受験情報ブログ

2018年11月3日私立中コラボフェスタレポート①

2018年11月3日、『新入試体験!私立中コラボフェスタ』が行われました。
受験生は各学校の模擬授業を体験し、保護者の方々は講演の部「新タイプ入試別 パネルディスカッション」に参加します。
講演の部の見どころは、やはり多くの私立学校の特色を一気に感じ取れることに尽きます。

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「入試は学校の顔」と言われるほど、その学校の教育方針や特徴がよく現れます。
似た形式の入試を行っている学校の校長先生やご担当の先生のお話しを比較し、お子様に合った学校を親の目で探るには、非常によい場だったと実感しました。

まずは、首都圏模試センターの北一成氏より『多様化する私立中入試でわが子の力を発揮しよう!』と題し、変わる大学入試を先取りする中学受験の新タイプ入試についての解説がありました。

・中学入試の構造が従来と変わってきた。21世紀型スキルを望む保護者が私立中学を選びはじめ、中学入試市場が拡大している。私立中入試はさらに多様化。
・習い事と両立しながら、適性検査型入試や思考力入試、英語入試などといった新しい入試にチャレンジしている。
・中学受験生の保護者は2020年大学入試改革とその先の変化を見据えている。そこで問われるのは知識だけでなく、思考力・判断力・表現力・英語力。
・2020年大学入試改革で問われる英語の力はCEFRでB1レベル。しかし、私立中高で目指すのはB2~C1レベル。
・2018年の中学入試が変わる背景には、従来の社会の変化がある。そして、大学入試も、日本の教育も変わるから。
・しかも、中学入試は大学入試改革を先取りしているといえる。
・2018年入試では、適性検査型(思考力型)入試の実施校が増加し、延べ応募者数は12000人近くに増加。英語(選択)入試実施校も増加し、志願者が倍増している。
・今や首都圏の小学生のおよそ5人に一人が中学受験をしている。
・2019年の中学入試は、帰国生入試・国際生入試・英語既修者入試・習い事(自己PR・プレゼン型)入試の実施校数がさらに増加しそう。

・2019年入試では午後算数1科入試が増える。入試要項変更により、受験生獲得競争が起こる。
・若い世代の保護者の価値観・志向が変化し、新しい教育・学校が登場している。
・来年以降の中学生の保護者が大切にしたいと願うことは、わが子の自己肯定感。それは学び合い(アクティブラーニングや探究型授業)や成長する気持ちによる。そうした私学を選んでほしい。

北氏からは「『希望の私学』と『希望の中学受験』を皆様とともに求めていきたい」というメッセージが伝わってきました。
学校という場は社会の縮図です。今まで多くの中学校や高校では知識の習得とその確認、そして部活動で忍耐力や人間形成を行ってきました。そして、その量と定着度を測る大学入試が行われてきました。しかし、そのような学びがもたらしたのは、主体性を欠く姿勢でした。提供されたものをいかに効率的に、忍耐力をもって吸収するか、理不尽にいかに耐えるか、という世界が広がっている学校があることも事実です。
しかし、希望の私学は違います。自己の価値を理解し、育み、学び続ける子どもたちを世に送り出そうと懸命になっている学校が間違いなく存在します。
そうした宝物のような学校を、保護者の方々に選び取ってほしいと、切に願います。

次に、栄光ゼミナールの菅原裕二氏より、『進学塾から見た私立中の新タイプ入試』についての講話がありました。

・大学入試改革と次期学習指導要領のスケジュールの紹介。2020年が初年度、2024年から本格実施(現小学校6年生)。英語が4技能となる。記述は2020年から国語と数学、2024年からは地歴・公民・理科も。
・高大接続教育改革があるので、私立学校では21世紀型の教育を推進する動きがある。「主体的・対話的・深い学び」を育める生徒を得るために、アクティブラーニングや自己アピール入試、思考力入試などに取り組んでいる。
・共通テストが記述式も採用することになるが、中学入試では4教科入試、自己アピール、総合型、適性検査型で既に実施されている。
・学びの三要素をもとにして、中学入試を分類する。
・「知識・技能」は4教科入試、「思考・判断・表現力」は思考力、適性検査型、総合型、プログラミング入試。「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」は、自己アピール(プレゼンテーション型)入試、得意科目選択型、グループワーク型入試。
今の社会形態、グローバル社会において、プロフェッショナルが一緒に協働して解決することが求められているから、中学入試での「新タイプ別入試」は社会の要請に応えるものだといえる。
・新タイプ入試の展望について。
・私立中適性検査型入試については、「私立中入試と公立中高一貫のどちらが第1志望か」で対応が決まる。理想は両方チャレンジ。質と量のバランスを考えたり、得意不得意、向き不向きを見極めたりすることが大事。
・難関校は以前から記述式の出題中心、中位校は大学入試改革・学びの3要素を意識した入試が増えている。

菅原氏は、講演の中で「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」は受験前に身につけるべきか、受験後に身につければいいのかと、保護者に問いかけました。子どもたちの才能を発見し、育むのであれば、新タイプの中学入試に取り組んでみてはどうか、と述べていました。
新タイプ入試の体験をした子どもたちに話を聞くと「楽しかった!」「もっとやりたい!」と望む声を耳にします。学びは本来的には楽しいものです。こうした取り組みは今まで訪れたことがない世界に誘い、知を深め、思考を巡らせ、さらに新たな次元に飛び出します。
新タイプ入試を実施する学校は、いわゆるリベラルアーツ、知を得ることによって自由になるという学びを大切にしている学校だと言えそうです。

