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聖和学院中の新設「ビブリオバトル入試」が広げる入試の可能性!

聖和学院中学校が今春2021年から新設した「ビブリオバトル入試」の様子をお伝えします。

聖和学院中学校〈神奈川・逗子市。女子校〉では、前年まで行ってきた「2科入試」「4科入試」という従来型の筆記試験と、「英語入試」「英語インタラクティブ入試」「英語プログラミング入試」「プレゼンテーション入試」に加え、今年から「ビブリオバトル入試」というユニークな入試を新設しました。その新しい入試の様子をお伝えします。〈取材・撮影・文/北 一成〉

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今春2021年から「ビブリオバトル入試」を新設!

聖和学院中学校〈神奈川・逗子市。女子校〉では、前年まで行ってきた「2科入試」「4科入試」という従来型の筆記試験と、「英語入試」「英語インタラクティブ入試」「英語プログラミング入試」「プレゼンテーション入試」に加え、今年から「ビブリオバトル入試」というユニークな入試を新設しました。

昨年2020年入試では、この年から新設した「英語プログラミング入試」の様子を取材させていただきましたが、今年2021年入試では、新設された「ビブリオバトル入試」を2月4日に取材させていただきました。

県内では初の「読書プレゼンテーション型入試」!

自分の読んだ本の面白さや感想をプレゼンテーションで伝える「ビブリオバトル」は、すでに小・中・高校生の間ではよく知られていて、実際に参加したことのある生徒さんも多いことと思います。

そうしたなか、もともと聖和学院では「温順・勤勉・愛」というミッション・スクールならではの温かで真面目な校訓のもと、「読解力・思考力・表現力」を育てることを大切に、「感性と表現力の豊かな女性の育成」を教育理念としてきた学校です。

そうした同校が「読書」を重視して、そこで感じたことを表現するプレゼンテーションの場を教育活動のなかで多々取り入れてきたことが、今回の「ビブリオバトル入試」の新設に結び付いたものと考えて良いでしょう。

実際に聖和学院は、例年「ビブリオバトル」関東大会でも度々入賞していることも、この「ビブリオバトル入試」導入につながっています。

見せていただいた2/4pm「ビブリオバトル入試」!

取材をさせいただいた2月4日(木)pmの「ビブリオバトル入試」を受験したのは2名の女子受験生。

実はお二人とも2月1日の2科目入試で合格し、すでに聖和学院中学校への入学を決めていたにも関わらず、この日の「ビブリオバトル入試」には、「ぜひチャレンジしたい!」、「せっかく準備した発表(プレゼンテーション)を聖和学院の先生に聞いてほしい!」という気持ちでやってきたとのこと。そういう意味で、まさに「ビブリオバトル」やる気満々の受験生です。

今回は、入試の場の雰囲気を和らげ、二人の受験生を励ます意味で、同校の広報ご担当で国語科の栢本さゆり先生も「ビブリオバトル入試」に参加。ご自身が読んで面白かった本の魅力を、受験生と同じスタイルで披露してくれるといいます。

受験生は堂々と自らの「読書プレゼン」を披露!

始めに本日の「ビブリオバトル入試」の進行の手順が、栢本さゆり先生から説明されます。その後にくじ引きでプレゼンテーションの順番を決めて、プレゼンを受ける先生の手元近くにあるタイマーで時間を図りながら、各自のプレゼンをスタートさせます。

始めに本日の「ビブリオバトル入試」の進行の手順が、栢本さゆり先生から説明されます。その後にくじ引きでプレゼンテーションの順番を決めて、プレゼンを受ける先生の手元近くにあるタイマーで時間を図りながら、各自のプレゼンをスタートさせます。

順番は、最初に『何のために『学ぶ』のか 中学生からの大学講義』の紹介をしたK・Nさん、2番目に『蜜蜂と遠雷』の紹介をした栢本さゆり先生、3番目に『5分後に意外な結末―5分後に思わず涙。世界が赤らむ、その瞬間に』の紹介をしたM・Hさんと続きます。

トップを切ったK・Nさんは、自身の読んだ『何のために『学ぶ』のか 中学生からの大学講義』について、実に堂々とした姿勢で、その面白さと、この本を選んだ理由を語ってくれました。

身振り手振りや目線も生かしての「読書プレゼン」

2番目の栢本さゆり先生も、ご自身が以前に読んだ『蜜蜂と遠雷』の面白さを、身振り手振りも交えて、にこやかに紹介してくれました。

栢本先生はご自身も聖和学院中高の卒業生で、大好きな母校で培った表現力を生かして広報活動でも大活躍している、私立中高の先生方のなかでも名プレゼンテーターと言われている先生ならではの楽しいお話を聞かせてくれました。

