込んできたこと、これからもがんばっていきたいことをプレゼンテーションして、その姿勢を評価してもらえれば、必ずしも八王子実践中学校・高等学校にはない部活や種目でも合格し、入学することができます。

だからこそ、多彩な資質や活動歴をもつ、多様な小学生と出会うことができる、ユニークな入試となっているのでしょう。なかには、八王子近隣エリアの民族芸能で、和太鼓やひょっとこの踊りを披露してくれた受験生もいたことが印象的です。

自分ががんばってきたことを認めてもらえる入試

その意味では、八王子実践中学校の「プレゼンテーション入試」は、言い換えると「習い事入試」や「オーディション入試」と考えてもいい。毎年ユニークなプレゼンを見せてくれる、とても“愉快な”入試風景です!

別室でピアノ演奏を披露していた受験生。撮影取材のために駆け付けたときにはプレゼン本番は終了していたのですが、頼んでみたら、もう一度演奏を聞かせてくれました!

こうして、自分の打ち込んできたこと、これからもがんばっていきたいこと、その姿勢を表現したことを認めてもらえた(=合格できた)受験生は、みな一様に自己肯定感が高いまま、八王子実践を好きになって入学してきてくれると言います。

そうして入学した中学生が、中学校はまだ各学年20数名の小規模な中高一貫体制とはいえ、高校は大規模の八王子実践中高全体を、大いに活気づけてくれているそうです。

子どもの特性や得意分野の力を知る「MI(=8つの知能)理論」

図は、1980年代半ばに米・ハーバード大学(当時)のハワード・ガードナー教授が提唱した「多重知能(Multiple Intelligences(マルチプルインテリジェンス)=MI)」理論をモデル化したもの。「8つの知能」と訳されることも。人間に備わる多重な知能の表現したもの。子どもの特性や得意分野の力を知る手がかりにもなります。

プレゼンテーション入試をはじめとした中学受験の「新タイプ入試」は、こうした小学生の持つ多様な力に光を当て、評価しようとしてくれる入試なのです!