高校受験を 自分で考えることの 大切さVol.1
「自分で決める」高校受験情報誌 Find!MY高校2025 より
高校受験の主役は君だ
この冊子を手にしたみなさんは、高校に行くことを決めている人だと思います。ではどんな高校に行きたいかを決めているでしょうか。家から通いやすい学校。友達が行く学校。部活ができる学校。楽しそうな学校。専門性がある学校。内申点や偏差値で行ける学校、、、etc。誰にとっても15歳の学校選びは一大イベント。選ぶ理由が1つに絞り込めればいいのですが、いろいろあって当然、後悔しないためには、情報を集め、検討したいことは検討して選ぶことが大切です。ただ高校受験には、推薦入試・一般入試、内申点や偏差値、面接など、受験校を決める時に知っておいた方が良いことがたくさんあり、ただ一生懸命勉強すればいいというわけではありません。しかも少子化の今、募集要項や制度が変わる可能性も高く、学校や塾の先生、親と一緒に調べる方が良いでしょう。さて、よくわからない部分があるから、高校受験は学校の先生と決める。塾の先生と決める。親と決める。これはどれも正しいことですが、大切なことが抜けています。それはまず自分の志望を考えてみるということ。この先の人生は長く、志望は何度変わってもいいのですが、中学という義務教育が終わった後の進路は、自由であるとともに多様。将来自分が進みたい道が少しでも見えているなら、その進みたい道に近づける学校を志望しましょう。高校受験は自分の志望を考えるいい機会です。内申点や偏差値などのこともありますが、高校受験の主役はあなた。あなたがまず将来のことを考え、志望を決めてみてください。まだあなたが中学1.2年生なら、それは1つに絞らなくてもOK。調べたり、聞いたり、体験したりする中で絞っていけばいいのです。きっとまわりの大人は、あなたの志望をかなえるために応援してくれるはずです。
中学卒業後の道を知ろう
義務教育の先にある間口が広い教育
小学校や中学校に受験はなかったのに(公立の場合)、なぜ高校進学に受験があるかといえば、高校は義務教育ではないからです。つまり高校へ行くのは義務ではなく自由。行っても行かなくてもいいのですが、高等教育はその後の人生を豊かにする教育として多くの人(東京都の場合98.9%)が選ぶ教育となりました。そして高等教育は自由な分、その裾野は広く、普通科だけではなく専門的な教育をする学校もあり、多様な選択肢の中から選ぶことができます。
併願するかどうか決める前に考えて欲しいのは、中学受験をする意味です。そもそも、公立中高一貫校を受検しようと思った理由は何でしょうか。「高校受験を回避でき、6年間一貫した教育が受けられる」「特色ある教育内容に魅力を感じた」「私立より学費が安い」などさまざまだと思いますが、その多くが中高一貫教育の魅力とイコールであると言ってもいいでしょう。また学費の面でも、高校の無償化が進んでおり、家庭の負担も減ってきています。そう考えると、私学との併願をするかしないかは、中高一貫教育を選択するかどうかとイコールであるとも言えます。
高校受験と中学受験の違いを知っておこう
中学受験がダメだったら高校受験を選択するという場合、知っておきたいことは、中学受験と高校受験のシステムの違いです。中学受験は基本的に当日の試験で合否が決まります。それに対して高校受験は、基本的に授業中の態度などが評価される内申点と当日の試験結果の組み合わせで合否が決まります。また、高校は義務教育ではないとはいえ、ほぼ全員が進学するので、高校受験浪人を生み出さないための構造的な仕組みが出来上がっています。つまり、「どこかに入れるようにする=収容」という考え方のもと、成績をもとに進路指導が行われます。つまり、行きたい学校を受けるというより、受かる学校を受けるというのが、高校受験の世界のある意味常識です。そのため、偏差値の輪切りによって受験校が振り分けられる傾向が強いのです。
またその偏差値も高校受験の方が相対的に上がります。それは、高校受験の方が、母集団が大きくなるからです。よく、「中学受験でダメだったら高校受験でリベンジを」という方がいらっしゃいますが、簡単には比べられないので、そこは注意が必要です。
進路を考えてみよう
後悔しないために考えてみる
「自分は文系なのか理系なのか」「まだ何も考えていない」「将来の夢がない」など、15歳で進路を考えることはまだ早いことかもしれません。ですが高校には、いろいろな選択肢が用意されており、後からそんな進路があったのかと後悔しないためにも今考えてみて欲しいのです。特に中学校の学びに違和感がある人には、専門的な学びをする学校に進むという選択肢もあるのです。ここでは、進路を探るステップをご紹介します。
自分のことをもっと知ろう
01自己分析をしてみよう
