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かえつ有明中のAL入試~「共感的コミュニケーション」が発揮される場~《前編》

かえつ有明中が今年は2月3日(月)に実施したアクティブラーニング思考力特待入試のレポート《前編》です...

かえつ有明のアクティブラーニング思考力特待入試(以後AL入試)が初めて実施されたのは、2016年2月のことです。当時かえつ有明は、カリキュラム改革の真っ只中で、学校全体で新しい学びを推進していました。そして、おそらく日本で最初にパフォーマンス評価の手法を中学入試に採り入れたのがこのAL入試(当時の名称は難関思考力入試)でした。〈取材・撮影・文/スタディーエクステンション代表・鈴木裕之)

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AL入試は「共感的コミュニケーション」が発揮される場

かえつ有明のアクティブラーニング思考力特待入試(以後AL入試)が初めて実施されたのは、2016年2月のことです。当時かえつ有明は、カリキュラム改革の真っ只中で、学校全体で新しい学びを推進していました。そして、おそらく日本で最初にパフォーマンス評価の手法を中学入試に採り入れたのがこのAL入試(当時の名称は難関思考力入試)でした。

思考力入試が、従来の「知識・理解型学力」に加えて、「批判的・創造的思考」を試すものだとすれば、AL入試は創造的思考に加えて、「非認知的スキル」や「Affective Domain(情意的領域)」などと呼ばれる資質や能力まで見ようとする入試です。それは、対人コミュニケーション能力だったり、あるいはリーダーシップだったり、探究心だったりと、教育においては非常に大事にされている資質・能力であるにも関わらず、選抜試験からは見過ごされがちな領域です。

様々な入試を実施することによって、多様な個性が集まってくることがかえつ有明の強みになっていますが、AL入試こそが、かえつ有明の教育の特長が最もよく表れた入試であるということができます。

「場の空気」を創る

それは例えば試験当日のリハーサルにも表れています。試験の進行をシミュレーションしながら、受験生と同じ目線の高さでいること、受験生に威圧感を与えないように椅子から立って評価をしないようにしよう、などと先生同士がお互いの気づきを共有していました。受験生がリラックスして受験できるような「場の設定」に気を配っているわけです。

また、リハーサルで先生方が本気でゲームに取り組んでいることにも驚かされました。進行を確認するだけなら「ここでアイスブレイクが入ります」といった伝達でも十分だと感じますが、先生自身が心を開いていくことで、「場の空気」を作っていこうとしているのでしょう。このような「受験生への思いやり」がAL入試を支えています。

在校生によるおもてなし

準備が一通り整った頃、受験生たちが誘導されて会場のカフェテリアに入ってきました。会場手前にあるスペースに設けられた椅子に順番に座って行きます。

ここでかえつ有明の在校生2人が、早く来た受験生の「待ち時間」に対応します。午後入試ですから、他の会場からやってくる受験生もいるわけで、全員が同じ時間にぴったりと集まるわけではありません。そこで、集合時間が来るまで、このスペースで時間調整を行います。

「何かかえつについて質問がある人?」という問いかけに対し、さすがアクティブラーニング入試を受けようという受験生だけあって、早速何人も手が挙がります。次々に質問をさばきながら受験生の笑いを取る在校生は、まさに「玄人はだし」のファシリテートぶりを見せてくれました。

なかには、試験会場であることすら忘れて「かえつ有明には怖い先生はいますか」といった、ハラハラするような質問をする受験生もいます。

在校生は質問にたじろぐどころか、平然と「ぱっと見、顔が怖い先生とかはいるよね。でも何もしないのに怖いっていうことはないよ」などとお姉さんらしいリアクションで、笑い飛ばしながら即答します。その自由闊達な様子はまさにかえつ有明の魅力を印象づけているようでした。

そんな質問タイムでのやり取りが15分ほど経過し、受験生全員が揃うと、同じ時間に来た友達同士が同じテーブルにつかないよう、また各チームの男女が同じ割合になるように並べ替えられた上で、入場開始です。

アイス・ブレイキング

生徒たちはふだんはカフェテリアとして使われているスペースに並べられた10個の円形テーブルに順々に座っていきます。

全員が席に着いたところで、ファシリテーターの小林先生が登場しました。

実はまだ試験開始の時間ではないものの、受験生が予定より早く準備できたため、時間調整をするようにタイムキーパーから指令があったようです。

小林先生は、困惑しつつも、雑談の中に新しい漫才のフレーズを差し挟むなど、独特の話術で笑いを取り、受験生の緊張をほぐしていきます。

時間を持て余すと、他の先生に救いを求めるように話を振ってなんとか時間調整の帳尻合わせをします。その様子が小林先生の困惑ぶりを印象づける結果となり、かえって受験生の心を掴んでいくのです。

続いて、斉藤先生が身体を使ったゲームを行いました。子どもたちは皆立ち上がり、斉藤先生の体の動きに合わせて、手を叩いたり動いたりして、体をほぐします。

自分1人の身体を使ったゲームが終わったところで、今度はチームの仲間三人が一組になったゲームが行われます。

あちこちで歓声が起こり、身体だけではなく心もほぐれていきます。チーム内の親近感や結束が強まっていくのが分かります。

問い:「未来の教室にあったらうれしいものは?」

再度ファシリテーターの話が始まりました。

小林先生は受験生と同じ干支であることから切り出し、自分の歩んできた人生を振り返りながら「30年後にはかえつ有明の校長になっていたいなあ」と自分の夢を語ったのですが、実はこの雑談風の話に今回のテーマの伏線が敷かれていました。

そのテーマとは「未来の教室を考えよう」です。

アイディア出し ブレスト(個人ワーク)

さあここから子どもたちは思考の羽を伸ばします。

1つのアイディアを1つの付箋に貼って、それを次々に模造紙に貼り付けます。制限時間は2分です。

このパートは個人でのアイディア出しですから、おそらくアイディアの独自性とか、あるいは、どんどんブレストを進めていく積極タイプなのか、じっくり熟慮するタイプなのかなどといったパーソナリティが見られているのかもしれません。

アイディアの分類(グループワーク)

続いてのパートでは、付箋に書いたアイディアについて、すぐに実現できるのか、それとも実現するのは難しそうなのかという2つに分けてみようというタスクです。

今度はチームで話し合う必要があります。ここでは、話し合いにおける協調性や、あるいはどのようなリーダーシップをとっていく子どもなのかといったことが評価されているのではないかと推測されます。