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Minecraftを使い創造性を重視した聖徳学園のプログラミング入試(2月2日午前実施)

2023年2月2日午前、聖徳学園中学校ではプログラミング入試が実施されました。

2023年2月2日午前、聖徳学園中学校(以下、聖徳学園)ではMinecraft(マインクラフト)を活用したプログラミング入試が実施されました。これからの社会で必要になる創造力・発信力・コミュニケーション力・数理的思考力を重視した、聖徳学園のMinecraft入試を取材しました。〈取材・撮影・文/福原将之〉

聖徳学園のプログラミング入試

2023年2月2日午前、聖徳学園中学校(以下、聖徳学園)ではMinecraft(マインクラフト)を活用したプログラミング入試が実施されました。プログラミング入試と聞くとプログラミング能力だけが重視される入試に思われがちですが、聖徳学園の入試はそれだけではありません。これからの社会で必要になる創造力・発信力・コミュニケーション力・数理的思考力を重視した、聖徳学園のMinecraft入試を取材しました。


聖徳学園では2019年度からプログラミングによる入試に取り組んできました。当初は自己アピール入試の選択肢の一つに過ぎなかったプログラミングを使った入試は、2020年からプログラミング入試として独立し、今年でついに4回目となります。


昨年までのプログラミング入試では、ボール型ロボットSpheroを使用する「Sphero入試」とMinecraftを使用する「Minecraft入試」の2種類が用意され、受験生はいずれかを選んで受験する形式で実施されました。Sphero入試は「数学的な観点」を重視する入試だったのですが、今年からMinecraft入試に理数的な要素を取り入れた形にバージョンアップすることで、プログラミング入試をMinecraft入試に一本化することに成功しました。今年の出願者数は23名と例年通りの人気となっています。


(写真は、校門で受験生を迎えた、在校生や先生たちからの応援メッセージです。)

Minecraft(マインクラフト)の教育効果

Minecraftとは、小学生を中心に幅広い世代に人気のゲームで、いわゆる「デジタル版のブロック遊び」です。ゲーム内ではサバイバル生活を楽しんだり、自由にブロック(立方体)を組み合わせて建築などを楽しんだりすることができます。


Minecraftが普通のゲームと違う点は、プログラミング教育・情報教育・協働学習などの教材として多くの学校で活用されている点です。例えばレッドストーンというブロックを使えば、大学レベルの電子工学の論理回路をゲーム内で作ることができます。コードビルダーやコマンドブロックを使えば、ゲーム内でプログラミングを行うことができます。他にもMinecraftでの協働作業によって子供たちのコミュニケーション能力が向上したという研究報告もあります。Minecraftは幅広い教育効果を持った教材なのです。

Minecraftの特性を活用したプログラミング入試

今年の聖徳学園のプログラミング入試では、「指定されたWorldで打ち上げ花火ショーをデザインしなさい」という課題が出されました。基本となるプログラミング能力はもちろんのこと、レッドストーンを活用した論理回路や数学的な座標系の理解、そして花火ショーの企画というクリエイティブな要素を含んだ試験となっています。試験後半には課題についてのインタビューとレポート作成があるため、コミュニケーション能力や発信力も問われることになります。聖徳学園のプログラミング入試は、Minecraftの特性を活用することで受験生の様々な能力を評価する入試と言えるでしょう。

プログラミング入試の流れ

プログラミング入試の試験開始は9時15分です。試験当日の流れは次のようになります。


① プログラミング試験(50分)


② インタビュー試験(15分)


③ レポート試験(説明5分、記入10分)


試験会場はコロナ対策のため十分な換気がされつつも、受験生たちが寒くないようにとしっかりと温められていました。机の上にはノートパソコン(MacBook)とマウスが配置されており、いつでも試験が開始できるようMinecraftのソフトが立ち上がっていました。受験生が揃うと、試験監督の先生から受験生に向けて「本校のプログラミング教室(体験授業)で配布した資料は試験中に参考にしても大丈夫です」とアナウンスがありました。プログラミング入試の応募資格に「プログラミング教室への参加」が入っていることもあり、多くの受験生が講座資料を机に出して試験開始時間を待っていました。

プログラミング入試、スタート!