自分のことをもっと知ることが大切です。「英語が好き」「理科が得意」など自分が得意な科目や「スポーツに夢中」「ゲームが好き」など好きなこと、今までにやってみて楽しかったことや面白かったこと、夢中になったことを書き出してみましょう。そこにある共通することや特徴を探すことで、自分はどういう自分なのかが見えてきます。
02過去の自分を振り返ってみよう
憧れの人や尊敬している人、やってみて面白かったことやチャレンジしたいこと、美術館や博物館で感動したこと、思い出深かったイベント、街で見つけた出会いなど。今までの人生で印象に残っている出来事を歴史の年表のように書いてみましょう。スマートフォンに写真があるならそれを見返してもいいかもしれません。
03周りの人と一緒に分析しみよう
1番と2番の中にはきっと同じことが出てくると思います。それが自分で見つけた自分が好きなことや関心があることです。ではそれが将来にどう結びつく可能性があるのか。家族などの第三者の意見をきいて、今度は客観的に自分を分析していきます。他者の視点や経験からアドバイスをもらうことで、自分の進路に対する確信やモチベーションが高まります。

自分の将来イメージを想像してみよう
エンジニア、大学教授、プロスポーツ選手、ユーチューバー、看護師、会社員…etc。自分は将来、自分が何歳になったときにどんな仕事をしていたいか、どんな暮らしをしていたいかを具体的に想像してみましょう。それに合わせて、必要な資格やスキル、経験などを調べてみましょう。また自己分析となりたい自分の方向性に隔たりがある場合には、修正していく努力をすればいいのです。
どの分野でもトップは一人、成功する人も一握りです。でも努力をすれば好きなことを仕事にすることは必ずかないます。そのためにもまずはイメージを強く持つこと、そして「なぜその道を選びたいのか」「どうして自分に合っていると思うのか」という自問自答を行い、自分の動機を明確にして努力を積み重ねることが大切です。
志望校を見つけてみよう
志望校を選ぶポイント
志望校を決める際には、校風、通いやすさ、コース、部活、進学実績など、検討したい条件はたくさんあると思います。ですが高校受験は、気に入った高校があっても、学力面が及ばないと受験がままならない場合もあります。この学力面というのがクセ者で、詳しくは特集2を見て欲しいのですが、基本的には、内申点と偏差値による判断というものが高校受験では志望校を決める際の基準として欠かすことができない存在です。そのため志望校選びは、自分がいる偏差値帯を知り、そこにどんな学校があるのか、それを調べることからはじまります。その中で第一志望校を決め、滑り止めとして複数校を選び、自分の実力より少し上のレベルの学校もチャレンジ校として目標とするのが、志望校選びの王道です。
公立か私立か附属校か
公立高校は、都道府県や市が設立した高校です。普通科だけでなく専門学科や総合学科など幅広い選択肢があります。自治体からの補助金や授業料の無償化制度などにより、私立高校よりも学費が安く抑えられています。基本的に文部科学省の学習指導要領に沿った教育が行われ、原則としてその都道府県に在住している人が受験できます。地域によっては学区制があり、受験できる学校が限られる場合があります。また教員の移動があり、数年ごとに教員が変わることがあります。合否は入試の点数だけでなく、中学の内申点も関わってくるので、中学の成績が重要となってきます。
民間が設立した私立高校は、ミッション系など、校風や教育方針に特色のある学校が多く、そこを知っておくことが大切です。普通科に特進コースなどを設け、校内予備校を設けるなど、面倒見よく難度大学への進学をサポートする学校も増えています。また校舎や設備の充実した学校、部活動の強豪校など、個性的で魅力的な学校が多いのも私立高校の特徴です。私立高校も全国平均授業料相当を上限に支給される予定ですが、補助学習費や学校外学習費などが公立に比べると費用がかさむ傾向にあり学費は高くなります。入試制度も学校によりさまざまで、一般入試のほか、推薦入試、中学時代の内申点が大きく影響する単願・併願入試などがあります。
大学附属の高校がありますが、系列大学へ受験をせずに進学できるわけではなく、内部進学には一定の条件がある場合がほとんどです。また国立大学の附属高校は内部推薦枠がほぼないため、大学進学には受験が必要となります。附属校に進学すれば受験せずにエレベーター式に大学進学できるわけではありません。
高校受験情報誌 Find!MY高校2025
Find MY高校は、中学生が“自分で選ぶ受験”を実現するための高校受験情報誌です。
豊富な学校情報に加え、進路を考えるヒントや、自分の興味・価値観を見つめ直すための問いかけを掲載。人に言われたままではなく、自分の意志で進路を決める力を育むことを大切にしています。15歳という最初の大きな節目に、自分と向き合い、未来への一歩を踏み出すきっかけをつくる一冊です。
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