続いて、「私立中入試に広がる新たな対応の入試」と題し、各学校のパネルディスカッションが行われました。
類似した形態の入試を行っている学校の先生方が一堂に会し、試験の特徴を一気に理解できる稀有な機会です。


◎思考力入試


①神田女学園 副校長・宗像諭先生
・トリリンガルとリベラルアーツを大事にしている。
・個人の価値観を文章にするが、考え方に至るプロセスを入試でみる。「なぜ」に気が付けたか、仮説が働いているかどうか、など。WhyとHowを意識して、自信をもって表現してほしい。

②大妻中野 教頭・諸橋隆男先生
・読んで、批判的に話して、小論文で書く。ここまでやらないと社会に通じないし、大学入試も変わっている。
・社会に通じるコンピテンシーを見る。詳しくはウェブサイトに評価(ルーブリック)が掲載してあるので、チェックしてほしい。

③十文字 稲田豊先生
・入試では給食の食材、スマホなど、身近なテーマを出題。私は何ができるか、どう考えるか、という入試にしている。
・「なぜなぜ女の子」、「私」を理解してステップアップする子に来てほしい。思考力ノートをつくって、いろいろ書き留めておくとよい。

④桐朋女子 校長・千葉裕子先生
・桐朋女子では半世紀前から口頭試問を行っている。どのような思考過程をとっているのか、物事に興味関心を持って取り組めるかがわかる。
・独創性のある、キラキラした小学生に来てほしい。小学校時代に身につけている力を見たい。ご家庭では対話の時間をもってほしい。

⑤日本大学豊山女子 校長・柳澤一恵先生

プレゼンテーション型の入試。いくつかのテーマから選び、図書館で調べ、まとめ、自分の声で発言してもらう。
・小学校の時に打ち込んでいるものを持っている人、中学受験しようという決断が遅くなった方で、自分のアピールポイントを持っている子にきてほしい。

⑥文京学院大学女子 広報部部長・嶋田栄司先生
・グローバル、サイエンス、スポーツ系のコースがある。スポーツ系では、5人で棒をもってどう効率よく回るかを考えて、レポートに書くという試験を課したことがある。頭で考えてスポーツする子を歓迎する。
・普段の生活で疑問に思うことをどう解決するのかを、常に考えてほしい。

⑦かえつ有明 教育統括部長・佐野和之先生
・かえつの入試はともに生きる仲間を見つけるもの。考えではなく感情。思いを理解しあい、普段からどんなことを感じているのかを考えてほしい。
・一番最初に思考力入試(思う、考える)を名乗った入試。なぜと問うのでは足りない。浮かばないときは、自分たちの思いを共有してほしい。

コーディネーターである本間教育研究所の本間勇人氏は「関わること自体にワクワクしたり、癒されたりするテスト。色々なセミナーや講座を体験してみてほしい」と総括していました。

思考力入試は、自らが経験したり感じたりしたことをもとに思考し、表現し、他者に伝えることを主としたものです。入試はともに学ぶ仲間を探すためにあり、各学校の特色が色濃く出ます。学校の教育をよくご覧になり、入試問題やセミナー等と照らし合わせながら、受験校を見つめてみることが大切でしょう。


◎英語入試①


①跡見学園 英語科・和田俊彦先生
・英語が好きで、英語を学びたい子をサポートしたい。
・テストは漢字と計算の問題、英語は筆記と面接。英検4級レベル。若干3級や5級レベルのものもある。面接は英検の二次試験に近い。原則はネイティブが面接を行う。基本的な挨拶、将来の夢などを尋ねる。

②女子聖学院 英語科・滝澤佳代子先生
・表現する意欲を見る。英語の筆記試験はない。リスニング、英語の暗唱。スピーチの様子をホームページに掲載しているので参考にしてほしい。
・リスニング力、表現力、プレゼンテーション力、総合力を見る。英語力は基本的なところ。意欲を見たい。英語の暗唱文を手に入れて覚えてほしい。

③城西大学附属城西 入試企画部長・坂本純一先生
・筆記は英検3級レベル。リスニングの問題が多い。今年度は自由英作文を課す。英検の問題集と過去問対策が有効。CEFRのA2以上だと英語試験は免除。
・日本語の面接も課す。学校生活、勉強、行事に前向きな気持ちで取り組めるかを尋ねる。

④東京立正 副校長・多田恵理子先生
・英検の得点保証がある。筆記試験はイラストが多い。小学校で学ぶ基本知識が使える。単語、英作文が出る。英検の勉強が役立つ。
・中学は日常会話、高校では内容の濃い英語を学ぶ機会を設けている。web英会話やヤングアメリカンとの協働なども行っている。

⑤文化学園大学杉並 入試広報部長・齋藤圭介先生
・昨年から英語特別入試実施。英語4級レベル。スペルミスは減点しない。英語のコミュニケーションができるかどうかを見たい。日本語の面接もある。
・受験英語の対策も、日本語対策もいらない。英語4級レベルであれば本校で育てられる。ご家庭で会話ができているなら構わない。

しゅとcommu学校サポーターの市川理香氏は英語入試に期待している旨を述べていましたが、子どもたちの才能を活かすには、国境を越えるための共通言語である英語の習得が欠かせません。英語入試を実施する学校は、入学後の英語習得のプログラムや異文化交流、協働学習など、工夫を凝らしています。各校でさまざまな取り組みをなさっていますので、内容を比較してみるとよいのではないでしょうか。