9時15分、いよいよ試験スタートです。試験が始まると受験生たちは一斉にパソコンへと向かい、Minecraftの世界に飛び込みました。入試の課題は、Minecraftで花火ショーをデザインするという内容です。最初に受験生たちが取り組んでいたのは、電気回路のような役割を果たすレッドストーン回路とプログラミングを使って花火を打ち上げる仕組みを作ることです。試験開始から15分ほど経つと、花火を打ち上げることに成功した受験生が嬉しそうに小さく頷いている様子が見られました。


プログラミングの試験中は補助員の先生・スタッフが会場を巡回しており、受験生のトラブルに備えていました。パソコンの画面が変わってMinecraftが消えてしまった場合なども、補助員が駆けつけてすぐに解決していました。受験生たちの心強い味方ですね。

Minecraftで花火ショーをデザインしよう

試験で特に印象的だったのが、最初から完璧なプログラムを目指すのではなく、プログラミングを少し書いては動作を確認し、それを改善していくといったトライアンドエラーをしながらプログラミングしている受験生が多かったことです。実はこのような手順こそプログラミングをする上で最も効率が良い方法なのですが、多くの小学生にとっては実践するのが難しいのです。受験生たちのレベルの高さが伺えます。


聖徳学園のプログラミング入試の面白いところは、花火ショーのコンセプトや演出を考えることや、花火の発射台や観覧席・会場などを建築するMinecraftならではのデザイン要素も評価に含まれている点です。生徒の創造性を大事に育てている聖徳学園のカルチャーが、プログラミング入試にもしっかり反映されていますね。受験生たちは花火の発射台を「やぐら(櫓)」にして装飾したり、会場になる湖に大きな橋を架けたりと、「短時間でこんな立派な建築が作れるのか」と驚かされました。

インタビュー&レポート

50分間のプログラミング試験が終わると、インタビューとレポートの試験に移ります。インタビュー試験では、試験官の先生が受験生の机の側まで行き、一人ひとりにインタビューを行なっていきます。インタビューでは「どんなイメージで花火ショーを作りましたか」「工夫した点や苦労した点はどこですか」「もう少し時間があったら何をしたいですか」といった質問がされました。約1分のインタビューの終わりには、先生から次のレポート試験に向けての励ましの言葉が贈られていました。


最後のレポート試験の課題は、花火ショーのコンセプトや工夫した点を自由に書きなさいという内容です。試験時間は10分間。直前に行われたインタビューが大きなヒントとなったのでしょう、受験生たちは黙々とペンを走らせていました。インタビューで答えた内容を文章で丁寧に書いていく受験生もいれば、花火ショーの狙いを絵で分かりやすく表現している受験生もいました。10時35分、試験終了です。お疲れ様でした!

入学後は充実したSTEAM教育

2019年からのプログラミング入試により、聖徳学園ではより高度なSTEAM教育(※)を希望する生徒が増えたそうです。そんな生徒たちを支援するために、聖徳学園では2021年より「SHOTOKU TECH ACADEMY」を開講しました。


※STEAM教育とは、S=Science、T=Technology、E=Engineering、A=Arts、M=Mathematicsの5分野を融合的に学んでいく教育です。聖徳学園のSTEAM教育では、「課題」を単にこなすのではなく、「作品」を創り出すクリエイティブな学びを大切にしています。


SHOTOKU TECH ACADEMYとは放課後講座の一種で、通常の授業よりも深くSTEAMを学びたい生徒が参加しています。講座で扱っている内容は、ドローンや球状のロボットのプログラミング制御、専門的なソフト(Unity)を使った3Dのモデリング、さらにはiPhoneのアプリ開発と非常にハイレベルです。


取材中、入試のお手伝いに来ていたSHOTOKU TECH ACADEMYを受講した高3生と話す機会があったのですが、この講座がキッカケで3Dモデリングに興味を持ち、大学の進路を決めたそうです。講座で学んだことや将来の夢を嬉々として話す彼女の表情を見て、聖徳学園のSTEAM教育は素晴らしいなと改めて感じました。プログラミング入試で入学した好奇心旺盛の受験生たちも、きっと満足のいく学校生活が送れることでしょう。

入試対策は聖徳学園のプログラミング説明会がお勧め

聖徳学園のプログラミング入試はいかがだったでしょうか。「うちの子はこんな難しい試験には対応できない」と思われた保護者の方もいるかもしれません。安心してください。聖徳学園では、プログラミング入試を考えている受験生に対して、2024年度入試に向けて、ポイントとなる点について説明する動画をWebサイトに掲載します。さらに12月と1月に1回ずつ同内容でプログラミング説明会を行います。



プログラミングの学習という意味だけでなく、コミュニケーション能力や発信力を鍛える機会としてもお勧めです。プログラミング入試についての詳細は、例年9月ごろから開催されますので、興味のある方は聖徳学園のホームページ(https://jsh.shotoku.ed.jp/jhs_admission_policy/jhs_exam_programing/)をご確認ください。