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コラム

希望の私学【順天学園】(1/2)

究極のSGH(スーパーグローバルハイスクール)で
生徒の才能を拓く

2014年4月から、文部科学省は、スーパーグローバルハイスクール(SGH)構想を開始したのは、周知の事実です。2014年度はSGH指定校に認定された高校は、全国で56校。順天学園は、はやくもその1校に選れました。

はじめに

2015年度も新たに56校が選ばれ、SGH指定校は112校となったのですが、それでもそのシェアは全体の2.4%で、この数字は国が認めたグローバルエリート校であることを意味します。

もちろん、同時期に構想が立ち上がったスーパーグローバル大学(SGU)が、露骨に世界大学ランキング100位に入るために予算がでていることを鑑みれば、SGH指定校のミッションにも従来の国内大学受験勉強教育からSGUも含めたグローバル大学入学準備教育にシフトすることが盛り込まれています。

しかしながら、このグローバル大学入学準備教育は、従来の知識暗記偏重の受験勉強とは全く違い、学びの体験、思考力、判断力、表現力といった教育の総合力を重視しています。欧米の世界大学ランキング100位内の大学自身がそのような学力や資質を要求するようになっているからです。

しかしながら、このグローバル大学入学準備教育は、従来の知識暗記偏重の受験勉強とは全く違い、学びの体験、思考力、判断力、表現力といった教育の総合力を重視しています。欧米の世界大学ランキング100位内の大学自身がそのような学力や資質を要求するようになっているからです。

特に2020年の大学入試改革では、入試制度自体をグローバルコンピテンスの測定ができるように大学入試のパラダイムシフトというべき方向性が模索されています。

その一環としてSGH構想があることはもうおわかりのことと思います。そして順天学園はまさにそのグローバルコンピテンス育成の教育の最前線に位置していると言えましょう。その最前線でこそ、生徒1人ひとりがグローバルな場で活躍できる才能を開花するのです。

順天学園におけるSGHの意義

創立180周年を迎え3度目のパラダイムチェンジ

第1次SGH指定校に認定された順天学園は、ちょうど創立180周年を迎えました。おそらく日本の私立中高一貫校の中では、もっとも古い学校であり、最も新しい学校でもあります。校長・長塚篤夫先生は、「順天学園は、明治維新で近代世界に目を向け、日本の近代化に貢献する人材を輩出し、世界大戦後、国際的視野で民主主義を推進する人材育成に貢献してきました。そして今、グローバリゼーションの光と影の大きなぶつかり合い、その結果大きく変化する人類の未来を導く生徒1人ひとりの才能を育成するときがやってきました。この3度目の大きな転換の契機とSGH構想の取り組みの時期が、創立180年に重なったのです。」と順天学園の歴史的な使命を認識しています。



また、180年の間に、2度の東京オリンピック開催の歴史的転換期としての経験もします。1964年(昭和39年)、1つ目の東京オリンピック開催によって、戦後の日本人が自由に海外渡航できるようになりました。順天学園は、その機を見逃さず、その年から、生徒が世界的視野で学ぶ体験をすぐに構築しました。派遣費用を学園が負担して多くの生徒を海外に派遣するプログラムが作られたのです。

それ以降、順天学園の若い目が見た世界は、学園の教育自体にインパクトを与え、1991年からは英国のギャップイヤーによる学生ボランティアを受け入れたり、様々な国際教育活動が積み上げられることになります。それによって、この海外派遣制度は、2000年(平成12年)にバージョンアップし、ある一定水準の域にまで到達します。

その証拠に、その順天学園の先進的なグローバル教育は、2つ目の2020年東京オリンピック・パラリンピック開催と平行進化的に取り組まれている大学入試改革に影響を与えています。そもそも、この改革の取り組みは、にわかに始まったのではなく、その前哨戦が2013年あたりから始まっています。

東京大学の秋入学の提言が世を騒然とさせたのは記憶に新しいでしょう。結局見送られましたが、この提言のモデルであるイギリスのギャップイヤー制度は、2013年以降、対象者は若干名ではありますが、『初年次長期自主活動プログラム:FLY Program(Freshers' Leave Year Program)』として実施されるようになっているのです。

順天学園は、このギャップイヤーを活用して、ボランティアを行っているイギリス本国の学生を1991年から受け入れてきたというのですから、その先進性には驚くばかりです。時代の要請に耳を傾け、そのつど生徒が新しい時代と世界を見通せるような学びを構築してきた順天学園。2014年に創立180年を迎え、SGH指定校として、今また3度目の教育のパラダイムチェンジに挑戦しているのです。

順天学園のSGH構想は究極のモデル

今までも文部科学省は、英語教育や理科教育に力を入れるために、スーパーイングリッシュランゲージハイスクール、スーパーサイエンスハイスクールの指定校に予算をつけてきした。

