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受験情報ブログ

最高の合格を勝ち取るための学校選びVol.1

学びと幸せの共生: 一歩先行く中学受験 

my TYPE第14号(2025年9月21日発行)掲載


文/中曽根陽子 教育ジャーナリスト/マザークエスト代表

2025年の首都圏中学入試における「私立・国立中学受験者数」は52,300名(首都圏模試センターによる推定)。前年よりわずかに減少したとはいえ、過去40年間のなかでも3番目の多さ。受験率は18.1%と過去2番目の高さとなりました。少子化の中で、首都圏では中学受験に対する関心は高止まりしているようです。一方、公立中高一貫校の受検者数は、2023年度から減少傾向が続き、2025年入試では大幅に減少しました。とは言え、昨年の実質倍率は3.7倍と、依然厳しい状況が続いています。そこで、このコーナーでは、公立中高一貫校受検を考えている方に、最高の合格を勝ち取るための受験(受検)校選びについて紹介しましょう。

なぜ中学受験をしようと思ったのか。もう一度振り返ってみよう

近年、受検者数の減少傾向が続く首都圏の公立中高一貫校入試。確かに、10年前の19,587名をピークに18,000人前後を推移していた出願者数も、2025年入試では15,589名と大幅に減少しました。公立中高一貫校ができた当時に多かった「とりあえず受けてみようか」という層が減ったからだと言われていますが、それでも合格者総数は4,114名。何と受検生の27%しか合格できないという狭き門ですから、合格を勝ち取るのは簡単ではありません。受検生の中には、合格できなかったら地元の公立中学に進学すると決めていて、「他は一切受験しない」という話も割とよく耳にします。それも一つの選択肢だとは思いますが、せっかくこれまで多くの時間をかけて準備をしてきたのですから、私立中学校進学も視野に入れて併願校を考えてみてはどうでしょう。というのも、ご存知かと思いますが、多くの私学が公立中高一貫校との併願ができるように、適性検査型入試をはじめ、様々な新タイプ入試を導入しているからです。実際、公立中高一貫校受検者における私立併願受験者数は、2016年の約4,000名(約23%)から、2025年には約7,000名(約47%)と大幅に増加しています。

併願するかどうか決める前に考えて欲しいのは、中学受験をする意味です。そもそも、公立中高一貫校を受検しようと思った理由は何でしょうか。「高校受験を回避でき、6年間一貫した教育が受けられる」「特色ある教育内容に魅力を感じた」「私立より学費が安い」などさまざまだと思いますが、その多くが中高一貫教育の魅力とイコールであると言ってもいいでしょう。また学費の面でも、高校の無償化が進んでおり、家庭の負担も減ってきています。そう考えると、私学との併願をするかしないかは、中高一貫教育を選択するかどうかとイコールであるとも言えます。

高校受験と中学受験の違いを知っておこう

中学受験がダメだったら高校受験を選択するという場合、知っておきたいことは、中学受験と高校受験のシステムの違いです。中学受験は基本的に当日の試験で合否が決まります。それに対して高校受験は、基本的に授業中の態度などが評価される内申点と当日の試験結果の組み合わせで合否が決まります。また、高校は義務教育ではないとはいえ、ほぼ全員が進学するので、高校受験浪人を生み出さないための構造的な仕組みが出来上がっています。つまり、「どこかに入れるようにする=収容」という考え方のもと、成績をもとに進路指導が行われます。つまり、行きたい学校を受けるというより、受かる学校を受けるというのが、高校受験の世界のある意味常識です。そのため、偏差値の輪切りによって受験校が振り分けられる傾向が強いのです。

またその偏差値も高校受験の方が相対的に上がります。それは、高校受験の方が、母集団が大きくなるからです。よく、「中学受験でダメだったら高校受験でリベンジを」という方がいらっしゃいますが、簡単には比べられないので、そこは注意が必要です。

一方、中高一貫教育は、中高6年間の学校生活の中で計画的・継続的な教育課程を展開することにより、生徒の個性や創造性を伸ばすことを目的として設けられています。中学校と高等学校を接続することで,比較的自由にカリキュラムを組めるので、受験のためではない、本質的な学びをすることができます。他にも、高校受験がない分、のびのびと過ごせるとか、大学受験に有利であるとか言われますが、私は、中高一貫教育の最大のメリットは、子どもから大人になっていく時期に、成長段階に応じて、様々な経験を通して、じっくり時間をかけながら自分に向き合うことができる点ではないかと考えています。もちろん高校受験の方が向いているというお子さんもいると思うので、「何がなんでも中高一貫教育を」と言っているわけではありません。ただ両方の違いも理解した上で、併願をするかしないかをよく考えてみてください。

偏差値と日程だけで決めてはいけない!学校選びには軸が大事!

さて、私立中学も併願しようと決めた場合、次に悩むのがどうやって学校を選べばいいのかということでしょう。「偏差値表と各校の入試日程をにらめっこしながら、学校選びをしている」という方がいましたが、6年生の今でしたら、大体の成績はわかってきていて、模試の合否判定結果を見ながら併願校選びをする方が多いと思います。最近は、午前・午後入試を併用するのは当たり前になっていますし、同じ学校が複数回受験の機会を作っているので、組み合わせ方が複雑で悩みますよね。

しかし、偏差値も日程によって全く違うので、一概に模試の合否判定だけで併願校を決めるのは危険です。ですから、実際に出願するときには、日程ごとの募集状況や難易度も詳しくみていく必要があります。

加えて、公立中高一貫校を受ける方は、適性検査型験にするのか」というスタンスを決めること。きっと試験のあるなしなど、受験科目も受験校選びのチェックポイントになるでしょう。

もちろんこれらは、合格を勝ち取るためには欠かせないポイントです。しかし、それだけで学校選びをするのは、パートナーを写真と釣り書きだけで選ぶのと同じです。本当に大事なのは、中身です。その中身を見極める上で大切なのが受験軸です。受験軸とは、「何のために受験をするのか」という目的と「どういう受験にするのか」というスタンスを決めること。きっと公立中高一貫校を受検しようと決めた時にはある程度考えていたと思いますが、ここで再び、「子どもは、中高で何を学びたいのか。その学びで何を得たいのか。中高でどんな経験をしたいのか。親は何を学んで欲しいのか、何を得て欲しいのか、何を経験して欲しいのか」をそれぞれに書き出して、親子で話し合ってください。そして、最終的にお子さん自身が納得できる学校選びをしましょう。

中学入試情報誌『MyTYPE』とは

『MyTYPE』は、首都圏模試センターが発行する中学入試情報誌で、最新の入試動向や学校情報をわかりやすく紹介しています。偏差値データや合格者分析に加え、受験生の「タイプ」に応じた学校選びの視点が特徴です。学力だけでなく個性や学び方に合った進路を考えるヒントが得られ、保護者にとっても教育方針や学校生活を知る貴重な情報源となります。受験を通じて子どもの未来を見つめるきっかけとなる一冊です。今回は、2025年9月21日発行のmy TYPE第14号に掲載しました記事をご紹介します。

Vol.2につづく

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