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かえつ有明中の2/2実施「AL思考力特待入試」レポート

かえつ有明中が2月2日に実施したアクティブラーニング思考力特待入試のレポートです。

かえつ有明では昨年まで2月4日に実施していたアクティブラーニング思考力特待入試(以下AL入試)を今年は2月2日午前に前倒しにして実施。(取材・文・撮影/スタディエクステンション代表・鈴木裕之〉

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アクティブラーニング思考力特待入試を今年は2/2AMに実施

かえつ有明中学校〈東京・江東区。共学校〉では昨年まで2月4日に実施していたアクティブラーニング思考力特待入試(以下AL入試)を今年は2月2日午前に前倒しして実施しました。

これは、受験者数の確保を重視していた段階から、AL入試をあえて選択してでもかえつ有明を第一志望とする受験者にターゲットを絞り込もうという段階にアドミッションポリシーがシフトしたことを意味しています。

このシフトはかえつ有明の教育内容に対する自信の表れでもあります。大学進学実績という定量的な面だけではなく、生徒が主体的に社会に関わるその活動に対する手ごたえが先生方の中に確実に広がっているのです。

生徒の主体的な活動というのは、NHKニュースで取り上げられたり、学校ホームページでプロジェクト科の取り組みとして紹介されたりしているので、ご存知の方も多いかもしれません。正解のない実社会の問題に向き合い、協働的で主体的な学びを実践しているのが、かえつ有明のアクティブラーニングなのです。

試験当日の最終確認

このような学びのスタイルに共感し、いつかは自分もそのような学びに参加したいという気持ちを持つ受験生が集まってくるのがAL入試です。その入試を運営し、評価する先生方もそこに賭ける思いは並々ならぬものがあります。

この日も30名ほどの先生方がこの入試の準備・運営のために集まりました。

かえつの先生方がAL入試に並々ならぬ思いを持って取り組むのは、それがカリキュラムポリシーの根幹を表現しているからに他なりません。

知識や論理といった「学び方を学ぶ」次元(かえつではそれをA軸と呼びます)だけではなく、自分を確立し表現するB軸や、仲間や社会と共に生きるC軸に合致する入学試験を作り上げるためには、それなりの長い準備が必要です。

昨年10月頃から「知のコード」プロジェクトメンバーがコアとなって、AL入試の作成会議が開始されたそうですが、さらに遡れば、このプロジェクトは4年前から動いていてビジョンの共有はそこから形成されています。放課後などの時間で先生方が自主的に研修を行い、そこでの対話を通して連携できるチームの輪が年々広がってきたのです。

朝の打ち合わせで、ファシリテーターである佐藤先生と古賀先生が、準備をしてくれた先生や評価役の先生に挨拶しました。これまでの積み重ねが脳裡をよぎったのでしょうか、佐藤先生が思わず感極まるシーンもありました。

アイスブレイク。「グループ」から「チーム」へ

受験生が会場に案内され円形のテーブルに座ってしばらくすると、「アイスブレイクお姉さん」こと斉藤先生が登場。身体を使ったゲームを受験生とともに行います。

グループ内での自己紹介や、身体と気持ちをほぐすゲームが終わる頃には、初めて会った「見知らぬ受験生同士」から、安心安全の場を形成する「チームの仲間」へと意識が変化しているのです。

チームで思考する「相互探求」

―あなたが『うれしい』と感じるのはどんなとき?―

最初の問いがファシリテーターから発せられ、チーム内での対話とディスカッションが始まります。発言者の主張に耳を傾け、そこに自分の考えや疑問を付加していきます。

そもそもお互いの主張によって対立を作り出すような質問ではありませんから、相手への傾聴力が発揮され、問いと主張のバランスが取れた「相互探求」の状態が作られます。

この後、「幸せ」について考える問いがいくつか続き、受験生たちは自然発生的に付箋やホワイトボードを使い始めます。

チームごとにアプローチは様々で、ホワイトボードをあまり使わずに議論に打ち込むところもあれば、マインドマップを作って、入念に意見を記録していくところもあります。

この段階で、チームによっては「うれしい気持ち」をグルーピングしていたことも注目に値します。ファシリテーターなしで、自分達で問いを発展させるプロセスこそ主体的な学びのエンジンです。

グループワークがしばらく続いた後、ファシリテーターから『幸福な王子』のストーリーが口頭で語られました。

この寓話から再度幸せについて考えるように発せられたことからも、結果ではなく成長に目を向ける存在のあり方、物質的に満たされることよりも精神的な満足を重視する社会を追求したいというかえつ有明の先生方の思いが伺えます。

AL入試の評価はどのように行われるのか

対話とディスカッションが進んでいくにつれ、思考が開かれた状態になり、受験生の表情も柔らかくなっているのに気づきます。同じ対話型の入学試験でも「チュートリアル方式」と呼ばれるオックスフォードやケンブリッジの最終面接では、面接官との対話を通して思考が導かれていくものです。

また、中学入試でも麻布中学などの問題では「問いの流れ」という呼び方で対話的思考の要素が埋め込まれていることが知られていますが、こちらも言わば作問者との対話であって、チームで思考するものではありません。

そういう意味で、チームで思考する「かえつ有明AL入試」は、これからの時代に要請される画期的なものだと言えるでしょう。その評価をどのように行っているかについて最後に触れておきます。

評価者の役割は3種類、各グループを専属で見る評価者と、2グループを横断的に見る評価者、さらにすべてのグループを見る評価者が重層的に存在しています。

その人たちがルーブリックに基づき、チームでの活動を観察し、試験後に評価者が集まって選考会議を行います。

実際にどのようなルーブリックを使って、どのような選考が行われているのか私には知る由もありませんが、次のことは想像できます。

すなわち、チームでの活動にどれだけの貢献ができたのか、仲間とのディスカッションを自らの探求や成長への手がかりにすることができたのかどうか、そこは大きなポイントになるのではないでしょうか。

対話のプロセスというのは、同調を強いるような仲間によってもたらされるのではなく、自分とは異なる考えを受けとめることから生まれてきます。自分の中になかった着想、あるいは気づかなかった側面が刺激されることで、ダイナミックな思考のスパークが生まれます。

かえつ有明では思考力入試やAL入試だけではなく、2科4科の入試を突破してくる生徒や、生徒全体の30%を占めるに至った帰国生が、一緒に学び合う多様性のある学習環境があります。

そのような「多様なバックグラウンド」をもつ仲間のいる環境の中で「成長思考」を発揮できるかどうか、それが如実に表れてくるのがAL入試であると言えるのではないでしょうか。