しかし、今回のSGHは、特定の教科のプログラム開発ではなく、グローバルリーダー育成のための新しい科目を、プロジェクト型学習(PBL)というアクティブラーニングのスタイルで作成することを条件としています。

しかも、この新科目開発によって、生徒のみならず、教師や学校の何らかの変容まで求めています。SGH指定校は、私立学校のみならず、当然公立学校も含まれますから、グローバルリーダー育成という条件がつくと、国内向けの学びに目が向いていた公立学校は、根本から変化しなければ、実際にはSGHプログラムを創れないからです。

一方順天学園は私立学校ですから、建学の精神に基づいた教育目標があります。「英知をもって国際社会で活躍する人間を育成する」がそれですが、すでにSGHプログラムの構想が予言されていたかのようです。この教育目標を細分化した教育方針は、次の3つです。

1進学教育:個性を生かした類型制による多様で高度な進路
2国際教育:多様な国際交流や英語教育による実践的な活動
3福祉教育:多様なフィールドで自主的なボランティア活動

ますますSGH先取りの教育が行われてきたのはないかと思わざるを得ません。ところが、長塚校長は、このような目標は、あくまで建学の精神が順天学園の第2の教育のパラダイムの枠の中での話であり、創立180年を迎えた今日、不易流行としての建学の精神は、バージョンアップをしなければならないと考えていたのです。ちょうどそのタイミングで、文部科学省のSGH構想と建学の精神の不易流行としてのバージョンアップが重なったのです。

そして、それはSGH構想において、次のように表明されています。

1創造的学力
2国際対話力
3人間関係力

もともと順天学園の「進学教育」は、個性を重視していますから、グローバル大学入学準備教育にシフトするや「創造的学力」が前面にでてきます。「国際教育」も多様な国際交流を実施してきましたから、アクティブラーニングを介するとなると「国際対話力」が前面にでてきます。「福祉教育」も長年国際的なボランティア活動を行ってきましたから、結局そのコアコンピテンスは「人間関係力」にあったということなのでしょう。

今回順天学園は、SGH構想をデザインするに当たり、すでに優れた先行事例である国際バカロレア(IB)についても研究し、IB教育の10の学習者像(IB Learner Profile)も射程に入れました。

•探求する人
•知識のある人
•考える人
•コミュニケーションができる人
•信念をもつ人
•心を開く人
•思いやりのある人
•挑戦する人
•バランスのとれた人
•振り返りができる人

「1創造的学力」「2国際対話力」「3人間関係力」は、順天学園が考えるいわばグローバルコンピテンスです。この能力育成が、IB教育の10の学習者としての資質を生徒1人ひとりに育成していくのです。

このように、順天学園のSGH構想というのは、建学の精神のバージョンアップという根源的なところから変容させていく究極のモデルなのです。

順天学園のSGH構想を実現する『ネットワーク』

順天学園は、3つのグローバルコンピテンスを実現するために、3つのワークというプログラムに取り組んでいます。

1.海外の交流校と共同作業をする『ネットワーク(network)』
2.校内のワークショップによる『スクールワーク(schoolwork)』
3.海外の生徒たちと実施する『フィールドワーク(fieldwork)』

このSGHの3つのワークに取り組むグループは、GLAP(グローバルリーダーズ・アクションプロジェクト)と呼ばれています。このGLAPメンバーが土曜日等のワークショップで具体的な課題研究をしていき、グローバル社会で主体的に活躍する資質を高めていきます。

初年度2014年のGLAPは、1学年の英語選抜Eクラスと希望者による計40名で活動していきました。その1年間の活動について、今年2月27日に、学内外と共有するために、「2014年度SGH活動報告会」が行われました。

3つのワークのうち、『ネットワーク』に関しては、校長長塚先生は、今後は特に高大連携が鍵になってくるとし、スーパーグローバル大学(SGU)に認定されている明治大学の副学長勝悦子教授に「明治大学のSGUの取組みと高大連携」と題して基調講演を行ってもらいました。

2020年の大学入試改革は、欧米の大学入学準備教育のシステムにかなり近いものが想定されているということもあり、SGUのアドミッションポリシーのグローバル化とその変化とコラボレーションできる中高のカリキュラムイノベーションの絆がキーになってきます。

そのモデルが、SGUとSGHの連携という『ネットワーク』の構築にあることは間違いありません。2015年2月27日、2020年の大学入試改革の実現に向けて、文部科学省は「高大接続システム改革会議」を発足。その会議の委員の1人が長塚校長です。つまり、順天学園のSGHが、高大接続システムのモデルになることが期待されているのです。