3番目のM・Hさんは、短編集『5分後に意外な結末―5分後に思わず涙。世界が赤らむ、その瞬間に』の面白さと、この本を選んだ理由について、ポイントを丁寧にまとめて紹介してくれました。

この間、プレゼンを聞く側の先生(面接官と呼んで良いのでしょうか?)3名は、受験生のプレゼンに耳を傾け、その堂々としたプレゼン姿に頼もしさも感じながら見守っている様子です。

先生からの質問にも真っ直ぐに向き合い、答える

3名それぞれのプレゼンの後には、先生から受験生に寸評や質問が投げられます。自身のプレゼンが終えて、ほっとする間もなく聞かれた質問についてその場で考え、答えようとする受験生の姿には、ここで紹介した本を自ら読み込んで、自分の言葉で表現しようとする積極性と熱意が、あらためて伝わってきました。

何を聞かれるか分からないなかで、質問者の目を真っ直ぐに見て言葉を待つ表情からは、その質問をしっかりと受け止め、自分の言葉で答えようとする姿勢と意思の力をひしひしと感じました。

受験生どうしでも互いに質問や答えをやり取り!

少し驚いたのが、二人の受験生どうしでも、お互いのプレゼンや紹介された本の内容について、質問が交わされていることでした。その意味では、この聖和学院中の「ビブリオバトル入試」は、面接官の先生との「1対3」のプレゼンの場というよりは、この試験教室にいる人を全員巻き込んで「読書プレゼンテーションをシェア(共有)する場」になっているように感じました。

互いの受験生どうしも、自身のプレゼンを“発信”するだけではなく、自分以外のプレゼンや発言をしっかりと受け止め、それを温かく受信・受容しようとする、聖和学院が中高6年間の教育のなかで大切にしている「読解力」や「対話力」が求められ、育まれる空間になっていることに気づかされました。

受験生の今後の励みになる投票と寸評

お2人の受験生に栢本さゆり先生を加えた3人の読書プレゼンと質問のやり取りが終わると、先生による「今回いちばん良かったと感じたプレゼン」への投票が行われました。

受験生二人は教室後部のロッカーに向いて背中を見せた教室で、栢本先生の声かけに3人の面接官の先生が挙手をします。その結果、それぞれの受験生への挙手は2票と1票に分かれ、僅差でお一人が選ばれました。栢本先生からは「二人に票(挙手)が分かれたくらい、どちらのプレゼンも良かったということですね!」というコメントに続き、「なのに私には1票も入らなかったんですよ~」と笑いを誘います。

この柔らかく和やかな教室内の空気感が、おそらくは聖和学院中高の日常の学校生活を包み込んでいることが想像されます。

聖和学院の入試と教育が6年間大切に育む力

人の(先生や友達の)話をしっかりと聞き、内容を感じ取る「読解力」、自分とは違った人の意見や感じ方を温かく受け止める「受容力」、互いに質問や対話を交わし、新たな気づきを得る「質問力」と「対話力」。さらに自分の意見や考えを自然な自分の言葉で人に伝える「表現力」。

聖和学院が創立時から大切にしてきたそれらの力を育んでいくなかで、自ずと生徒一人ひとりが「自己肯定感」を高めていくことができるのが、聖和学院という教育環境なのだということが、今回の新設「ビブリオバトル入試」の様子からも十分に伝わってきました。

新たな入試が小学生と私学の出会いを広げる

今年のコロナ禍のもとでも中学入試がほぼ無事に行われ、多くの小学生(受験生)との出会いが実現できたことと思います。しかし聖和学院では、ホッとする間もなく、次年度の入試に向けて、この「ビブリオバトル入試」の新たな評価軸(=聖和学院「思考コード」)を受験生や保護者、教育関係者にも分かるように作り上げ、2年目の入試をバージョンアップさせようという試みをスタートさせたといいます。

今回の入試で自らも「読書プレゼン」を見せてくれた国語科の栢本さゆり先生も、この「ビブリオバトル入試」における新たな聖和学院「思考コード」の策定の中心を担っていきます。

またひとつ、多様な評価軸によって、小学生の可能性や潜在的な力を発見し、迎え入れてくれる新たな入試、そして受験生にとっても楽しくチャレンジできる入試が登場したことに、多くの小学生と保護者、さらに受験関係者の皆さまは、大きな希望を見出しても良いのではないかと感じさせられた聖和学院中学校の「ビブリオバトル入試」のひと時でした。