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品川女子学院の中高生、開成で生理の授業

品川女子学院の中高校生(有志)が開成高校を訪問。男子高校生と生理について考えました。

品川女子学院の高校生(有志)は、同世代の男子に生理について知ってもらいたいと出張授業を行ってきました。芝高校、本郷高校に続き、12月15日に開成高校2年生の希望者対象に授業を実施。女子中高生と、“生理がこない体をもつ”男子高校生が考えを伝え合いました。(取材・文 / 市川理香)

生理はタブーではない

品川女子学院高等部2年の吉田朱里さん、山田芽生さんは、高1の文化祭での起業体験をきっかけに、同世代の男子に「生理はタブーではない」ことを知ってもらいたいと考えるようになり、男子校で生理の知識や心身の変化について発信する授業を行なっています。5人で始めた活動ですが、これまで続けてきた2人も最終学年への進級前に後輩へ活動を引き継ぎたいと考え希望者を募りました。すると予想を超える、中等部1年から高等部1年まで34人の生徒が手を挙げてくれ、今回はそのうちの男子校班を中心に16人が先輩2人とともに、開成高校を訪問しました。

開成では期末試験最終日で、普段ならば解放感たっぷりの放課後ですが、高校2年生30人あまりが自ら希望して参加しました。

冒頭の挨拶で開成高校家庭科主任の石井淳先生は、なかなか男子校ではできなかったことを同世代同士で学び会える機会への感謝を表明し、品川女子学院教頭の平川悟先生は、これまで解決して来なかった課題に女子中高生が気づいて活動していると語りました。
開成では性教育の専門家や保健師による講演会は実施していますが、今回の品川女子学院からの申し出は、同世代のリアルな声を聞ける、願ってもない機会と受け止めてもらえたようです。

同世代の交流から生まれる共感

アイスブレイクの「品女クイズ」で打ち解けたあと、吉田さんが事前アンケートに回答していくなかで伺えたのは、生理中は辛いから優しくしてほしいという気持ちの押し付けではなく、男女の性差を超えて居心地の良い社会を作りたいという思いです。そのため進行も、ジェンダーギャップや貧困問題などの社会課題に触れるだけでなく、生理用品を実際に触ったりロールプレイも織り混ぜたりして、生理の知識や生理の際の心身の状況を日常の場面に落とし込んでいく工夫がありました。授業を見学した開成高2担任団の石丸先生の「結婚後、パートナーが多忙を極めていた影響で生理が来なかった時期があったが、ことの重大さがわからなかった」という体験談も、生徒にとって今はピンと来なくても、いつか思い出す日が来るかもしれません。

グループに分かれて話を聞きながら、生理は一人ひとり違うことにも気づいてゆく。質問も双方向でやり取りする。→

また、「家で生理用品を見ても話題にしてはいけないものだと思ってきたけれど、これからは自然に話せそう」という開成生の声は、吉田さん、山田さんはじめ品川女子学院の生徒にとって、何よりうれしい言葉でしょう。
普段は違う学校、異なる環境や価値観の中で学ぶ生徒同士が交流することの意義もあると感じます。関わった全員が幸せに近づく活動だと思うと平川先生は言いますが、この授業を受け入れてくれる学校ばかりではありません。断られても挫けることなくチャレンジする生徒の姿に自分も学んでいるというのは、この活動をサポートする渡部真由香先生です。
今回の授業が校外での活動デビューとなった中学生も、「楽しかった」「続けたい」と興奮気味に語っていました。プレゼンテーションの仕方や反応を学び、後継者としての自覚も芽生えたようです。


生理用品について説明を聞く。品川女子学院生徒のリードで、恐る恐る生理用品にペットボトルから水をかけて吸水力を確かめる場面もあった。→

最後に参加者全員で記念撮影。終了後も、性別に優劣はあるのかといった視点にまで話が広がり議論を戦わせる姿も。→