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コラム

希望の私学【大妻中野中学校・高等学校】(1/2)

「希望の私学」。その第一弾は、大妻中野です。21世紀は女性が活躍する時代といわれて久しく、現政権でも女性の社会での活躍の機会を増やす政策を掲げています。しかし、その一方で現実はなかなか進展していません。それは、現代社会は教育によって人材を育む制度になっているのですが、従来の公立学校では、社会で活躍する女性を育てる教育が行われてこなかったからでしょう。

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国が全体の制度を整備し改善していくことは重要です。しかし、「いま、ここ」ですぐに変わるわけではありません。ですから、そこはまず自分で力をつけていくことが大切ですが、1人の力ではどうしようもありません。

そこで、その力を支える強力な味方が私立学校です。私立学校は、「いま、ここ」で必要とされている教育の変化に対して、教育現場の最前線からすぐにでも対応できます。

女子教育において、今最も先進的な教育を実践し、実績をあげ、さらに生徒とともに飛躍しつづける中高一貫教育の私立女子校があります。それは大妻中野中学校・高等学校です

§1 スーパーロールモデル 切磋琢磨と信頼関係

宮澤校長は、常に「もっともっと生徒は伸びます。私たちは、価値ある内面を豊かにする学力を身につけることができます」と学内の先生方を鼓舞し、生徒にエールを贈り、学外に発信します。

その自信は、今も指導している中学の合唱部とのかかわりの中から生まれています。宮澤校長は、ご自身が東京芸術大学出身で一流の声楽家。

最初、純粋だけれどもまだまだ繊細なガラス細工のようなハートの持ち主である中1の生徒と一緒に歌詞を理解し、音楽性を理解し、表現を紡ぎ、聴衆と響きを共鳴し合う技術をトレーニングしていきます。

一流の指導者と土曜日も日曜日もともに学んでいく中で、生徒たちはダイヤモンドのように美しく強く価値あるマインドを形成して伸びていきます。それは金賞獲得(第67回全日本合唱コンクール全国大会(朝日コンクール)に、東京都代表として出場した大妻中野中学校合唱部は金賞獲得・高校生はNHK学校音楽コンクールに関東甲信越代表として全国大会出場)という成果につながっています。ですから、生徒は、その輝いている自分の姿に自信をもち、さらに意欲を燃やしていくのです。

宮澤校長の直属のブレインの集結している企画室の先生方は、このような校長のリーダーシップと見守りつつも厳しくトレーニングする教授法、及びそれに意欲を高めながら学び成長し、成果を収める学習方法こそ、大妻中野の教育の原点であると語ります。

そして、ブレインの1人諸橋先生も、2019年から2021年に本格的に変わる大学入試改革に対応する新しい学びの授業イノベーションは、宮澤校長の生徒の指導の方法にこそ大きなヒントがあると語ります。

§2 垂直思考と水平思考

数学の髙村先生の行う高2の総合学習は、水平思考(Lateral thinking)のトレーニングです。従来の大学入試問題は、知識を記憶し、その使い方をマスターするロジカルシンキング、つまり垂直思考(Vertical thinking)が中心でしたが、今後の大学入試改革は、学びの体験や教科横断的かつ教科融合的なかなり柔軟で高度な思考力、つまり水平思考の力が必要となります。

そこで、高村先生いわく、「大学入試が変わるまでは、まだまだ授業は垂直思考を鍛える授業でよいのですが、やがては水平思考のような柔軟で高度な思考力が要求されます。また、大学入試改革に対応するためだけではなく、すでにグローバリゼーション時代が到来し、実際の社会では水平思考が使われています。

教育が社会に役立つ人材を育成する役割がありますから、時代の変化に対応できる備えは怠れません。」

高村先生が実践している授業や総合学習の発想は、実は宮澤校長の指導法に相通じるものがあります。優秀で高い士気を有しているリーダーの引っ張る教師力と見守られながら、共に学び、生徒自身が内なる才能や発想を引き出す学ぶ力は、垂直思考と水平思考にも相当し、宮澤校長も高村先生も、両方の思考の合力を生み出しているといえましょう。そしてそれが大妻中野の強さの理由です。

§3 優秀な教師と最先端の授業

驚いたことに、牛込先生の中1の地理の授業と高村先生の総合学習の授業には、共通点があります。電子黒板とタブレット、チーム学習というシステムが共通だったということだけではありません。もちろん、システム的にはかなり似ていたのですが、重要なことはプログラムの展開と生徒の理解が深まっていくときの反応が似ていたのです。

これはどういうことかというと、まず、どちらの先生も知識を憶えるところから始めることはしません。牛込先生は、いきなりアフリカのイメージをチームで議論するように設定します。高村先生も、はじめから水平思考の問題を、チームで議論するようにセットします。

生徒は、本当に目を輝かして議論します。そして、タブレットに自分たちの考えや感じたことを書き込みます。すると、すぐに電子黒板に各チームの解答が映し出されます。

映し出されるたびに、他のチームと考え方や感じ方が違うのに驚きの声を出します。また、納得のいく解答を真剣にほめたたえます。中1の場合、最終的に、アフリカの気候や地形など地理的な条件を憶える必要がありますが、「記憶しなさいというよりも、こんなにイメージが互いに違うのかという驚きが、アフリカを知る意欲や好奇心をかきたてます。そこが単元のはじめに、このようなICTを活用したアクティブラーニングの効果的なところです」と牛込先生。

さらに「授業で見て頂いたように、自分たちの主観の違いだけではなく、グーグルアースを見ながら、客観的な知識と自分の主観的な想いとの差異にも気づきます。この差異に気づく過程こそ、知識を定着させる過程でもあります」と明快に学習理論を教えてくれました。

一方高村先生の水平思考の授業は高2ということもあり、考えるコトそれ自体を学ぶ授業。たとえば、「日本ではポピュラーなレモンティーだが、実は世界的に見るとマイナーな飲み方だ。では、なぜ日本だけにこんな飲み方が広がったのだろうか?」というケーススタディをした場合、チームによっていろいろな解答がでてきます。

「世界ではミルクがポピュラーだが、日本ではお茶のように素で飲みたいと思うから」「高価なレモンでつくったレモンティーをみんなが飲みたいと思ったから」「レモンティーを製造する企業が経済効果をあげるために流行らせたから」など、各チームがタブレットに書き込みます。すると、一斉に電子黒板に写し出されます。さすがは、高校2年生で、中1と違って、ここからさらに、それぞれの考え方の違いを高村先生と問答して分析していく瞬発力があります。

考え方の基準について、文化的な違いで見ているとか、消費者の欲求からするとそうなるとか、企業側の戦略の結果だったのかなどと話し合っていきます。

高村先生は「どこまで深まるかは、中1と高2では違いがありますが、互いに違う考えげ方をシェアし、いかに自分たちの考え方が先入観などに制約されていたかに気づくことは、このICTを活用したアクティブラーニングでは、共通しています。制約の気づきが、視野を広め、自由な発想を生み出すわけです。そして中1と高2の生徒を見比べて頂くとおわかりのように、繊細で純粋な心はいつまでも変わりませんが、思考のタフネスさは大きく成長しています」といいます。

やはり、優秀で高い士気を有しているリーダーの引っ張る力、先生が見守るなか共に学ぶことによって、生徒自身が自ら内なる才能や発想を引き出していく学びの力は、宮澤校長が合唱部を指導して、生徒を伸ばす方法に相通じていたのです。